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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Z0309141618
管理番号 1041905 
審判番号 不服2000-9374 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-22 
確定日 2001-05-17 
事件の表示 平成10年商標登録願第 99260号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、その構成を別掲に示すものとし、第3類「化粧せっけん,その他のせっけん類,エッセンシャルオイル,その他の香料類,香水,ヘアーローション,その他の化粧品,歯磨き」、第9類「普通眼鏡,サングラス,その他の眼鏡,枠,眼鏡ケース,その他の眼鏡の部品及び附属品」、第14類「宝玉及びその模造品,宝玉の原石,カフスボタン,ネクタイ止め,ネクタイピン,その他の身飾品,貴金属製たばこケース,その他の貴金属製喫煙用具,時計,貴金属製宝石箱,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト」、第16類「万年筆,ボールペン,鉛筆,フェルトペン,その他の筆記用具,筆入れ,筆箱,筆立て,インキ,ペーパーウェイト,その他の文房具類,日記,その他の印刷物,書画,写真,写真立て,事務用又は家庭用ののり及び接着剤」、第18類「皮革,書類入れかばん,アタッシュケース,ハンドバッグ,トランク,その他のかばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,むち,くら,その他の乗馬用具,馬具」を指定商品として、平成10年11月18日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、立体形状としてはありふれている半球よりなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。」との理由で本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲に示すとおり、六面の図をもって赤色の半球状の立体を表してなるものであって、該立体の形状は極めて簡単で、かつ、ありふれたものであり、これに色彩が結合されてなる標章にすぎず、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は自他商品を識別する標識を表示したとは認識しないとみるべきであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。
(2)請求人は、審判請求書において、概要以下のように主張する。
(a)本願商標は、商標見本に示す通りの構成にかかるもので、具体的には、1)赤色をもって色彩を特定し、2)半透明状の素材で、3)ドーム状(正確には、球を半分に切った半球ではない)の形状に構成された標識である。したがって、正確には、このような構成にかかる立体商標は、単にありふれた立体形状からなるというには当らない。また、本願商標がもつ3つの構成要素を備えた立体形状が慣用的に使用されている事実はなく、まして指定商品について立体商標として使用されている事実もない。むしろ、立体商標としてはユニークで、出願人が世界中ではじめて選択し、使用しはじめたものである。本願商標は、半透明素材に施された赤の色彩とドーム状の形状の組み合わせであるから、我が国の商標法で当然保護できる対象である。
(b)本願商標が日本において保護されないとするならば、安物の模造品業者が堂々と本出願人の立体商標を盗用することは必定である。にもかかわらず、これを法律的に阻止することができないとすれば、結果的には善良な需要者、取引者が迷惑をすることとなる訳である。模造品の現状を見ると、一度真正品が出て、人気が出た場合には、手のつけられない位の数と種類の模造品が世界をかけめぐることになる。このような模造品の不法な流通など不法行為を未然に防ぐことこそが、商標法の真の目的であり、商標法の運用の段階で是非これらの予防をする必要がある。
(c)本願商標のドーム状の立体形状がありふれているという指摘であるが、仮にそうであるとしても、赤玉商標の事例が示すように、これに特定の色彩を施すことにより出所を特定でき、自他商品の識別機能をもつことは、従来から我が国商標法の伝統的解釈である。
(3)しかしながら、本願商標は、球体の一部を切り取った形状よりなるものであって、この形状から、自他商品の識別機能を発揮し得る特定の称呼・観念が生ずるとはいえず、また、このような、球・立方体・円柱等のありふれた立体の一部分を単純に切り欠いた立体の形状は、外観において極めて簡単で、かつ、ありふれた形状というべきである。
そして、本願商標が、その色彩や立体の材質に特徴を持たせたとしても、原則として、そのことにより自他商品識別標識としての機能を発揮するとはいえないものであり、ほかに、本願商標が自他商品識別標識としての機能を果たしているとの証左はない。
また、このような立体的形状が商品の形状として採択されることは取引上普通のことといえ、このような形状は取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
それゆえ、このような極めて簡単で、かつ、ありふれた立体的形状に色彩が結合されてなる商標は、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において自他商品の識別標識として認識することができるに至っている場合を除き、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
また、請求人は、真正品の模造などの不法行為を未然に防ぐことが商標法の真の目的である旨主張するが、そのことと、本願商標に自他商品識別標識としての機能があるか否かの問題は異なる次元のものであって、そのことをもって本願商標の自他商品識別力に関する認定・判断が左右されるものではない。
さらに、本願商標から特定の称呼・観念が生ずるとはいえないとしたこと前示のとおりであり、ほかに、本願商標に色彩を施すことによってその出所が特定できているとの証左はない。
したがって、本願商標は、前記認定のとおり、極めて簡単で、かつ、ありふれた立体的形状に色彩が結合されてなる商標というべきであって、本願商標は、その形状及び色彩の組み合わせをもって自他商品の識別力を有するものとは認められず、この点に関する請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、参考資料を提出して、本願商標は、米国、ドイツ、カナダ、フランスなどで登録されていると主張している。
しかしながら、本願商標は、我が国商標法のもとでその登録の可否が判断されるのであって、諸外国における登録例をもって、本願商標に関する自他商品識別性の判断結果に影響を与えるとはいえないものである。

4 結 論
してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
本願商標


(この商標はカラー写真によって表されたものであるから細部及び色彩については原本を参照されたい)
審理終結日 2000-12-05 
結審通知日 2000-12-08 
審決日 2000-12-19 
出願番号 商願平10-99260 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Z0309141618)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 宮川 久成
久保田 正文
代理人 松原 伸之 
代理人 浜田 廣士 
代理人 村木 清司 
代理人 鳥羽 みさを 

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