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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1021619 
審判番号 審判1999-30015 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1998-12-30 
確定日 2000-08-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第2698382号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2698382号商標(以下「本件商標」という。)は、平成2年2月28日に登録出願され、下記に示す構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療器械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成6年10月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
本件商標は、その指定商品全てについて、継続して3年以上日本国内に於て使用された事実が存しないものであり、又、本件商標には、専用使用権通常使用権の設定登録も存せず、また別に通常使用権者も確認することができず、これらの者によって、本件商標が使用された事実も確認できないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(答弁に対する弁駁)
(1)弁駁の理由の概要 被請求人は、乙第1号証ないし乙第8号証を提示し、本件商標の連合商標が、それらの指定商品に、審判請求前3年以内で且つ平成9年4月1日施行の改正商標法施行前に使用されていたことを主張・立証するが、いわゆる不使用取消審判請求による取消しを免れ得る程度に、本件商標が現に使用された事実は、未だ立証されておらず取消しを免れない。
(2)具体的理由 被請求人がその使用を立証する登録第2269854号商標が、本件商標の連合商標として、改正商標法施行前(平成9年3月31日以前)に登録されていた事実は認める。
被請求人提出に係る乙第3号証の第15頁、第17頁及び第18頁、乙第4号証及び乙第5号証の第15頁、第16頁及び第18頁、乙第6号証の第 284頁、乙第7号証の第248頁及び乙第8号証の2枚目(頁数は不明)に、各々前記連合商標が、表示されている事実は認める。
しかし、これらは、いずれも商品の広告掲載頁の左上に、独立して表示されており、単なるハウスマーク或いは営業表示として掲載されたか、個別の商品を特定した商品商標として表示されたか、いささか不明瞭な表示となっている。特に、乙第4号証及び乙第5号証の第15頁及び第16頁には、明らかに個別の商品商標と認められる「デュオ」「Duo」の表示が掲載されており、前記連合商標の表示は、商品商標ではなく、単なる社標・営業表示として表示されている可能性が高い。
次に、これらの表示がいずれも商品に係る商標としての表示態様であるとしても、或いは、営業表示であると同時に商標としての表示と認められるとしても、これらの表示は、いずれも広告宣伝的な使用態様で表示されたに過ぎず、しかも、その掲載期間も、平成9年1月から3月までの僅か3ヶ月間でしかない。
勿論、請求人も、商標の広告宣伝的な使用が、商標法第2条第3項第7号の規定により,商標の使用に該当することは否定するものではない。しかし、商標法第50条に定める商標の不使用に基づく取消審判においては、取消しを免れるためには、当該商標の使用は、単なる宣伝・広告による名目的な使用では足りず、現に取引の対象となる商品が存在し、当該商標の識別機能により商品が区別・識別され、取り引きされた事実を要し、現に商標が取引通商に於いて表示され、使用されていることを要するものである。
すると、被請求人の提出に係る乙第3号証ないし乙第8号証によれば、本件商標の連合商標(改正商標法施行前の連合商標)が、本件商標の指定商品の広告・宣伝に係る印刷物の該当頁に表示された事実は認め得るものの、他の証拠、即ち、本件審判請求前3年以内に現実に本件商標或いはその連合商標が、取引通商で表示・使用されたことを証する証拠、例えば、取引伝票・販売伝票等の取引書類の提示や、現実に当該商品が当該期間に存在していた事実を証する書面の提示は、一切存在していない。
なお、被請求人は、乙第8号証に於いて、「アイコム株式会社」や「ICOM」の表示が、本件商標と連合商標として登録されており、それが同号証に表示されている旨主張するが、これらに関しては、他に何らの証拠の提出もなく、本件商標の連合商標として登録されたとの事実は、不知である。
したがって、本件商標が、本件審判請求前3年以内に、或いは、その連合商標が、本件審判請求前3年以内で連合商標として登録されていた時期に、商標法第50条の取消審判請求による取消しを免れ得る程度に、現に使用されていたとは、到底認めることができない。
(3)結論 以上、本件商標は、答弁書の全趣旨及びそれに添付された乙第1号証ないし乙第8号証に照らして、いわゆる不使用取消審判による取消しを免れ得る程度に、その現実の使用の実績・事実が立証されておらず、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
したがって、請求の趣旨及び弁駁の趣旨同旨の審決を求める次第である。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
本件商標は、平成8年改正の商標法(以下「改正商標法」という。施行日平成9年4月1日)の施行前は、乙第1号証及び同第2号証に示した商標登録第2269854号商標(以下「本件連合商標」という。)の連合商標であり、本件連合商標は、以下に立証するとおり、商標権者によって過去3年間に、指定商品に使用されていたので、本件商標は、改正附則第10条第2項の経過措置の適用により、商標登録を取り消されることはない。
本件連合商標が本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に使用されてきた商標であることを以下の通り立証する。
(1)乙第3号証の製品別広告索引の頁及び50音別広告索引の頁に記載されているように、被請求人の広告は第15、16、17、18頁の各頁に掲載されている。当該頁には、本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
乙第3号証の発行日は平成9年1月1日であり、この発行日は本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に該当する。
(2)乙第4号証の製品別広告索引の頁及び50音別広告索引の頁に記載されているように、被請求人の広告は第15、16、17、18頁の各頁に掲載されている。当該頁には、本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
乙第4号証の発行日は平成9年2月1日であり、この発行日は本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に該当する。
(3)乙第5号証の製品別広告索引の頁及び50音別広告索引の頁に記載されているように、被請求人の広告は第15、16、17、18頁の各頁に掲載されている。当該頁には、本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
乙第5号証の発行日は平成9年3月1日であり、この発行日は本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に該当する。
(4)乙第6号証の第284頁には被請求人の広告が掲載されている。当該頁には本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
また、この頁には各種トランシーバー以外に、マリンプロッター・魚探(GPS内蔵)や魚群探知機等の商品の広告か掲載されている。これらの商品は、電子応用機械器具(水中聴音機械器具)に属する商品であり、本件連合商標は電子応用機械器具にも使用されていることが立証されている。
乙第6号証の発行日は平成9年1月1日であり、この発行日は本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に該当する。
(5)乙第7号証の第248頁には被請求人の広告か掲載されている。当該頁には本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
また、この頁には各種トランシーバー以外に、マリンプロッター・魚探(GPS内蔵)や魚群探知機等の商品の広告か掲載されている。これらの商品は、電子応用機械器具(水中聴音機械器具)に属する商品であり、本件連合商標は電子応用機械器具にも使用されていることが立証されている。
乙第7号証の発行日は平成9年2月1日であり、この発行日は本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に該当する。
(6)乙第8号証の第84頁には被請求人の広告か掲載されている。当該頁には、本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
また、この頁には各種トランシーバー以外に、マリンプロッター・魚探(GPS内蔵)や魚群探知機等の商品の広告が掲載されている。これらの商品は、電子応用機械器具(水中聴音機械器具)に属する商品であり、本件連合商標は電子応用機械器具にも使用されていることが立証されている。
なお、乙第8号証には付録として別冊の小冊子「’97東京/大阪国際ボートショーオフィシャルガイド」が添付されている。この小冊子の第38頁には本件商標と連合商標として登録された「アイコム株式会社」「ICOM」とともにトランシーバーの紹介記事か掲載されている。また、同小冊子の第10、13頁には本件商標と連合商標として登録された「ICOM」や社名の略称である「アイコム(株)」等が記載されている。
乙第8号証の発行日は平成9年3月1日であり、この発行日は本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に該当する。
以上によって、本件商標は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものではなく、改正附則第10条第2項の経過措置の適用により商標登録を取り消されるものではないことが明らかであり、本件審判はその取消事由がない。
したがって、速やかに答弁の趣旨の通りの審決を求めるものである。

4 当審の判断
被請求人の提出に係る乙第3号証ないし乙第8号証についてみるに、乙第3号証ないし乙第5号証は、CQ出版社の発行に係る月刊雑誌「CQ HamRadio」の抜粋(写し)と認められるものであり、それぞれ1997年(平成9年)の1月号、2月号及び3月号と認められるところ、これら各雑誌の抜粋頁には「無線通信機械器具」の広告が該商品の写真と共に全頁にわたり掲載されており、各頁の上部に本件商標と相互に連合商標となっていた別記に示す構成よりなる登録第2269854合商標(以下「本件連合商標」という。)と社会通念上同一と認められる商標が表示されており、かつ、50音別広告索引の該当頁の掲載者として本件商標権者が「アイコム(株)」と表示されていることが認められる。
また、乙第6号証ないし乙第8号証は、株式会社舵社の発行に係る月刊雑誌「KAZI」の抜粋(写し)と認められるものであり、それぞれ1997年(平成9年)の1月号、2月号及び3月号と認められるところ、これら各雑誌の抜粋頁には「無線通信機械器具」の広告のほか「魚群探知機」等の広告が該商品の写真と共に全頁にわたり掲載されており、各頁の上部に本件連合商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されており、かつ、各頁の下部に「アイコム株式会社」と表示されていることが認められる。
してみれば、これらの証拠によって、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標及び本件連合商標の指定商品中に含まれることが明らかな商品「無線通信機械器具」について、本件商標と相互に連合商標となっていた商標を使用していたことを認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本 件 商 標


審理終結日 2000-05-17 
結審通知日 2000-05-26 
審決日 2000-06-23 
出願番号 商願平2-22500 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎田中 照雄 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 大島 護
江崎 静雄
登録日 1994-10-31 
登録番号 商標登録第2698382号(T2698382) 
商標の称呼 アイコム、エイアイコム 
代理人 北村 仁 
代理人 杉本 巌 
代理人 杉本 勝徳 

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