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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 243
管理番号 1041993 
審判番号 審判1998-30066 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1998-01-19 
確定日 2001-03-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第0524308号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0524308号商標の指定商品中「菓子」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第524308号商標(以下「本件商標」という。)は、別記に示すとおりの構成よりなり、昭和31年1月4日登録出願、第43類「菓子の類」を指定商品として、同33年7月24日に登録され、現に有効に存続しているものである。
2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「菓子」についての登録を取り消すとの審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1及び同号証の2を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者により継続して3年以上日本国内において上記商品について使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
乙第1号証は被請求人本人の証明書であり、また通常使用権者の代表者も、乙第2号証に示すように被請求人本人であるから、被請求人と通常使用権者とは直接的な利害関係があり、通常使用権者が本件商標を使用しているとする被請求人の証明にはその証拠能力の点で疑問があること、又この証明書には本件商標の使用態様等を示すものが何ら添付されていないので、通常使用権者が本件商標を使用しているとする証拠として認めることはできない。
つぎに、乙第3号証ないし同第5号証には、「のぼり自体」及び印刷物に「のぼりを表示したもの」の存在は認められるが、本件商標の指定商品「菓子の類」について或いはその広告に使用しているものであるとは到底理解できないものであり、乙第6号証ないし同第11号証も、本件審判請求登録前3年以内の本件商標の指定商品「菓子の類」に関する使用について証明するものではない。したがって、本件商標の登録は取消しを免れないものである。
3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第27号証を提出し、五十嵐大祐の証人尋問を申請した。
イ 本件商標は、出願後継続して現在迄被請求人が代表取締役として経営してきた株式会社会津葵(以下、「通常使用権者」という。)に通常使用権を許諾して使用してきたものである。
ロ 本件商標の使用に係る商品は通常使用権者の目的である「和菓子」のすべてであって、その製造ならびに販売に際し使用してきた(乙第1号証・乙第2号証)。そして、通常使用権者は各店舗の店頭で本件商標を使用した「のぼり」を立てて広告宣伝をしているが、特に会津城入口にある会津葵シルクロード文明館西正門の目立つ場所で使用している(乙第3号証)。
ハ 本件商標の使用態様は、全国的な著名雑誌「家庭画報1996年(平成8年)1月号」に大々的に掲載され全国的に紹介されており(乙第4号証)、同誌写真中の「荒物・雑貨の竹藤」は共同組合会津復古会の組合員(乙第5号証)であり、また、乙第5号証の「會」印ののぼりを使用している「うなぎえびや」も同じく協同組合会津復古会の組合員である。
ニ 平成10年発行(平成9年9月頃原稿完成・印刷完成は平成10年1月である)の会津復古会名門老舗めぐりの下段左側部分に前記乙第3号証、乙第4号証のような「のぼり」として使用している通り、現在においても通常使用権者が会津復古会の主なメンバーを含めて使用し、また今後も使用するため本証のような営業用カタログに大きく掲載しているのである(乙第5号証)。
ホ なお、本件商標の使用場所は通常使用権者の各店舗であり(乙第6号証)、乙第4号証、乙第5号証に掲載されている数店(会津復古会の主要メンバーに限り数店だけ通常使用権を設定)だけである。
へ その他、「協同組合会津復古会」「会津葵シルクロード文明館」についての書証(乙第7号証ないし乙第11号証)および主張事実をより一層具体的に補充するために乙第12号証ないし27号証を提出する。
4 当審の判断
(1)商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人は、同条第2項に規定されているとおり、その取消請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れない。
(2)被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし同第11号証についてみるに、まず、乙第2号証(登記簿の謄本)によれば、被請求人は株式会社会津葵の代表取締役であり、同社の目的が和菓子の製造販売等であること、そして、同第1号証の「登録商標の使用証明書」と題する書面によれば、被請求人は株式会社会津葵に通常使用権を許諾していたことを認めることができるにしても、この証明書には本件商標の使用事実を明らかにする資料は何ら添付されていないので、乙第1号証をもってしては、本件商標を「菓子」について使用しているとはいえない。
乙第3号証の写真によれば、シルクロード文明館の前に「曾」の文字が染め抜かれたのぼりが立てられていることを認めることができるが、本件商標は、のぼりを描いた図形商標と認められるものであるから、のぼり自体が本件商標と同一の商標とはいえないとみるのが相当である。
仮に、本件商標と同一のものであるとしても、該のぼりは「会津祭り」の際に立てられたものであって、取消請求に係る指定商品である「菓子」との関連を示すものとは認められないから、この使用態様をもって「菓子」についての広告宣伝をしているものとは認め難く、乙第3号証をもってしては、本件商標を「菓子」について使用しているとはいえない。
乙第4号証の「家庭画報1996年(平成8年)1月号」によれば、通常使用権者である株式会社会津葵に関する記事が掲載され、また、「曾」の文字が染め抜かれた「のぼり」が掲げられている店の写真もあるが、それらは竹細工等を扱う「竹藤」あるいは茶道具の「會州-蔵品館」であり、いずれも「菓子」の製造販売を行っている店舗ではないから、本件商標に係る通常使用権者とは認められず、したがって、乙第4号証をもってしては、通常使用権者が本件商標を「菓子」について使用しているとはいえない。
乙第5号証の「会津復古会名門老舗めぐり」によれば、会津復古会の会員の店舗の写真と簡単な紹介記事並びに会員店舗の所在地を示した会津若松の市街地図が掲載されており、その地図の横に「會」の文字が染め抜かれた「のぼり」が描かれていることを認めることができる。しかしながら、「のぼり」の下には「士魂商才曾津の旗のもとに」と記載されているように、この「のぼり」は、会津藩縁りの旗印の図形を種々の業務を営む店舗等の集まりである協同組合会津復古会(乙第7号証および同第8号証)のシンボルとして使用されているものとみるのが相当であり、通常使用権者が製造販売する「菓子」との関係で前記「のぼり」が描かれているものということはできないから、乙第5号証をもってしては、通常使用権者が本件商標を「菓子」について使用しているとはいえない。なお、会員店舗のうち「のぼり」が立てかけられている「うなぎえびや」もその紹介記事から「菓子」を製造販売する店舗とは関係がない。
(3)乙第6号証の「和菓子販売営業用カタログ」によれば、通常使用権者の店舗の所在および製造販売する菓子を認めることができるが、該カタログ自体には本件商標の記載はなく、また、その中にも本件商標を付した菓子は全く掲載されていないので、乙第6号証をもってしては、本件商標を「菓子」について使用しているとはいえない。
(4)その他、被請求人提出の乙各号証および口頭審理における証人の証言によっても、本件商標を、商品「菓子」に使用しているものと認めることはできない。
(5)してみれば、被請求人提出の乙各号証および証人の証言を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る商品「菓子」について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「菓子」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審決日 2000-03-28 
出願番号 商願昭31-3200 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (243)
最終処分 成立  
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 野上 サトル
滝沢 智夫
登録日 1958-07-24 
登録番号 商標登録第524308号(T524308) 
商標の称呼 1=アイ 2=カイ 
代理人 及川 昭二 
代理人 米屋 武志 

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