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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない 029
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 029
審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効としない 029
管理番号 1021615 
審判番号 審判1998-35664 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-12-22 
確定日 2000-08-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第3332770号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3332770号商標(以下、「本件商標」という。)は、「食卓直行便」の文字を横書きしてなり、平成7年4月7日に登録出願、第29類「加工野菜及び加工果実」を指定商品として、同9年7月18日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は、「登録第3332770号商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べた。
本件商標は、漢字横書きで「食卓直行便」と普通に用いられる方法をもって表してなるものであるが、これは単に商品の配送方式を表したものに過ぎず、到底自他商品識別機能を発揮し得るものではない。
「直行」とは、「真っ直ぐに行くこと。途中で寄り道をしないで目的地まで行くこと」を意味しており、「直行便」とは、配送すべき商品が配送元から配送先へ直接配送されることを意味しており、「食卓直行便」とは、食料品が配送元から一般家庭にまで直接配送されることを「食卓へ直行する」という表現をもって強調して表したにすぎないものである。従って、このような配送方式を取る商品との関係においては自他商品識別機能を発揮し得るものではなく、また、それ以外の商品との関係においては品質誤認を惹起するものである。
審査例を参照すると、「うまいもの直行便」「おいしさ直行便」「牧場直行便」「北の直行便」「直行便」「食卓便」「しょくたく便」「鮮度直行便」「朝市直行便」「北海道直行便」「フロリダ直行便」の商標が自他商品識別力を発揮し得ないとして拒絶されている。しかも本件指定商品が属する旧第32類においては、「食卓便」「しょくたく便」及び「直行便」が顕著性なしとして拒絶されており、この両者を合わせたに過ぎない「食卓直行便」が自他商品識別力を有しないことは明白である。
すなわち、「食卓便」「しょくたく便」「直行便」「食卓直行便」などの表示は、「食卓まで直接配送されるサービス方式をとる商品であること」「産地・生産者等の配送元から需要者・購買者・注文主等の配送先へ直接配送されるサービス方式をとる商品であること」「産地・生産者等の配送元から食卓へ直接配送される、すなわち、一般家庭にまで直接配送されるサービス方式をとる商品であること」を表現しているに過ぎず、あらゆる商品との関係において上記のようなサービス内容の表示として妥当するものである。本件指定商品との関係において具体的に述べれば、「加工野菜及び加工果実」のメーカー、販売者等から直接一般家庭にまで配送される商品であることを表示したに過ぎないものであり、「食卓直行便」の表示に接した需要者は、当該商品がそのような配送方式をとる商品であると認識するに過ぎず、到底自他商品識別機能を発揮し得るものではない。また、仮にそのような配送方式をとらない商品であるならば、需要者に対し商品の品質につき誤認を与えるものといわざるを得ない。
また、「直行便」と同じく商品の配送方式を示す用語として「宅配便」「宅急便」が用いられるが、これらについても「おいしさ宅配便」「宅配便」「味の宅配便」「おやつたくはいびん」「味の宅配便」「ふるさと宅配便」「鮮度宅配便」「レンジ宅配便」「宅配便ランチ」「宅急便」「うまさ宅急便」「味の宅急便」「ふるさと宅急便」「鮮度宅急便」の商標が自他商品識別力を発揮し得ないとして拒絶されている。
上記審査例からも明らかな通り、本件商標は、食卓向けの商品が直接配送されることを示す「食卓直行便」を普通に用いられる方法で表したに過ぎず、このような配送方式を取る商品との関係においては自他商品識別機能を発揮し得るものではなく、また、それ以外の商品との関係においては品質誤認を惹起するものであって商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、また、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第16号証を提出した。
本件商標は「食事用のテーブル、ちやぶ台」を意味する「食卓」の文字と「まっすぐに(直接)に行く方法」を意味する「直行便」の文字を「食卓直行便」と一連一体に表わしてなるものである。
そうとすると上記意味合いを有する「食卓」と「直行便」の文字を「食卓直行便」と表わした場合、この表記方法が一般的なものではなく、ましてや本件指定商品において「食卓まで配送するという配送方法は通常の取引において行われているものとは認め難い。
してみれば、本件商標は、「ショクタクチョッコウビン」の称呼をもって認識され、これを指定商品に使用した場合には、需要者に商品が生産者若しくは販売者から直接配送されるため、新鮮な商品が手に入る方法である事を暗示させるに過ぎず、全体として通常使用される熟語を形成しているものではなく単なる造語商標であって、請求人の「食料品が配送元から一般家庭にまで直接配送される事を『食卓へ直行する』という表現をもって強調して表わしたに過ぎないものである。」との主張は妥当なものとは認め難い。
更に付け加えれば、本件商標は、「食卓直行便」という表現方法であり、「食卓へ直行する」という表現方法を持って強調して表わしている事実はない。
第29、30、31、32、33類の「食卓直行便」商標の登録事例より見ても、本件商標が自他商品識別標識としての機能を果たし得る商標である事は明らかである。その他、「・・・直行便」及び「・・・宅配便」という商標が自他商品識別標識としての機能を果たし得るとものとして登録されている。
以上の事からすれば、本件商標が自他商品識別標識としての機能を果たし得ないとする事情、理由は全く存在しないものであって、ましてや商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないものであるから、本件商標を商標法第3条第1項第3号又は第6号、及び同法第4条第1項第16号に該当するものとする請求人の主張は妥当なものではない。
3.当審の判断
本件商標は、前記構成のとおりであるところ、これを「食卓」「直行」「便」の各文字に分離すれば、「食卓」の文字は「食事用の卓、テーブル」、「直行」の文字は「真っ直ぐに行くこと、途中で寄り道をしないで目的地まで行くこと」、さらに、「便」の文字は「交通・運輸機関」の意味をそれぞれ有すると認められるものである。
しかしながら、本件商標は、「食卓」「直行」「便」の各文字の前記意味合いから、請求人主張のように、「産地・生産者等から一般家庭に直接配送されるもの」であることを漠然とは想起する場合があるとしても、これをもって、取引者・需要者に、前記配送方法を表示したと直ちに理解されるものとはいい難く、むしろ、該商標が纏まりよく一体として構成されているところからみれば、全体としては特定の意味合いを生じさせない一種の造語よりなるものとして把握されるとみるが相当である。
そして、請求人は、同人の「本件商標が上記意味合いで商品の配送方式を表示するものである」ことの主張を裏付ける資料を何等提出していない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「産地・生産者等から一般家庭に直接配送されるサービス方式をとる商品」に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を有するものであって、前記以外の指定商品に使用した場合においても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれのないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同第4条第1項第16号のいずれの規定にも該当しないものというべきである。
なお、請求人は、「直行便」「・・・直行便」「食卓便」「宅配便」「・・・宅配便」等の文字よりなる商標についての当庁における審査例を挙げて、本件商標は自他商品の識別標識としての機能を果たさない旨主張するが、該審査例は、本件と事案を異にするものであるから、それに基づく主張は採用の限りでない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同第4条第1項第16号のいずれにも違反してなされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-05-30 
結審通知日 2000-06-09 
審決日 2000-06-21 
出願番号 商願平7-33791 
審決分類 T 1 11・ 16- Y (029)
T 1 11・ 13- Y (029)
T 1 11・ 272- Y (029)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 昌彦長沢 祥子 
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 箕輪 秀人
滝沢 智夫
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第3332770号(T3332770) 
商標の称呼 ショクタクチョッコービン 
代理人 岡村 憲佑 
代理人 伊丹 勝 
代理人 大島 泰甫 
代理人 稗苗 秀三 
代理人 後藤 誠司 

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