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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z30 |
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管理番号 | 1041896 |
審判番号 | 審判1999-19513 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-09 |
確定日 | 2001-05-17 |
事件の表示 | 平成 9年商標登録願第123126号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、その構成を別掲に示すものとし、第30類「洋菓子」を指定商品として、平成9年6月4日に立体商標として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、平成10年10月9日付の手続補正書をもって「クッキー,クラッカー,ビスケット」と補正されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、指定商品に採用し得る一形状を表したものと認識される立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」との理由で本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)平成8年法律第68号により改正された商標法における立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。 また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 (2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。 また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地方裁判所 昭和50年(ワ)第3035号 昭和52年12月23日判決言渡【最高裁判所事務総局発行 無体財産権関係民事・行政裁判例集第9巻第2号769頁】)との判示がなされているところである。 (3)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲に示すとおり、魚類と思しき生物の抽象的な立体形状からなるものであって、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品「クッキー,クラッカー,ビスケット」の形状の一形態を表してなると認識するにすぎないと判断するのが相当である。 請求人は、本願商標の形状・構成の特徴を挙げて、「本願商標は、その構成に照応し、一種の魚を題材とした立体的図形を暗示せしめるも、魚の特徴的な部分は捨象されており、かつその形状は極めて抽象的な図形であって、これが如何なる魚を表現したものであるか直ちには理解しがたいものであるから、これより特定の称呼、観念は生じ得ず、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして請求人によって創作された類例のない顕著な特徴を有する特異態様の立体形状との印象を看取せしめるものである。また、本願指定商品に係る包装袋の平面商標が登録されており、さらに、スイス、ギリシャをはじめとする各国において商標登録を得ている。」旨主張して、第1号証ないし第13号証(枝番を含む。)を提出している。 しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界においては、味や包装、容器の形状などのほかに、商品そのものの形状に特徴をもたせたものを採択し、販売していることが一般に行われているところ(動物や魚介類等の形状を模した商品が市場に提供されていることは顕著な事実である。)であって、本件における「クッキー,クラッカー,ビスケット」の形状の特徴は、商品の見た目の美しさ(美感)さを効果的に際立たせるための範囲のものというべきであり、請求人の主張する本願商標の形状の特徴は、前示の、指定商品に係る形状の取引上の使用例に照らせば、本願商標が殊更ユニークな形状を呈しているとはいえないものである。 また、請求人の提示する登録例のうち、第3号証ないし第10号証は、平面商標に係る事例であって、前記(1)、(2)に照らし、本願商標の登録要件に係る判断を左右するものとはいい難いものであり、第11号証(枝番を含む。)の登録例は、立体商標に係るものであるが、該商標には識別力があると認め得る文字が付されており(商標の細部については原本を参照されたい)、これらの商標は当該文字部分により識別性を発揮しているとみられる事例であって、立体的形状部分に自他商品の識別機能があると認められた事例とはいえないものである。 さらに、第12号証の平面商標は、上記第3号証ないし第10号証の事例と同様に平面商標に係るものであることに加えて、この商標は、そこに表示されている「Kambly」、「カンブリー」、「フィッシュリー」などの文字により識別力を発揮しているとみるのが相当である。 次に、請求人は、諸外国の登録例を挙げているが、商標の登録に関する法制度は各国ごとに異なるものであるから、外国における商標登録の事例をもって、我が国商標法のもとにおける本願商標の登録要件の判断が左右されるものではない。 以上、結局、本願商標は、前記認定のとおり、商品の美感をより発揮させるために施されたものであり、商品の形状の一形態を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められず、この点に関する請求人の主張は採用できない。 4 結 論 してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲】 本願商標 (この商標は写真によって表されたものであるから細部については原本を参照されたい) |
審理終結日 | 2000-11-30 |
結審通知日 | 2000-12-12 |
審決日 | 2000-12-28 |
出願番号 | 商願平9-123126 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z30)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 薫、岩本 和雄 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
久保田 正文 宮川 久成 |
代理人 | 加藤 義明 |