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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117 |
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管理番号 | 1025230 |
審判番号 | 審判1999-30390 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-03-31 |
確定日 | 2000-08-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1945528号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1945528号商標の指定商品「くつ下」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1945528号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和58年2月8日に登録出願され、下記に示す構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類、ただし、溶接マスク、防毒マスク、防じんマスク、防火被服を除く」を指定商品として、昭和62年4月30日に設定登録されたものである。指定商品については、その後、指定商品の一部について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、指定商品中「たび、えりまき、マフラー、スカーフ、ネッカチーフ、ショール、ネクタイ、ゲートル、たびカバー、エプロン、おしめ」及び「手袋」については取り消されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中「くつ下」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。 本件商標の原簿には、専用使用権者及び登録された通常使用権者は存在しない。そして、被請求人によって、本件商標の指定商品のうち「くつ下」について継続して3年以上日本国内において使用された事実は存しないから、本件商標は、指定商品中「くつ下」について、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるべきである。 (答弁に対する弁駁) (1)乙第1号証ないし乙第16号証に対する認否は次の通りである。 乙第1号証については認否を留保する。 乙第2号証ないし乙第16号証は不知であり、否認または争う。 (2)本件商標は「稲光図形」の下に「サンコ一」の文字、更にその下に「三光」の文字を配置したものである。 乙第2号証は稲光図形が台紙に、サンコ一が外箱に表示されている。 乙第6号証は稲光図形が台紙に、サンコ一が外箱に表示されている。 乙第10号証は稲光図形が台紙に、サンコ一が外箱に表示されている。 乙第13号証は稲光図形が台紙に、サンコ一が外箱に表示されている。 つまり、台紙の稲光図形と外箱のサンコ一とは完全に分離されており、併記した状態で用いられていない。「三光」は全く用いられていない。 したがって、乙第2、6、10、13号証が成立したとしても、本件商標は不使用である。よって、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。 (1)本件商標は円内に三本の稲妻を配した図形の下方に「サンコ一」「三光」の文字を横書した態様の商標であり、請求人は本件商標の指定商品のうち「くつ下」について本件商標の取消を請求した。 しかし、本件商標については、通常使用権者が本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「くつ下」に使用している。したがって、本件商標は取り消されるべきではない。 (2)本件商標についての使用許諾の契約及び通常使用権者 本件商標の商標権者は、サンコ一靴下株式会社(住所 名古屋市中村区太閤一丁目2番7号)に対して通常使用権の許諾をしており、本件審判の請求の登録前三年以内においてサンコ一靴下株式会社は、本件商標の通常使用権者である。 乙第1号証は、商標権者とサンコ一靴下株式会社との商標使用許諾の契約についての証明書である。 これにより、サンコ一靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内である平成10年6月8日から平成11年4月27日の期間において、指定商品全部及び日本全国を範囲とする通常使用権であることが証明される。 (3)本件商標の使用の事実及び使用の証明 本件商標の通常使用権者であるサンコ一靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において指定商品「くつ下」について本件商標の使用をしている。以下、この使用の事実について述べるとともに、その使用を証明する。 イ.通常使用権者であるサンコ一靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内において、その取引先である株式会社駅前アルプス(住所 名古屋市中村区名駅四丁目11番27号)に、本件商標を付した商品「靴下」を販売している。 a.乙第2号証は、上記本件商標の使用の事実があったことについての株式会社駅前アルプスによる証明書である。 乙第3号証ないし乙第5号証は、本件商標を使用した靴下の販売取引があったことを示すもので、乙第3号証は株式会社駅前アルプスからのFAXによる靴下の注文書、乙第4号証はこの受注した靴下の納品書(控)、乙第5号証はこの取引に関するサンコ一靴下株式会社の得意先元帳である。 b.これにより、サンコ一靴下株式会社が、平成10年12月14日に株式会社駅前アルプスからFAXにより「靴下(品番53-1)、20足」の注文を受けて(乙第3号証)、平成10年12月14日にこの靴下を株式会社駅前アルプスに納品し(乙第4号証)、平成11年1月8日にその代金を口座振込により受け取ったこと(乙第5号証)が証明される。 c.そして、上記の販売取引において靴下(品番53-1)の一足ごとに取り付けられた口紙(台紙)には、本件商標の図形部分「円内に三本の稲妻を配した図形」が付されており、納品の際にこの靴下が収容されていた納品用の箱には本件商標の片仮名文字部分「サンコ一」が付されていたことが証明される(乙第2号証の写真参照)。 また、かかる態様による本件商標の使用は、取引社会において通常用いられる手法であり、商標の同一性の範囲内である。 ロ.通常使用権者であるサンコ一靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内において、その取引先であるスポーツの店やまもと(住所 長野県下高井郡山の内町大字平穏(湯田中温泉)3050)に、本件商標を付した商品「靴下」を販売している。 a.ここで被請求人は、乙第6号証として、かかる本件商標の使用をの事実があったことについてのスポーツの店やまもとによる証明書を提出する。乙第7号証ないし乙第9号証は、本件商標を使用した靴下の販売取引があったことを示すもので、乙第7号証はスポーツの店やまもとへ出張伺いに出向いた際に受けた靴下の注文内容を示す受注書、乙第8号証はこの受注した靴下の納品書(控)、乙第9号証はこの取引に関するサンコ一靴下株式会社の得意先元帳である。 b.これにより、サンコ一靴下株式会社が、平成10年9月14日にスポーツの店やまもとから「靴下(品番72-4J)、10足」の注文を受けて(乙第7号証)、平成10年10月21日にこの靴下をスポーツの店やまもとに納品し(乙第8号証)、平成10年11月26日及び平成10年12月20日にその代金を小切手により受け取ったこと(乙第9号証)が証明される。 c.そして、上記の販売取引において靴下(品番72-4 J)の一足ごとに取り付けられていた口紙(台紙)には、本件商標の図形部分「円内に三本の稲妻を配した図形」が付されており、納品の際にこれらの靴下が収容されていた納品用の箱には本件商標の片仮名文字部分「サンコ一」が付されていたことが証明される(乙第6号証の写真参照)。 また、かかる態様による本件商標の使用は、取引社会において通常用 いられる手法であり、商標の同一性の範囲内である。 ハ.通常使用権者であるサンコ一靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内において、その取引先である株式会社ユーエス・エルモ(住所 大阪市東成区大今里南六丁目28番12号 東洋ビル105号)に、本件商標を付した商品「靴下」を販売している。 a.ここで被請求人は、乙第10号証及び乙第13号証として、かかる本件商標の使用の事実があったことについての株式会社ユーエス・エルモによる証明書を提出する。 乙第11号証、乙第12号証及び乙第14号証ないし乙第16号証は、本件商標を使用した靴下の販売取引があったことを示すものである。 乙第11号証及び乙第14号証は、株式会社ユーエス・エルモからのFAXによる靴下の注文書である。乙第12号証及び乙第15号証は、これら受注した靴下の納品書(控)である。乙第16号証はこれらの取引に関するサンコ一靴下株式会社の得意先元帳である。 b.これにより、サンコ一靴下株式会社が、平成10年10月2日に株式会社ユーエス・エルモから「靴下(品番15-52R)、30足」の注文を受けて(乙第11号証)、平成10年10月6日にこの靴下を株式会社ユーエス・エルモに納品し(乙第12号証)、平成10年11月20日にその代金を口座振込により受け取ったこと(乙第16号証)が証明される。 また、サンコ一靴下株式会社が、平成10年11月9日に株式会社ユーエス・エルモから「靴下(品番72-4J)、15足」の注文を受けて(乙第14号証)、平成10年11月10日にこの靴下を株式会社ユーエス・エルモに納品し(乙第15号証)、平成10年12月18日にその代金を口座振込により受け取ったこと(乙第16号証)が証明される。 c.そして、上記の販売取引において靴下(品番15-52R及び品番72-4J)の一足ごとに取り付けられた口紙(台紙)には、本件商標の図形部分「円内に三本の稲妻を配した図形」が付されており、納品の際にこれらの靴下が収容されていた納品用の箱には本件商標の片仮名文字部分「サンコ一」が付されていたことが証明される(乙第10号証及び乙第13号証の写真参照)。 また、かかる態様による本件商標の使用は、取引社会において通常用いられる手法であり、商標の同一性の範囲内である。 (4)以上により、通常使用権者が本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「くつ下」について本件商標の使用をしていることが証明される。このため、本件商標は取り消されるべきではない。 よって、被請求人は、答弁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。 4 当審の判断 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明確にしない限り、その登録の取り消しを免れない。 そこで、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第16号証をみるに、乙第1号証は、商標権者とサンコー靴下株式会社とが平成10年6月8日から及平成11年4月27日までを使用許諾の期間とする本件商標の使用許諾証明書であるところ、この書面によりサンコー靴下株式会社が本件商標の通常使用権者であることが認められる。 そして、乙第2号証は、商品「靴下」が紙製の包装箱に収納された写真及びその一足の商標部分を拡大した写真(2葉)を株式会社駅前アルプスがサンコー靴下株式会社に注文し、納品書を受領し、その代金を支払ったことの証明書であって、この紙製の包装箱に品番として「53-1」と記載されているが、本件商標が別記に示す構成よりなるものであるところ、紙製の包装箱の側面に表示されている商標は、該横長円内に「サンコー」の文字を表してなるものであり、一方、靴下の口紙(台紙)の商標部分を拡大した写真に表示されている商標は、該円形内に稲光の如き図形を表してなるものであって、それぞれが分離して使用(表示)されているものであり、加えて、本件商標の構成に係る「三光」の文字はいずれにも表示されていない。 また、乙第3号証は1998年12月14日付の注文書(写し)、乙第4号証は平成10年12月14日付の納品書(控・写し)及び乙第5号証はサンコー靴下株式会社が作成した株式会社駅前アルプスの得意先元帳(写し)と認められるものであるが、これらの書類には前記の日付けの他、品番「53-1」、品名「Sanko紳士毛ドラロン混特殊」、単価「¥750」等と記入されているが、本件商標の構成に係る該稲妻の如き図形及び「三光」の文字はいずれの書類にも見当たらない。 さらに、乙第6号証はスポーツの店「やまもと」が、乙第10号証及び乙第13号証は株式会社ユーエス・エルモが、それぞれ商品「靴下」をサンコー靴下株式会社に注文し、乙第7号証ないし乙第9号証及び乙第11号証、乙第12号証、乙第14号証ないし乙第16号証がそれぞれの品番の商品に対応する取引書類と認められるところ、これらの書類には品番「72-4J」又は「15-52R」等の記載があり、前記・株式会社駅前アルプスと同様の項目が記載されているが、本件商標が下記に示す構成よりなるものであるところ、紙製の包装箱の側面に表示されている商標は、該横長円内に「サンコー」の文字を表してなるものであり、一方、靴下の口紙(台紙)の商標部分を拡大した写真に表示されている商標は、該円形内に稲光の如き図形を表してなるものであって、それぞれが分離して使用(表示)されているものであり、加えて、本件商標の構成に係る「三光」の文字はいずれにも表示されていない。 そして、各取引書類によっても、本件商標の構成に係る該稲妻の如き図形及び「三光」の文字はいずれの書類にも見当たらない。 そうすると、これらの証拠によっては、商品「靴下」に使用されている商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえないものといわざるを得ない。 してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人及び通常使用権者により本件取消請求に係る指定商品「くつ下」に使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により指定商品中「くつ下」についての登録を取り消すべきものとする。 なお、被請求人より申請のあった証人尋問については、提出の各書面、書証により前記のとおり認定、判断し得るところであるから、これを行わない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2000-05-24 |
結審通知日 | 2000-06-06 |
審決日 | 2000-06-23 |
出願番号 | 商願昭58-10219 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(117)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 有阪 正昭 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
大島 護 江崎 静雄 |
登録日 | 1987-04-30 |
登録番号 | 商標登録第1945528号(T1945528) |
商標の称呼 | サンコー、ミツヒカリ、ミコー |
代理人 | 岩田 哲幸 |
代理人 | 池田 敏行 |
代理人 | 中村 敦子 |
代理人 | 岡田 英彦 |