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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1021116 
審判番号 審判1999-30008 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1998-12-30 
確定日 2000-07-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第2269853号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2269853号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和61年5月15日に登録出願され、「AICOM」の文字を横書きしてなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年9月21日に設定登録されたものである。
そして、本件商標の連合商標として登録された登録第2269854号商標(以下、「本件連合商標」という。)は、昭和62年7月20日に登録出願され、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年9月21日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出している。
(1)被請求人は、本件商標をその指定商品に関して、我が国において、現在まで継続して3年以上使用していない。被請求人は、「ICOM」の文字で構成された商標をハウスマークとして使用するものであるが、この語頭に英字「A」を付加した本件商標「AICOM」を使用した事実は存在していない。
また、本件商標には、専用使用権通常使用権の登録も存せず、別に通常使用権者も確認することができない。したがって、これらの者によって、本件商標が使用された事実も確認できない。さらに、本件商標の使用をしていないことについて、被請求人には、正当な理由も存しない。
以上、本件商標登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人提出に係る乙第3号証ないし同第8号証に本件連合商標が表示されている事実は、認める。
しかし、これらは、いずれも商品の広告掲載頁の左上に、独立して表示されており、単なるハウスマーク或いは営業表示として掲載されたか、個別の商品を特定した商品商標として表示されたか、不明瞭な表示となっている。特に、乙第4号証及び乙第5号証には、明らかに個別の商品商標と認められる「デュオ」「Duo」の表示が掲載されており、本件連合商標の表示は商品商標ではなく、単なる社標、営業表示として表示されている可能性が高い。
次に、これらの表示がいずれも商品に係る商標としての表示態様であるとしても、或いは、営業表示であると同時に商標としての表示と認められるとしても、これらの表示は、いずれも広告宣伝的な使用態様で表示されたにすぎず、しかも、その掲載期間も、平成9年1月から3月までのわずか3か月間でしかない。
もちろん、請求人も、商標の広告、宣伝的な使用が、商標法第2条第3項第7号の規定により、商標の使用に該当することは否定するものではない。しかし、商標法第50条に定める商標の不使用に基づく取消審判請求において取り消しを免れるためには、単なる宣伝・広告による名目的な使用では足りず、現に取引の対象となる商品が存在し、当該商標の識別機能により商品が区別・識別され、取り引きされた事実を要し、現に商標が取引通商において表示され、使用されていることを要する。
すると、被請求人の提出に係る乙第3号証ないし同第8号証によれば、平成8年法律第68号による改正前の商標法による本件連合商標が、本件商標の指定商品の広告、宣伝に係る印刷物に表示された事実は認め得るものの、他の証拠、すなわち、本件審判請求前3年以内に現実に本件商標或いはその本件連合商標が、取引通商で表示、使用されたことを証する証拠、例えば、取引伝票・販売伝票等の取引書類の提示や、現実に当該商品が当該期間に存在していた事実を証する書面の提示は、一切存在していない。
したがって、本件商標は、本件審判請求前3年以内に、或いは、本件連合商標が、本件審判請求前3年以内で連合商標として登録されていた時期に、商標法第50条の取消審判請求による取り消しを免れ得る程度に、その現実の使用の実績・事実が立証されていない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出している。
(1)被請求人は、本件連合商標を、本件商標の指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内であって、かつ、平成8年法律第68号による改正商標法の施行以前(平成9年1月から平成9年3月31日の間)に使用してきたので、本件商標は、商標法附則第10条第2項の経過措置の適用により、登録を取り消されることはない。
(2)乙第3号証ないし同第5号証の製品別広告索引の頁及び50音別広告索引の頁に、被請求人の広告が掲載されている。当該頁には、本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。
乙第3号証の発行日は平成9年1月1日、同第4号証は同年2月1日、同第5号証は同年3月1日である。
(3)乙第6号証ないし同第8号証の被請求人の広告には、本件連合商標が各種トランシーバーの広告とともに表示されている。また、この頁には各種トランシーバー以外に、マリンプロッター・魚探や魚群探知機等の商品広告が掲載されている。これらの商品は、電子応用機械器具(水中聴音機械器具)に属する商品であり、本件連合商標は電子応用機械器具にも使用されている。
これらの発行日は、平成9年1月1日、同年2月1日或いは同年3月1日である。
なお、乙第8号証の付録の小冊子「’97東京/大阪国際ボートショーオフィシャルガイド」には「アイコム株式会社」「ICOM」の表示とともにトランシーバの紹介記事等が掲載されている。
(4)以上、本件商標は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)本件連合商標は、平成8年法律第68号による改正前の商標法の規定による本件商標の連合商標として登録されたものである。
(2)被請求人の提出に係る証拠によれば、平成9年1月1日、同年2月1日、同年3月1日、CQ出版社発行の雑誌「CQ Ham Radio」(乙第3号証、同第4号証、同第5号証)に掲載されている被請求人の商品広告に、「・・・100Wトランシーバー」「・・・デュアルバンドFMトランシーバー」の文字、「トランシーバー」の写真とともに本件連合商標と社会通念上同一といえる商標が表示されており、また、平成9年1月1日、同年2月1日、同年3月1日、舵社発行の雑誌「KAZI」(乙第6号証、同第7号証、同第8号証)に掲載されている被請求人の商品広告に、「マリンVHFならアイコム」「マリンVHFトランシーバー」「6インチカラー魚群探知機」の文字、「トランシーバー」「魚群探知機」の写真とともに本件連合商標と社会通念上同一といえる商標が表示されていることが認められる。
(3)上記事実からすると、被請求人は、平成9年1月ないし同年3月にかけて本件連合商標をトランシーバー及び魚群探知機について使用していたものと判断するのが相当である。
(4)請求人は、本件連合商標の使用は、商品商標ではなく、ハウスマーク、営業表示としてのものである、また、この使用は名目的な使用であって、現に取引に供された事実を証する書面の提出がなく、現に使用されたものとは認められないと主張する。
しかしながら、ハウスマークであれ営業表示であれ、商品を明示してその識別標識として機能を果たす態様で広告、宣伝がされているのであるから、該商標がトランシーバー、魚群探知機に使用されていたことは明らかである。また、商取引の実状に照らせば、これが名目的な使用であって商標法に規定する「使用」に当たらないのではないかなどという疑義は、生ずる余地がない。
(5)上記(2)で述べた本件連合商標が表示された広告の掲載は、平成8年法律第68号による改正商標法附則第10条第2項に規定する、本件連合商標の使用により本件商標の登録の取消を免れ得る時期にされたものと認められる。
(6)そうすると、商標権者は、我が国において審判の請求の登録前3年以内に、本件連合商標を請求に係る指定商品について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件連合商標

審理終結日 2000-05-08 
結審通知日 2000-05-19 
審決日 2000-05-31 
出願番号 商願昭61-50697 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高山 勝治林 二郎 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 小池 隆
寺光 幸子
登録日 1990-09-21 
登録番号 商標登録第2269853号(T2269853) 
商標の称呼 アイコム 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 杉本 巌 
代理人 北村 仁 

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