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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) 037
管理番号 1019122 
異議申立番号 異議1999-91034 
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-08-09 
確定日 2000-05-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第4260533号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4260533号商標の登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4260533号商標(以下、「本件商標」という。)は、「カギポリスマン」の文字を横書きしてなり、平成9年3月21日に登録出願され、第37類「錠前類の取付け・開錠又は修理,その他の扉廻り・窓廻り金具の取付け・修理又は保守,金庫・ロッカーの修理又は保守,防犯・防災設備機器の設置工事及び保守」を指定役務として、平成11年4月9日に設定の登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 取消理由の通知
平成11年11月2日付けで、商標権者に要旨下記の取消理由を通知した。
本件商標は、登録異議申立人である「福岡市博多区博多駅南3丁目4番28号」所在の「有限会社鍵のポリスマン」(以下「申立人」という。)が、役務「錠前類の取付け・開錠又は修理,その他の扉廻り・窓廻り金具の取付け・修理又は保守,金庫・ロッカーの修理又は保守,防犯・防災設備機器の設置工事及び保守」等について、福岡県を中心とする九州地区において永年使用し、本件商標出願前より取引者・需要者の間に広く知られている「鍵のポリスマン」の商標と類似するものであって、その役務と同一又は類似の役務に使用するものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べた。
(1)まず、取消理由は、申立人の提出に係る甲各号証より、申立人の使用に係る「鍵のポリスマン」の文字からなる商標の周知性を認めているが、上記甲各号証では、申立人の使用に係る商標の周知性を客観的に証明するだけの充分な資料とはいえず、かかる商標に周知性を認める判断は、不合理なものであると思料する。
申立人の提出に係る甲各号証を具に検討すると、かかる甲各号証からは、単に、申立人が、美和ロック株式会社のサービス代行店として、「鍵のポリスマン」あるいは「有限会社鍵のポリスマン」の文字からなる商標を使用しているという事実を証明することはできるものの、周知性を取得しているという事実を証明することはできないものであることが明白である。
甲第7号証には、平成8年度〜平成10年度の商品別売上推移表が提示されており、平成8年度の純売上額の総合計が約6600万円であること、そして、平成9年度の3月まで(本件商標の出願日である平成9年3月21日が属する月まで)の純売上額の合計が2700万円強であることは見て取れる。
しかしながら、かかる純売上額は、合計しても1億円にも満たない額であり、周知性を立証するのに充分な額であるとは到底思えない。
そして、甲第8号証には、「タウンページ」(福岡県中部)の平成6年版と平成7年版の広告掲載頁と、「タウンページ」(福岡地区東部・西部)の平成8年版〜平成11年版の広告掲載頁とが提示されている。
しかしながら、申立人が提示している広告宣伝方法は、上記した「タウンページ」だけであり、かかる電話帳掲載による広告は、集客を目的とするよりは、会社の存在を表すことに重きを置いているといえる。
そして、本件商標権者の調査においても、申立人が利用している広告は、年間480万円の費用をかけて九州電話広告株式会社の「タウンページ」(九州地区)に掲載しているだけであり、かかる広告以外にチラシやシールの配布、看板、雑誌、テレビ、及び、ラジオ等の広告は、過去も現在も共に一切行っている様子がない。
従って、申立人が、自己の商標の周知性を取得するために広告宣伝を積極的に行っているものでないことは明白であり、電話帳に掲載するだけの広告で、商標が周知性を取得したとの主張には、到底首肯しかねる。
また、甲第12号証は、何ら周知性の証明資料にはなり得ない。甲第12号証の証明願では、同業者や需要者が、「鍵のポリスマン」の商標を、平成4年1月頃より使用し、平成9年3月21日時点では九州一円において広く知れわたり現在に至っていることを証明していることになるが、同業者や需要者がこのような証明をするだけの能力があるとは到底思えない。
すなわち、同業者や需要者は、それぞれが個人的に「鍵のポリスマン」の商標を知っているという事実を証明することはできると思うが、各企業又は各個人が「平成4年1月頃より使用し、平成9年3月21日時点では九州一円において広く知れわたり現在に至っていること」の事実の証明をすることは到底できないと思う。
先にも述べたように、申立人は、電話帳掲載以外の広告宣伝を一切しておらず、しかも、この電話帳掲載も福岡地区以外は行っていないことから考えて、北九州市在住の需要者が一個人としてかかる事実の証明を行うことは、常識的に考えて不可能に近いと思う。
結局、甲第12号証の証明願は、申立人と取引関係のある同業者や、申立人の過去若しくは現在の需要者が、単に、申立人から依頼を受けて記名・捺印した書類にすぎず、周知性を証明する能力のある公的機関等の証明書ではないことは明白である。
従って、甲第12号証の証明願により、申立人が、自己の商標が周知性を取得していると主張することには、全く首肯できない。
このように、申立人が提示した甲各号証は、同申立人の使用に係る商標「鍵のポリスマン」の周知性を証明するのに充分なものではなく、かかる商標に周知性が認められるのは不合理であると思料する。
(2)本件商標権者が調査したところによると、申立人は、業界内では後発に属し、社歴も5年半で、年商7500万円程の小規模な同族企業であり、広告宣伝は電話帳掲載を行っているだけである。
従って、商標審査基準に照らしても、このような申立人の使用に係る商標が、本件商標の出願時である平成9年3月21日当時(会社設立から3年後)には周知性を取得していたとは到底考えられない。
(3)以上に述べてきたように、申立人の使用に係る商標は、周知性を認められるべき根拠がなく、何ら周知性を取得している商標でもないことより、かかる商標を引用して、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるとする判断は、不合理であると思料する。
従って、本件商標は、取り消すべき理由はないものと思料する。

5 当審の判断
本件商標は、「カギポリスマン」の文字を書してなるものであるところ、申立人の提出に係る甲第6号証の1の「請求書」、甲第6号証の2の「領収書」、甲第7号証の「平成8〜10年度商品別売上推移表」、甲第8号証の1及び甲第8号証の2の「タウンページ」、甲第9号証の「ふくおか経済」(株式会社地域情報センター 平成6年4月1日発行)、甲第10号証の「国際グラフ」(株式会社国際企画 平成7年9月1日発行)及甲第12号証の1ないし甲第12号証の5の同業者等の証明書によれば、申立人の使用に係る「鍵のポリスマン」の文字からなる商標は、本件商標の登録出願時において、既に申立人の業務に係る役務「錠前類の取付け・開錠又は修理」等の商標として、少なくとも、福岡県を中心とする九州地区の取引者・需要者の間において広く知られていたものと認められる。
また、本件商標と申立人の使用に係る商標とは、その称呼において類似するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、その使用に係る役務又はこれに類似する役務について使用するものと認められる。
なお、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとの理由により、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。
商標権者は、申立人の提出に係る甲各号証では、申立人の使用に係る商標の周知性を客観的に証明するだけの充分な資料とはいえない旨述べているが、本件については上記認定のとおり申立人の提出に係る上記甲各号証によれば、少なくとも、福岡県を中心とする九州地区の取引者、需要者の間において広く知られていたものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-07 
出願番号 商願平9-30617 
審決分類 T 1 651・ 252- Z (037)
最終処分 取消  
前審関与審査官 大橋 信彦 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 江崎 静雄
宮下 行雄
登録日 1999-04-09 
登録番号 商標登録第4260533号(T4260533) 
権利者 株式会社九州フキ
商標の称呼 カギポリスマン、ポリスマン 
代理人 加藤 久 
代理人 松尾 憲一郎 

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