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審決分類 審判 全部無効 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z30
管理番号 1039779 
審判番号 無効2000-35542 
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-10-06 
確定日 2001-04-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4354699号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4354699号の指定商品中、第30類「米,食用粉類,べんとう」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4354699号商標(以下、「本件商標」という。)は、「かぐや姫」の文字を横書きしてなり、平成10年9月18日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルデン,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」を指定商品として、同12年1月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
「本件登録第4354699号を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決。
2 請求の理由
(1)本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第14号および同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものであり、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすべきである。
(2)証拠の説明
請求人は、本件商標の出願日前の平成7年10月30日に、「稲」の新品種について「かぐや姫」の名称で、種苗法第5条第1項の規定に基づく品種登録出願を行い、その品種は本件商標の登録査定日前の平成11年3月16日に登録番号第7040号として種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けたものである。
(3)商標法第3条第1項第1号、同法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第14号および同法第4条第1項第16号について
本件商標は、品種登録第7040号の品種の名称と同一又は類似の「かぐや姫」の商標であって、その品種の種苗である「稲」に類似する商品と考えられる「米」を指定商品に含んでいる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第14号に該当する。
しかしながら、仮に、「米」が「稲」に類似する商品でないとしても、「稲」の品種の名称は「ささにしき」、「こしひかり」の例からもわかるとおり、その品種の「稲」から取れた「米」の普通名称であるから、「かぐや姫」の名称は「稲」の品種の名称であるとともに、その品種の「米」の普通名称である。このように、「かぐや姫」の商標は、指定商品に含まれる「米」の一品種の普通名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当する。
なお、本件商標の登録査定日前の平成11年3月23日付で請求人宛てに届いたFAXには、「かぐやひめ」の米を分けてほしい旨の記載が見られ、「かぐや姫」の品種の名称が「米」の普通名称として、本件商標の登録査定日前には通用していたことが認められる。
さらに、「かぐや姫」が「米」の一品種の普通名称でないと仮定しても、「かぐや姫」の名称は「稲」の品種の名称であるから、「かぐや姫」の商標は、「米」のほか、本件商標の指定商品に含まれる「食用粉類」、「べんとう」その他の商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと認められる。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、「かぐや姫」の商標を、「かぐや姫」の品種の「米」以外の「米」、「脱穀済みのえん麦」、「脱穀済みの大麦」、「かぐや姫」の品種の「米」以外の「米」を用いた「食用粉類」、「べんとう」その他の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
〔4〕むすび
以上のとおり、本件商標に係る商標は、商標法第3条第1項第1号、同条第1項第3号、同法第4条第1項第14号および同条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標は商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
3 証拠方法
請求人は、証拠として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対し何らの答弁すらない。

第4 当審の判断
甲第1号証及び同第2号証によれば、請求人は、平成7年10月30日に稲の品種の名称として、別掲に示すとおりの構成、すなわち、「かぐや姫」と該「姫」の文字に「ひめ」の平仮名文字(以下、「引用標章」という。)を登録出願し、平成11年3月16日に、種苗法第18条第1項の規定により、品種登録を得たものと認められる。
そこで、本件商標と引用標章との比較検討するに、本件商標は、「かぐや姫」の文字を横書きしてなり、これよりは、該文字に相応して、「カグヤヒメ」の称呼、竹取物語の女主人公である「かぐや姫」の観念を生ずること明らかである。
他方、引用標章は、「かぐや姫」の文字を書してなり、これよりは、該文字に相応して、「カグヤヒメ」の称呼、竹取物語の女主人公である「かぐや姫」の観念を生ずること明らかである。
してみれば、本件商標と引用標章とは、「カグヤヒメ」の称呼、竹取物語の女主人公である「かぐや姫」の観念を共通にする類似するものである。
そして、両者の文字構成は、前記のとおりであるところ、両者の差異は、引用標章中の構成文字「姫」に「ひめ」の平仮名文字が付されている点のみであるから、両者は、外観上も類似するものである。
そうとすると、本件商標と引用標章とは、外観、観念、及び称呼において類似するものと認められる。
しかして、本件商標の指定商品中、「米」については、「こしひかり」、「ささにしき」、「秋田こまち」等の米が袋詰めされた袋面に同品種が表示されて、米屋やスーパーマーケット等で販売されている実情があり、また、「米の食用粉類」及び「べんとう」については、「○○○○○米使用」のように、使用している米の品種を表している場合が少なくないものであるから、本件商標の指定商品「米」、「米の食用粉類」及び「べんとう」は、引用標章の品種登録がされた「稲」に類似する商品と認められる。
請求人は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当する旨の主張もしているが、本件商標は、前記のとおり、「かぐや姫」の文字を横書きしてなり、「カグヤヒメ」の称呼、竹取物語の女主人公である「かぐや姫」の観念を生ずるものであって、上記の指定商品以外の商品に使用しても、商品の普通名称、商品の品質を表示するもの及び商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、商標法第3条第1項第1号、同条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当しないものである。
そうとすると、これらの点についての請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本件商標は、種苗法第12条の4第1項の規定により、品種登録を受けた品種の名称と類似の商標であって、その品種又はこれに類似する商品「米」、「食用粉類」及び「べんとう」について、商標法第4条第1項第14号に違反して登録されたものといわなければならないから、該商品についての登録は、商標法第46条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。
以上のとおりであるから、本件審判請求は、商標法第4条第1項第14号違反を理由とする請求につき認容し、その余は、成り立たないものとし、審判費用について、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第64条を適用して、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 引 用 標 章

審理終結日 2001-02-06 
結審通知日 2001-02-20 
審決日 2001-03-05 
出願番号 商願平10-80372 
審決分類 T 1 11・ 21- ZC (Z30)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 瀧本 佐代子 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 江崎 静雄
大島 護
登録日 2000-01-28 
登録番号 商標登録第4354699号(T4354699) 
商標の称呼 カグヤヒメ 
代理人 須田 篤 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 吉井 剛 

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