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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 116
管理番号 1037340 
審判番号 審判1999-2419 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-02-17 
確定日 2001-03-02 
事件の表示 平成 3年商標登録願第101045号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Polo Club」の文字を書してなり、第17類「織物、フェルト、その他の布地」を指定商品とし、平成3年9月30日に商標登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
登録異議の申立てがあった結果、原査定は、「申立人は世界的に有名なデザイナー『ラルフローレン』によって主宰されるアパレルその他各種の生活関連用品のメーカーであって、そのデザインに係る『紳士服、ネクタイ、眼鏡』等について、商標『POLO』、『ポロ』及び『競技中のポロプレーヤーの図形』を使用した結果、これが『ポロプレーヤーマーク』とも称されて、本願商標登録出願時には、既に取引者、需要者間において、極めて広く認識されていたものであることが認められる。
しかして、本願商標は、『Polo Club』の文字よりなるものであるが、これが全体として特定の意味合いに通ずるものとは認められず、常に不可分一体のものとして把握認識しなければならない格段の理由はなく、構成中の『Polo』の文字部分が、申立人の引用する『POLO』と同一であるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が、申立人あるいは申立人と何らかの関係ある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、他の申立理由について述べるまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとする本件登録異議の申立ては、理由があるとすべきである。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
請求人は、以下の理由を示して、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではない旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標が「POLO」標章と混同するとの理由であるが、混同の有無について反論する前に、本願商標と同一の文字を有する商標を所有し、これらが被服に使用して周知著名であることを証拠に基づき主張する。
甲第1号証は、日本経済新聞社1993年3月発行の「’92ファッションブランドアンケート」と称するレポートである。
その5頁には、メンズカジュアル部門の各商標ごとに、左側に上段の所有率、下段に購入意向率が、右側に上段の知名率、下段に一流評価率が示されている。
5頁中央位置には、「Polo Club」商標についてこれらのデータが示されるところ、「Polo Club」商品の所有率は、29.2%、購入意向率は、11.4%、知名度は、69.3%、一流評価率は、20.7%であるとされている。
同5頁上方に、日本経済新聞社がコメントするように、メンズカジュアル分野において、「Polo Club」は知名度を含めたすべてのデータにおいてトップと評価されているのである。
更に、次頁以下の質問毎のデータによれば、「Polo Club」の知名率において、最低は東京都の61.4%、最高は関東の78.4%である。また性別では男性が59.1%、女性が78.4%、年齢別では29才以下が82.7%、39才以下が78.4%とされる。
この日本経済新聞社の調査では、3割の人が「Polo Club」商標を付した商品を現に購入保有しており、全国平均で7割の人が「Polo Club」商標を知悉しており、更に地域的にはその知名度は8割にも及ぶ一方、商品購入主体とも見られる女性及び比較的若年層には全国平均で同じく8割に及ぶ知名度を有しているという結果である。
本件出願人(及びその使用権者)は本件商標を使用しているし、この調査は、甲第1号証末尾の商標リストに示される商標とともに周知著名であることを示している。
更に、翌年の「’93ファッション・ブランドアンケート」(甲第2号証)では、7頁に示されているように、メンズカジュアル部門において「Polo Club」商標の認知率は85.5%、一流評価率は21.3%、所有率34.6%、購買意向率12%とすべての項目においてトップを占めているだけでなく前年を上回る数字を上げている。
ブランド好感率(20%)については、掲載された全ブランド(60ブランド)中トップを占めており、また、知名率が前年の69.3%から80.5%に伸びて周知著名性の大きくなっていることが注目される。
更に45頁以下の質問毎のデータによれば「Polo Club」の知名率において、最低は東京都の79.1%、最高は関東の86.1%である。また性別では男性が71.0%、女性が89.9%、年齢別では29才以下が90.8%、39才以下が81.9%とされる。
この日本経済新聞社の調査では、3割の人が「Polo Club」商標を付した商品を現に購入保有しており、全国平均で8割の人が「Polo Club」商標を知悉しており、更に地域的にはその知名度は8割以上にも及ぶ一方、商品購入主体とも見られる女性及び比較的若年層には全国平均で同じく9割に及ぶ知名度を有しているという結果である。
以上の甲第1号証、甲第2号証からみた場合「Polo Club」商標の周知著名性が年々増加していることが認められる。
甲第3号証は、1993年3月31日付繊研新聞の記事「日本の有力ライセンスビジネス一覧(50音順)」である。
その3頁目右欄には、「ポロクラブ」商標が示されており、該「ポロクラブ」商標について、14社のメーカーから本願商標の商品が発表されていることが示されている(「ポロクラブ」欄に見られる「ポロクラブジャパン」なる会社は本願商標を含めて本願出願人の商標をライセンスする専用使用権者である)。
前記甲第1,2号証による周知著名性を有する「ポロクラブ」は、この甲第3号証によって業界においても、他の周知著名ブランドとともに周知著名なものとして高評価されていることが自ずと判明するところである。
甲第4号証は、矢野経済研究所発行「BRAND MARKET REPORT」で、このなかで「ポロクラブは1971年に上野衣料でスタートを切った同社のオリジナルブランドである・・・」「現在ライセンシーも13社で構成されており、小売ベースで280億円の販売高を誇っている。」「品質を重視し、ミデアムベターの価格で提案する同ブランド(ポロクラブ)は、低迷する現在の市場にあっても好調なブランドの1つといえ、今後の拡販が期待されるところである。」と説明されている。
更に、甲第5号証は同じく矢野経済研究所の「ライセンスブランド全調査1992年版」でライセンスブランド売上ランキング(上位123ブランド)に「ポロクラブ」が第33位にランクされている。
また、婦人画報社発行(昭和63年)の「男のブランド図鑑」に「poloclub/ポロクラブ」が紹介されている(甲第6号証)。
上記のとおり本件請求人(及び商標使用権者)は本件商標を使用しているから、本件商標それ自体が業界においても周知著名であることが判明する。
前記甲第3号証「ポロクラブ」の後に「ポロ・バイ・ラルフローレン」、「ポロ・フォーボーイズ」なるブランドが示されるが、このことはもとより本件商標がこれらのブランドとは明確に別異にしてオリジナルな有力ブランドとして扱われていることを示しているものである。
さらに、本件商標の使用に係る商品の販売は、従来から一流百貨店、一流スーパーを含む我が国流通業界の代表的な小売企業によって行われている。
信用を重視し、消費者に安全で良質の商品を提供するために、自ら商品試験を行うような小売企業が本件請求人の使用に係る商品を現に多量に販売しているのが実情である。
常識的にみても、このような小売企業が、第三者の業務と混同を生ずる如き商標を付した商品を継続的に取扱い、販売することはあり得ない筈である。
上記業界とともに小売業界においても、本件請求人の使用に係る商標は、他の商標とは別異にしてオリジナルなブランドとしての扱いを受けていることが明白である。
さらに、特許庁における審査においても、「ポロクラブ」「Polo Club」が、本件出願人の所有に係る周知著名な商標であると認知している。
以上のように、本件商標は取引者・需要者間において周知著名であり、業界においても周知著名な有力ブランドとして認識されており、その商品は我が国流通業界の代表的な小売企業によって大量に販売され、更にその周知著名性に只乗りする贋物の攻撃にもさらされている。
このような事情の下に、本件商標の使用が、他と、混同を生じたりする可能性は全くないというべきであるし、また、現にそのような事実もまったくない。
すなわち、本件商標は従前から「ポロクラブ」「Polo Club」として需要者・取引者において周知著名であって、オリジナルなブランドとして取扱われているものであって、構成中に「Polo」の文字を有するとしても、そのことのみによっては、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の出所について混同を生じないとの審決がなされ登録され有効に機能している。
したがって、原査定は、本件商標構成中に「Polo」の文字を有することが登録異議の申立人の引用する「POLO」と同一であるとのみ判断しているが、上述したように本件商標「Polo Club」は、「ポロクラブ」と一連に称呼され取引された結果、周知著名となったものであり、一連不可分のものとして取引者・需要者に把握認識されている事実を無視して、「POLO」との出所混同を生ずるとされることは、商標権者の努力により周知著名となった商標の著名性について何らの判断もなく、本件商標のみが「POLO」と誤認を生ずると認めることは、「Polo Club」と「POLO」が併存していて何ら混同を生じていない取引上の実態を考慮されていない結果といわざるを得ない。

4 当審の判断
(1)「POLO」商標の周知著名性について
(ア)(株)講談社 1978(昭和53)年7月20日発行「ライフカタログVol.9 男の一流品大図鑑」第184頁(別掲引用商標1)、(株)講談社 1981(昭和55)年11月20日発行「ライフカタログVol.14 男の一流品大図鑑’81年版」第12頁、サンケイマーケッティング 1983(昭和58)年9月28日発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」第208頁(別掲引用商標2)、サンケイマーケッティング 1986(昭和61)年10月30日発行「’86〜’87ザ・ブランド(海外ブランドライブラリー)」第134頁(別掲引用商標3)、日本繊維新聞社1993(平成5)年3月4日付「日本繊維新聞」(米ポロ社が提訴(偽物・類似品販売差止めで))記事、(株)集英社 1990(平成2)年5月25日発行 、ジェフリー・トラテンバーグ著、片岡みい子訳「ラルフ・ローレン物語」、1994(平成6)年発行の集英社文庫、ジェフリー・トラテンバーグ著、片岡みい子訳「ラルフ・ローレン物語」、日本経済新聞社1988(昭和63)年10月29日発行「日経流通新聞」第5面(「『ポロ』事業を独立」)記事、講談社発行「ライフカタログVol.15 ’81世界の一流品大図鑑(1981(昭和56)年5月25日発行)」第87頁、株式会社洋品界発行「月刊「アパレルファッション店」別冊1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」第123頁、ボイス情報株式会社 1984(昭和59)年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」第223頁、同書第303頁、(株)スタイル社1971(昭和46)年7月10日発行「dansen男子専科 No.108」、(株)チャネラー 1978(昭和53)年9月20日発行「別冊チャネラー’79-9/ファッション・ブランド年鑑’80年版」第61、同書130頁、(株)婦人画報社 1980(昭和55)年12月発行「MEN’S CLUB」第72頁、(株)講談社 1985(昭和60)年5月25日発行 ホットドッグ・プレス編 ホットドッグ・ブックス6「流行ブランド図鑑」第63頁、日本経済新聞1978(昭和53年)2月16日夕刊第6面の全面広告、同紙1978年(昭和53年)9月21日夕刊第8面の半面広告によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、アメリカ合衆国ニューヨーク・ブロングス、1939年(昭和14年)10月14日に生れの服飾デザイナーである。同人は、青春時代からファッションと仕立の技術を学び、兵役除隊後、1964年(昭和39年)にニューヨークで著名な、ファッションメーカーのA.リヴェッツ&Co.に加入(入社)してデビューし、 その後バイヤーとして活躍。そして同人は、1967年(昭和42年)、ネクタイメーカーのボー・ブランメル社にタイ・デザイナーとして迎えられ、同社のネクタイが好評を博し、一躍注目のネクタイ・デザイナーとなった。同人は翌年には「ポロ・ファッション社」を創立し、「POLO」の商標を付けて、同人のデザインに係るネクタイと組合せたジャケット、シャツ、セーター、スーツなどのデザインを製作開始、1970年(昭和45年)と1973年(昭和48年)に、ファッション界のアカデミー賞と称せられるコティ賞を受賞、1974年(昭和49年)には、ロバート・レッドフォード主演の映画「華麗なるギャツビー」の男性衣装を担当するなどして、同年頃までには、アメリカにおいて、服飾デザイナーとしての名声と広範な人気を得ていた。
この間、同人は、メンズウエアコレクション、ウーメンズウエアコレクション、レザーコレクション、眼鏡、香水、かばん類、カジュアルスポーツウエア・フランネルシャツ・ジーンズ等に商品展開し、他方で同人は、「アメリカファッション賞」「トミー賞」「ウールニット賞」など数々の賞を受賞した。
そして、叙上の掲載記事によれば、別掲引用商標1ないし3の各商標が使用され、これらの商標は、「Polo」の文字とともに「By Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなり、これらの各商標は、「ポロ」と略称されていたものと認められる。以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。
(イ)ボイス情報株式会社 1984(昭和59)年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」第223頁、同書第303頁、株式会社洋品界 1980(昭和55)年4月15日発行「海外ファッションブランド総覧1980年版」の第195頁の記載、日本経済新聞社1988(昭和63)年10月29日発行「日経流通新聞」第5面の、「『ポロ』事業を独立 新商品導入し総合展開」と題する記事によれば、以下の事実が認められる。
我が国においては、株式会社西武百貨店が、1977(昭和51)年に、ポロ・ファッション社を提携先とし、商標「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」に関する使用許諾契約(ライセンス契約)を結んだ。そして、1988(昭和63)年に、西武百貨店は、商品事業本部で展開してきたポロ・ラルフローレン事業を分離・独立させ、100%子会社、「ポロ・ラルフローレンジャパン」を設立した。そして、同法人は、新会社を軸にファッション製品に加え、1989年秋からハンカチ、ナイトウエアなど新しい商品群を導入して商標「ポロ・ラルフローレン」のライセンス事業をトータル展開し、百貨店、専門店ビルなどでのショッピング開設にも弾みをつけ、1987(昭和62)年330億円だった小売販売規模を5年後には800億円に拡大する計画を立てた。新会社「ポロ・ラルフローレンジャパン」の資本金は5千万円であった。
西武百貨店は、当初は、ポロ・ラルフローレン事業を、西武百貨店の店舗を中心に展開したが、1988(昭和63)年現在は、松屋、東急日本橋店、大阪の大丸、阪急など、グループ外へも事業展開し、出店を増やしている。
(ウ)朝日新聞2000(平成12)年9月22日付朝刊第5面の「POLO/RALPH LAUREN JAPAN CO.,LTD」の全面広告の記載、(株)小学館発行2000(平成12)年10月5日発行「サライ」中「紳士のブランド」の表題の、第50〜56頁にわたる「POLO by Ralph Lauren」の商標を附したジャケットの紹介記事(別掲引用商標4)にみられるように、現在は、東京都千代田区麹町2-2KIHOHビル在の法人「ポロ・ラルフローレンジャパン」が、商標「ポロ・ラルフローレン」の商品を販売していることが認められる。
ラルフ・ローレンのデザインした商品には、別掲引用商標1ないし4の各商標に挙げたように、必ずしも周知著名な「POLO」の文字だけで構成されるものに限られないが、「Polo」の文字に「by RARPH LAUREN」の文字を併記した構成よりなるもの、あるいは、「Polo By Ralph Lauren」との構成よりなるもの、あるいは「馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形」の標章との構成よりなるものであって、「Polo」の文字自体が単体、あるいは組み合わされて使用されているところ、これらの標章の中核をなすのは「POLO」の標章であることが認められ、かつ、(株)講談社1980(昭和55)年5月25日発行「ライフカタログVol.13’80世界の一流品大図鑑」第131頁、(株)講談社 1981(昭和55)年11月20日発行「ライフカタログVol.14 男の一流品大図鑑’81年版」第12頁、(株)講談社1981(昭和56)年5月25日発行「ライフカタログVol.15’81世界の一流品大図鑑」第87頁、には、「POLO ポロ(アメリカ)」の、各表題のもとに、いずれもラルフ・ローレンのデザインした紳士服が紹介されている事実が認められる。
以上の事実を総合すると、ラルフ・ローレンの服飾業界における活動及びポロ・ファッション社の世界的規模における事業展開を通じて、商標「ポロ・ラルフローレン」と、叙上の各商標は、「ポロ」と略称されており、我が国において、遅くとも本件商標の登録出願がされた平成3年までには既に、その「ポロ」、「POLO」商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類を表す商標であるとの認識が、我が国において広く需要者及び取引者の間で確立され、周知・著名となっており、その状態は現在まで継続しているものと認められる。
(2)出所の混同について
(ア)引用商標を使用の商品は、「紳士服、ネクタイ、眼鏡」等であり、ファッション関連の商品といえるところ、本件商標の指定商品は、「織物、編物、フェルト、その他の布地」であり、トータルルックあるいはトータルファッションの面からみて、本件商標の指定商品は、引用商標と互いに密接な関係のある「織物、編物、フェルト、その他の布地」が含まれている。
(イ)本件商標は、「Polo」と「Club」の文字とが、約一文字の間隙を有して一連に表されており、視覚上、2語からなることは明らかである。
(ウ)本件商標の構成前半の、「Polo」の文字部分と、前記の周知著名な引用商標「POLO」の綴りが同一であること。
(エ)本件商標の構成後半の「Club」が広く同好の士の集団を意味するごくありふれた日常用語にすぎないことから、本件商標が「ポロ」ブランドとも呼ばれることのある引用商標等のブランドの一種(すなわち、他のラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るブランドとは、男性向けと女性向け、中年向けと若者向け、フォーマルとカジュアル等対象とする顧客を異ならせたために、類似の商標ではあるものの、名称等を若干変えてあるブランド)であるものと誤解することも少なくないものと認められる。
(オ)前示のとおり、ポロ・ファッションズ社の販売又はラルフ・ローレンのデザインに係る被服類に使用する引用商標は、必ずしも周知著名な「POLO」の文字だけで構成されるものに限られないが、「Polo」の文字に「by RARPH LAUREN」の文字を併記した構成よりなるもの、あるいは、「Polo By Ralph Lauren」との構成よりなるもの、あるいは「馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形」の標章との構成よりなるものであっても、外観、称呼、観念の各観点からみて、取引者・需要者が「POLO」の文字部分に注目して、該部分より生じる称呼、観念をもって取引にあたることがむしろ多いであろうことは容易に推認されるところであるから、本件商標が「Polo Club」と書されて用いられる場合にあっても、前記認定のような引用商標自体の有する著名性に鑑みると、需要者又は取引者は、これをラルフ・ローレンの「ポロ」、「POLO」と称される商品の標章と観念するものと認めて差し支えないものというべきである。したがって、本件商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、本件商標構成中前半の「Polo」の文字部分より、周知著名な引用商標「POLO」を想起し、その商品が、ポロ・ファッションズ社の販売又はラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務と関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあるものというのが相当であり、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
(3)請求人の主張に対する判断
請求人は、前記3のなかで(1)のように主張しているが、甲各号証は、本願商標「Polo Club」「ポロクラブ」について、「POLO」「ポロ」「ポロ・バイ・ラルフローレン」とは、別のブランドの商標として知られるに至っている事実を立証するにとどまるものというべきであり、「Polo Club」ブランドないしは本願商標を使用する者が、ポロ・ファッションズ社の販売又はラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務と関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれを否定するものではないものというのが相当である。
そして、甲第3号証には、「ポロクラブ」、「ポロ・フォーボーイズ」も、「ポロ・バイ・ラルフローレン」とは別ブランドとして掲載されているのであるから、同証の記載は、「ポロクラブ」と「ポロ・バイ・ラルフローレン」の両ブランドを使用する企業同士が、何の関係もないことについて、一般の需要者が知っていたことを窺わせるものではない。
また、甲第4号証によれば、平成5年現在で、「ポロクラブ」ブランドのライセンシー(使用を許された者)は13社あり、伊勢丹、丸井等の百貨店、三峰、銀座山形屋等の専門店、ニチイ、ダイエー、忠実屋、イトーヨーカ堂、東武ストア、西友等の量販店で販売されている旨の記述がある。しかし、この事実をもって直ちに、使用商標に係る出所の混同がなかったとの証左とすることはできない。なお、前記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成10(行ケ)113号、平成11年12月21日言渡)がある。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本願商標



引用商標1


引用商標2


引用商標3


引用商標4

審理終結日 2000-12-05 
結審通知日 2000-12-15 
審決日 2001-01-15 
出願番号 商願平3-101045 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (116)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 昌彦涌井 幸一 
特許庁審判長 板垣 健輔
特許庁審判官 上村 勉
八木橋 正雄
商標の称呼 ポロクラブ 
代理人 岡村 憲佑 

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