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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 124 |
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管理番号 | 1021268 |
審判番号 | 審判1999-30655 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-02-23 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-05-31 |
確定日 | 2000-08-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1671124号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1671124号商標の「第24類 運動具(ゴルフ用具、ゴルフぐつを除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録商標第1671124号商標(以下、「本件商標」という)は、「GORILLA」の欧文字を横書きしてなり、昭和55年4月4日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)、レコード、これらの部品及び付属品」を指定商品として、昭和59年3月22日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と申し立て、その理由として「本件商標は、商標権者により少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品に使用されていない。」と述べている。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第25号証(枝番を含む)を提出している。 1.審判請求利益の欠如 (1)被請求人が「運動具」に保有する「GORILLA」商標について 被請求人は永年「ゴリラ」マークの「オートバイ」を製造販売してきており(乙第1号証)、その関連グッズとして「運動具」の販売を展開する可能性があるので、「運動具」についても次の6件の「GORILLA」商標を保有している。 (ア)「GORILLA」(本件商標、乙第2号証)、(イ)「Gorilla/NEW」(登録第2522356号商標、乙第3号証)(ウ)「ゴリラ」(登録第2576348号商標、乙第4号証)、(エ)「 THE GORILLA」(登録第2712833号商標、乙第5号証)、(オ)「GORILLA」(登録第3282184号商標、乙第6号証)、(カ)「GORILLA」(登録第3333150号商標、乙第7号証)。 ところで、上記(ア)乃至(エ)は平成8年改正法施行前は相互に連合関係にあり、(ア)乃至(エ)のいずれかを使用していれば不使用取消を免れうる(商標法等の一部を改正する法律附則10条2項)ものである。 そして、上記(エ)「THE GORILLA」商標については、商品「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に、被請求人がゴリラジャパン株式会社に対して専用使用権を設定しており、ゴリラジャパン株式会社が同商品に上記商標を使用している(乙第8号証)。 (2)請求人について 法人登記簿謄本(乙第9号証)によれば、請求人は現在より約3年前に設立された有限会社であり、その主たる目的は、海外のファッションデザイナー及びファッションメーカーのブランド・デザインによる日本国内向ライセンスの斡旋、平たく言えば海外ブランドの国内向ライセンスの斡旋である。 (3)不使用取消審判制度の趣旨と平成8年法改正について 不使用取消審判制度は登録主義の是正手段として存在する。 すなわち、登録主義はいまだ具体的な信用が形成されていない不使用商標であっても登録するが、登録後3年間の猶予期間を経てもなお使用されない場合においては、他人がその商標の使用を欲するときは、その他人のためにその商標の使用の途を開いたものである。 そして、平成8年の法改正によって、上記審判の請求人適格が「何人も」認められることとなったのであるが、これについては「何人も」請求できるとされたことによって従来のような厳密な利害関係は要求されなくなったとしても、特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室編集の「工業所有権法の解説」(乙第11号証、抜粋)に「当該審判の請求が被請求人を害することを目的としていると認められる場合には、その請求は権利濫用として認められないこととなる」とある如く、全く使用予定のない者は本審判請求の利益がないものとしなくてはならない。 (4)結語 本件審判の請求人は、本件商標を使用する意思も予定もなく、ただ有名ブランドの信用に只乗りすることを目的とする者であるから、このような者には使用調整手段たる不使用取消審判制度を利用する利益はない。 しかも、本件商標は「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に関しては専用使用権者によって使用されていて取り消せないのだから、「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」以外の運動具に関して取り消してみても、「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」以外の運動具に関して本件商標の登録が可能になるわけでもなければ、使用が可能になるわけでもない。 このように本件審判請求は、全く利益がないものであるから速やかに棄却されるべきものである。 2.不使用についての正当理由の存在 (1)「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に関する専用使用権の存在について 前記のとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一商標である登録第2712833号商標について、ゴリラジャパン株式会社に対して「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に関する専用使用権を設定している(乙第5号証ノ2)。 そして、専用使用権者であるゴリラジャパン株式会社は、永年「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に「THE GORILLA」商標を使用した結果、同商標は「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」について周知となっている。 (2)被請求人が、本件商標を「連動具」に使用できない理由について 被請求人は、「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」以外の運動具について本件商標を使用する権利を有している(商標法25条)が、同時に、専用使用権者は、被請求人が同商品について本件商標を使用することを排除する権利(禁止権)を有している(商標法37条1項1号)。 また、「GORILLA」商標は、乙第12号証乃至乙第24号証で立証するように、専用使用権者が商品「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に使用することによって周知になっており、被請求人が「ゴルフ用具、ゴルフくつ」以外の運動具に本件商標を使用すると両商品間に混同が生ずるから、被請求人の右行為は不正競争行為となる(不正競争防止法2条1項1号)。 商標法25条は、被請求人が「登録商標の使用をする権利を専有する」と規定しているが、それは「他の法律によって禁止されていない限り」という条件付であるところ、被請求人が、「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」以外の運動具に本件商標を使用することは商標法37条1項1号、不正競争防止法2条1項1号によって禁止されているのだから、被請求人は、本件商標を同商品に使用することはできない。 また、被請求人は、専用使用権者との間において、同人の商品と混同を生ずる行為をしてはならないという義務を契約上負っているから、「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」以外の運動具に本件商標を使用することはできない。 (3)結語 上記のとおり、該専用使用権の存続する限り、被請求人は、本件商標を「ゴルフ用具、ゴルフぐつ」に使用してはならない法律上並びに契約上の義務を負っているのだから、その不使用には正当理由がある。 第4 当審の判断 商標法50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同法50条2項により、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、使用していないことについて正当な理由があることを証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取り消しを免れない。 しかるところ、本件商標の取消審判に係る指定商品は、「運動具(ゴルフ用具、ゴルフぐつを除く)」であって、被請求人が提出した乙第8号証に示された、本件商標と連合関係にあった登録第2712833号商標の商標権の専用使用権者(ゴリラジャパン株式会社)が使用しているとする商品は「ゴルフ用具」であるから、本件商標の取消審判に係る商品「運動具(ゴルフ用具、ゴルフぐつを除く)」の使用とは認められないものである。 そして、登録商標の使用をしていないことについての「正当な理由」とは、(1)地震、台風その他の天変、地変(2)類焼、放火、破壊その他の第三者の故意又は過失(3)法令による全面的禁止、許認可手続の遅延その他の公権力の発動等、指定商品についてその登録商標の使用を妨げる事情であって、商標権等の責に帰すことができない場合をいうものと解するのが相当である。 そこで、本件商標の不使用の正当な理由として、被請求人の主張する理由が、「登録商標の使用していないことについての正当な理由」に該当するものであるかを検討してみるに、いずれの理由も上記認定の正当な理由に該当するものとは認められない。 また、「本件審判請求は、被請求人を害することを目的とするものであること及び請求人は本件商標を商標登録することができないから、請求の利益はない。」との被請求人の主張は、被請求人を害するものであるとの具体的な証拠の提出がないものであり、本審判請求が被請求人を害する目的のものとまでいえないこと及び商標登録を取り消すことと商標登録を受けることができないこととは別問題であるから、その主張は採用することはできないものである。 してみれば、本件商標の登録は、商標法50条1項の規定により、その指定商品中「運動具(ゴルフ用具、ゴルフぐつを除く)」についてその取り消しを免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-05-29 |
結審通知日 | 2000-06-09 |
審決日 | 2000-06-20 |
出願番号 | 商願昭55-26203 |
審決分類 |
T
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32・
1-
Z
(124)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川又 澄雄 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
箕輪 秀人 滝沢 智夫 |
登録日 | 1984-03-22 |
登録番号 | 商標登録第1671124号(T1671124) |
商標の称呼 | ゴリラ |
代理人 | 平尾 正樹 |