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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 107
管理番号 1047126 
審判番号 審判1999-30792 
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-06-21 
確定日 2001-09-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2289068号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第2289068号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第7類「建築又は構築専用材料、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和63年4月19日登録出願、平成2年12月26日に設定登録され、その後、商標法第19条及び第20条に定める期間内に更新登録の申請がなされず、商標権存続期間満了により消滅し、同13年7月5日に抹消の登録がなされているものである。
2.請求人の主張の要点
(1)請求人は、本件商標の登録は、その指定商品中、「建築用又は構築用の金属製専用材料」について、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を(2)の旨述べるとともに、被請求人の答弁に対し、(3)以下の旨弁駁した。
(2)本件商標は、その指定商品中、「建築用又は構築用の金属製専用材料」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者により使用された事実がなく、また、本商標権には、専用使用権者、通常使用権者も存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、「建築用又は構築用の金属製専用材料」についての登録を取り消すべきである。
(3)被請求人は、同人と件外「三和シャッター工業株式会社」(以下、「三和(社)」と略称する。)との覚書(乙第1号証)及び三和(社)の製品カタログ(乙第2号証乃至同第3号証)を提出するとともに、「1.本件商標については、通常使用権者が存し、2.同人が、継続して3年以上日本国内において、それを取消請求に係る商品に使用しているので、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しない」旨述べているが、かかる被請求人の答弁は、法律上の根拠を欠くものであり、以下の点からみても理由がない。(ア)乙第1号証によれば、三和(社)は、防音ドアの商標として「カーム40Z」の使用を被請求人から許諾されているといえるものの、これをもってしても、同社が、本件商標の通常使用権者とはいい得ない。
(イ)すなわち、本件商標と実質的に同一の登録第789371号商標(以下、「原登録商標」という。)が、前記覚書中に明示されているとしても、同覚書には、三和(社)に対して、本件商標や原登録商標の使用を許諾する旨の条項が全く存しない。
(ウ)被請求人は、答弁書において、原登録商標と本件商標とが実質的に同一であるから、原登録商標について使用を許諾することは、本件商標についても使用を許諾することになり、それゆえ、本件商標については、被請求人から三和(社)に使用許諾がなされているものとみることができ、かつ、三和(社)の立場は、使用権者であることに間違いはないので、通常使用権者とみることができる旨主張しているが、かかる論理は成立する余地がない。
それというのも、先述したとおり、乙第1号証には、商標「カーム40Z」の使用を許諾する旨の条項が存するのみで、原登録商標及び本件商標の使用を許諾する旨の条項は全く存しないからである。
したがって、三和(社)は、本件商標の通常使用権者ではなく、同社が発行するカタログ(乙第2号証乃至同第3号証)の存在によって、本件審判請求の成立が阻止される法的な理由はなく、これに反する被請求人の主張は、明らかに失当である。
(エ)商標「カーム40Z」の後半の「40Z」の文字部分は、単なる記号、符号にすぎないので、商標「カーム40Z」の使用を許諾した覚書(乙第1号証)によって、原登録商標及びそれと実質的に同一である本件商標も使用を許諾されているといった見解があるとすれば、それは明らかに誤りである。
なぜならば、被請求人と三和(社)とは、前記覚書第2条第1項において、「被請求人は、本件商標(『カーム40Z』)を三和(社)のために・・・商標登録出願を行う。」と規定しており、さらに、同第3条第1項において、「本件商標が・・・・登録されたときは、・・・・被請求人は、三和(社)に専用使用権を設定する。」と規定していることからすれば、商標「カーム40Z」が、原登録商標と異なることを、被請求人は、明らかに認識したうえで当該覚書を締結している。
(オ)なお、被請求人は、答弁書2頁21乃至22行において、「乙第1号証の覚書によれば、・・・三和(社)が、防音ドアの商標として使用を希望する商標『カーム・CALM』に関して・・・」と主張しているが、これは誤りである。
なぜならば、乙第1号証の覚書の前文3乃至5行には、「三和(社)が、防音ドアの商標として使用を希望する『カーム40Z』[(以下、「本件商標」という。)]に関し・・・」と明記されているからである。
(カ)また、被請求人は、答弁書3頁1乃至2行において、乙第1号証に基づき、「登録第789371号商標『カーム・CALM』に関して使用許諾を行うことは・・・」と主張しているが、かかる主張も事実に反する。
なぜならば、乙第1号証の覚書には、登録第789371号商標の使用を許諾する条項は、どこにも存しないからである。
以上述べたとおり、被請求人(商標権者)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標を取消請求に係る商品に使用していることを何ら立証していないので、本件商標は、その指定商品中、「建築用又は構築用の金属製専用材料」について取消しを免れない。
3.被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、(1)以下の旨答弁するとともに、証拠方法として乙第1号証乃至同第3号証を提出した。
(1)本件商標については、通常使用権者が存在しており、同人が、継続して3年以上日本国内において本件商標を使用している。
(2)乙第1号証は、被請求人と三和(社)との覚書であり、本件商標の出願前の段階のものである。
それによれば、被請求人所有の原登録商標「カーム・CALM」及び三和(社)が、防音ドアの商標として使用を希望する商標「カーム・CALM」に関して、第1条で「被請求人は、三和(社)が、本件商標を同人の製造販売する防音ドアの商標として使用することを承認する。」とあり、第2条では、「被請求人は、本件商標を三和(社)のために、被請求人の名義にて原登録商標の連合商標として商標登録出願を行う。」とある。
ここで、原登録商標「カーム・CALM」と本件商標との関係をみるに、本件商標も「カーム・CALM」であり、その形態も同様であり、かつ、指定商品も第7類の同一範疇に属するものであるから、両者は実質的に同一の登録商標といえる。
したがって、原登録商標「カーム・CALM」について使用を許諾することは、本件商標「カーム・CALM」についても使用を許諾することになり、それゆえ、本件商標については、被請求人から三和(社)に使用許諾がなされているものとみることができる。
(3)ただし、覚書の第3条によれば、「本件商標が、原登録商標の連合商標として登録されたときは、本件商標につき、被請求人は、三和(社)に専用使用権を設定する。三和(社)が、当該専用使用権の設定登録を希望するときには、被請求人は、その手続を三和(社)の費用負担で行うものとする。」とあり、三和(社)は、専用使用権の設定登録を希望すれば、専用使用権者となることが規定されている。
しかしながら、甲第1号証でもわかるように、三和(社)の専用使用権の設定登録は、未だなされていない。
それゆえ、三和(社)の立場は、専用使用権者とはいえないが、使用権者であることに間違いはないので、通常使用権者とみることができる。
なお、通常使用権の登録は、第三者対抗要件ではあるものの、効力発生要件ではないので、三和(社)の使用権者としての表示が、甲第1号証にないとしても、その存在が否定されるものではない。
(4)乙第2号証は、使用権者である三和(社)が発行する防音ドアについてのパンフレットであり、裏表紙にあるように1997年6月に改訂発行されたものである。
その表紙の裏面には、防音「カーム40z」の表示があり、第1頁最下段には、「カーム40z」の表示があり、第11頁には、防音「カーム40z」タイプの表示があり、第12頁には、「カーム40z(遮音タイプ)」の表示がある。
そして、使用対象は、鋼製軽量ホテルドア/甲種防火戸であり、「建築用又は構築用の金属製専用材料」に該当することは明らかである。
(5)乙第2号証において、その表示を「カーム40z」としているが、商標の同一性を考慮した場合には、「カーム」の文字部分が要部であり、それに続く「40z」の文字部分は、単なる記号、符号にすぎないので、本件商標である「カーム」を表示していることに変わりはない。
(6)一方、乙第3号証は、使用権者である三和(社)が発行する「三和シャッタードア総合カタログ」の抜粋であるが、その裏表紙にあるように、それは1998年3月に改訂発行されたものである。
その第245頁には、「防音仕様『カーム40Z』も可能」の表示があり、第256頁には、「防音タイプ『カーム40Z(化粧鋼板)』」の表示があり、第258頁には、「静寂さへの提案軽量防音ドアカーム40Z」の表示があり、第259頁には、「軽量防音ドア『カーム40Z』の神髄、実力」の表示がある。
そして、乙第3号証においても、本件商標を、ビル用鋼製軽量ドア、すなわち、「建築用又は構築用の金属製専用材料」に使用していることは明らかである。
よって、乙第3号証においても、本件商標である「カーム」の使用を行っている。
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しない。
4.当審の判断
本件商標は、別掲に示すとおり、「カーム」の片仮名文字と「CALm」の英文字とを二段に横書きした構成よりなるものである。
他方、使用商標は、「カーム40Z」又は「カーム40z」タイプの文字を書してなるものである。
而して、使用商標における「40Z」(又は「40z」)の文字部分は、商品の等級、品番、規格等として類型的に用いられているありふれた数字と欧文字1字の組合せであって、商品の記号、符号等の一類型と認識されるに止まり、自他商品識別力を有しないものというべきである。
同様に、「タイプ」の文字も、種類、形式等を表す語であって、自他商品識別力を有しないものである。
してみれば、使用商標中にあって、「カーム」の文字部分が、自他商品識別標識としての機能を果たすものといわなければならない。
そして、該「カーム」の文字は、本件商標と称呼を同じくするばかりでなく、「穏やかな、静かな」といった意を有する英語「calm」の字音「カーム」を表示したものと認識される場合も決して少なくないことよりすると、観念においても同一のものである。
そうとすると、使用商標と本件商標とは、欧文字の有無において差異を有するとしても、称呼、観念において同一のものであるから、社会通念上同一の範疇に属する商標というのが相当である。
さらに、被請求人提出の乙第1号証乃至同第3号証からみると、三和(社)は、本件商標の通常使用権者であって、かつ、同社は、平成9(1997)年6月及び平成10(1998)年3月に、「防音ドア」等についての自社カタログ(乙第2号証乃至同第3号証)を改訂作成していることよりすれば、本件審判請求の予告登録前3年以内に、それらを顧客に対して頒布していたものと充分に推認できる。
したがって、本件商標と社会通念上同一の商標を、通常使用権者が、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る商品「建築用又は構築用の金属製専用材料」中、「防音ドア」について使用していたと認められるので、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

審理終結日 2001-07-04 
結審通知日 2001-07-09 
審決日 2001-07-23 
出願番号 商願昭63-44681 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (107)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 市川 久雄門倉 武則 
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 鈴木 新五
泉田 智宏
登録日 1990-12-26 
登録番号 商標登録第2289068号(T2289068) 
商標の称呼 カーム 
代理人 久保 司 
代理人 松田 忠秋 

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