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審決分類 審判 判定  属する(申立て成立) 129
審判 判定  属する(申立て成立) 129
管理番号 1043743 
判定請求番号 判定2000-60138 
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 判定 
2000-10-12 
確定日 2001-07-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第1648397号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「清涼飲料」に使用するイ号標章は、登録第1648397号商標の商標権の効力の範囲に属する。
理由 1 本件商標
請求人の所有する登録第1648397号(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第29類「清涼飲料、果実飲料、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年5月28日に登録出願、同59年1月26日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

2 イ号標章
被請求人が商品「清涼飲料」に使用していると請求人が述べる商標(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、甲第1号証及び同第2号証、資料1ないし資料6を提出した。
(1)イ号標章の商標としての使用
イ号標章は、株式会社産経新聞メディックス発行「飲料商品ガイド 2000年版」第226頁(資料2)に記載のとおりの態様で現在使用中(別掲(3)参照)であり、商品「清涼飲料」の包装(瓶、缶)に付されている。
よって、イ号標章の使用は、商標法2条3項1号にいう標章の「使用」に該当する。
また、イ号標章は、商品「清涼飲料」の品質等を表示するものとして普通に使用されている文字ではなく、イ号標章を資料2に示されている態様で使用すると、需要者・取引者は、これを「DAKARA」印と理解し、商品の取引に当たる。
したがって、イ号標章は、商標として使用されている。
(2)本件商標とイ号標章との類似性
(a)外観上の類似性
本件商標は、「TAKARA」なる欧文字を全てブロック体大文字で同大同間隔に表したものであり、一方、イ号標章は、「DAKARA」なる欧文字を全てブロック体大文字で同大同間隔に表したものであるから、両者は、ともにブロック体大文字で表した6文字からなるものであって、6文字中「AKARA」なる5文字を共通にし、文字配列を全く同一にしている。
本件商標とイ号標章を外観上比較すると、両者は以下の共通点を有している。
(イ)欧文字6字からなること。
(ロ)欧文字6字をブロック体大文字で表してなること。
(ハ)欧文字6字を同大同間隔に表してなること。
(ニ)子音と母音「A」を交互に配列してなること。
(ホ)第3文字目に「K」、第5文字目に「R」を有すること。
一方、両者の外観上の相違点は、先頭文字における「T」と「D」の文字の差異を有するにすぎない。
上記共通点(イ)ないし(ホ)を有する本件商標とイ号標章を比較した場合に、先頭文字における「T」と「D」の差異が両者の外観全体に与える影響は小さい。
したがって、本件商標とイ号標章とは外観上相紛れることは必至である。
(b)称呼上の類似性
本件商標よりは「タカラ」なる称呼が生じるのに対して、イ号標章よりは「ダカラ」なる称呼が生じる。
上記両称呼を比較すると、両者は3音中、第2音及び第3音において「カラ」なる音を共通にし、語頭音で「タ」と「ダ」の相違を有するに過ぎない。しかして、当該差異音「タ」と「ダ」は、ともに母音(a)を共通にする歯茎破裂音であり、異なるところは無声音と有声音の差異に過ぎず、両者は近似した音として発音、聴取される。
なお、上記差異音「タ」と「ダ」の近似性については、例えば、審決においても以下のとおり教示されている。
(イ)審判昭和53‐12257号の審決では、「本願商標より生ずる『ダイカ』と引用登録商標より生ずる『タイカ』の両称呼を比較するに、両者は共に同数の音から構成され、『ダ』『タ』の違いを有するのみで他の音を全く共通にするものであって、この違いとても、それぞれ母音「a」を共通にする舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させて発音する音であって、有声音と無声音の徴差にすぎない近似音であるところから、全体を称呼する場合にはその語韻、語調相近似し取引上相紛れるおそれのある程度のものと判断するのが相当である。」としている(資料3)。
(ロ)審判昭和54‐8479号の審決では、「『ダイチ』と『タイチ』の両称呼を比較すると、両者は共に3音構成よりなり、2音目及び3音目の各音と全く同一にするものであり、僅かに語頭音において清音と濁音の差異を有するといえども、迅速を旨とする取引の草々の間にあって、両者のそれぞれを称呼する場合、語頭音を含めて一連に全体として称呼する場合の両者は明確に聞き分け難く極めて相紛らわしい程度に類似するものといわなければならない。そうとすれば、両商標は上記称呼上の類似のものといわざるを得ない。」としている(資料4)。
(ハ)審判平成5‐7263号の審決では、「本願商標より生ずる『タニック』の称呼と引用商標より生ずる『ダニック』の称呼を比較するに、両称呼は、共に同数音からなり、語頭において、『タ』と『ダ』の差異を有するのみで、その他の音全てを共通にするところ、該差異音は、清音と濁音の徴差にすぎず、しかも、その帯有母音(a)が強く響く音であるので、該差異音の音質の差異が両称呼全体に及ぼす影響は極めて小さく、両者をそれぞれ一連に称呼した場合は、その語調、語感が近似したものとなるから、両商標は称呼上彼此相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。」としている(資料5)。
加えて、商品「清涼飲料」は広く全国的に流通する商品であるため、本件商標及びイ号標章はそれぞれの地域において、その地域特有のアクセントで発音される。してみれば、「清涼飲料」の需要者等の中には、本件商標の「タカラ」なる称呼とイ号標章の「ダカラ」なる称呼をともに右下がりに発音する者も相当数存在すると推認される。
したがって、本件商標とイ号標章とは称呼上近似する。
(c)まとめ
本件商標とイ号標章のそれぞれより生じる観念が異なるとしても、取引の場において重視される外観、称呼上、両者の近似性は上記のとおり高い。
したがって、本件商標とイ号標章とが、外観、称呼上彼此相紛れることは必至であるから、観念上の相違のみをもって両者の類似性を否定することは妥当でない。
なお、被請求人は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、 第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品とする登録第1913253号商標(以下「引用商標」という。)を所有しているが、引用商標の専用権の範囲が、イ号標章に及ぶわけではない。
(3)請求人の答弁に対する弁駁として
(a)被請求人の主張は、離隔観察を全く行なわずに、専ら対比観察のみに基づくものであり、その観察手法において誤っている。
商標の類否判断は、「比較する商標を時と所を違えて観察する離隔観察を主とし、時と所を同じにして観察する対比観察を従とし」て、「指定商品の一般的な需要者の平均的な注意力を標準として経験則により」行なわれるべきである(甲第1号証)。
本件商標及びイ号標章を時と所を違えて観察した場合、先頭文字の「T」と「D」の差異が両者の外観全体に与える影響を過大評価するべきではなく、両者は、外観上彼此相紛れるおそれがないとはいえない。
(b)被請求人が「両者は観念を異にしている」と主張する理由は、正確でない。
すなわち、日本語で「宝」を意味したいときは、「宝」、「財」、「たから」とは表記するが、「TAKARA」とは表記しないのが一般である。
また、「だから」の意の接続詞として使用するときは、「だから」と平仮名表記するのが一般であって、「DAKARA」と表記することはない。
本件商標は、「TAKARA」と表記したことに個性があり、イ号標章は、「DAKARA」と表記したところに個性が認められる。
このように、本件商標は、「宝」ではなく、「TAKARA」と表記されているのであるから、「TA」「KA」「RA」なるローマ字の配列として認識される。
同様に、イ号標章も、その「DAKARA」なるローマ字表記の構成に徴し、何ら特段の観念を看取されることなく、「DA」「KA」「RA」なるローマ字の配列として認識される。
(c)被請求人の「『タカラ』はアクセントが2音目の『カ』に置かれるが、『ダカラ』においては最初の『ダ』に置かれて発音される。」との主張は全く失当である。
すなわち、本件商標とイ号標章はともに、その構成に即して、ローマ字の配列として認識され、発音される。その結果、需要者の多くは、これらを「タカラ」、「ダカラ」とも右肩下がりに発音すると推認される。
そして、関西地方では、「宝」の「タカラ」も、「だから」の「ダカラ」も右下がりに発音するのが一般である。
(d)「TaKaRa」の文字よりなる商標と引用商標等「だから・・・。」の文字等よりなる商標(乙第1号証ないし同第4号証の)とが非類似商標として併存登録されていることから、本件商標とイ号標章とは非類似であるとする被請求人の主張は、イ号標章と接続詞「だから」を同一視したものであり、失当である。
イ号標章と引用商標等とは、称呼上互いに類似するとしても、両者は、外観、観念上、明らかに異なる。
したがって、「TaKaRa」の文字商標と引用商標等とが併存して登録されているとしても、本件とは事案を全く異にし、本件商標とイ号標章との類否判断を左右するものではない。また、被請求人は、引用商標を所有しているからといって、イ号標章を自由に使用できるというものではない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、商品「清涼飲料」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属さないと答弁し、要旨以下のように述べ、乙第1号証ないし同第6号証を提出した(特許庁ホームページコピーのうち、「称呼検索 【登録番号】第1900149号」を乙第1号証、「商標出願・登録情報検索 【登録番号】第1895860号」を乙第2号証、「同【登録番号】第1960552号」を乙第3号証、「同【登録番号】第1966056号」を乙第4号証、「同【登録番号】第3129606号」を乙第5号証、「同【登録番号】第4066233号」を乙第6号証とする。)。
(1)被請求人は、「清涼飲料」という概念に属する商品にイ号標章を使用していることを認める。
したがって、効力範囲に属するか否かは、イ号標章が本件商標に類似するか否かに尽きるが、この点に関する請求人の主張には理由がない。
本件商標とイ号標章とは、商標の類否判断に照らしても類似するものではないことは明らかであり、以下で両者が非類似である理由を述べる。
(2)外観類似について
本件商標とイ号標章とは、請求人が述べるように、ブロック体大文字で構成されている。ブロック体とは、「太さが一定のひげ飾り無しの書体」である。
しかし、その太さは両者において異なり、かつ両者を構成する一つ一つの文字の間隔も異なる。同じブロック体でも、イ号標章は本件商標に比べてより太く、かつ文字の間隔も開いている。
本件商標とイ号標章とは、ともにローマ字6文字で構成されており、先頭文字の「T」と「D」を除いてすべて同じ文字の並びである。
しかし、上に述べたような相違に加え、最も注意を喚起する先頭文字において、「T」と「D」の相違があることにより、両者を外観上彼此混同するような者はいないと言わざるを得ない。
(3)称呼類似について
本件商標より生じる「タカラ」の称呼とイ号標章より「ダカラ」の称呼は語頭における清音と濁音の相違しかないが、両者はその構成音数としては短い3音であり、請求人も自認しているように、両者は観念を異にしている。本件において両者の称呼上の類否判断を行うに当たって大事な点は、アクセントの置かれる位置がそれぞれ異なる点である。
請求人が引用した3件の審決例は、この点において事案を異にするものである。
本件商標より生ずる「タカラ」の称呼は、アクセントが2音目の「カ」に置かれるが、イ号標章より生ずる「ダカラ」の称呼は、最初の「ダ」に置かれて発音される。
商標の類否判断は、諸々の事情を総合的に判断して、商品取引における出所の混同が生じるか否かにより判断されるべき法律判断である。
請求人が指摘したように、被請求人は、引用商標「だから・・・。」を有している。
引用商標は、本件商標の登録の後に、本件商標とは称呼において非類似であると判断され、登録された商標である。なお、「だから・・・。」の文字等よりなる商標を(株)三越が、旧第28,30,31及び第32類に各々登録第1900149号商標、同第1895860号商標、同第1960552号商標及び同第19660566号商標として所有している(乙第1号証ないし同第4号証)。
一方、請求人は「TaKaRa」の文字よりなる商標を、国際分類第30類と33類に各々登録第3129606号商標及び同第4066233号商標として所有している(乙第5号証及び同第6号証)。
よって、請求人の本件商標とイ号標章とが称呼上類似であるとの主張が、如何に理由のないものであるかを物語っている。
(4)以上述べたように、請求人の主張のいずれにも理由がない。

5 当審の判断
(1)外観について
本件商標とイ号標章とは、別掲(1)及び(2)に表示したとおり、「TAKARA」及び「DAKARA」の各欧文字を、同じ大きさ、等間隔にそれぞれゴシック体で表してなるものである。
そして、本件商標とイ号標章は、文字の太さを異にして表してなるが、ともにゴシック体で表されており、先頭文字である「T」と「D」以外の「AKARA」の5文字の綴りを共通にしているものである。
そうとすれば、本件商標とイ号標章とは、上記のとおり、一文字の差異があるとしても、外観上相紛らわしい類似の商標であるといわなければならない。
(2)称呼について
本件商標は「TAKARA」、イ号標章は「DAKARA」の文字を書してものであるから、前者よりは「タカラ」、後者よりは「ダカラ」の各称呼を生ずるものである。
そして、本件商標より生ずる「タカラ」の称呼とイ号標章より生ずる「ダカラ」の称呼とは、3音構成中、語頭音において「タ」と「ダ」が相違するものである。
しかしながら、該差異音「タ」(ta)と「ダ」(da)は、母音(a)を共通にし、子音も舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させて発音する無声音(t)と有声音(d)であることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似しこれらを互いに聴き誤るおそれが少なくないものと認められる。
したがって、本件商標とイ号標章とは、称呼上相紛らわしい類似の商標といわなければならない。
(3)観念について
本件商標は「TAKARA」の文字を書してなり、これより「宝」の観念を生じさせる場合があるとしても、イ号標章「DAKARA」よりは、直ちに接続詞「だから」の意味合いを表したと看取し得ないものであり、むしろ造語を表したものというのが相当であるから、両者は観念上比較すべくもないところである。
(4)以上のようにみてくると、本件商標とイ号標章とは外観及び称呼において相紛らわしい類似の商標であり、かつ、イ号標章が使用されている清涼飲料は、本件商標の指定商品に包含されているものである。
したがって、商品「清涼飲料」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものと判断するのが相当である。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 【別 掲】
(1)本 件 商 標 (登録第1648397号商標)


(2)イ 号 標 章



(3)イ号標章を付した商品「清涼飲料」例


(4)登録第1913253号商標(引用商標)

判定日 2001-06-28 
出願番号 商願昭56-45644 
審決分類 T 1 2・ 261- YA (129)
T 1 2・ 262- YA (129)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴田 良一 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 久保田 正文
上村 勉
登録日 1984-01-26 
登録番号 商標登録第1648397号(T1648397) 
商標の称呼 タカラ 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 
代理人 大西 育子 
代理人 青山 葆 
代理人 柳生 征男 
代理人 足立 泉 
代理人 樋口 豊治 
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