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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110
管理番号 1020967 
審判番号 審判1997-8719 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-05-27 
確定日 2000-06-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2701722号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2701722号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2701722号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ダイジェット」の片仮名文字を横書きしてなり、第10類「医療機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成1年4月19日登録出願、同6年12月22日に設定登録されているものである。

2 請求の主張
請求人は、「本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とする。」との審決を求め、その理由を下記のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証の1から同第27号証の1の3までを提出している。
(1)請求人は、本件商標の「ダイジェット」と発音を共通にする「Dijet」の文字よりなる商標、同じく、「下記(1)に表示したとおりの構成よりなる商標」、同じく、「ダイジェット」の文字よりなる商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)を保有しており、その商標は、以下に詳述するように請求人が創造したものであり、そしてこの引用商標は本件商標の出願日(平成1年4月19日)の遥か前より使用を開始し、大々的な宣伝・広告の結果、請求人の商号、営業標章そして商標として周知・著名なものとなっている。
被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合、請求人の営業に係る商品として誤認混同されることは必定であり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。また、本件商標は請求人にかかる商号の著名な略称「ダイジェット」と同一のものであり、商標法第4条第1項第8号にも該当するものである。
(2)請求人は、商品「超硬チップ、エンドミル、ミリングカツター、フライス、ドリル等の切削工具、圧延ロール金型、異形引抜ダイス等の耐摩工具及び耐蝕工具」等を製造販売している会社であり、東京証券取引所一部、大阪証券取引所一部及び名古屋証券取引所一部の上場会社である。請求人は少なくとも昭和49年以降、営業活動のあらゆる場面で引用商標の使用を開始し、現在も引き続き大々的に使用している。そして、請求人は「Dijet」の文字を書してなる登録第1410279号商標(第6類、指定商品「金属、鉱石・・・」)の文字よりなる商標、下記(1)に表示したとおりの構成よりなる登録第1461518号商標(第9類、指定商品「産業機械器具、事務用機械器具・・・・」)、同第1270086号商標(第6類、指定商品「金属、鉱石・・・・」)等、多数の登録商標を所有している。
(3)「ダイジヱット」の語は「ダイヤモンドのように硬く、ジェット機のように高速な切削が可能な超硬工具作りを目指す」との意のもとに請求人が独自に創作したもので、請求人の商号もこの言葉を冠して「ダイジヱット工業株式会社」となるもので、昭和29年以降現在に至るまでこの商号の下で営業活動を大々的に行っており、請求人は「ダイジェット」の略称のもと親しまれている。そして請求人に係る「ダイジェット」は、上記のように商号として用いるとともに、請求人のあらゆる営業活動において使用されており、また商品「超硬チップ、エンドミル、ミリングカツター、フライス、ドリル等の切削工具、圧延ロール、金型、異形引抜ダイス等の耐摩工具及び耐触工具」等の商品群に大々的に使用してきた。その結果、引用商標は請求人の商号の略称を示すものとして、営業商標として、そして上記商品群を示す商標として周知・著名なものとなっている(甲第8号証乃至甲第24号証)。ここで、引用商標に関する広告宣伝活動の一端を示すと、甲第8号証及び同第9号証は会社案内・会社概要及びカタログであり、請求人の営業活動の詳細を示している。この会社案内・会社概要及びカタログは請求人の発行してきたもののうちのごく一部であって、請求人はこれらの他にも多数の会社案内・会社概要及びカタログを頒布してきている。
また、甲第10号証乃至同第21号証は引用商標が掲載されている新聞の広告・記事及び雑誌の広告であるが、日刊工業新聞において毎年多数の広告宣伝を掲載しており、かつ株式会社工業調査会発行の「機械と工具」(甲第11号証)、株式会社ジェイエム出版発行の「ジャパンマシニスト」(第12号証)及び日刊工業新聞社発行の「機械技術」(甲13号証)その他の多数の雑誌(甲第14号証乃至同第20号証)等においても引用商標を付した広告を広範囲かつ継続的に行っている。また、請求人あるいは請求人の商品を紹介する記事が新聞・雑誌に広範囲に取り上げられている(甲第21号証)。そして、甲第22号証乃至甲第23号証は、以上の広告宣伝が継続的かつ大々的に行われている事実をふまえて作成された取引者、需要者、業界団体及び商工会議所の周知・著名証明である。
以上の事実から明らかなように、「ダイジェット」の称呼を有する引用商標は、商号の略称、営業商標として、そして商品「超硬チップ、エンドミル、ミリングカツター、フライス、ドリル等の切削工具、圧延ロール、金型、異形引抜ダイス群」について周知著名な商標となっている。引用商標は前述のように商品「超硬チップ、エンドミルミリングカツター、フライス、ドリル等の切削工具、圧延口ール、金型、異形引抜ダイス等の耐摩工具及び耐蝕工具」等の商品群について周知・著名なものとなっており、最近のように市場が拡大され、各企業とも多角経営をなすことが通例となっている事実に鑑みると、請求人が本件商標の指定商品「医療機械器具、その他本類に属する商品」を製造販売する可能性が十分にある。特に本件商標の指定商品は「医療機械器具、その他本類に属する商品」であるが、たとえば甲第24号証乃至甲第26号証に示されるように、「歯科用研削機のデンタルバー」、「ダイヤモンドメス刃」等の研削具又は切断・剥切具が医療機械器具等に属しており、これらの商品は研削又は切断.剥切するために使用する点で請求人の取り扱いにかかる商品群と共通すると共に、ダイヤモンド等の超硬物を原材料としている点も両者は共通にしており、被請求人が本件商標「ダイジェット」を医療機械器具等の商品群に使用した場合、これに接する需要者は請求人にかかる品と誤認混同を起こすおそれがあるものといわざるをえない。したがって、本件商標「ダイジェット」は商標法第4条第1項第15 号に該当する。
上述のように「ダイジヱット」の語は請求人が独自に創作したもので、請求人の商号もこの言葉を冠して「ダイジヱット工業株式会社」となるもので、昭和29年以降現在に至るまでこの商号の下で営業活動を大々的に行っており、請求人は「ダイジェット」の略称のもと親しまれている。この「ダイジェット」は請求の営業標章・商標としてはもちろんのこと、請求人の商号の略称を示すものとしても周知・著名なものとなっている。このことは、たとえば、日刊工業新聞、朝日新聞及び読売新聞等の株式市況欄において請求人が「ダイジェット」と掲載されており(甲第27号証)、しかも日刊工業新聞の複数の記事においても請求人は「ダイジェット」として掲載されていることからも(甲第20号証の26、38、45、73、83、92等を参照。)、「ダイジェツト」は請求人の商号の著名な略称になっていることが明らかである。このように、本件商標「ダイジェット」は、請求人に係る商号の著名な略称と同一であり、商標法第4条第1項第8号にも該当するものでもある。
以上のごとく、本件商標「ダイジエット」は、商標法第4条第1項第15号ならびに同法第4条第1項第8号の各規定に該当する無効理由を有するものであり、商標法第46条第1項の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。

3 被請求人は、請求人の上記2に対し何ら反論をしていない。

4 当審の判断
よって判断するに、請求人が提出している甲8号証から同第27号証をみるに、請求人は1938年より「ドリル、エンドミル、ミリングカッター」等の超硬工具を製造する一方、それらの商品に「DIJET」、「ダイジェット」及び下記(1)の構成よりなる商標を付し、長年に亘りカタログ、新聞、雑誌等に宣伝・広告してきたものである。その結果、該文字よりなる商標は、本件商標の出願時には請求人の業務を表彰する商標として、取引者・需要者間に著名であったことを知ることができる。
そうとすれば、請求人が「ドリル、エンドミル、ミリングカッター」等の超硬工具に使用するものとして著名な「DIJET」、「ダイジェット」の文字よりなる商標と類似する本件商標を、被請求人がその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が請求人あるいは請求人と何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)登録第1461518号商標
登録第1270086号商標

審理終結日 2000-03-23 
結審通知日 2000-04-04 
審決日 2000-04-20 
出願番号 商願平1-44801 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (110)
最終処分 成立  
前審関与審査官 茂木 静代高山 勝治 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 滝沢 智夫
江崎 静雄
登録日 1994-12-22 
登録番号 商標登録第2701722号(T2701722) 
商標の称呼 ダイジェット 
代理人 植木 久一 
代理人 小谷 悦司 
代理人 長田 正 

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