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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 120
管理番号 1051826 
審判番号 取消2000-31244 
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-10-19 
確定日 2001-12-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2513453号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件に係る登録第2513453号商標(以下、「本件商標」という。)は、「エイラクヤ」の片仮名文字を横書きにしてなり、平成2年9月11日に登録出願され、第20類「屋内装置品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成5年3月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中『葬祭用具』についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)請求人が調査したところ、本件商標は、指定商品「葬祭用具」について、過去3年間使用されていなから、商標法第50条第1項の規定に基づいて、前記指定商品の登録を取消すべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(イ)登録商標の使用説明書(1)について
被請求人は、「本件商標の使用に係る『香立て』は、添付の『お香遊び うさぎ』の商品写真に示す通り、一本の線香を立て置く、うさぎの形をした香立てであり、特許庁編『類似商品・役務審査基準』によれば、『葬祭用具』の類似商品群コード20F01の範疇に属する商品である。」と主張している。
しかし、類似商品群コード20F01の類似群は、何れも「葬祭用具」に関係する商品、殊に、神仏に関係する商品である。特に、商品写真に示された「一本の線香を立て置く、うさぎの形をした香立て」は、その販売名の通り「お香遊び」を前提とするもので、「炉」の機能を有しておらず、「香道」に使用する「香炉」とは相違する。商品写真に示された「一本の線香を立て置く、うさぎの形をした香立て」は、「お遊びの線香立て」であり、「蚊取線香」が他類に属するのと同じ理由で、「葬祭用具」の類似商品には該当しない。
また、平成10年9月14日付納品伝票をみても、大阪市の株式会社大丸梅田店に対する販売は、買受け側が「こまもの横丁売場」扱いとなっており、また、平成11年6月24日付納品伝票をみても、「和装小物」扱いとなっており、ここには「葬祭用具」の概念は全く存在していない。
したがって、商品写真に示された「一本の線香を立て置く、うさぎの形をした香立て」は、その販売名の通り「お香遊び」という遊びを前提とする屋内装飾品であり、神仏と関係する「葬祭用具」の類似商品群コード20F01の「香炉」の範疇に属する商品には該当しないものである。
(ロ)登録商標の使用説明書(2)について
被請求人は、「この商品は干支の絵馬として次の年の干支にちなんで販売される絵馬であり、前年夏末に完成.秋には受注納品が始まり、翌年中販売される商品で、祈願・奉納用ほか購入者の用途に供される。」と主張している。
被請求人自ら「この商品は … 、祈願・奉納用ほか購入者の用途に供され」と主張するように、この商品は「絵馬」と特定できないものである。
即ち、「絵馬」は祈願または報謝のために社寺に奉納するものであるが、「祈願・奉納用ほか購入者の用途に供され」ということは、この商品が「絵馬」ではなく、神仏とは関係のない木細工民芸品であることを意味するものである。この商品は木細工民芸品であり、祈梼等がなされてないから他の用途が存在するものである。例えば、神社等の札所に納品されたものであれば、「絵馬」として祈梼され、かつ、祈梼された神社名が付されていてこそ、「絵馬」としての使用に限定される。
殊に、奉納には禁止品がないことから、被請求人の商品を「絵馬」とすることも可能ではあるが、上記『お香遊び うさぎ』の商品を「絵馬」とすることも可能である。したがって、「絵馬」という限り、神仏との関係が明確であり、祈願または報謝のために社寺に奉納するものであることが必要不可欠な条件となる。
これに対して、被請求人は発注日1999年9月27日の納品伝票(納品日未定)で鹿児島市の株式会社山形屋へ販売された旨主張するが、当該伝票には「ワショツキ ミンゲイヒン」として10個発注されているものの、10個の発注の事実が証明されても、使用者が「絵馬」として使用している事実を証明するものではない。
被請求人の提出した証拠は、「民芸品」であり、第27類の壁掛け等と同一またはその類似物品であっても、神仏との関係が存在する「葬祭用具」の概念には入らないものである。
(ハ)したがって、何れの商品も神仏に関係のない意味のないものであるから、本件審判請求に係る指定商品中の「葬祭用具」に使用されるものでないことは明らかである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として登録商標の使用説明書(1)乃至(2)を提出した。
本件商標は、取消に係る指定商品「葬祭用具」の範囲に属する「香立て」「絵馬」に使用されているものである。提出の証拠により以下の通り立証する。
(1)登録商標の使用説明書(1)について
(イ)本件商標の使用に係る「香立て」は、添付の「お香遊び うさぎ」の商品写真に示す通り、一本の線香を立て置く、うさぎの形をした香立てであり、特許庁編「類似商品・役務審査基準」 によれば、「葬祭用具」の類似商品群コード20FOIの範疇に属する商品である。
(ロ)添付の写真に示す通り、本件商標と同一の商標が商品の容器(箱)の側面に鮮明に表わされるほか、プライスカードや出荷用ダンボール箱にも鮮明に表示され、前記商品について使用されていることは明らかである。
(ハ)本件商標を使用した前記商品が実際に販売された一例を納品伝票により示す。
平成10年9月14日付納品伝票により、大阪市北区梅田3丁目1番1号の株式会社大丸梅田店に「お香遊び うさぎ」が販売され、平成11年6月24日付納品伝票により、同上商品が同店にそれぞれ販売された事を立証する。
(2)登録商標の使用説明書(2)
(イ)使用に係る商品「絵馬」は、干支の絵馬として次の年の干支にちなんで販売される絵馬であり、前年夏末に完成、秋には受注納品が始まり、翌年中販売される商品で、祈願・奉納用ほか購入者の用途に供される。
(ロ)添付の写真では、商品を透明容器(袋)に封入して販売される状態が示され、袋に本件商標と同一の商品が鮮明に表わされるほか、プライスカードにも本件商標が鮮明に表わされている。
(ハ)前記商品が実際に販売された事実は、例えば、1999年9月27日付納品書により鹿児島市金生町3番1号の株式会社山形屋へ販売された事を立証する。
(3)以上の通り、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、取消請求に係る指定商品「葬祭用具」について使用されているものである。

4 当審の判断
本件商標の指定商品である「葬祭用具」には、葬式と祭祀に係る商品が属すると解されるところ、「香炉」の類である「線香立て」及び神仏への祈願あるいは報謝のために神社等に奉納する「絵馬」は、これに含まれるものというべきである。そして、ある取引物品(商品)が当該商品の概念に該当するものであるか否かは、取引の実情に沿い客観的に定まるものであって、ある特定の業者に固有の取引形態によって左右されるものではないと解すべきものである。
しかして、登録商標の使用説明書(1)に示された「香立て」と称する商品は、被請求人の主張と提出の写真によれば、うさぎの形状をし線香を立てる用具の一であると認められる。そして、線香立ては、香炉の類とされるものであり(小学館「日本国語大辞典」線香立ての項参照)、香炉は葬祭用具の一として平成3年改正前の商標法施行規則第3条別表に例示されているものである。しかるところ、当該商品の包装箱には、本件商標と構成同一の「エイラクヤ」の文字が表示されているのが認められる。また、同説明書に添付の二つの納品書の写しをみると、「(お)香遊び」品名「うさぎ」数量「10」が、被請求人により株式会社大丸梅田店に、平成10年9月14日と同11年9月24日に納品されたと認められるところである。これらにより、本件商標が使用されたうさぎの形をした「香立て」の取引がなされたことを推認し得るものである。
なお、請求人は、前記商品の販売名や伝票の商品受取売場名からして、葬祭用具に属するものではない旨主張するが、当該商品は線香立てと認められるところ、その販売名や販売場所名によって別種の商品になるとは言い得ないものである。
さらに、本件使用説明書(2)に添付の写真には、「辰之春の文字と辰を図案化したと思しき図を描いた絵馬」の入った包装(袋)に、本件商標と構成同一の「エイラクヤ」の文字が表示されているのが認められる。そして、同説明書に添付の納品書の写しをみると、「エマ.タツ.(チュウ)」(商品コード欄に記載)数量「10」が、 被請求人に対し「ヤマカタヤ」より、1999年10月10日または同15日を納品予定日として同年9月27日に発注されことが窺われ、同日に本件商標を使用した「絵馬」の取引がなされたと推認し得るものである。
なお、請求人は、被請求人が「祈願・奉納用ほか購入者の用途に供される」旨の主張をし、また、前記納品伝票に「ワショッキ ミンゲイヒン」の記載があることから、当該商品は絵馬ではなく葬祭用具の概念に入らない旨主張する。しかし、被請求人提示の「絵馬」は、通常「小絵馬」といわれるものであり、本来神仏への祈願あるいは報謝のために神社等に奉納するものとして取引の対象とされるものである。広い意味でいえば絵馬も民芸品の一であり得るから、当該納品書に民芸品である旨の記載があることによつて、また、購入者が本来の目的以外の用途(例えば、室内装飾)に使用可能であるからといって、当該「絵馬」が商標法上別種の商品に変更されることにはならないというべきである。
してみれば、上記年月日において本件商標を使用した商品「香立て」及び「絵馬」の取引がなされたものといえるものであるから、本件商標は、商標権者によって、本件審判請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品「葬祭用具」について、使用されていたというべきである。
これに対して、前述のとおり請求人は種々述べているが、その主張するところをもっては前記認定を覆すことはできないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、その指定商品について使用されなかったものとはいえないから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-09-26 
結審通知日 2001-10-02 
審決日 2001-10-23 
出願番号 商願平2-103657 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (120)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 市川 利光関根 文昭 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 原田 信彦
高野 義三
登録日 1993-03-31 
登録番号 商標登録第2513453号(T2513453) 
商標の称呼 エイラクヤ 
代理人 村田 紀子 
代理人 武石 靖彦 
代理人 萬田 正行 
代理人 樋口 武尚 
代理人 吉崎 修司 

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