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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z11
審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z11
管理番号 1033409 
異議申立番号 異議1999-91389 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-15 
確定日 2000-12-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第4287053号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4287053号商標の指定商品中「浴槽ユニット,浴槽類,便所ユニット」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4287053号商標(以下、「本件商標」という。)は、標準文字により、平成10年1月21日に登録出願、「ノングレーチング」の文字を横書きしてなり、第11類「ボイラー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,便所ユニット,浴室ユニット,浴槽類,汚水浄化槽,し尿処理槽,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,洗浄機能付き便座,便器,太陽熱利用温水器,太陽熱利用給湯装置」を指定商品として、平成11年6月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標に対し、登録異議申立人3者によって申立てられた登録異議の申立理由は要旨つぎのとおりである。
本件商標は、指定商品中「浴室ユニット,便所ユニット及び浴槽類」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質を表示した語と認識するに止まるから、該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるので、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。
本件商標を構成する「ノングレーチング」の文字は、登録異議申立人提出の甲各号証によれば、浴室ユニット等を製造する業界においては、浴室等の出入口段差の解消において、その周囲にグレーチング付き排水溝を設ける従来構造に対して、近時、安全性、掃除の便から、ドアの水密性改善などの技術により、これをなくしたタイプの製品を「ノングレーチング(式・構造)」と指称して取引上普通に使用している事実を認め得るところである。
してみれば、本件商標をその指定商品中「ノングレーチング機構を備えた商品」について使用する場合は、単に該商品の品質、構造又は機能を表示したものと理解されるに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、また、前記機構を備えた商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、これに違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記取消通知に対して、要旨つぎのように意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
本件商標は、商標権者において新たに創案された一種の創造語であるから、自他商品の識別標識としての機能を果たさないということはできないものと思料する。また、申立人の提出の「ノングレーチング」に係る同業他社の商品カタログがいずれも平成10年末から同11年にかけてのものであり、商標権者の商品発売又は本件商標の登録以降のものである旨述べ、本件商標は、これをその指定商品中の「システムバスルーム」について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たしうるものであり、それ以外の商品について使用しても商品の品質誤認を生ずるおそれはなく、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものと確信する。

5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当であって、その認定の誤りを述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。
すなわち、本件商標は、「ノングレーチング」の文字を書してなるところ、「グレーチング」の文字(語)は、登録異議申立人提出の財団法人日本住宅リフォームセンター及び財団法人住宅金融普及協会、平成3年5月(再版)発行及び財団法人日本住宅リフォームセンター、平成5年6月(第3版)発行の「高齢化対応 住宅リフォームマニュアル」(平成11年10月15日付登録異議申立書における甲第2号証、同第3号証)、財団法人高齢者住宅財団、平成7年11月10日発行の「長寿社会対応住宅設計マニュアル 戸建住宅編」(同第4号証)及び同「集合住宅編」(同第5号証)等において「排水溝の蓋」の意味合いで使用され、かつ、浴室の出入口段差の解消の解説がなされていることが認められる。そして、本件商標はこれに「無、不」の意味の接頭語である「ノン」を冠したものであって、全体として「排水溝の蓋(グレーチング)が無い」ことの意味合いを容易に認識、理解させるものである。
そうすると、浴室ユニット等に「ノングレーチング」の文字(語)を使用すれば、これに接する取引者、需要者は、上記「住宅リフォームマニュアル」等よりして、安全性、利便性の点から、従来のグレーチング付きの排水溝を備えたものから、グレーチングを有しないもの、すなわち、排水溝の構造自体にグレーチングを要しないタイプの商品であるものとして捉えるというのが自然である。
また、同業他社の商品カタログがいずれも平成10年末から同11年にかけてのものであるとしても、これらタイプの製品を「ノングレーチング(式・構造)」と指称して取引上普通に使用しているものであるから、これをもって商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが取引の実情よりみて相当である。
してみれば、商標権者において新たに創案された一種の創造語である本件商標をその指定商品中の「システムバスルーム」について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たしうるものである旨述べる商標権者の主張は、前記各事情に照らし採用の限りでない。その他、商標権者の主張を認めるに足りる証拠はない。
そして、本件商標をノングレーチング機構を備えた商品以外の「浴槽ユニット,浴槽類,便所ユニット」について使用するときは、あたかも該商品が上記仕様のものであるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、指定商品中の「浴槽ユニット,浴槽類,便所ユニット」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-10-16 
出願番号 商願平10-4108 
審決分類 T 1 652・ 13- ZC (Z11)
T 1 652・ 272- ZC (Z11)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 松本 はるみ池田 光治 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高野 義三
原 隆
登録日 1999-06-25 
登録番号 商標登録第4287053号(T4287053) 
権利者 日立化成工業株式会社
商標の称呼 ノングレーチング 
代理人 鈴木 ハルミ 
代理人 中村 盛夫 
代理人 金子 茂 
代理人 小川 勝男 
代理人 小川 順三 
代理人 後藤田 章 
代理人 若林 邦彦 

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