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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 126 |
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管理番号 | 1025233 |
審判番号 | 審判1999-30522 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-04-30 |
確定日 | 2000-08-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2090513号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2090513号商標の登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録2090513号商標(以下「本件商標」という)は、「MILESTONE」の文字を書してなり、昭和61年1月29日に登録出願され、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として昭和63年11月30日に登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出した。 (1)請求人の調査によれば、本件商標は継続して三年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。また、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないから、使用権者による使用もされていない。 (2)被請求人は、使用に係る商品「教科書」が「雑誌」であると主張しているが、「教科書」と「雑誌」は社会通念上全く異なる概念のものであって、商標法上、「教科書」を「雑誌」とすることはできない。したがって、本件商標が、その指定商品に使用されていないことは明らかである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。 本件商標は、権利者である被請求人によりその登録出願の日以降から、その指定商品に使用されている。 乙第1号証および乙第2号証として、被請求人が発行する高等学校の英語の教科書のコピーを提出する。 乙第1号証の1ないし4の「MILESTONE I」は、昭和62年ないし平成9年に、文部省の検定を受けて教科書番号が与えられ3年間あるいは4年間づつ継続して使用されている。 また、乙第2号証の1ないし4「MILESTONE II」は、昭和63年ないし平成10年に文部省検定を受けて教科書番号が与えられ3年間あるいは4年間づつ継続して使用されている。 この乙第1号証および乙第2号証から明らかなように、本件商標とタイプフェースは若干相違するが、同じ綴り字である「MILESTONE」が教科書の表紙の表、裏及び背ならびに奥付に使用されており、これは社会通念上同一の態様で使用されていること明白である。 また、これらの証拠資料の目次「Contents」および奥付に記載されている著作者編集委員から明らかなように、文部省の検定の度に内容が改定あるいは新規の著作がされており、継続して発行されている逐次刊行物であり、本件商標の指定商品「雑誌」であること明白である。 したがって、本件商標は本件審判の請求の登録前三年間にその指定商品に継続して使用していることは明らかである。 4 当審の判断 本件商標の構成は、前記したように「MILESTONE」の文字よりなるところ、被請求人が提出した乙各号証を総合すれば、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、その取り扱いに係る高等学校外国語科用教科書について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていた事実は認められるものであり、この点を請求人も争ってはいない。 しかるところ、本件商標が使用されている商品「教科書」が、本件商標の指定商品中の「雑誌」に含まれるものであるか否かについて当事者間に争いがあるので、以下、この点について検討する。 本件商標の指定商品に含まれる商品「雑誌」は、週刊誌や月刊誌、季刊誌などのように、一定の間隔をおいて、著者や編集者、出版社の責任により内容を違えて、定期的に刊行される出版物を指すものである。 一方、本件商標が使用されている商品「教科書」は、小学校や中学校、高等学校などの学校で使用される教材としての教科用図書であって、文部大臣による検定が義務づけられている出版物を指すものである。 しかして、「教科書」の記述内容については、文部大臣の検定を受けるなどにより、内容が改訂されることがあるとしても、著者や編集者、出版社側の自由裁量で内容が編集・改訂される性格を有する出版物ということはできないものとみるのが相当である。 また、「教科書」は、毎年発行されるものとしても、それは、年度当初からの使用に備えて印刷・発行されるものであって、「雑誌」の有する発行時期の定期性とはその性格を異にするものであり、「雑誌」に定義付けられる意味での、一定の間隔をおいて定期的に刊行される出版物ということはできないものである。 そうとすれば、「教科書」は、出版物であるとしても、一定の間隔をおいて、著者や編集者、出版社の責任により内容を違えて、定期的に刊行される出版物とはいえないから、これが、「雑誌」に属するということはできないものである。 被請求人は、「教科書」は、「文部省の検定の度に内容が改定あるいは新規の著作がされており、継続して発行されている逐次刊行物であり、本件商標の指定商品『雑誌』であること明白である。」と主張している。 しかしながら、教科書の改訂は、専ら、教科書検定などの文部省側の事情によるものというべきであって、著者や編集者、出版社側の都合でなされたと認めることはできないものであり、また、教科書が各年度ごとに発行されるものとしても、それは、前記したように、「雑誌」の有する発行の定期性とは性格を異にするものであるから、上記の被請求人の主張は採用できない。 したがって、本件商標が「教科書」に使用されていることは認められるものの、「教科書」は本件商標の指定商品である「雑誌、新聞」に含まれる商品とはいえないから、結局、本件商標がその指定商品に使用されていたということはできないものである。 してみれば、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において、本件商標の指定商品「雑誌、新聞」に使用されていたと認めることはできないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-06-01 |
結審通知日 | 2000-06-13 |
審決日 | 2000-06-27 |
出願番号 | 商願昭61-8021 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(126)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 通彦、三浦 芳夫 |
特許庁審判長 |
原 隆 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 渡口 忠次 |
登録日 | 1988-11-30 |
登録番号 | 商標登録第2090513号(T2090513) |
商標の称呼 | マイルストン |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | 森本 義弘 |