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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 126
管理番号 1051859 
審判番号 取消2000-30990 
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-08-24 
確定日 2001-12-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2340109号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2340109号商標の「第26類 印刷物」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2340109号商標(以下「本件商標」という。)は、「IFS」文字を書してなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、昭和63年11月28日登録出願、平成3年9月30日設定登録されたものである。

2 請求人の主張
(1)請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、参考資料1を提出している。
本件商標は、指定商品中「印刷物」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定により前記指定商品についてその登録は取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア) 被請求人は、請求人の本審判請求登録日前の3年間に、本件商標を、ニュースレターとして発行し、会員に販売してきた出版物に使用してきた旨の主張をしている。しかし、この主張には全く根拠がない。
(イ) ところで、不使用取消審判を免れるためには、商標法第50条第2項の規定により、取消請求に係る登録商標が、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品中の取消請求に係る商品のいずれかについて使用されていることを被請求人が証明しなければならない。
(ウ) 本件審判における取消請求に係る商品は「印刷物」である。代表的なものとしては、書籍、新聞などがこれに含まれ、その名称から判断して、いわゆる「ニュースレター」が「印刷物」に含まれるであろうことについては争わない。
被請求人の提出した証拠は「ニュースレターの表紙」と称するもので、ニュースレターとしての実体がないものである。「ニュースレター」とは、一般に、発行者が新たな情報を購読者に伝えるために発行する印刷物である。すなわち、伝達されるべき情報を印刷した形で紙面上に収録したものである。
しかし、被請求人の提出した証拠には、そのような購読者へ伝えるべき情報が一切収録されておらず、ニュースレターとしての実体を備えておらず、商標法上での商品と認められる「ニュースレター」には該当しないものである。すなわち、被請求人は、その主張にもかかわらず、本件商標を商品「ニュースレター」に使用していたことを立証していない。
また、ニュースレターと言われるものの中には、発行者の顧客、会員などに無償で頒布されるものも多い。商標法上の商品とは有償で譲渡されるものである。この点について、被請求人が提出した証拠が有償であったことをうかがわせるものは何もない。
(エ) 次に、被請求人が提出した証拠が、過去において頒布されたことがあったとしても、その頒布された年月日が不明である。すなわち、提出された証拠には、それの印刷日、発行日など、いずれの記載もなく、この証拠と同じものが頒布された年月日を特定することができない。すなわち、被請求人は、本件商標を「審判請求の登録前3年以内」に使用したことを立証していない。
なお、これに関連して補足すると、提出された証拠には、被請求人の商号「インターナショナル・フィールド・サービス・ジャパン」と同一視し得る「インターナショナル・フィールド・サービス」(実際に被請求人目身が此度提出した答弁書に自己の名称を「有限会社インターナショナル・フィールド・サービス」と記載している)と、それの英文表示と解される「International Field Service, Inc.」の表示が見られる。
ところで、請求人が調べたところでは、参考資料1として本書に添付する履歴事項全部証明書の写しに見られるとおり、被請求人は10年前の平成3年5月1日に、その名称を「有限会社スカラーズ」と変更している。商号変更後10年にもわたって、旧商号が付された被請求人の言うところのニュースレター表紙を頒布していたのであろうか、極めて疑問である。
(オ) 上記の如く、被請求人は本件商標を審判請求の登録前3年以内に「印刷物」に使用していたことを証明していない。
したがって、商標法第50条の規定に該当し、本件商標は指定商品「印刷物」について取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、請求人が本件商標の登録取り消しを求め、本件審判請求についての判断が特許庁でなされることは認めるが、「審判費用は被請求人の負担とする」という請求人の求めは不当であり、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として添付書類を提出した。
(1)本件商標は、被請求人が過去十年にわたって運営をおこなってきた海外留学プログラムのニュースレターとして発行し、会員に販売してきた出版物に使用してきたものであって、請求人が述べる「過去3年以上に亙り取消を求めた商品には全く使用されていない」のは事実ではない。また、請求人が海外に所在する企業であることを考慮すると、被請求人において使用されていた商標が、日本国内において請求人の権利を何らかの形で侵害していたという事実も存在しません。従って、今般の請求人の取消審判請求は唐突であり、被請求人の権利を著しく侵害するものであることを、答弁の理由とする。
(2)被請求人は、平成13年9月30日に上記商標の存続期間が満了するにあたって、商標の書換登録申請をおこなわない予定である。したがって、請求人は、被請求人の商標権が終了するのを待って、新規に登録出願をおこなうことができる。もし請求人の審判請求の主旨が、被請求人の書換登録申請期間内においても当該商標を使用したいということであれば、被請求人にその旨打診し、当事者間で解決するのが妥当と考える。
被請求人は、米国カリフォルニア州立パークレー大学および英国国立オックスフォード大学への海外留学プログラムのニュースレターを、通称ifs名で発行してきた。しかし、先年オックスフォード大学のプログラムが大学の正式講座として採用されたことに従い、今般そのニュースレターも英国にて発行されることが検討され、「印刷物」商標として登録を継続する必要性は減じている。

4 当審の判断
商標法第50条は、同条第1項で、商標登録の取消しの審判の請求は、「…何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と明示し、また、同条第2項で、「被請求人が、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。」と規定している。
しかして、被請求人は、本件商標を会員に販売した出版物に使用してきたとして、「ニュースレターの表紙」を添付書類として提出しているが、この「ニュースレターの表紙」は、印刷日、発行日、印刷物としてのコード記号等の記載は一切なく、また、他に該「ニュースレター」の金額、印刷部数等を明らかにする証拠の提出はないものであるから、 被請求人の提出に係る「ニュースレター」は、商標法上の商品「印刷物」の範疇に属する「ニュースレター」とは認められないものである。
さらに、被請求人は、今般の請求人の取消審判請求は唐突であり、被請求人の権利を著しく侵害するものであること及び請求人が該商標を使用したいということであれば、被請求人にその旨打診し、当事者間で解決するのが妥当と考えると主張しているが、前記のとおり、商標登録の取消しの審判の請求は、何人も請求することができるものであるから、被請求人のこの点に関する主張は採用できない。
したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人により、その取消請求に係る指定商品中の商品「印刷物」について使用していたとは認められない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものであって、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-11 
結審通知日 2001-10-16 
審決日 2001-11-05 
出願番号 商願昭63-133241 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (126)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮下 行雄森吉 正美 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 米重 洋和
佐藤 久美枝
登録日 1991-09-30 
登録番号 商標登録第2340109号(T2340109) 
商標の称呼 アイエフエス 
代理人 醍醐 邦弘 
代理人 清水 徹男 

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