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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない 128
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 128
管理番号 1037085 
審判番号 審判1996-21847 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1996-12-25 
確定日 2001-02-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第2358911号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2358911号商標(以下、「本件商標」という)は、「MARCHE」の欧文字と「マルシェ」の片仮名文字とを上下2段書きしてなり、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、昭和63年6月17日に登録出願され、平成3年12月25日に登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第16号証(枝番号を含む)を提出している。
(1)請求人は、昭和63年4月8日から大阪市中央区南船場3丁目5番26号において「SAKE市場MARCHE」を店名とする酒類量販店を営業している。一方、被請求人は、本件商標(甲第1号証)の商標権者であり、この商標の侵害を理由として、神戸地方裁判所に商標(同第2号証の別紙目録1ないし3)の使用差し止め請求及び損害賠償請求訴訟について請求人を被告として起こし(同第3号証)、この訴訟に請求人が敗訴すると、前記商標の使用の差し止めと損害賠償との責が生ずるので、同人は、本件を請求するに必要な法律上の利害関係を有している。
(2)請求人は、昭和63年4月8日に大阪市中央区南船場3丁目5番26号において「SAKE市場MARCHE」を店名とする酒類量販店を開店した。この開店に際して、醸造業界、酒類の販売業界のみならず、広く流通業界及び一般消費者に対して開店の事実及び店名の周知徹底をはかる為に各種媒体を用いた宣伝広告をおこなった。この広告宣伝により、すくなくても大阪府および関西を中心とする商圏においては、「SAKE市場MARCHE」または「SAKE市場マルシェ」は株式会社徳岡が自己の業務であるワイン、洋酒、日本酒等の酒類の販売に使用する商標として周知になった。酒造及び酒類販売業界の業界紙である「食料醸界新聞」の昭和63年4月4日号(同第4号証)の15面には「SAKE市場MARCHE」オープン 和洋酒・食料品店の(株)徳岡 酒文化の提案めざす新業態」と題する記事が写真2枚入りで掲載されている。業界紙である「帝飲食糧新聞」の昭和63年4月15日号(同第5号証)の11面には「SAKE市場マルシェ 徳岡がオープンSAKE文化の創造へ」と題する記事が写真3枚入り掲載されている。業界紙である「酒類飲料日報」の昭和63年3月31日号(同第7号証)には「SAKE市場マルシェをオープン徳岡」との記事が掲載されている。これらの記事によると、昭和63年3月30日にメーカーや有力卸、小売店等の関係者を招いて披露宴と専門新聞の記者に対する記者会見を行っている。この記者会見がこの2つの業界への掲載記事となったものである。このように、昭和63年3月30日の披露宴及び記者会見、これに基づく業界紙への記事掲載によって、株式会社徳岡の「SAKE市場MARCHE」または「SAKE市場マルシェ」は株式会社徳岡が使用する商標として周知になった。日本経済新聞の昭和63年3月4日号(同第8号証)の29面には「並行輸入で安く売る 円高ビジネス 活発に」と題する記事において、請求人である株式会社徳岡が、4月上旬に大阪心斎橋に直営小売店「マルシェ」を開店する記事を掲載している。この記事では「マルシュ」となっているが、これは正確には「SAKE市場マルシェ」であることは他の新聞記事からも明らかである。この記事は、単に「SAKE市場MARCHE」のオープンをしめすものではなく、当事の円高に起因する並行輸入の活発化を報道したものである。かかる記事のトップに「SAKE市場MARCHE」に関する話題が掲載されたということは、いかに請求人の株式会社徳岡がオープンした「SAKE市場MARCHE」に話題性があったかという証左になるものである。日経流通新聞の昭和63年7月2日号(同第9号証)の6面には「この店はやってます」という特集記事の1つとして「SAKE市場マルシェ」が紹介されている。この記事は、本件商標の出願日よりも後のものであるが、流行っている店を紹介するという記事の特質上、紹介記事の日付以前にはよく流行っていることが条件となる。従って、これも「SAKE市場MARCHE」の周知性を示すものの1つである。
かかる事実からも、株式会社徳岡の「SAKE市場MARCHE」又は「SAKE市場マルシェ」は株式会社徳岡が使用する商標として、少なくとも昭和63年6月17日以前において周知になっていることが証明される。また、この商標は現在も使用されており、その周知性を格段と高めていることはいうまでもない。
したがって、この周知になった時期より遅く、すなわち本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定により拒絶されるべきものであったにも関わらず、誤って登録されたのであり、本件商標は同法第4条第1項第10号違反を理由として無効とされるべきである。
さらに、株式会社徳岡の商標「SAKE市場MRCHE」は、多くの同業他社(同第10号証の1〜同第10号証の13)や業界団体である南小売酒販組合(同第11号証)によっても、昭和63年6月17日以前における周知性が証明されている。
(3)請求人は、酒類量販店の「SAKE市場MRCHE」の昭和63年4月8日の開店に先だって、同63年3月4日付で「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品とする商標「SAKE市場MARCHE′」の商標登録出願(商願昭63ー24481号)(同第12号証)をした。この商標登録出願は、平成3年1月25日に拒絶査定を受けたが、同3年2月18日に拒絶査定に対する審判を請求(平成3年審判第2549号)、同8年4月26日に出願公告決定(同第13号証)を受け同8年7月16日に出願公告されている。 この商標登録出願と本件商標とを商品の面から見ると、両者とも「酒類(薬用酒を除く)」とする点で同一である。また、両者を商標の面からみると、本件商標は、同書同大のアルファベットを一連に横書してなる「MARCHE」とカタカナを一連に横書きしてなる「マルシェ」とを2段に重ねたものである(以下、「MARCHE/マルシェ」と表記する)のに対し、商願昭63ー24481号に係る商標はアルファベットと漢字とを一連に横書きにしてなる「SAKE市場MARCHE′」である。両商標は同一の商標ではないが、「MARCHE」と「MARCHE′」とが含まれ、両者とも「マルシェ」という呼称を生じるという観点から相互に類似する商標である。
一方、請求人は、商願昭63ー24481号と同日に本件商標に類似する商標「MARCHE/マルシェ」を連合商標登録出願(商願昭63ー24484号)で出願し(同第14号証)、この連合商標登録出願は、登録第2258085号商標と類似であって、その登録商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、同法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定を受けた。なお、登録第2258085号商標(同第15号証)は、株式会社ダイエーのハウスマークである左斜め下部が欠けた円図形と、この円図形の下にDaieiの文字、さらにその下方に2段重ねの「MARCHE/マルシェ」の文字を配したものである。
上記拒絶査定に示された理由によると、「商願昭63ー24484号に係る商標『MARCHE/マルシェ』は、登録第2258085号商標と類似する。」と判断するとともに、「商願昭63ー2484号に係る商標『MARCHE/マルシェ』は、商標『SAKE市場MARCHE′』とも類似する。」という判断を下したことになる。商願昭63ー24481号に係る商標「SAKE市場MARCHE′/マルシェ」と非類似であるならば、非類似商標同士を連合商標登録出願したことになるから、前記拒絶理由の他に商標法第7条第3項違反という拒絶理由が挙げられるが、この商標法第7条第3項違反という拒絶理由が挙げられていないからには、商願昭63ー24484号に係る商標「MARCHE/マルシェ」は、商標「SAKE市場MARCHE′」とも類似し連合商標登録出願としての要件を充足していたことになる。この観点からも、本件商標は、商標「SAKE市場MARCHE′」に類似する商標であることが明確になる。ここで、両商標の出願日を見ると、本件商標の出願日は昭和63年6月17日であり、商願昭63ー24481号の出願日は昭和63年3月4日である。商願昭63一24481号の方が先願であり、先願である商願昭63ー24481号の方が先に登録商標を受け、後願である本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するとして拒絶されるべきものであったが商願昭63ー24481号の処理が遅れたためにかかる問題が生じており、本件商標は、商標法第8条第1項違反として無効にされるべきである。
(4)被請求人の答弁に対する弁駁
(イ)本件審判請求に関する限り、登録第2258085号商標(被請求人による命名ではないが、以下、便宜上「乙第1号証商標」という)は関係ない。未登録周知商標又は先願にさらに先行する類似商標登録があるとか、請求人による甲第12号証商標の使用は商標権侵害であるという主張は、本件審判に関する限りは、全く的外れの主張といわざるをえない。
被請求人の主張が間接的にせよ意味をもってくるのは、請求人の甲第12号証商標出願が拒絶又は無効とされ、それが確定したときのみである。それについては、別件(商公昭8ー82002号異議事件)で審理中であり、本来本件審判で議論される問題ではない。
(ロ)請求人が「SAKE市場MARCHE′」(同第12号証)と「MARCHE/マルシェ」(商願昭63ー24484号)(同第14号証の3)の類似を自認したことから、被請求人は、請求人が甲第12号証商標と乙第1号証商標は非類似であると主張しているし、この点についてはさらに以下のように補足する。
したがって、被請求人の主張には矛盾はなく、乙第1号証の存在は、本件審判の結果になんの影響力を持つものではない。
(ハ)「SAKE市場MARCHE′」(甲第12号証)は、「MARCHE′」の単独の称呼・観念を有するものではない。「SAKE市場」とは旧態依然たる酒屋のイメージを払拭し、新しい酒文化を創造することを意図して、請求人によって創作された言葉であり、「MARCHE′/マルシェ」は対応英単語の「MARKET/マーケット」ほどには一般日本人になじみのある単語ではないが、それでもかなり多くの日本人が知っており、「マルシェ(市場)」の観念を有する。したがって、それ自体顕著性に乏しい言葉であり、甲第12号証は「SAKE市場」と「MARCHE′」の結合商標であって、各構成要素に切り離されるべきではなく、常に一体として認識され、かつ、使用されるべきものである。
一方、乙第1号証は、「MARCHE/マルシェ」以外にも「左下が斜めに欠けた円」の図形とその下に書かれた「Daiei」の文字があり、この部分が被請求人の社標として特徴的であり、乙第1号証は、単なる「マルシェ」ではなく、「ダイエーのマルシェ」という称呼・観念を生じさせるものである。乙第1号証が、「ダイエーのマルシェ」と称呼されると考える別の根拠として、乙第1号証にさらに先行する登録第1493401号の「Marche de Miyako」という商標の存在をあげる(甲第15号証)。乙第1号証と甲第15号証とが並立して登録され、社会的にも何等不都合を生じさせていないという事実は、「都(ホテル)のMarche」と「ダイエーのMarche」は非類似であると一般社会においても認識されている。その他、乙第1号証及び甲第12号証よりも後願に係る商標であるが、登録第2251637号の「マルシェグループ/MARCHGROUP」、登録第2563356号の「Bon Marche」、登録第2592000号の「VILLA MARCHE」という登録例(甲第16号証)もある。これらの各登録の相互関係をみるとき、甲第1号証は乙第1号証と非類似であることは明白である。
(ニ)請求人が「SAKE市場MARCHE′」(甲第12号証)と「MARCHE/マルシェ」(商願昭63ー24484号)の類似を自認したことと、甲第12号証と乙第1号証の非類似を主張することは矛盾するものではない。請求人の考えでは、上記各商標(甲第1号証、同第15号証、同第16号証、乙第1号証)の類似関係を説明すると、「MARCHE/マルシェ」の単独商標はそれ以外の各商標と類似するが、「MARCHE/マルシェ」の単独商標を除く各商標は相互に非類似である。請求人の考えでは、本件商標は甲第15号証とも類似し、本件商標無効審判請求の理由として、先行する甲第15号証が存在していたという事実も付加する。甲第15号証は、乙第1号証とは非類似であり、本件商標とは類似であり、上記したように、甲第15号証は「都(ホテル)のMarche」の観念を有するので、「ダイエーのMarche」のように、何か他に特定できるMarcheであれば、非類似と考えられるが、何も特定されないMarcheとは類似するといわざるをえない。甲第1号証は他に何も特定する要素のないMarcheである。その他、甲第15号証は出願日が甲第1号証の出願日に先行すること、指定商品が同一又は類似であることはいうまでもない。
したがって、本件商標は、甲第15号証が存在するにも拘わらず、商標法第8条第1項(登録後は4条第1項第11号に該当)の規定に違反して登録されたものであり、無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「請求人は、平成8年12月25日提出の審判請求書において、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第8条第1項に該当するので無効とされるべきであると主張しているが、請求人のこの請求理由は次に述べる理由により成立しないものである」と答弁し、その理由を次のように述べている。
(1)本件審判の請求理由において、請求人は、本件商標が、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである旨主張し、その根拠として、甲第12号証に示す請求人の「SAKE市場MARCHE′」商標の出願(以下、「出願商標」という。)を引用しているが、その出願日は、請求人の本件出願商標が昭和63年3月4日であり、被請求人の本件商標が、それよりわずか3ヶ月と13日後の昭和63年6月17日である。商標法第8条第1項の先願規定を、二者のみにおいて比較する限り、本件商標の出願日より後であり、第8条第1項に該当するかの如き観を呈している。
しかしながら、被請求人は、ここに、本件商標が旧法下において本件出願商標の出願以前に出願され登録された被請求人の所有する登録商標の連合商標として登録されている事実を指摘し、請求人の主張が出願の大きな流れの一点を随意に切断した自らに好都合なものに過ぎないことを立証する。
被請求人は、登録第2258085号商標、昭和63年3月4日出願及び本件商標の流れから昭和63年3月4日出願及び本件商標を切断して対比させ、第8条第1項の主張を行っているものであり、被請求人は、請求人の昭和63年3月4日出願が被請求人の本件商標と類似であると主張する。そうだとすれば、昭和63年3月4日出願は、当然被請求人の登録第2258085号商標により拒絶されるべきものであり、かつ、請求人の昭和63年3月からの使用の主張は、被請求人の登録第2258085号商標に対する侵害行為を形成するもの以外のなにものでもないということになる。さらに、請求人は、審判請求書において、「商願昭63ー24484号に係る商標『MARCHE/マルシェ』は、商標『SAKE市場MARCHE′』とも類似し連合商標登録出願としての要件を充足していたことになり、この観点からも、本件商標は商標『SAKE市場MARCHE′』に類似する商標であることが明確になる。」と主張している。つまり、その主張は「SAKE市場MARCHE′」の商標からは「マルシェ」の単独の称呼が生じることを請求人自らが認めていることであり、そのことは被請求人の先の登録第2258085号商標と「SAKE市場MARCHE′」との類似をもまた認めていることでもある。なお、請求人の述べる上記商標登録願昭和63年第24484号商標は、被請求人の登録第2258085号商標の引用により、すでに拒絶が確定しており、請求人の本件商標に対する商標法第8条第1項の請求理由は、大いなる矛盾を含むものである。
(2)周知性主張のために提出された最も早期の証拠は、甲第8号証であるが、これは本件商標の出願日よりわずか3ヶ月と13日前の発行の「日本経済新聞」の記事一つのみで、その直売店の一例として請求人の直営小売店「マルシェ」が小さく掲載され、そこには「SAKE市場MARCHE′(マルシェ)」の商標は全く記載されておらず、日本経済新聞の記事により「SAKE市場MARCHE′(マルシェ)」が一般需要者の間で周知になった等ということは考えられない。請求人の提出する甲第4号証〜同第8号証のいわゆる「SAKE市場MARCHE′」及び「SAKE市場マルシェ」の開店を報じている新聞は、主として「食料醸界新聞」「帝飲食糧新聞」「食品産業新聞」「酒類飲料日報」の業界紙であり、その記事もそれぞれ一回きりのように見受けられ、それぞれ一回きりの記事の掲載のみで「SAKE市場MARCHE′(マルシェ)」の商標が需要者に周知されたということはできないものであり、日経流通新聞(甲第9号証)は、昭和63年7月2日の発行で、本件商標の出願日(昭和63年6月17日)以後の発行になるものであるから証拠性はなく、証明書(甲第10号証)は、単に請求人の同業者あるいは取引会社による証明に過ぎないものであり、しかも、請求人の地元である大阪の「南小売酒販組合」の証明書(甲第11号証)の別紙「証明書」に見られるように「昭和63年(1988年)3月30日に・・本組合…関係役員数名が貴社現場に招待され、その場所において始めて「SAKE市場MARCHE′」の商標が称呼され、それを認知した。なお、本組合発行の「四十路のみちのり」…においても「昭和63年『マルシェ』を心斎橋に開店」の旨記録しています。」のように、昭和63年6月17日以前に「SAKE市場MARCHE′」が開店したことは認めているが、周知であったとは全く言及されておらず、請求人が平成9年3月12日に提出した差出書に添付された大阪商工会議所の平成8年12月27日付証明書もまた単に事実証明であり、周知証明たり得ないもので、「SAKE市場MARCHE′」が本件商標の出願日以前に周知であったという請求人の主張は認められない。

4 当審の判断
(1)本件商標が商標法第8条第1項に該当するか否かについて
請求人が、本件商標より先願であり、商標法第8条第1項に該当する根拠としている「平成3年商標登録願第24481号商標」(拒絶査定不服審判平成3年第2549号)は、職権により調査したところ、最終的に最高裁判所でなされた判決(平成12年行ツ第43号、同12年行ヒ第47号)において上告が棄却され、拒絶査定が確定しているものである。
してみれば、請求人が本件商標を商標法第8条第1項に該当するとした理由はないものとなった。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するか否かに
ついて
請求人は、「SAKE市場MARCHE」なる標章が、本件商標の出願日以前に需要者間に周知であったことを立証する証拠として、甲第1号証から同第16号証までを提出している。
しかしながら、上記証拠のうち甲第4号証から同第9号証は各種新聞であるが、そのほとんどは一般世人が接する機会の薄い「食料醸界新聞」(甲第4号証)、「帝飲食糧新聞」(甲第5号証)、「食品産業新聞」(甲第6号証)、「酒類飲料日報」(甲第7号証)等の業界紙であり、その記事もそれぞれー回きりのものと推測されるものである。そして、「日本経済新聞」(甲第8号証)は、本件商標の出願日よりわずか3ヶ月前の発行のものであり、そこには「SAKE市場MARCHE(マルシェ)」の商標は全く記載されていない。さらに、日経流通新聞(甲第9号証)は、昭和63年7月2日の発行で、本件商標の出願日(昭和63年6月17日)以後の発行のものである。また、甲第10号証から同第11号証の証明書は、請求人が一定の形式を作成した上で、同業者あるいは取引会社に一律に証明を求めたにすぎないものであるから、証明力の乏しいものといわざるを得ない。
そうとすれば、提出されている上記証拠だけでは、請求人の「SAKE市場MARCHE(マルシェ)」なる標章が、本件商標の登録出願時に請求人の業務に係る標章として、取引者・需要者間に周知なものであったとは認め難い。
(3)結論
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえず、同法第46条第1項によっては、その登録を無効とすることはできない。
よって結論のとおり審決する
審理終結日 2000-11-06 
結審通知日 2000-11-17 
審決日 2000-12-20 
出願番号 商願昭63-69149 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (128)
T 1 11・ 25- Y (128)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 晟二郎三浦 芳夫 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 小池 隆
佐藤 久美枝
登録日 1991-12-25 
登録番号 商標登録第2358911号(T2358911) 
商標の称呼 マルシェ 
代理人 竹内 卓 
代理人 岡本 昭二 
代理人 下坂 スミ子 

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