• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025
管理番号 1037543 
審判番号 審判1999-30016 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1998-12-25 
確定日 2001-03-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3034002号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3034002号商標(以下、「本件商標」という。)は、第25類「手袋,靴下,メリヤス足袋」を指定商品として、平成4年5月26日登録出願、同7年3月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取消す、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
(1)請求の理由
請求人が調査したところ、本件商標は、本審判請求日の過去3年間を超す期間、商品「手袋、靴下、メリヤス足袋」について使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(イ)被請求人が、「メリヤス足袋」に使用されているのは、「旅のたび」と表した商標であり、本件商標「旅」は使用されていない。
(ロ)被請求人は、本件商標の使用を証明する証拠として乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
しかしながら、本件審判請求は、平成10年12月25日になされたものであるから、平成7年(1995年)12月25日以前の証拠資料である「乙第3号証の1、乙第3号証の2(納品書下段No005208)、乙第4号証、乙第5号証の1〜2、乙第6号証の1〜4、乙第7号証の1〜2及び乙第8号証の1〜2の取引書類(納品書、請求明細書)」は、審判請求前3年以内の使用実績を示す証拠としての証拠価値がないといわざるを得ない。
さらに、乙第3号証の1の納品書は、対象となる包装袋名が記載されておらず、乙第3号証の2の納品書と乙第4号証の請求書で示される包装袋と乙第2号証の1〜4に示される包装袋の同一性を示す証拠は何等提出されていない。乙第5号証の1〜2、乙第6号証の1〜20、乙第7号証の1〜30、乙第8号証の1〜5及び乙第9号証によって示される包装袋の請求明細書についても乙第2号証の1〜4に示される包装袋との同一性を示す証拠は何等提出されていない。乙第4号証の請求書に示される伝票番号と乙第3号証の1〜2の伝票番号も一致しておらず、それぞれ相互の関連性なく納品書、請求書が提出されているに過ぎない。
従って、これら乙各号証によっては使用実績を示す証拠資料としての証拠価値を認め得ないものである。
(ハ)被請求人は、乙第1号証の1〜4及び乙第2号証の1〜4を提出することによって、商品「足袋」の包装袋に本件商標が使用されていることを立証しようとしている。
しかしながら、これら包装袋に示される商標は、「旅のたび」であり、本件商標「旅」が使用されているとは認められない。
本件商標「旅」は、それ自体で完結した言葉であり、「旅で用いる足袋」を容易に認識させる「旅のたび」とは明らかに相違するものである。被請求人はこの点につき、「『旅』印のたび(足袋)」と理解するのが自然であると主張するが、「旅印のたび」と表示されていればともかく、「旅のたび」と表されている以上、全体として一つの商標を構成していると介するのが自然な商標観察方法というべきである。また、被請求人は、乙第2号証の3及び4において示される「まるR」記号の存在について付言しているが、該記号の表示位置をみれば明らかなごとく、「旅」のみが登録商標であることを暗示させるというより、「旅のたび」全体が登録商標であることを暗示させる位置に表示されており、この点からしても「旅」という本件商標が使用されているとは認識されるものではない。
(ニ)、被請求人は、乙第1号証の1〜4及び乙第2号証の1〜4によって示される「足袋」をもって「メリヤス足袋」であると主張しているが、「メリヤス足袋」であるという根拠も何等示されていない。
以上の通り、被請求人提出の乙各号証によっては、本件商標が商品「メリヤス足袋」に、審判請求前3年の間に使用されていたことは立証されていない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、本件商標「旅」を商品「メリヤス足袋」に少なくとも本件審判請求前3年の間に使用している。
(2)被請求人は、本件商標の出願後の平成4年7月頃より、本件商標「旅」を商品「たび」に使用し、販売先である各旅館の住所及び旅館名等が印刷された包装袋を用い、この包装袋に足袋を詰めた商品を、包装袋に記載の各旅館に継続して販売している。
(イ)先ず、乙第1号証の1〜4は、被請求人が販売している商品「足袋」を撮影した写真であり、乙第2号証の1〜4は、乙第1号証の1〜4の各写真に写された足袋の包装袋の実物である。
(ロ)乙第2号証の1〜4からも明らかなように、各包装袋には、本件商標「旅」の文字が印刷され、また乙第2号証の3及び乙第2号証の4に示す包装袋には、本件商標の使用を示す「まるR」の記号も印刷されている。
(ハ)乙第3号証の1〜2は、かかる包装袋(乙第2号証の1〜4)が印刷会社(大栄工業株式会社)から被請求人に納品されたことを示す納品書の写しであり、乙第4号証は、包装袋に対する前記印刷会社からの請求書の写しであって、かかる納品書及び請求書からも明らかなように、例えば、平成4年7月には、販売先の旅館「芭新萃」用の包装袋が68220枚、平成4年12月には、旅館「瑠璃光」用の包装袋が69030枚、平成7年10月には、旅館「佐竹」用の包装袋が33600枚、平成8年1月には、旅館「海女乃島」用の包装袋が33995枚、被請求人に納品されている。
(ニ)乙第5号証の1〜2は、本件商標の使用が開始された平成4年時点の商品「足袋」(旅のたび)の取引の一例を示す資料(請求明細書)であって、乙第5号証の1からも明らかなように、平成4年7月に、乙第1号証の1に示す商品「旅のたび」が旅館「芭新萃」に対して50ダース販売された事実が確認出来、乙第5号証の2からは、平成4年12月頃に、乙第1号証の2に示す商品「旅のたび」が旅館「瑠璃光」に対して80ダース販売された事実が確認出来る。
(ホ)乙第6号証〜乙第9号証は、平成7年6月〜平成10年5月における商品「足袋」の取引を示す資料(請求明細書)であって、乙第6号証の1〜20より、被請求人が旅館「芭新萃」に対して乙第1号証の1に示す商品「旅のたび」を1876ダース販売した事実、乙第7号証の1〜30より、旅館「瑠璃光」に対して乙第1号証の2に示す商品「旅のたび」を3061ダース販売した事実、乙第8号証の1〜5より、被請求人が旅館「佐竹」に対して乙第1号証の3に示す商品「旅のたび」を320ダース販売した事実、乙第9号証より、旅館「海女乃島」に対して乙第1号証の4に示す商品「旅のたび」を40ダース販売した事実が確認出来る。
(ヘ)以上の乙第1号証〜乙第9号証より、「旅のたび」が印刷された包装袋に「足袋」を詰めた商品を、「芭新萃」「瑠璃光」「佐竹」「海女乃島」の各旅館に、平成4年より平成10年5月に至るまで継続して販売している事実が確認出来る。
(ト)本件商標は、「旅」であるところ、乙第1号証〜2号証においては、「旅」の漢字の右横に「の」平仮名文字を附して使用しているが、「の」の文字は「旅」の文字よりも極めて小さく記載されている点、乙第2号証の3及び乙第2号証の4に示すものでは、登録商標であることを慣習的に示す「まるR」記号が記載されている点、一般需要者が乙第1号証に示す商品の包装袋の「旅のたび」を見た場合、「の」は助動詞と認識され、一般需要者は「旅のたび」の文字より、「『旅』印の『たび(足袋)』」と理解するのがごく自然である。
以上の理由より、乙第1号証の1〜4に示すものは、本件商標「旅」の使用の範囲であること明白である。
(3)以上、商標権者である被請求人は、本件商標「旅」を指定商品中の「メリヤス足袋」に、本件審判請求前の3年の間に日本国内において継続して使用している。

4 当審の判断
(1)先ず、被請求人の提出した乙第1号証の1〜4及び乙第2号証の1〜4をみると、商品といえる「足袋」の包装袋に、ホテル若しくは旅館の名称と認められる「芭新萃」、「瑠璃光」、「佐竹」、「海女乃島」のほかに「旅のたび」の文字を表示し使用していることが認められる。
そして、本件商標は、「旅」の文字よりなるところ、被請求人が本件商標を使用しているとする、前記の「旅のたび」の表示態様をみると、その態様は、「旅の」の文字の、「の」文字を「旅」の文字に比し小さく書し、その下段の右側にややずらし、「旅の」の文字より大きく「たび」の文字を書してなるものである。
そこで、「旅のたび」が本件商標の使用に当たるか否かについて検討するに、その表示方法は、「の」の文字が「旅」の文字よりも小さく表示されていること、乙第2号証の3及び乙第2号証の4には、「旅の」文字に続いて、登録商標であることを示す「まるR」の記号が表示されていること、「たび」の文字は、被請求人の使用する商品が「足袋」であることから、「旅のたび」に接する取引者、需要者が、「『旅』印の足袋」と認識、理解することは必ずしも否定し得ないことを考慮すれば、本件商標と社会通念上同一のものというのが相当である。
さらに、使用している商品「足袋」は、前記した足袋の包装袋の品質表示として「綿・ポリエステル・ナイロン」の記載よりして「メリヤス足袋」に使用しているものとみても差し支えないものというのが相当である。
(2)次に、乙第3号証の2(納品書)をみると、平成4年12月には、販売先と認められる旅館「瑠璃光」用の包装袋が69030枚、平成8年1月には、旅館「海女乃島」用の包装袋が33995枚が印刷会社(大栄工業株式会社)から被請求人に納品されていることが認められる。
しかして、その納品書の品名の項に「旅のたび」と記載されていることが認められる。
(3)さらに、乙第6号証の1〜20(請求明細書)により、被請求人が旅館「芭新萃」に対して平成7年7月から平成10年5月に販売した事実、乙第7号証の1〜30(請求明細書)により、被請求人が旅館「瑠璃光」に対して平成7年10月から平成10年5月に販売した事実、乙第8号証の1〜5(請求明細書)により、被請求人が旅館「佐竹」に対して平成7年11月から平成9年9月販売した事実、乙第9号証(請求明細書)により、被請求人が旅館「海女の島」に対して平成8年2月に販売した事実が認められる。
しかして、上記の乙第6号証の1〜乙第9号証の請求明細書の商品名の項には、いづれも「旅のたび」と記載されている。
してみれば、本件商標は、商標権者により継続して本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、本件の指定商品中「メリヤス足袋」について使用していたものというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により本件商標の登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-01-09 
結審通知日 2001-01-19 
審決日 2001-01-31 
出願番号 商願平4-117787 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 茂久原 隆 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高野 義三
大川 志道
登録日 1995-03-31 
登録番号 商標登録第3034002号(T3034002) 
商標の称呼 タビ 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 稗苗 秀三 
代理人 後藤 誠司 
代理人 大島 泰甫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ