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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない 005
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 005
管理番号 1028731 
審判番号 審判1998-17428 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-30 
確定日 2000-10-11 
事件の表示 平成8年商標登録願第38072号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「フコイダン」の文字を横書きしてなり、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成8年4月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、褐藻類に含まれている多糖類の一つで、抗腫傷剤や胃酸分泌抑制剤として治療効果があると認められている「フコイダン」の文字を書してなるものであるから、これをその指定商品中「薬剤」に使用しても「がん治療剤(抗がん剤)等に使用される物質」としか認識しえないものであり、単に商品の、原材料、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と判断し、認定して本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当しない理由
(1)「フコイダン」の名称が普通に使用されていないこと
本願商標は、「フコイダン」の文字よりなるところ、たとえ「フコイダン」と称する褐藻類に含まれる多糖類が存するとしても、本願指定商品を取り扱う業界において、多糖類「フコイダン」を使用した商品は存せず、また「フコイダン」の語が商品の原材料・品質表示として普通に使用されている事実は見当たらないものである。
(2)「フコイダン」が第1類「化学品」を指定商品として登録されていること
甲第1号証に示す通り、「フコイダン」商標が、多糖類そのものを含む第1類「化学品」を指定商品として登録されている事実よりみても、「フコイダン」の物質名としての理解はないと言わざるを得ないものである。
まして、本願商標が、多糖類の「フコイダン」とは異質な分野の商品である本願指定商品について使用される商標であってみれば、自他商品識別機能を発揮し得ることは明白である。
(3)過去の審決等における判断
本願商標が自他商品識別力を備えたものであることは、当該商標が一般に知られたものでないことに鑑みて、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当しないとした、多数の審決例等によっても明らかである。
(4)結論
本願商標を本願の指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、本願商標を商品の品質・原材料を表示したものと理解することはなく、むしろ特定の観念を生じない造語よりなる商品名として理解し、取引にあたるとみるのが自然である。
したがって、本願商標は、十分自他商品識別力を有し、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもない。

4 当審の判断
本願商標は、「フコイダン」の文字を横書きしてなるところ、「フコイダン」とは、「海藻のヌメリ成分の一つ。フコースという糖がいくつも鎖状につながり、ところどころのフコースに硫酸基やグルクロン酸が結合した多糖類」を理解、認識させるものであることは、原審の認定と同様である(年鑑事典編集部編集「朝日現代用語・知恵蔵」2000年1月1日、朝日新聞社発行、795頁)。
しかして、1988年4月29日付け日本経済新聞の地方経済面(四国)の12頁に「□□食品、香り自慢ワカメの茶-芽株を粉末化し開発。」の見出しで、「ワカメ製品メーカー、□□食品はワカメの芽株を粉末化した製品を開発した。コンブ茶のようにお湯を入れて「わかめ茶」としても良い香りがするほか、ふりかけなどにも応用できるとしている。県内や京阪神などでの市場調査をしたうえで販売に踏み切る考え。・・・芽株はワカメの根の部分でワカメ全体の栄養源。血圧降下作用のあるアルギン酸やフコイダンなどが、通常、食用に供しているワカメの葉の部分よりはるかに多く含まれている。・・・」の記事が掲載されている。
また、1996年10月7日付け日経産業新聞の5頁に「××××大と#####、多糖使いがん転移抑制-立体構造が ”かぎ穴”役(解説)」の見出しで、「多糖類の医薬品への応用がここにきて注目されている。・・・○○○○社は多糖の一種フコイダンを経口投与すると胃かいようを防げることを見付けた。フコイダンは胃かいようを引き起こすヘリコバクター・ピロリという細菌のまわりにびっしりとまとわりつき、ピロリ菌が胃の内壁にくっつくのを防ぐ。課題もある。・・・××××大学の硫酸化多糖は食用のらん藻の一種スピルリナから、#####のフコイダンは海藻のモズクからそれぞれ抽出するなど天然物に頼っている。合成しにくい多糖を別の物質で代用する試みもある。◇◇◇◇◇大学のグループは、多糖に構造を似せたべブチドを作成し、血管内皮のかぎ穴をふさいでがん細胞の転移を抑制することに成功した。がんの転移抑制や細菌・ウイルスの感染防止などに多糖を利用する試みは今後も盛んになっていくだろう。まず基礎試験としてアルギン酸やフコイダンなど血圧降下に良いなどとされる有効成分の含有量が、季節によってどう変わるかを分析しデータを収集する。」の記事が掲載されている。
さらに、1999年1月20日付け日本経済新聞の地方経済面(九州B)の14頁に「健康成分、モズクから抽出-TTC、△△△△に技術移転。」の見出しで、「A県の第三セクター、TTCは、沖縄特産のモズクから有用物質「フコイダン」を粉末の形で抽出して量産する技術を確立し、冷凍食品卸の△△△△に技術移転した。△△△△は四月にも製造ラインを整備して、六月以降からフコイダンを利用した健康食品や医薬品の開発・販売を進めていく。TTCの民間企業への技術移転は今回が初めて。フコイダンはモズクや昆布など海藻類に含まれる物質で、胃かいようの防止や血栓予防、抗ガン作用などの効能が確認されている。粉末にすることで原料や食品への用途が広がり、食用に適さなかったくずモズクも利用できる利点がある。△△△△では技術移転を応用して、沖縄そばや菓子にフコイダンを添加した健康食品、栄養ドリンク、錠剤などの商品を企画中。一方で、フコイダンそのものを食品や医薬品、化粧品の原料として本土企業に販売することも検討している。」の記事が掲載されている。
一方、インターネットのホームページhttp://www.kigyo.co.jp/elm/elm_fucoid.htm には、「▽▽のフコイダン+3 これは素晴らしい! フコダインの持つ生理作用 フコイダンは海からの贈り物。オキナワモズクから抽出された成分で人体にとって優れた働きが明らかに成ってきております。フコダインには、体内中の有害物質の吸収を阻害・排出する作用とともに、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、抗高血圧作用などがあることが確認されています。」が掲載されている。
上記の事実よりすると、モズクや昆布など海藻類に含まれる物質(多糖類)について「フコイダン」と呼ばれるものがあり、フコイダンを原材料とする医薬品や健康食品が開発されていることが認められる。
そうとすれば、「フコイダン」の文字よりなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、前記の事実より、これに接する取引者、需要者をして、「フコイダンを含有した薬剤」を理解、認識させるに止まり、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。
請求人主張の(1)については、同じ食料品業界において、フコイダンを含む清涼飲料が販売されている事実がある。主張の(2)については、「化学品」で登録になった時点と、現審決時とでは自他商品の識別力の判断時点が相違し、上記のように取引の実情が同じでないものである。主張の(3)については、多数の審決例があるとしても、本願商標と事案を異にするものであるから、前示のように判断するを相当とする。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときは商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-07-31 
結審通知日 2000-08-11 
審決日 2000-08-23 
出願番号 商願平8-38072 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (005)
T 1 8・ 13- Z (005)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀧本 佐代子 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 大島 護
江崎 静雄
商標の称呼 フコイダン 
代理人 武石 靖彦 
代理人 村田 紀子 
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