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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z03293032 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z03293032 |
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管理番号 | 1033539 |
異議申立番号 | 異議2000-90444 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-04-21 |
確定日 | 2001-01-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4348420号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4348420号商標の指定商品中「第3類 せっけん類,おしろい,化粧水,クリーム」についての商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4348420号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年6月3日に登録出願され、「絹フィブロイン」の文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,おしろい,化粧水,クリーム」、第29類「乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと,こんにゃく,豆乳,豆腐」、第30類「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「ビール,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、平成11年12月24日に設定登録されたものである。 2 本件商標に対する取消理由の要点 本件商標は、その指定商品中「第3類 せっけん類,おしろい,化粧水,クリーム」については、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 3 商標権者の意見 上記2の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。 商品「せっけん類、おしろい、化粧水、クリーム」の一部に「フィブロイン」成分を含むものが存在していたとしても、これらは一般的ではなく、本件商標「絹フィブロイン」は、指定商品「せっけん類、おしろい、化粧水、クリーム」に関して、商標法第3条第1項第3号が規定する「その商品の原材料、品質」を表示するに該当するものではない。 また、「フィブロイン」は、有機化学の一分野において使用される専門用語であって、少なくとも日常的に使用されている言葉ではなく、前記専門分野外の一般の者が、その意義を認識しているものではない。 したがって、本件指定商品に係る需要者又は取引者は、「絹」についてはその一般的意義を理解できるものの、「フィブロイン」については、通常その意義を認識するものではなく、本件商標「絹フィブロイン」は、本件指定商品に係る一般需要者又は取引者に対して、「硬蛋白質の1つ。セリシンとともに、昆虫とクモ類のまゆ糸の主成分」との認識を与えるものではないといえる。 よって、本件商標は、その指定商品中「せっけん類,おしろい,化粧水,クリーム」について、品質の誤認を生じさせるおそれがあるものではなく、商標法第4条第1項第16号の規定に該当するものではない。 以上のように、本件商標の登録は商標法の規定に違反するものではなく、その登録は維持されるべきものである。 4 当審の判断 本件商標は、上記に示すとおり「絹フィブロイン」の文字を書してなるものであるところ、登録異議申立人提出の証拠を徴するに、絹繊維の主成分であるタンパク質のことを「フィブロイン」といい、これが「絹フィブロイン」とも称されていること及び該「絹フィブロイン」を粉末状にしたものが、「シルク末」「シルクパウダー」と称されていることが認められる。 さらに、「絹フィブロイン」(シルクパウダー)は、「清浄用化粧品,頭髪化粧品,基礎化粧品,メークアップ化粧品,芳香化粧品,日焼け・日焼け止め化粧品,爪化粧品,アイライナー化粧品,口唇化粧品,口腔化粧品,入浴用化粧品」の原材料として用いられ、現に「パック用化粧品」「ボディ&ヘア シャンプー」に配合されていることも認められる。 そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品中の第3類「絹フィブロイン(シルクパウダー)配合のせっけん類,同おしろい,同化粧水,同クリーム」に使用した場合、これに接する取引者・需要者に、「絹フィブロインが配合されている商品」であることを表示したものとして理解されるに止まると判断するのが相当である。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品中前記商品に使用するときは、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものであり、前記商品以外の「せっけん類,おしろい,化粧水,クリーム」について使用するときは、その商品の品質、原材料について誤認を生じさせるおそれがある。 なお、商標権者は意見書において、取消理由に係る商品の一部に「フィブロイン」成分を含むものが存在していたとしても、これらは一般的ではなく、該「フィブロイン」の語は、有機化学の一分野において使用される専門用語であって、少なくとも日常的に使用されている言葉ではないから、本件商標は、商品の原材料、品質を表示するものではない旨主張する。 しかしながら、「絹フィブロイン」の語は一般的に広く親しまれているものとまではいえないにしても、これが化粧品やシャンプーの原材料として現に使用されていることは前記認定のとおりであり、そして、指定商品に係る原材料名が、仮に、現実に使用されておらず、或いは、一般には知られていない場合であっても、将来原材料名として使用されて、取引者・需要者間において商品の原材料名であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることは適切ではないと判断されるときには、その原材料名は商標法第3条第1項第3号に該当すると解される(東京高裁平成11年(行ケ)第410号判決参照)から、この点からも、商標権者の上記主張は採用することができない。 また、乙第3号証の登録例は、本件と事案を異にするものであるから、前記認定を左右するものではない。 したがって、本件商標の指定商品中「第3類 せっけん類,おしろい,化粧水,クリーム」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-12-07 |
出願番号 | 商願平10-45941 |
審決分類 |
T
1
652・
272-
Z
(Z03293032)
T 1 652・ 13- Z (Z03293032) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 吉田 静子 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
宮下 行雄 江崎 静雄 |
登録日 | 1999-12-24 |
登録番号 | 商標登録第4348420号(T4348420) |
権利者 | エンザミンインターナショナル株式会社 |
商標の称呼 | キヌフィブロイン、フィブロイン、キヌ |
代理人 | 西山 善章 |