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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 122 |
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管理番号 | 1050267 |
審判番号 | 取消2000-30022 |
総通号数 | 25 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-01-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-01-07 |
確定日 | 2001-11-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第857405号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第857405号商標(以下「本件商標」という。)は、「LONGCHAMP」及び「ロンシャン」の文字を2段に書してなり、昭和43年7月26日登録出願、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同45年5月22日設定登録、その後、平成12年5月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標は、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第2号証を提出した。 (1)本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。 (2)被請求人は、品番が「CM97006」として取り扱われている商品「傘」及び下げ札の写真、下げ札のカラーコピーを提出し、傘の柄及び下げ札にそれぞれ登録商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていると主張する。 また、かかる商品(品番「CM97006」)が被請求人のエクセル事業部店舗である「エクセルショップ」パームシテイ店、日根野店の各店舗において1998年11月に販売されていたと主張し、その販売伝票を提出している。そして、かかる販売伝票として提出されているのは、各店舗における「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」である。 (3)しかしながら、被請求人が提出する各証拠は、使用事実の証明としては客観性に欠けるものである。 すなわち、被請求人が審判請求登録日前3年以内の販売事実を証明するものとして提出する証拠は、請求人の直営店における1998年11月の「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」にすぎず、これらはいわゆる内部資料にすぎない。そして、いわゆる内部資料のみでは、誰に対して取引されたかどうかの事実を第三者に確認することができず、本件商標が付された商品が実際に取引され、販売されたかを示す証拠としては際めて客観性に欠けるものであると言わざるを得ない。 また、実際に商品を販売しているのであれば、通常、販売・取引先等の第三者との関係で発行された取引書類、すなわち請求書、納品書、領収書等が存在するはずであるが、このような書類は一切提出されておらず、請求人の直営店における「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」といった内部資料のみをもってしては、1998年11月時点の商品の販売事実を客観的に証明する証拠とすることはできない。 (4)また、商品メーカーとして商品を製造・販売しているのであれば、直営店のみでなく、他の卸売店、販売店等に商品を卸しているのが取引の実情でもあるにもかかわらず、そのような取引が行われている形跡が被請求人の提出する証拠をもっては認められない。第三者を介した客観的な取引書類もなく、また「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」に見られる販売実績においても「着数」の欄から明らかなように、各店舗につき、それぞれわずかに1個のみにすぎない。本件審判の予告登録日前3年間の販売実績が直営店におけるたったの3個のみというのは、取引の実情を考慮すると、極めて不自然であると言わざるを得ない。 (5)被請求人は、本件商標が商品「傘」に使用されている事実を立証すべく、商品が流通している事実の補強証拠として当該商品の入荷報告書を提出しているが、該入荷報告書は、品番が「97006」として取り扱われている商品である「傘」が、1998年9月14日時点で、仕入先である株式会社サラブランドなる会社から入荷されていることを表すものであると思われる。 (イ)しかしながら、この入荷報告書が被請求人、被請求人の直営店であるエクセル事業部各店舗、株式会社サラブランドの三者間におけるどの段階で交わされているものであるか取引関係が不明である。この点につき、被請求人に対して釈明を求める。 (ロ)また、被請求人の提出した当該商品の入荷報告書は本件商標の使用事実を証明する証拠としては、本件商標の使用されている商品との関連性が薄く、不十分なものと言わざるを得ない。 すなわち、入荷報告書に仕入先として記載のある「株式会社サラブランド」は1998年9月14日現在の所在地として東京都渋谷区千駄ケ谷1丁目11番地6号と記載されている(リバーシテイ店、柳津店、岡崎店、知立店及びモール姫路店における入荷報告書)。 その所在地をもとに株式会社サラブランドの商業登記簿を調査したところによると、商業登記簿上、株式会社サラブランドの事業目的としての記載の中に傘の製造及び販売との記載はない(甲第1号証及び同第2号証)。傘の製造及び販売が事業目的となっていない会社からの入荷報告書に商品として傘が含まれているのは極めて不自然であるといわざるをえない。このことは、被請求人が本件商標の使用されている態様として主張する商品である傘と入荷報告書の関連性が弱まるものである。 よって、品番と商品との関連性が希薄であると言わざるをえないため、入荷報告書における品番「97006」が、傘を表わす品番であるとは考えにくく、入荷報告書は本件商標の使用事実を証明する証拠としては不十分なものといわざるをえない。 以上のように、被請求人が提出した証拠は、第三者との取引の事実を示す証拠として客観性に欠け、また被請求人が本件商標の使用されていると主張する商品との関連性が薄いため、その販売事実を客観的に認めることができないものであるから、かかる証拠をもって、本件商標が本件審判の予告登録日前3年以内に使用されていると認められないものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、「登録商標の使用説明書」及び「入荷報告書」を提出した。 (1)本件商標は、その指定商品中「傘」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者であるロンシャン株式会社により使用されている。本件商標の使用事実は、「登録商標の使用説明書」に示す通りであり、以下、説明する。 (2)本件商標の使用に係る商品の一例は、「傘」であり、「登録商標の使用説明書」の商品写真(d)の商品下げ札裏面に示す通り、品番(PrNo)「CM97006」として取り扱われているものである。当該商品が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれることは明らかである。 (3)当該商品には、商品写真(a)(b)及び商品下げ札のカラーコピーの通り、「Longchamp」商標並びに、貴婦人と馬の図形とともに表された「Longchamp」商標が使用されている。また、商品写真(e)(f)の通り、傘の柄の部分に「LONGCHAMP」商標が使用されている。そして「LONGCHAMP」及び「Longchamp」の文字からは「ロンシャン」の称呼を生じ、かつ商品下げ札裏面(商品写真(d))に示す通り、片仮名の「ロンシャン」も商標として使用されているから、当該商品の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。 (4)本件商標の使用に係る前記商品の販売事実の一例は、「登録商標の使用説明書」に添付した販売伝票に示す通りである。当該商品は、ロンシャン株式会社のエクセル事業部店舗である「エクセルショップ」で販売されている。 例えば、1998年11月2日に、エクセルショップパームシティ店(和歌山県和歌山市中野30「パームシティ和歌山」1F)において、また1998年11月12日に、エクセルショップ日根野店(大阪府泉佐野市日根野2469ー1「ジャスコシティ日根野」2F)において、前記写真の商品(品番「CM97006」)の商品が販売されている。 尚、前記「エクセルショップ」(商標権者のエクセル事業部店舗)は、ロンシャン株式会社の会社案内パンフレット及び「エクセルショップー覧表」に示す通りである。 (5)本件商標の使用に係る商品「かさ」(品番97006)が、販売された事実を証する証拠として、次の証拠を補強提出する。 先に提出の写真に示す商品が出願人のエクセル事業部各店舗へ入荷された事実を証する書類として、1998年(平成10年)9月14日付入荷報告書を提出する。これにより、当該商品が、パームシティ店、日根野店はじめ、春日店、リバーシティ店、大垣店、川崎店、柳津店、桑名店、津店、彦根店、草津店、守山店、奈良店、高槻店、安城店、岡崎店、知立店、京橋店、川西店、塚新店、宝塚店、和歌山店、和泉府中店、加古川店、モール姫路店、アン姫路店、倉敷店へそれぞれ入荷されたことを立証する。 以上の通り、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、本件審判請求に係る指定商品中「傘」について使用されているものであるから、本件の商標登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。 4 当審の判断 被請求人は、本件商標を商品「傘」について使用している事実を示す証拠として「登録商標の使用説明書」及び「入荷報告書」を提出しているところ、これらの証拠により以下の事実を確認することができる。 (1)「登録商標の使用説明書」に添付の写真(a)〜(f)の6葉によれば、同写真中に本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「傘」が明示され、それには商品下げ札のカラーコピーが付けられ、「Longchamp」文字並びに貴婦人と馬の図形が付されている。また、商品写真(e)(f)の2葉には傘の柄の部分に「LONGCHAMP」商標が付されている。さらに、商品下げ札裏面(商品写真(d))には、片仮名の「ロンシャン」の文字が付されており、この商品「傘」に使用されている文字は、本件登録商標と社会通念上同一と認められるものである。そして、写真(d)の商品下げ札裏面によれば、この「傘」は、品番「CM97006」として取り扱われているものである。 しかして、同「傘」は、本件商標の指定商品に含まれるものであること明らかである。 (2)「登録商標の使用説明書」に添付の販売伝票によれば、その表題の「売上日報」、店名の「パームシティ」及び作成日の「1998年11月2日」の記載からして、後記の被請求人の商品販売店舗「エクセルショップパームシティ店」の同日付けの「売上日報」と認められる。 そして、該「売上日報」には「メーカーコード」「品番」「サイズ」「着数」「上代」「売単価」「日計」「累計」等の記載欄が設けられ「品番欄」には「CM97006」の表示が記載されており、これが前記の商品の「傘」であることが認められる。また、同日の「日計精算取引別レポート」には、「売上合計」「外税」「クーポン合計」外が表示されているものである。 また、他の「売上日報」「日計精算取引別レポート」は、「エクセルショップ日根野店」の1998年11月12日付けのものである。 (3)1998年(平成10年)9月14日付入荷報告書によれば、品番「「97006」の商品が、パームシティ店、日根野店、春日店、リバーシティ店、大垣店、川崎店、柳津店、桑名店、津店、彦根店、草津店、守山店、奈良店、高槻店、安城店、岡崎店、知立店、京橋店、川西店、塚新店、宝塚店、和歌山店、和泉府中店、加古川店、モール姫路店、アン姫路店、倉敷店へそれぞれ入荷されたことが認められる。(なお、リバーシテイ店、柳津店、岡崎店、知立店及びモール姫路店には、仕入先名の株式会社サラブランドの名称が記載されている。) (4)「登録商標の使用説明書」に添付の被請求人の「エクセルショップ一覧表」及び同会社案内によれば、請求人の業務が紹介され、前記「エクセルショップパームシティ店、日根野店」が表示されている。 以上、被請求人の提出した「登録商標の使用説明書」及び「入荷報告書」を総合判断すると、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る商品中「傘」に使用し、販売していたものと推認できる。 請求人は、販売事実を証明するものとして提出された証拠の「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」は、これらはいわゆる内部資料にすぎず、極めて客観性に欠け証明する証拠とすることはできない、と主張するが、商品の「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」は、その記載事項から、判断して会社の経理に関するものとして十分なものであり、かつ、不自然なところは見当たらない。 また、請求人は、入荷報告書は、被請求人と同人の直営店であるエクセル事業部各店舗、株式会社サラブランドの三者間における取引段階について取引関係が不明であり、そして、入荷報告書に仕入先として記載のある「株式会社サラブランド」は、商業登記簿上、株式会社サラブランドの事業目的としての記載の中に傘の製造及び販売との記載はなく、製造、販売が事業目的となっていない会社からの入荷報告書に商品として傘が含まれているのは極めて不自然であるといわざるをえない。よって、入荷報告書における品番「97006」が、傘を表わす品番であるとは考えにくく、入荷報告書は本件商標の使用事実を証明する証拠としては不十分なものといわざるをえない、と主張する。 しかしながら、入荷報告書によれば、前記のとおり少なくとも品番「97006」の商品が株式会社サラブランドから被請求人の直営店であるエクセル事業部各店舗に入荷されたことが認められる。そして、仕入先の株式会社サラブランドの会社業務にしても、該会社の商業登記簿上(甲第1号証及び同第2号証)において商品「傘」の製造、販売が含まれるものと優に理解、認識される「装身具の製造及び販売、日用品雑貨の販売、上記に付帯する一切の業務」と記載され、表示されているところであって、同登記簿に「傘」を製造、販売することを直接的に記載されていないことをもって、入荷報告書に表示された品番「97006」が、商品の下げ札、売上日報に表示された品番と符合し、これが株式会社サラブランドが製造、販売に係り、被請求人の店舗「エクセルショップパームシティ店」等に入荷した商品「傘」を表すものでないとは言い切れず、前記認定のとおり品番「97006」の「傘」が入荷し、販売されたものと推認し得るものである。そして、他に、この認定を覆す証左はない。 以上、請求人の主張は、いずれも採用できない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条により取り消す限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-09-06 |
結審通知日 | 2001-09-12 |
審決日 | 2001-09-28 |
出願番号 | 商願昭43-52052 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(122)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
滝沢 智夫 |
特許庁審判官 |
中嶋 容伸 田口 善久 |
登録日 | 1970-05-22 |
登録番号 | 商標登録第857405号(T857405) |
商標の称呼 | ロンシャン、ロングチャンプ |
代理人 | 吉崎 修司 |
代理人 | 武石 靖彦 |
代理人 | 村田 紀子 |