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審決分類 |
審判 全部無効 商8条先願 無効としない 130 |
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管理番号 | 1047488 |
審判番号 | 審判1996-17299 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-11-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1996-10-03 |
確定日 | 1998-05-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2566987号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件登録第2566987号商標(以下、「本件商標」という。)は、「プチパステル」の片仮名文字を横書きしてなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成3年2月21日に登録出願、同5年8月31日に設定登録され、現在、有効に存続しているものである。 2.請求人が、本件商標は商標法第8条第1項の規定に該当するから、その登録は無効とされるべきであるとして引用した登録第2716811号商標(以下、「引用商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、昭和60年3月25日に登録出願、平成8年10月31日に設定登録がなされ、現在、有効に存続しているものである。 3.請求人は、「本件商標は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要約次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1ないし同第5号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)審判請求をすることの利益について 請求人は、「パステル」の片仮名文字を上段に、「Pastel」の欧文字を下段に書してなる商標を、第30類(平成3年政令第299号による商品及び役務の区分)に菓子及びパンを含む商品を指定商品として、商願平8ー66911号(甲第5号証)平成8年6月17日に商標登録出願しているから、本件商標が存在すれば、請求人の出願商標が登録されないので、本件審判を請求することについて利益を有するものである。 (2)商標法第8条第1項に違反して登録されたことについて 本件商標は、「プチパステル」の称呼も生じるが、本件商標中「プチ」の語は、「小さい」との語意を有するフランス語(甲第4号証の1及び同第4号証の3)で、英語の「ミニ」(甲第4号証の2)と同様に商標として使用されると、その商標を付した商品が小さいことを表示する語として認識され、使用されている(甲第4号証の1及び同第4号証の2)から、単に「パステル」の称呼をも生じる。 他方、引用商標は、「ラ・パステル」の称呼も生じるが、引用商標中「ラ」、「La」は、英語の「THE」(ザ)に相当するフランス語の定冠詞を表示したものと看取され、商標に使用されると識別力を有しない語となる(甲第2号の3、同第4号証の4ないし同第4号証の7)から、単に「パステル」の称呼をも生じる。 また、引用商標の「・」で結合する態様は、特に前の語と後の語との結び付きを弱くする構成であるから、「パステル」と略称される度合いは、「・」がない場合に比して非常に高くなる(甲第4号証の7)。 なお、被請求人は、請求人の引用商標が出願公告されたとき、登録異議申立書において、「引用商標は、その上段部分を看取する文字『La Pastel』の『La』は、フランス語の定冠詞として知られ、名詞に冠詞を付して使用するか、付さないで使用するかであり、明らかに類似である。」旨主張し(甲第3号証の2)、引用商標から単に「パステル」の称呼が生じることを認めている。 以上を判断すれば、本件商標と引用商標とは、「パステル」と略称されて取引されることがあるから、称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、その指定商品を同じくするものである。 したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により本件商標の登録は無効とされるべきものである。 4.被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)「Pastel」なる語は、スペイン語の「パイ、生菓子」を意味する語(乙第1号証)であり、「Pastel」「パステル」の語自体は、自他商品の識別力が無いか又は極めて稀薄なものである。 (2)本件商標と引用商標とを比較検討するに、本件商標の「プチパステル」の語頭「プチ」が、「小さい、小型の」等を意味する仏語「Petit」に付合するとしても、この程度の音構成(6音構成)にあっては一連一体にのみ称呼し得る範囲のものであり、逆にこの語尾ではなく、目に映し易い語頭2音を省略称呼する方が不自然と云える一連の造語商標として一体的に称呼される商標である。 又、引用商標の「La Pastel」にあっても、たった1音の「ラ」を省略して称呼する方が不自然であり、これを意味合いから省略する場合には、前記の如く一連一体の造語ではなく、「パイ、生菓子」の普通名称として自他商品の識別力さえ失うことになる。 したがって、本願商標から生ずる自然の称呼「プチパステル」と引用商標から生ずる、自然の称呼「ラ・パステル」とは、共に一連の造語と解さざるを得ず、語頭音の差異により十分聴別可能な商標と云わざるを得ない。 尚、「プチ」が語頭に存する商標について語呂よく、一連に称呼し得る範囲である場合、一連一体に取り扱う旨の同旨の審決も存在する(乙第2号証)。 (4)本件商標は、平成3年からの通常使用権者が存し、現在も引き続き「ブチパステル」の商標により商品菓子の販売を連綿と行っている。 5.そこで、本件商標が、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるか否かについて判断する。 本件商標の構成は、前記のとおり、「プチパステル」の文字を一連一体に書してなるところ、「プチ」の文字は「小さい」等の意味を有する外来語(甲第4号証の2)として一般に親しまれており、「こぶりの商品」等に商品の形状・大きさを表示するものとして普通に使用されていることから、本件商標は、「プチパステル」(小さな着色クレヨン)の一連の称呼、観念のほか「パステル」(着色クレヨン)の称呼、観念をも生じるものとみるのが相当である。 他方、引用商標は、別紙のとおり、上段にやゝ図案化された特徴のある書体で表示された欧文字を大きく書してなり、その下部にその読みを特定したものと認められる「ラ・パステル」の文字を小さく書してなるものであるから、これに接する需要者・取引者は、大きく書された特徴のある書体で表された欧文字に強く注意を惹かれ、特徴のある欧文字部分が印象に残り、その特定された「ラパステル」の読みとともに記憶されるものとみるのが相当である。 また、引用商標の指定商品である「菓子、パン」は、子供、婦人等誰でもが需要者・取引者となる商品であることを考慮すると、全体をもって称呼するも格別冗長すぎるともいえず、無理なく一連に「ラパステル」と称呼しうるものであるから、「ラ」と「パステル」の間の黒丸(・)が分断要素であるとか、「ラ」の文字部分がフランス語における定冠詞「La」を表示するもので識別力を有しない語であるとかを認識するというよりも、構成全体をそのまま捉えて一体不可分の「ラパステル」の称呼によって取引を行うものとみるのが自然である。 そうとすると、引用商標は、「ラパステル」の称呼のみを生ずる、特定の語義を有しない造語とみるのが相当である。 そこで、本件商標と引用商標から生ずる各称呼の類否について判断するに、両者は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を異にするとともに、比較的短い音構成であることから、その差異音が称呼全体に及ぼす影響は極めて大きく、それぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、明らかに聴別し得るものといわなければならない。 また、本件商標と引用商標とは、外観上互いに明確に区別することができるものであり、さらに、前記のとおり、本件商標は、「小さな着色クレヨン」又は「着色クレヨン」の観念をも生じるものであり、他方、引用商標は、特定の語義を有しない造語と認められるから、観念上比較することはできないものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても、紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたとはいえず、同法第46条第1項第1号によってはその登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】![]() |
審理終結日 | 1998-02-12 |
結審通知日 | 1998-02-24 |
審決日 | 1998-03-10 |
出願番号 | 商願平3-17076 |
審決分類 |
T
1
11・
4-
Y
(130)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小松 裕、茂木 静代 |
特許庁審判長 |
田中 照雄 |
特許庁審判官 |
林 二郎 中村 謙三 |
登録日 | 1993-08-31 |
登録番号 | 商標登録第2566987号(T2566987) |
商標の称呼 | 1=プチパステル 2=パステル |
代理人 | 松田 治躬 |
代理人 | 岡田 英彦 |
代理人 | 池田 敏行 |
代理人 | 中村 敦子 |
代理人 | 岩田 哲幸 |
代理人 | 長谷川 哲哉 |
代理人 | 小玉 秀男 |