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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 028 |
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管理番号 | 1052148 |
異議申立番号 | 異議1999-90267 |
総通号数 | 26 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2002-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-02-24 |
確定日 | 2001-11-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4204465号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4204465号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4204465号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年8月3日に登録出願、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第28類「運動用具(ゴルフ用具を除く)、釣り具」を指定商品として、同10年8月20日に設定登録されたものである。 2 本件商標に対する取消理由(要旨) 本件登録異議の申立てがあった結果、平成12年5月23日付け取消理由通知書をもって商標権者に対して通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。 (1)引用商標の周知性について 株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド辞典’84ザ・ブランド」の記載によれば、次の事実が認められる。 アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、巾広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立し、ポロ・ファッションズ社(以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなる各商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。 そして、(株)洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、例えば、前出「男の一流品大図鑑」をはじめ、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、(株)講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年6月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前記「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。 また、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、東京高等裁判所平成2年(行ケ)183号(平成3年7月11日言渡、判例時報1401号)、東京地方裁判所平成8年特(わ)1519号(平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)の各判決をはじめ、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同第289号(以上平成11年12月21日言渡)、同第288号(平成12年1月25日言渡)、同第298号、同第299号(以上平成12年2月1日言渡)、同第192号(平成12年2月29日言渡)、同第333号、同第334号(以上平成12年3月29日言渡)等の一連の判決がある。 さらに、引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成1年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同10年6月8日付朝日新聞夕刊等において報道され、これらの記事中では引用商標が「ポロ」、「Polo」、「POLO」等と称されている。 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本件商標の登録出願時までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は、本願商標の出願時はもとより、現在においても継続しているというのが相当である。 (2)商品の出所の混同のおそれについて 本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるものであるところ、本件商標の図形部分と引用商標の図形は、いずれもマレットを振り上げて馬に乗ったポロ競技のプレーヤーを描いてなり、競技としてのポロを認識せしめるものである。 そして、本件商標の文字部分は、引用商標の文字と同一の綴りである「POLO」の文字を含むものであるばかりでなく、全体として一連不可分の既成の観念を有するものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。 そして、本件商標の指定商品は、各種運動の際に身に付ける各種手袋、胸当て、ヘルメット等を含むものであり、引用商標が使用されている商品と少なからぬ関係を有するものといえる。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は本件商標の図形部分及び「POLO」の文字部分に注目して上記周知著名な引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 (3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 3 商標権者の意見(要旨) 本件商標等の「馬に乗った人物の図形」の商標又は、「POLO」の文字が入った商標出願に対して、特許庁は「米国のデザインのラルフ・ローレンとの関連から」拒絶とされるのが一般化している。しかし、平成12年1月27日に、「PALM SPRINGS POLOCLUB/パームスプリングスポロクラブ」(東京高裁平成11年(行ケ)第253号)及び「ポロのマーク」(東京高裁平成11年(行ケ)第254号)について、東京高等裁判所は上記判断とは逆の判断をしている。よって、本件商標も同一の判断をすべきである。 4 当審の判断 商標権者は、「3 商標権者の意見(要旨)」に記載したとおり、本件商標は、東京高裁平成11年(行ケ)第253号及び東京高裁平成11年(行ケ)第254号の判決と同一の判断をすべきである、と主張している。 しかしながら、東京高裁平成11年(行ケ)第253号判決は、審決取消請求事件として上告された結果、最高裁判所平成12年(行ヒ)第172号、平成13年7月6日第二小法廷判決、「原判決を破棄する。」(判決要旨 洋服等を指定商品とする「PALM SPRINGS POLOCLUB」等の文字から成る商標が商標法第4条第1項第15号に規定する商標に当たる)との破棄自判がなされている。また、東京高裁平成11年(行ケ)第254号の判決は、商標法56条において準用する特許法150条1項、同5項に規定する審判手続違背との理由で審決が取り消されたものであって、商標法第4条第1項第15号に関して判断がなされ審決が取り消されたものではない。 そして、本件商標と同様に「ASCOT PARK POLO CLUB」の文字と馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなる商標権者の登録出願に係る商標について、先の取消理由とほぼ同様の事実認定をし、「商標法第4条第1項第15号に規定する商標に当たる」と判断した東京高等裁判所の判決〔平成11年(行ケ)第340号(平成12年7月18日判決言渡)、平成12年(行ケ)第57号(平成12年7月18日判決言渡)及び平成12年(行ケ)第140号(平成12年10月25日判決言渡)〕がある。 してみれば、本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであって、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別 掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2001-10-12 |
出願番号 | 商願平5-80517 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(028)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小川 敏、渡邉 健司 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
中嶋 容伸 滝沢 智夫 |
登録日 | 1998-10-30 |
登録番号 | 商標登録第4204465号(T4204465) |
権利者 | ジャス・インターナショナル株式会社 |
商標の称呼 | アスコットパークポロクラブ、アスコットパーク、ポロ |
代理人 | 山内 淳三 |