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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1021624 
審判番号 審判1994-16015 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1994-09-20 
確定日 2000-08-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2043794号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成8年7月25日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成8(行ケ)年第185号、平成11年9月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2043794号商標(以下「本件商標」という。)は、「クレポ」の片仮名文字を書してなり、昭和60年10月7日登録出願、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同63年4月26日に設定登録、その後、平成10年6月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
本件商標と連合の関係にある登録第1808822号商標(以下「本件連合商標」という。)は、「QUREPO」の欧文字を書してなり、昭和58年6月13日登録出願、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年9月27日に設定登録、その後、平成7年9月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標のうち、指定商品『電子応用機械器具』の登録について、これを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1)請求人は、第11類の商品を指定して商標登録出願(平成3年商標登録願第42317号)をしていたところ、平成4年11月6日付けで本件商標を引用した拒絶理由の通知を受けたので利害関係を有する。
2)被請求人は、本件商標を少なくとも指定商品「電子応用機械器具」について、ここ3年以内に継続して使用している事実はない。また、本件商標の登録原簿によれば、本商標権について通常使用権又は専用使用権の登録もなされていない。
3)被請求人は答弁書において、通常使用権者であるクレポ株式会社(以下「クレポ社」という。)が、本件連合商標を「電子応用機械器具」について使用している旨主張するが、いかに被請求人会社の代表者がクレポ社に関連していたとしても、本件連合商標について、通常使用権の設定行為の内容を示す何らの物証も書証も提示がない以上、第三者である請求人には、いかなる範囲で通常使用権が設定されたのか知る由もないばかりでなく、本件連合商標の通常使用権を許諾した事実も認めることはできない。
4)被請求人は、本件連合商標の通常使用権の許諾に関し、設定行為の当事者である被請求人会社の代表者の証人尋問を申請しているが、被請求人会社の代表者が、自らの不利になるような証言をするはずがないと思われるし、10年以上も前のことを正確に証言できることはないと考えられるので、証人尋問は却下されるべきである。
5)乙第3号証の1の写真に示されたコンテナの中に収納された商品は、一端にコネクタのようなものを接続した電線であって、第11類の中でも「電気機械器具」に含まれる電線またはケーブルとしか認められない。
また、乙第3号証の2の写真に示されたコンテナの中には、多数の小箱が整列して収容されているが、これら小箱の表面には「KEYENCE」なる文字が書かれていることは判断できるが、箱の中身についての表示が全く無く、果たしてこの中身が「電子応用機械器具」に属する商品であるのか否かは、この写真からは明らかではない。したがって、乙第3号証の2の写真もまた本件連合商標が「電子応用機械器具」に使用されていることを証明するものではない。
さらに、乙第3号証の3の写真に至っては、コンテナの中に何か白い四角いものが収容されていることが判別できるだけで、本件連合商標が「電子応用機械器具」に使用されていることを証明するに足りる写真ではない。
6)よって、本件商標は、指定商品「電子応用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出している。
1)クレポ社は本件連合商標の商標権者である被請求人会社の代表者が取締役を務める会社であり、電子応用機械器具の製造などを目的としている(乙第1号証及び乙第2号証参照)。
然るところ昭和60年10月頃、被請求人は、クレポ社に対し、本件連合商標の通常使用権を口頭で伝えることで許諾した。
2)乙第3号証の1ないし3は本件連合商標を付したコンテナ及びこれに収納したクレポ社製電子応用機械器具の写真であって、平成6年12月8日に撮影されたものである。写真の電子応用機械器具は購入者である被請求人の商標が付されたものである。したがって、コンテナに付された本件連合商標は、その商品がクレポ社により製造されたものであるとの出所表示機能を果たしている。
3)乙第3号証の2に示されたコンテナに収納された多数の箱の上面左側、手前には「PZ2-41」の文字が認められる。乙第5号証は1994年2月被請求人発行の「アンプ内蔵型光電スイッチ PZ2」シリーズのカタログであり、その第2頁下側左欄の表、第3頁の仕様を表す表等より、「PZ2-41」が拡散反射型長距離用の光電スイッチの型式を表すコードであることが明らかである。乙第6号証は、被請求人発行の「センサ・測定器総合カタログ」であり、奥付に示すように1994年3月に発行されたものである。その第96頁から第97頁には「アンプ内蔵型光電スイッチ PZ2」シリーズが採録され、第97頁の仕様の表に「PZ2-41」が拡散反射型の長距離用のものであるとして記されている。光電スイッチが一般的な意味で電子応用機械器具であることはいうまでもない。
したがって、乙第3号証の2の写真は、本件連合商標を電子応用機械器具に使用していることの証拠足りうる。
4)乙第4号証の1及び2は、乙第3号証に示すコンテナに対して、本件連合商標の印刷を行った有限会社マルマンのクレポ社に対する請求書である。
乙第4号証から明らかな如く、遅くとも平成1年4月26日以後、このコンテナが使用されており、また、平成2年4月12日以後は使用量が増加していることも明らかであり、乙第3号証に示されたように平成6年12月8日までの使用が認められるのである。
5)乙第3号証に示されたコンテナが商品の包装に当たることは昭和42年1月30日東京高裁判決昭和41年(う)2318号の判旨「運搬用及び商品保護用の段ボール箱は商品の包装に当たる」に徴し明白である。したがって、本件連合商標の通常使用権者クレポ社が乙第3号証に示されたコンテナに収納した電子応用機械器具を譲渡することは本件連合商標の使用に当たる。
6)商標法第31条は、通常使用権について規定するが、通常使用権の設定の登録が効力発生要件でないことはいうまでもない。したがって、設定の登録を行っていない通常使用権について第三者が通常使用権の範囲を知ることができないとか、通常使用権の設定(許諾)の事実を認めることができないということは商標法上当然のことである。商標権者は、通常使用権者に対し、本件商標の通常使用権を口頭で伝えることで許諾したから、物証、書証は存在しない。
7)以上のとおり、本件連合商標は「電子応用機械器具」について平成1年4月より平成6年12月8日まで通常使用権者によって継続して使用されてきたのである。
したがって、本件商標は商標法第50条第2項に規定されたようにその連合商標が使用されているので同条第1項の商標に該当せず、取り消されるべきではない。

4 当審の判断
本件審判請求について、当事者間に利害関係の争いはないから、以下、本案に入って判断する。
被請求人の提出に係る各乙号証によれば、次の事実が認められる。
1)被請求人会社の代表者は「滝崎武光」であり、乙第1号証のクレポ社の登記簿謄本)には、電子応用機器、電子応用部品の製造等を目的とするクレポ社の取締役に「滝崎武光」名が記されていること。
2)コンテナの中に「KEYENCE」、「PZ2-41」の表示等が付された多数の小箱が納められ、同コンテナの側面には図案化した「QUREPO」の文字が表示されていること(乙第3号証の2 平成6年12月8日撮影の写真)。
3)「PZ2-41」の表示に係る商品は、「拡散反射型(長距離)のアンプ内蔵型光電スイッチ」であることが示されていること(乙第6号証 平成6年3月、被請求人作成の商品カタログ)。
これらの事実からすれば、
イ)被請求人会社の代表者はクレポ社の取締役を兼務しているものと認めら、このことと被請求人の答弁全体の趣旨からして、被請求人がクレポ社に、本件連合商標について通常使用権を許諾したものと認められる。
ロ)乙第3号証の2に表された小箱に付された「PZ2-41」の表示と、乙第6号証に記載された商品「拡散反射型(長距離)のアンプ内蔵型光電スイッチ」に用いられている「PZ2-41」の表示が同一であることからすれば、上記小箱の中身は上記商品とみるのが相当である。
そして、当該「光電スイッチ」は「検出する対象物の遮光や反射などによって生じる受光量の変化を受光素子で受けて増幅し、出力信号として検出する」機器として知られ、これが「電子応用機械器具」に属するものであることは明らかである。
ハ)乙第3号証の2に表されたコンテナは、その形状からみて、積み重ねて使用することにより、そこに納められた商品「拡散反射型(長距離)のアンプ内蔵型光電スイッチ」の搬送に当たり、包装用容器と同等の機能を有するものというべきである。
そうすると、平成6年3月、電子応用機械器具に属する商品「拡散反射型(長距離)のアンプ内蔵型光電スイッチ」は、被請求人の業務に係る商品として取り扱われ、同商品は、通常使用権者たるクレポ社によって、電子応用部品の製造等の業務に関係して、社会通念上本件連合商標と同一といえる「QUREPO」の文字が付された包装容器に納められ、搬送に供されていたものといえる。
したがって、本件連合商標は、電子応用機械器具につき、通常使用権者により、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものといえるから、本件商標は、商標法第50条第1項によりその登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1996-06-26 
結審通知日 1996-07-19 
審決日 1996-07-25 
出願番号 商願昭60-101823 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 祀久 
特許庁審判長 金子 茂
特許庁審判官 大橋 良三
平松 和雄
大渕 敏雄
茂木 静代
登録日 1988-04-26 
登録番号 商標登録第2043794号(T2043794) 
商標の称呼 クレポ 
代理人 大川 宏 
代理人 河野 登夫 
代理人 土川 晃 

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