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審決分類 審判 全部取消  無効としない 130
管理番号 1037495 
審判番号 審判1999-31553 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-11-22 
確定日 2001-02-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第0687892号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第687892号商標(以下、「本件商標」という。)は、「VIX」の欧文字「ビックス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第30類「キャンデー、チョコレート、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和39年4月1日に登録出願され、同40年10月20日に設定登録され、その後、昭和51年3月4日、同60年11月14日及び平成8年5月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
「本件商標の登録はこれを取消す、審判費用は被請求人の負担とする。」旨の審決。
2 請求の理由
審判請求人の調査によれば、本件商標がその指定商品について過去3年に渡って日本国内で使用された事跡は発見されなかった。よって商標法第50条の規定により、請求の趣旨通りのご審決を求める。
(1)商標の同一性に関して
本件商標は欧文字の大文字で「VIX」と書し、その下に小さく表わされた片仮名文字「ビックス」を付した構成をもって成る。この欧文字構成は全く図形化されない特徴のない文字体であり、片仮名部分も同様である。
これに対して、乙第1号証乃至乙第2号証に示される写真に表わされた商標は「V」と思われる部分が正三角形を上下逆に配してその一部を斜めに切った如き極端に図形化された態様で大きく表わされ、その右肩部に欧文字「i」と若干図形化された「x」が表わされている。また、片仮名部分に関しては、下の方に小さく表わされているが、これも「ビックスクッキー」と一連に一続きの言葉として表現されている。「クッキー」が特定の種類の菓子を示す普通名詞であることは認めるにせよ、本来商標法第50条は登録された商標と同一の商標が市場において実際に使用をされているかどうかを問うものである。
(2)乙第1号証の1乃至4について
ここに撮影されている写真はそれぞれ、撮影者も撮影場所もなにより撮影年月日も不明であり、本件商標が本件審判請求の予告登録の日前3年の期間内に使用されていたことを証明するものとはなり得ない。
(3)乙第2号証が被請求人が使用される会社案内であること、また平成9年に有限会社レイ・コーポレーションがこの会社案内を被請求人の注文を受けて制作したことは認められる。
しかしながら、乙第1号証に表わされた商品に関連する記事・表示はこの会社案内の中身(詳細な説明・記述・写真等)には全く記されていない。唯一会社案内の裏面の会社の住所等の記載の上に、商品群を表わした写真が揚げられるが、この中に、乙第1号証に表わされた外装を呈する商品の写真が見受けられる。しかし、これをもって、本件商標が商品「クッキー」の上に現在も使用されている、商品に関する具体的な製造があり、取引状態が継続していると認めることはできない。
(4)乙第3号証の1乃至4について
これらは4件とも「VIXクッキーバター」及び「VIXクッキーチョコ」のみに関する取引書類である。取引先は、株式会社グーテファルム(川崎市のコンビニエンスストアと思われる)と被請求人目身が経営される日清プラザ株式会社で、グーテファルムへの納入は常に各クッキー25ケース(500個)、日清プラザへの納入は常に各クッキー50ケース(1000個)となっている。また、若干不明瞭であるが、スタンプから、この伝票が作成されたのは1998年6月及び7月となっている模様である。
これらの書類は書式・内容等を拝察するに被請求人が作成したフォームであり、受取りの確認もゴム印等で為されたと見受けられる状態である。よって、これら書証だけで、平成10年6月及び7月に、本件商標の使用の実態があったと認めるには不十分である。この取引の実態を確実に証明する、例えば、取引先からの注文書、請求代金の支払いの確認のやり取り、又場合によっては取引先担当者の証言等、上記取引の内容を確認できる証拠方法の提示がなければ、本件商標につき、法第50条に定める状態での使用があったと認めることはできない。
(6)叙上の通り、被請求人が提出した証拠はいずれも本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内に使用されたという事実を証明するには不十分のものである。よって、本件商標の登録は取消されるべきである。

第3 被請求人の答弁の要点
1 答弁の趣旨
結論掲記の審決。
2 答弁の理由
(1)被請求人は乙第1号証に示す如く態様で本件商標の指定商品に含まれている商品「クッキー」について使用している。
乙第1号証の1及び2に示すクッキーは「チョコチップ」入りであり、乙第1号証の3及び4に示すクッキーは「バター」入りである。
乙第1号証に示す如くその包装箱には、欧文字「VIX」を多少図案化した態様で表示すると共に「COOKIE」と書し、カタカナ文字で「ビックスクッキー」と表示してなるものであり、このうち欧文字「COOKIE」とカタカナ文字「クッキー」は商品名を表示することから、識別機能を有する部分は欧文字「VIX」を多少図案化した部分とカタカナ文字「ビックス」の部分であり、これは欧文字「VIX」が多少図案化されていると難も、本件商標と社会通念上同一と認められる態様であって、本件商標の使用に係るものである。
(2)また、乙第2号証は被請求人が現在使用している会社案内であり、その裏表紙には前記乙第1号証に示すクッキーの写真が掲載されており、これも前記と同様に本件商標の使用に係るものである。
(3)乙第3号証は乙第1号証及び乙第2号証に示す商品「クッキー」を被請求人が取引業者へ納品した際の「物品受領書」であって、この受領書には98年(平成10年)6月及び7月の日付が納品日として記載されている。
(4)乙第4号証は乙第2号証に示す会社案内を納入(印刷)した会社が被請求人宛に発行した請求書であり、この請求書には平成9年11月の日付が請求日として記載されている。
(5)以上の事実から被請求人が、本件商標を過去3年以内に使用していることが明らかであり、請求人の主張が根拠の伴なわないものであって本件商標が商標法第50条の規定により取消される理由はない。
したがって答弁の趣旨通りの審決を相成りたく答弁します。
第3 証拠方法
被請求人は、答弁書記載のとおり乙第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出した。

第4 当審の判断
被請求人の提出に係る乙第2号証によれば、乙第2号証の裏表紙には、乙第1号証の1、2、3及び4と同じクッキーが掲載されているものである。その包装箱には、図案化された態様の「Vix」の欧文字と「ix」の文字の下に「COOKIE」と表示されてなり、また、「COOKIE」の文字の下には、「ビックスクッキー」の片仮名文字で表示してなるものである。
該文字の「COOKIE」の欧文字部分と「クッキー」の片仮名文字は、商品名である「菓子」を表示するものであることから、商品の品質を表示する部分と認められ、商品の自他識別機能を有するのは、図案化された態様の「Vix」の欧文字部分と「ビックス」の片仮名文字部分であるところ、図案化された態様の「Vix」と「ビックス」の文字は、本件商標と社会通念上同一のものと認められるものである。
そして、乙第4号証は、乙第2号証(会社案内)の印刷費の平成9年11月25日付け請求書と認められるものである。
また、それとは別に被請求人の提出に係る乙第3号証の1、2、3及び4をみるに、被請求人から得意先に宛てた「物品受領書」の写し等と認められるところ、この書類には、「年月日」の欄にそれぞれ「’980603」、「’980706」、「’980613」、「’980715」の日付と品名に「VIXクッキーバター」、「VIXクッキーチョコ」と記載され、内容、数量、受領印、備考の欄があり、各欄に必要事項が記入されている他に、受領印の欄には、得意先での商品の受領印が押されていることが認められる。
そうすると、上記の乙各号証より、本件商標は、取り引きに使用されていたものと認められる。
してみれば、被請求人の提出に係る乙各号証より、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により指定商品中の「クッキー」について使用されていたものと認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、本件審判請求は、成り立たないものとし、審判費用について商標法第56条、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-11-27 
結審通知日 2000-12-08 
審決日 2001-01-09 
出願番号 商願昭39-13469 
審決分類 T 1 31・ 06- Y (130)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 大島 護
江崎 静雄
登録日 1965-10-20 
登録番号 商標登録第687892号(T687892) 
商標の称呼 ビックス、ブイアイエックス 
代理人 足立 泉 
代理人 細井 貞行 
代理人 長南 満輝男 
代理人 早川 政名 
代理人 石渡 英房 

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