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審決分類 審判    Z25
審判    Z25
管理番号 1017147 
審判番号 審判1999-11490 
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-12 
確定日 2000-04-26 
事件の表示 平成10年商標登録願第 20604号拒絶査定に対する審判事件 について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「履物,洋服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣装,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年3月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『ゲル状、コロイド溶液がゼリー状に凝固した状態』を意味する『GEL』の文字と『靴中敷き』を意味する『INSOLE』の複数形を一連に『GELINSOLES』と普通に用いられる方法で書してなるところ、履物を取扱う業界においては、歩行の際に足に係る衝撃を和らげるための『靴中敷き』が数多く販売され、また衝撃を和らげる素材として、『ジェル状のものや水』等を靴中敷き部分に封入した商品が販売されていることより、これを本願指定商品中『靴中敷き』に使用しても、該商品が『ジェルの封入されたもの』であることを理解させるに止まり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品(役務)以外の商品(役務)に使用するときは商品(役務)の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲に示したとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の左端から始まる「GEL」の3文字は、「G」と「E」、及び「E」と「L」との間隔が極めて狭く、しかも、「L」と「I」との間には僅かながら、間隔を有してなるものであるから、他の文字部分と切り離されて看取されるばかりでなく、「GEL」の語は、「ゲル、ゼリー状の物質」などを意味する英語(株式会社研究社、1998年第5版34刷発行「研究社新英和大辞典」)であって、わが国においても上記意を有するものとして、よく知られている語と認められる。
また、本願商標中の「GEL」の文字部分以外の「INSOLES」の文字は、本願の指定商品中の「靴類,運動用特殊靴」との関係からみれば、「靴の中底、靴の敷革」(前出「研究社新英和大辞典」)を意味する「INSOLE」の複数形を表したと容易に理解されるものと認められる。
そうとすれば、本願商標は、「GEL」と「INSOLES」の2語を結合したものと認識されるというのが相当である。
(2)ところで、靴等を取り扱う業界においては、靴を長く履き続けることにより生ずる身体の障害等を予防する目的をもって、足底部にかかる衝撃を分散、吸収する特性等をもつ中敷きを用いた靴・靴の中敷きが市場に多数出回っている実情にある。
そして、足にかかる衝撃を吸収する素材の一つとして、ゲル状、あるいはジェル状の物質が使用されていることは、例えば、1994年11月30日付日経産業新聞(30頁)の見出し及びその本文中の「靴用ゲル入り中敷き」、「ゲル入りの靴の中敷き」なる記載、1996年1月12日付朝日新聞(夕刊、2頁)の靴の衝撃緩衝素材に関し、「クッション性が高いといわれるのが、・・アルファーゲル。シリコーンが固体と液体の中間のゲル状になったもので、ミッドソールや中敷きに使われている。」なる記載、1998年9月20日付読売新聞(大阪、夕刊、21頁)の「百貨店やスポーツ用品店では最近、『衝撃吸収』をうたうランニングシューズなどが目立つ。各メーカーはショックを和らげる緩衝材に、小さな空気層を設けたり、ゼリー状の『ゲル』を用いたりなど様々な試みを行っている。」なる記載、あるいは1999年6月24日付朝日新聞(朝刊、埼玉版)の「梅雨空に楽しみ、ため息」と題する見出しの本文中における「足の疲れを取る商品も、この季節に売り上げを伸ばす。よく売れているのが、靴の中敷き。・・今年はジェルを包み込んだタイプが好調だ。」などの新聞記事より、あるいは株式会社ニッセン、平成10年4月1日発行「’98ニッセン夏号」(商品カタログ;558頁)には、「アメリカで開発された中敷きで、対流するジェルが緩衝材になる・・」なる記載、及び大阪府在の「日邦株式会社」等のインターネットのホームページなどより明らかである。
(3)前記(2)で示した靴等を取り扱う業界における取引の実情よりすれば、前記(1)で認定したように、「GEL」と「INSOLES」の2語を結合したものと認識される本願商標をその指定商品中の「靴類,運動用特殊靴」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「衝撃吸収材としてゲル状、もしくはゼリー状の物質を素材とする中敷き、あるいはその中敷きを用いた靴」なる意味合いを表したと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中、「ゲル状、もしくはゼリー状の物質を素材とする中敷きを用いた靴」、「ゲル状、もしくはゼリー状の物質を素材とする中敷き」について使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものであって、上記商品以外の「靴類,運動用特殊靴」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(4)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標


審理終結日 2000-02-08 
結審通知日 2000-02-22 
審決日 2000-03-07 
出願番号 商願平10-20604 
審決分類 T 1 80・ 271- Z (Z25)
T 1 80・ 13- Z (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 茂木 静代
小林 薫
商標の称呼 ゲルインソールズ、ジェルインソールズ、ゲル、ジェル、ジイイイエル 
代理人 福島 三雄 
代理人 小山 方宜 
代理人 野中 誠一 

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