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審決分類 |
審判 全部無効 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 無効としない 035 |
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管理番号 | 1029186 |
審判番号 | 審判1998-35577 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-11-20 |
確定日 | 2000-11-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4103723号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第第4103723号商標(以下、「本件商標」という。)は、「株式会社ジャパンアウトソーシング」の文字を横書きしてなり、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,人材派遣による貸借対照表・損益計算書等の財務に関する書類の作成その他の財務の処理,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,速記,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,秘書」を指定役務として、平成7年10月12日登録出願、同10年1月16日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)本件商標は、「株式会社ジャパンアウトソーシング」の文字を横書きしてなるものである。しかしながら、「株式会社」の語は法人格を表わす語として普通に用いられているものである。また、「ジャパン」が「日本」を意味する英語であり、著名な地理的名称(行政区画名)であることは明らかである。そして、「アウトソーシング」の語は英語「OUTSOURCING」の表記であって、我が国でも「(業務の)外部委託」といった意味合いで普通に用いられている。 (2)「アウトソーシング」は英語「OUTSOURCING」を片仮名で表記したものであって、「業務の一部を他社に委託すること」という意味で使用されている(甲第2号証)。 そして、甲第3号証は通産省作成の資料「我が国におけるアウトソーシングの現状とその背景」であり、甲第4号証は社団法人ニュービジネス協議会作成の資料「アウトソーシングに関するアンケート調査結果報告書」、甲第5号証は財団法人雇用情報センター作成の資料「アウトソーシング等社外資源の活用に関する調査研究報告書」である。即ち、官庁や公益団体がその資料中で「アウトソーシング」の言葉を上記した意味合いで用いている。 また、これらの事業は「アウトソーシング産業」(甲第3号証)、「アウトソーシング・ビジネス」などと呼ばれている(甲第5号証)。これらは、「アウトソーシング」がいわゆる業種名を表示するものとしても用いられている例である。 更に、他の企業が外部に委託する業務を受託して処理することを専門とする事業所が増えるに伴い、「アウトソーシングサービス」「アウトソーシング会社」といった用語も普及してきている(甲第9号証、甲第10号証、甲第11号証の1、甲第11号証の3、甲第11号証の7、甲第11号証の9、甲第15号証の1、甲15号証の2、甲第20号証)。 上記各甲号証の記載は、「アウトソーシング」が外部委託業務を受託して処理することを専門とする事業についての業種名となっていることを示している。 (3)本件商標の指定役務には、「文書又は磁気テープのファイリング」「電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」をはじめとして、外部委託の対象となるものが多く含まれている。したがって、それらの役務について「アウトソーシング」の語は「業種名」に相当し、単に当該役務に関する外部委託を受託して処理する者であることを認識させるに止まるものである。 したがって、業種名に著名な地理的名称(ジャパン)と株式会社の文字を結合してなるにすぎない本件商標は、全体として、ありふれた名称であるから、商標法第3条第1項第4号にいう、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。 また、仮に「アウトソーシング」の語が業種名として通用するまでには至っていないとの前提に立ったとしても、業務の外部委託を意味する言葉として定着していることは上述のとおりであるから、「文書又は磁気テーブのファイリング」等の役務に使用しても、単に受託により当該役務を提供することを認識させる(即ち、役務の提供の方法を認識させる)に過ぎず、識別力がないことは明らかである。 そうとすれば、本件商標はいずれにしても識別力のない言葉を単に組み合わせたものに止まり、ありふれた名称というほかない。 (4)答弁に対する弁駁 被請求人は「ジャパン」を含む商標の登録例を挙げているが、被請求人が指摘する登録例は、その殆どが全体として識別力のあることが明らかな商標であって、本件商標のように、行政区画名と業種名とを結合してなる会社名とは著しく事情が異なる。 被請求人は、「特許庁商標課編『商標審査基準』で、ありふれた名称でないものとして『日本タイプライター株式会社』や『日本鉱業株式会社』等が挙げられている。」と主張しているが、これらの名称は、「行政区画名と業種名とを結合してなる会社名については、普通に採択されうる名称である場合でも、他の同一のものが現存しないと認められるときは、この限りでない。」との但し書きに該当する場合の例として示されているものである。とすれば、被請求人は、本件商標もこの但し書きに該当するものであると主張しているのに他ならず、その前提として、「アウトソーシング」、「OUTSOURCING」が業種名であるとの請求人の主張を認めていることになる。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決をを求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 (1)本件商標には十分な識別力があり、商標法第3条第1項第4号に該当しない。特許庁商標課編「商標審査基準」にも、ありふれた名称でないものとして、「日本タイプライター株式会社」や「日本鉱業株式会社」等が挙げられている。 また、本件商標と同じ第35類において「ジャパン」を含む商標が数多く登録されている。これらの商標も識別力が認められ登録された登録例からも本件商標に識別力があることが裏付けられる(乙第1号証ないし乙第7号証) (2)請求人は、本件商標について登録異議申立てを行っている。 その申立理由は本件の請求理由とほぼ同様であった。 そして、特許庁における審理の結果、本件商標は十分に識別力を有するものと判断され、本件商標の登録を維持する旨の決定がされている(乙第8号証)。 このことからも、本件商標が識別力を有し、登録を受けられるものであることが裏付けられる。 以上のように、本件商標は、識別力を有している。 4 当審の判断 本件商標は、「株式会社ジャパンアウトソーシング」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「ジャパン」の文字が「日本」を指称する片仮名表記であって、著名な地理的名称(国名)であり、「株式会社」が法人格を表す語として、普通一般に使用されていることは明らかである。 次に、請求人の提出した各甲号証を徴するに、「アウトソーシング」の語は、「(業務の)外部委託、業務の一部を他社に委託すること」等の意味合いで用いられていることが認められる。 さらに、上記した外部委託業務を受託して処理することを専門とする事業を「アウトソーシング産業、アウトソーシング・ビジネス、アウトソーシングサービス、アウトソーシング会社」等の名称を使用し、業務内容を表示するものとして使用されている事実も認められる。 ところで、商標法第3条第1項第4号でいう「ありふれた名称のみからなる商標」とは、業種名、著名な地理的名称(行政区画名、国名を含む。)等に「株式会社」、「有限会社」等を結合してなる商標は本号に該当するものとしても、行政区画名と業種名とを結合してなる会社名については、普通に採択されうる名称でも、他に多数同一のものが現存しないときは本号に該当しないものと解するのが相当である。 しかして、本件商標は、行政区画名(国名)である「ジャパン」の文字と業種名と理解し得る「アウトソーシング」の文字と法人格を表す「株式会社」の文字とを結合してなる会社名であり、かつ、請求人の提出した各甲号証をみるも、本件商標と同一の名称が存在する証左も見あたらない。 そうとすれば、本件商標は、ありふれた名称のみからなる商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に違反して登録されたものでないから、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-08-10 |
結審通知日 | 2000-08-22 |
審決日 | 2000-09-05 |
出願番号 | 商願平7-105944 |
審決分類 |
T
1
11・
14-
Y
(035)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 和田 恵美 |
特許庁審判長 |
小松 裕 |
特許庁審判官 |
高野 義三 芦葉 松美 |
登録日 | 1998-01-16 |
登録番号 | 商標登録第4103723号(T4103723) |
商標の称呼 | ジャパンアウトソーシング、アウトソーシング |
代理人 | 村瀬 裕昭 |
代理人 | 長谷川 哲哉 |
代理人 | 中村 敦子 |
代理人 | 岡田 英彦 |
代理人 | 池田 敏行 |
代理人 | 鈴木 知 |
代理人 | 小玉 秀男 |
代理人 | 一色 健輔 |
代理人 | 原島 典孝 |
代理人 | 岩田 哲幸 |