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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z09 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z09 |
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管理番号 | 1033387 |
異議申立番号 | 異議1999-91217 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-09-13 |
確定日 | 2000-12-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4282524号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4282524号商標の指定商品中「電気通信機械器具」についての商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4282524号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字による「Hi-POWER REAL」の文字を書してなり、平成10年4月6日にに登録出願され、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成11年6月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 本件商標は、その指定商品中の「高出力、かつ、再生される音声が原音に近い電気通信機械器具」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質を表示した語と認識するに止まるものであり、該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記の品質を有しない商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 したがって、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」についての登録を取り消されるべきものである。 3取消理由 本件商標は、商品の品質を表示するものであり、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」についての登録を取り消されるべきものである。 4 商標権者の意見 本件商標は、「HI-POWER REAL」の各文字からなるものであるが、構成中の「HI-POWER」の語は、株式会社研究社が携帯版第5刷1978年に発行した現代英和辞典「HIGH-POWER(ed)」によれば、「高性能の、質のすぐれた」の意味を有する語として広く知られているものであることを否定するものではないが、この語が「電気通信機械器具」の商品について使用される場合、例えば「ハイパワーアンプ」に示されるように「高性能のアンプ」或いは「質のすぐれたアンプ」を意味するものとして、必ず商品に冠され、そして商品と結合して使用されるものである。 また、挙証されている「ハイパワー」の文字は、本件商標中の「Hi-POWER」の文字とは態様が相違するものである。 構成中の「REAL」の語は、株式会社研究社が携帯版第5刷1978年に発行した現代英和辞典によれば「実在する,現実の;客観的な;真の,本物の,本当の;心からの」の意味を有する語として、また、株式会社岩波書店が1988年10月11日に発行した広辞苑によれば「リアル」の語は「実際に存在するさま。現実的。実在的。真に迫ったさま。写実的。」の意味を有する語として広く知られているものであることを否定するものではないが、この語が「電気通信機械器具」の商品について使用される場合、申立人が挙証される自社発行の甲第4号証及び甲第5号証で挙示されるように「リアルでしかも聞きやすいサウンド」或いは「リアルなサウンド」のように、必ず商品 (この場合は「サウンド」)を形容して使用されるものであり、商品そのものを表示するものではないものである。 そしてまた、挙証されている「リアル」の文字は、本件商標中の「REAL」の文字とは態様が相違するものである。 本件商標は、前記「Hi-POWER」の語と「REAL」の語とを結合して「Hi-POWER REAL」と連綴した一種の造語であるから、その意味は漠然とした抽象的なものであり、必ずしも明確ではなく、商品の品質、機能等を具体的に表すものとして、取引市場において直ちに理解され、認識されるとは言い得ないもので、「電気通信機械器具」に使用しても十分に自他商品を区別する為の識別力を有するもので、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。 商標権者は、本件商標がどうして「高出力、かつ、再生される音声が原音に近いアンプ」等と容易に理解され、認識されるにすぎないとされるのか、理解に苦しむものである。 商標が、単に商品の品質を表示するにすぎないとされる為には、その商品の品質が直接的、かつ、具体的に表示されたものでなければならない、とされているところから、本件商標がそれに該当するとは思われない。 商標権者は、「電気通信機械器具」を取り扱う業界において、本件商標が例えば「高出力、かつ、再生される音声が原音に近いアンプ」等の意味合いを表示するものとして普通に使用されているか、いないかを詳細に調査したが、そのような表示をするとして普通に使用されている事実を発見することができなかった。 そうすると、本件商標が「高出力、かつ、再生される音声が原音に近いアンプ」等と容易に理解し、認識するにすぎないとされるようなことはあり得ない。 そうしてみれば、本件商標は、商品「電気通信機械器具」に使用しても自他商品の識別標識としての機能を十分果たし得るものであって、かつ、「電気通信機械器具」中のいかなる商品に使用しても商品の品質について誤認を生じさせるおそれも全くなく、したがって、商標法第4条第1項第16号にも該当しないものである。 なお、商標権者は、乙第1号証乃至乙第3号証に示す様に「Hi-POWER REAL」の態様をもって商品「ビデオテープ」に平成10年9月21日から使用しているが、この種業界において何等混乱を来すこともないもので、この事実をもってすれば、本件商標は、十分識別力を有するものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせることもなかった。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。 5 当審の判断 本件商標は、「Hi-POWER REAL」の欧文字を横書きしてなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とするものであるところ、申立人の提出に係る甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証によれば、「ハイパワー」の語が「高出力」を意味するものとして商品「アンプ」に使用されている事実が認められ、また、甲第4号証及び甲第5号証の申立人の発行するカタログによれば、「リアル」の語が「再生される音声が原音に近い」という意味合いをもって商品「ビデオカメラ、テレビジョン受信機」に使用されている事実を認めることができる。 しかして、商標権者も自認するように「ハイパワー」の語は、「高出力、高性能の、質のすぐれた」を意味を有するものであり、本件商標構成中の「Hi-POWER」の文字部分に容易に通ずるものとして一般に知られ親しまれているものであり、「リアル」の語は、「実在する,現実の,客観的な,真の,本物の,本当の,心からの」の意味を有するもので、本件商標構成中の「REAL」の文字部分に容易に通ずるものとして一般に知られ親しまれたものである。 してみれば、本件商標の指定商品を取り扱う実際の取引の場において、片仮名文字により表記されているとしても、本件商標は、これを良く知られ親しまれている英語により表したものであると容易に把握、認識されるものであり、使用の事実が片仮名表示で前記意味合いを認識させるにすぎないものが英語表示であることからその構成態様を相違するとしても、本件商標が片仮名表記と同一の意味合いを認識させるにすぎず、他の意味合いを表すものとは認められない。 また、本件商標の指定商品中「音声周波機械器具,映像周波機械器具,磁気テープ,磁気ディスク,その他の電気通信機械器具」を取り扱うこの種業界において、その商品の品質、性能、機能について、自然界などの音、映像を収録、再生するにあたっては、人間の視覚、聴覚等と同一の品質のもの、真実の音・映像と同質のものを再生、再現することを追求しているところ、「電気通信機械器具」は、そのことを実現するために用いられる機器ともいい得るものでもあり、また、「真の音声(映像)を実現することが可能であること」等を表示するための語をこの種商品について屡々用いられていることは、取引の実際の場において良く経験するところである。 そうとすると、前記意味合いを有する「Hi-POWER」の語と「REAL」の語とを連綴したにすぎない「Hi-POWER REAL」の文字よりなる本件商標に接する取引者・需要者は、これより「高出力、かつ、再生される音声(映像)が原音(原画)に近いものである。」、「高性能で、真実(実際)の音(映像)を再生する。」等の意味合いを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品中、例えば、「高性能で、再生される音声、映像が原音(原画)に近い機能を有するアンプ、ビデレコーダー、ビデオテープ・その他の音声周波機械器具・映像周波機械器具・その他の電気通信機械器具」について使用するときは、「高出力、かつ、再生される音声(映像)が原音(原画)に近い機械器具」であることを端的に表すものであることを認識させるにとどまり、単にその商品の品質、機能を誇称的に表示するにすぎないもので自他商品の識別標識としての機能を果たさないものというべきであり、また、前記商品以外の「電気通信機械器具」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本件商標は、その指定商品中の「電気通信機械器具」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、上記商品については、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する |
異議決定日 | 2000-10-17 |
出願番号 | 商願平10-28802 |
審決分類 |
T
1
652・
272-
Z
(Z09)
T 1 652・ 13- Z (Z09) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 柳原 雪身 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
江崎 静雄 宮下 行雄 |
登録日 | 1999-06-11 |
登録番号 | 商標登録第4282524号(T4282524) |
権利者 | ティーディーケイ株式会社 |
商標の称呼 | ハイパワーリアル、パワーリアル、リアル |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 藤井 紘一 |
代理人 | 依田 孝次郎 |
代理人 | 内藤 浩樹 |