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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 005
管理番号 1043493 
審判番号 審判1999-35746 
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-10 
確定日 2001-07-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第4229445号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4229445号商標(以下「本件商標」という。)は、「Nobit」の欧文字と「ノビット」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成7年9月21日登録出願、第5類「薬剤,包帯」を指定商品として、同11年1月14日に登録されたものである。

2 引用商標
請求人が引用する登録第1010592号商標(以下「引用商標A」という。)は、「ノビック」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和42年1月30日登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同48年4月26日に登録されたものであるが、その後、指定商品中「化学品」については、商標登録を取り消すとの審決がされ、その確定登録が、平成11年11月10日にされているものである。
同じく引用する登録第1010593号商標(以下「引用商標B」という。)は、「NOVIC」の欧文字を横書きしてなり、昭和42年1月30日登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同48年4月26日に登録されたものであり、その後、指定商品中「化学品」については、商標登録を取り消すとの審決がされ、その確定登録が、平成11年12月15日にされているものである。

3 請求人の主張
請求人は、「登録第4229445号商標の登録は、無効にすべきものとする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標A及び引用商標B(以下、引用商標Aと引用商標Bを合わせていうときは「引用各商標」という。)とを比較すると、それぞれの構成上、本件商標からは、「ノビット」の称呼を生ずるというのが相当であるのに対して、引用商標Aからは「ノビック」の称呼を生ずること明らかであり、また、引用商標Bからは「ノビック」の称呼を生ずるとするのが最も自然である。
しかして、本件商標より生ずる「ノビット」の称呼と引用各商標より生ずる「ノビック」の称呼とは、共に促音を含む4音構成よりなるうち、称呼における商標の識別上、最も重要な要素となる語頭部分を全く同一としており、わずかに語尾における「ト」音と「ク」音において差異を有しているものの、元々、語尾における音は、明瞭に称呼され、明確に聴取され難い弱い音となるばかりでなく、その差異音である「ト」音と「ク」音とても、共に無声子音「t」と「k」と弱音の奥母音「o」と「u」との結合した音節であり、しかも、その前音が促音である関係上、第2音の「ビ」の音にアクセントがかかり強く発音され、その結果、語尾音は、益々微弱音となるものであるから、これらを全体として、一連に称呼するときは、両者の語調、語感は、互いに相近似したものとなり、これらに接する聴者をして、彼此の称呼を聞き誤らせるおそれの充分にある、互いに相紛らわしい称呼であるといわなければならない。
(2)請求人の上記主張理由の正当性を立証すべく、特許庁における過去の審決例(甲第6号証ないし甲第10号証)を援用する。
(3)してみれば、本件商標は、引用各商標と、称呼において彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならず、かつ、その指定商品においても、互いに相抵触していること明らかなところであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定に基づいて、その登録は、無効とされるべきものである。

4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)本件商標と引用各商標は、称呼において、語尾の「ト」と「ク」の音の差異を有するものであるところ、「ト」は舌尖を上前歯のもとに密着させて発せられる音であり、「ク」は後舌面を軟口蓋に接して発生させる共に破裂音であるばかりか、帯有する母音も「o」と「u」の差異があり、互いに音の種類や調音域を異にする異質の音であるから、全体の称呼に与える影響も大きいものであり、しかも、当該差異音は、前音「ビッ」が促音を伴うものであることから、一拍おいて一気に発音され、その差異がより一層明確に発音・聴取されるというべきものである。
さらに、本件商標と引用各商標は、全体の音数が4音という極めて短いものであるから、当該差異音が全体の称呼に与える影響は一層大きいというべきものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、それぞれを一連に称呼するも、明瞭に聴別され、相紛れるおそれはないというべきものである。
次に、本件商標と引用各商標とを外観において対比すると、本件商標は、「Nobit」のローマ字及び「ノビット」の片仮名文字を上下二段に、角ゴシック書体をもって左書きしてなるものであり、これに対し、引用商標Aは、「ノビック」の片仮名文字を角ゴシックの書体をもって横書きしてなるものである。
そうとすると、両商標は、片仮名文字部分を対比しても、第4文字目において「ト」と「ク」の文字において差異を有しているため、外観上相紛れるおそれのないこと明らかである。
また、引用商標Bは、「NOVIC」のローマ字を角ゴシック書体をもって、左横書きしてなるものであるから、本件商標とは、そのローマ字部分を対比しても、第3文字目の「b」と「V」、及び第5文字目「t 」と「C」の差異を有するものであるから、両者は、外観上相紛れるおそれのないこと明らかである。
さらに、本件商標と引用各商標は、特定の意味を有しない造語であると思料されるため、観念においては比較すべくもないものである。
したがって、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であること明らかなものである。
(2)請求人は、その主張に関し、特許庁の審決例を挙げているが、いずれも本件とは事案を異にするものであるから、採用するに由ないもので、本件商標と引用各商標との類否の判断においては、参考にならないものである。
(3)被請求人の主張の正当性を立証すべく、特許庁における審決(乙第1号証ないし乙第4号証)を援用する。これらの審決例からすれば、本件商標と引用各商標とは、称呼上類似しないとする被請求人の主張は妥当なものというべきである。
(4)上記被請求人の主張は、請求人が同一の理由及び同一の証拠に基づき請求した、本件商標に対する登録異議申立において、「本件商標と引用各商標は、その外観、称呼、観念のいずれからしても類似しない商標である。」として、本件商標の商標登録を維持した平成11年異議第90648号の決定からみても、首肯することのできるものである。
(5)以上述べた理由により、本件商標は、引用各商標とは、称呼、外観、観念において、充分に区別することができる非類似の商標であること明らかであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないものと確信する。

5 当審の判断
本件商標は、前記の構成のものであって、その構成文字からみて「ノビット」と称呼されるものと認められる。
一方、引用各商標は、その構成文字からして、いずれも「ノビック」と称呼されるものと認められる。
そこで、本件商標の「ノビット」の称呼と引用各商標の「ノビック」の称呼を比較すると、両称呼は、共に3音よりなるところ、語尾音において「ト」と「ク」の相違がある。そして、両称呼は、その構成音が3音と少ないことから、いずれも構成音の一音一音が明瞭に聴取されるばかりでなく、相違する語尾音「ト」と「ク」は、音質が異なる音であるために、それぞれを一連に称呼しても、全体の語感が異なって聴取され、互いに紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼上相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
また、本件商標と引用各商標とは、外観及び観念において類似するものではない。
したがって、本件商標は、引用各商標と非類似の商標と認められるものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでなく、同法第46条第1項の規定に基づき無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-05-17 
結審通知日 2001-05-29 
審決日 2001-06-12 
出願番号 商願平7-97165 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (005)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮下 正之 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 久保田 正文
上村 勉
登録日 1999-01-14 
登録番号 商標登録第4229445号(T4229445) 
商標の称呼 ノビット 
代理人 高梨 範夫 
代理人 浅村 肇 
代理人 新井 悟 
代理人 小泉 勝義 
代理人 佐藤 一雄 
代理人 宇佐美 利二 
代理人 浅村 皓 

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