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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z09
管理番号 1029790 
異議申立番号 異議1999-90329 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-08 
確定日 2000-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第4208831号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4208831号商標の登録を取り消す。
理由 1.本件商標
本件登録第4208831号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年7月4日に登録出願され、「手のひらにパイロット」と「Palmpilot」の文字を二段に横書きしてなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池、電気磁気測定器,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,ロケット,遊園地用機械器具,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,金銭登録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,ビリングマシン,計算尺,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同10年11月6日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申立ての理由
本件商標中の「Palmpilot」の文字部分は、3Com社及び異議申立人(以下「申立人」という。)であるパーム コンピューティング社の製造・販売に係る商品「携帯情報端末(PDA)」に付される商標として、本件商標の登録出願時から現在に至るまで、取引者・需要者の間に広く認識されている商標である。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されている商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3.本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するものとして取消理由を通知した。

4.商標権者の意見
(1)本商標権は、商品開発上の必要性及び、U・S・Robotics(申立人も関与する)の商品が一般消費者に商標権者の商品との誤認混同を起したため、あるいは起すおそれがあるため、使用中止を求める警告を行なったにもかかわらず、申立人が商標権者の登録商標に類似する商標を使用しようとしたことを阻止するため、出願したものである。
(2)申立人と一体である U・S・Roboticsが、商標権者の警告にも応ぜず、商標権者の商標権を侵害する商標を付した商品を販売していたにも関わらず、本件商標を「広く知られていた商標」であると述べているが、本件商標の出願日以前に「広く知られていた」という証拠は示されていない。
(3)商標権者と申立人等との間で和解交渉を進めた結果、3Comが「Pilot」及び「PalmPilot」を使用しない旨の和解契約が成立した(乙第6号証:1998年6月1日発行のパソコン誌「PCファン」の記事参照)。
(4)3Comは、商標権者と和解以降、新規商品を「PalmIII」の商標で販売している。
(5)商標権者が問題としたいのは、3Com及びU・S・RoboticsがPDAに使用している商標が乙第4号証に示すように、明らかに商標権者の登録商標を侵害するものであるという事実である。侵害している商標を使用し、再三にわたる警告を受けたにもかかわらず使用を継続し、本件商標の出願日以降に広く知られた状況になっても、それをもって商標法第4条第1項第19号に相当する出願であるとするのは、不適切であるといわざるを得ない。
(6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

5.当審の判断
(1)商標法第4条第1項第19号の規定は、日本国内のみならず外国において取引者、需要者に広く認識されていることが日本国内において知られているものも対象となるものと解されるところ、申立人の使用商標「PalmPilot」に関するものとして、商標権者自身の提出に係る乙第9号証(1997年5月14日付日経新聞)によれば「米国では、『パームパイロット』はアップルコンピューターの『ニュートン』と並びベストセラーとなっている。」との記事が掲載されている。
また、申立人提出の甲第2号証の11(insync 創刊号)によれば「昨年の11月末、1996年の発売開始以来わずか18ヶ月で、PalmPilotの総出荷台数が100万台を突破しました。これほどの短期間での100万台達成は、コンピューター関連機器では初の快挙です。」との記事が掲載されている。
以上二つの掲載記事をみる限り、申立人の使用商標「PalmPilot」は、本件商標の出願前よりアメリカ合衆国において、商品「PDA(携帯情報端末)」に使用され取引者、需要者に広く認識されている事実が認められるものであり、かつ、商標権者と3Com、申立人及びU・S・Robotics社との係争関係からみて、商標権者はこれらの事実を十分に認識した上で本件商標を出願したものと推認される。
(2)商標権者は申立人等との間で、「Pilot」及び「PalmPilot」については使用しない旨の和解契約が成立したと主張しているが、その事実を証する書面として提出された乙第6号証の雑誌「PCfan(ピーシーファン)」には、「この和解を受けて3Comでは、新製品の名称で『パイロット』を使わないことを決定している。」との記述はあるが、「PalmPilot(パームパイロット)」については言及していない。
(3)商標権者は、「3Comは、商標権者と和解以降、新規商品を『PalmIII』の商標で販売している。」旨主張し、その事実を証する書面として甲第2号証の12(insync Vol.2)を援用しているが、同号証の同じ頁には、「PalmPilot」に関する記事が多数掲載されている。
そして、甲第2号証の11乃至甲第2号証の13(insync 創刊号〜insync Vol.3)に掲載された記事から判断するに、「PalmIII」は「PalmPilot」と並行して販売された商品であり、「PalmPilot」は現在も販売され、かつ、人気商品である事実が認められる。
(4)以上の事実よりすれば、商標権者は申立人の使用商標「PalmPilot」が、本件商標の出願前よりアメリカ合衆国において著名であった事実を知りながら、申立人の使用商標「PalmPilot」と同一の構成よりなる商標をその商標中に有する本件商標を出願したものであり、商標権者が本件商標を採択使用する行為は上記3.で通知した取消理由に係る所定の要件を満たすものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-08-21 
出願番号 商願平9-134594 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (Z09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 中田 みよ子 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 宮下 行雄
江崎 静雄
登録日 1998-11-06 
登録番号 商標登録第4208831号(T4208831) 
権利者 株式会社パイロット
商標の称呼 テノヒラニパイロットパームパイロット、テノヒラニパイロット、パームパイロット 
代理人 太田 恵一 

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