• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない(当審拒絶理由) 121
管理番号 1015232 
審判番号 審判1992-19072 
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1992-10-05 
確定日 2000-02-18 
事件の表示 平成3年商標登録願第54423号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「NOBILITYPOLO」の文字を横書きしてなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として平成3年5月27日に登録出願され、当審において公告決定がされ、平成8年7月9日に出願公告されたものである。
2 登録異議申立人の主張
これに対して、登録異議の申立がなされ、登録異議申立人(以下「申立人」という)は、本願商標が含む「POLO」の文字は、申立人がアパレル、眼鏡、その他のファッション商品について使用している著名商標であり、また、申立人の著名な略称であるから、本願商標が、その指定商品に使用されれば、上記の著名商標との間に混同を生ずるおそれがあるかり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、また、同法第4条第1項第8号に該当する旨主張して、証拠方法として、甲第1号証ないし同第42号証を提出した。
3 審判請求人の答弁
これに対して、審判請求人(以下、「請求人」という)は、本願商標は、全体が同一書体で同大の文字にて構成され、一体不可分的に結合た造語商標であり、一連に称呼され認識される。
したがって、「POLO」の文字が、申立人の商標及び商号の略称として著名であるとしても、申立人の業務に係る商品との混同を生ずるおそれはなく、申立人の著名な略称を含む商標とはいえないから、本願商標は、商標法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第8号には該当しない旨主張して、証拠方法として、乙第1号証ないし同第22号証を提出した。
4 当審の判断
(1)「POLO」の文字からなる商標について
▲1▼ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)と「ポロ・ファッションズ社」について
「男の一流品大図鑑」 (株式会社講談社昭和53年7月20日発行)、及び、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」(サンケイマーケティング(サンケイ新聞データシステムマーケティング事業部)昭和58年9月28日発行)によれば、以下の事実が指摘できる。
(ア)ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして迎えられ、幅が広いネクタイをデザインし、これが若者に支持され、世界に広まったこと。
(イ)ラルフ・ローレンは、翌年独立し、社名を「ポロ・ファッションズ」として、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、カバンなどのデザイン製作を開始し、1971年には婦人服デザインにも進出したこと。
(ウ)ラルフ・ローレンは、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、他にも賞を受賞し高い評価を受け、そのブランドを世界に通用させたこと。
(エ)そして、ラルフ・ローレンは、自己の取り扱いに係る商品に使用する商標を「ポロ競技」にヒントを得て採択したこと。
(なお、ラルフ・ローレンが関係する会社は、現在では、登録異議申立人(以下、「申立人」という)である「ザポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」であることが認められる。)
▲2▼「POLO」及び「Polo」の文字からなる商標について
申立人が引用している商標のうち「POLO」の文字からなる商標についてみるに、該商標は、その配列すべてを大文字で表示したものであるところ、前掲の「男の一流品大図鑑」、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、及び、「世界の一流品大図鑑’80年版」(株式会社講談社昭和55年6月20日第二刷発行)、によれば、「PoIo」と、第2文字目以降を小文字で表示した商標が、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして使用されていることが認められ、これは、「POLO」の文字からなる商標と、相互に同一の称呼(「ポロ」)及び観念(「ポロ競技」)が生ずるものと認められ、本願の出願時においても、両者は社会通念上同一の商標であったとみなして差し支えないといえるものである。
▲3▼そこで、以下、本件登録異議申立を審理するにあたり、
申立人が引用している「POLO」、「Polo」の文字からなる商標を一括して「POLO商標」という。
▲4▼「POLO商標」の我が国での使用・紹介について
「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」 (株式会社洋品界昭和55年4月15日発行)の「ポロ」の項、「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」 (ボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行)の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項、及び、申立人が提出している甲第3号証(昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事)を総合すれば、我が国においては、ポロ・ファッションズ社(あるいは、ラルフ・ローレン)との契約に基づき、西武百貨店が昭和52年にラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴の取り扱いを、同53年からは婦人服の取り扱いを開始したことが認められる。
また、前掲の書籍・新聞の外、 「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80」 (株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行)、「男の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年4月25日第二刷発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年6月20日第二刷発行)、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社昭和60年6月25日第2刷発行)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ジャケット、シャツ、ネクタイ、眼鏡に「POLO商標」が使用されて いることが認められる。
▲5▼「POLO商標」の著名性について
以上、認定の事実を総合して検討すれば、「POLO商標」は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するもの、あるいは、ポロ・ファツションズ社、又は、申立人の取り扱いに係る商品に使用する商標として、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ、著名になっていたものと判断され、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの判断を覆すに足りる証拠はない。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、前記のとおり、「NOBILITYPOLO」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、本願商標を構成する文字が「貴族のポロ球技(競技)」との意味合いが認識される場合があるとしても、我が国において「ポロ競技」が盛んに行われて一般に親しまれているとはいえないばかりでなく、「貴族によるポロ競技(大会)」などが、具体的に開催され知られているとの事実も認められず、外に、貴族とポロ競技との関連性を見出す証左は認められない。
(3)出所の混同のおそれについて
本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を有するものである。
一方、前記のとおり、 「POLO商標」は、我が国において、本願出願前に、「ラルフ・ローレン」のデザインに係る商品、あるいは、申立人の取り扱いに係る商品である被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品を表示するものとして、当該商品に関する取引者、需要者の間において著名となっていたといい得るものであって、本願指定商品は「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」であり、ファッション性を有する商品であることから、これに係わる取引者、需要者が、本願商標に接した場合には、「POLO商標」との構成上の相違があったとしても、その著名性ゆえ「POLO」の文字部分に着目することで、「POLO商標」を連想・想起し、それがあたかも、「ラルフ・ローレン(あるいは、申立人)」の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、答弁書において種々述べているが、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標と判断されること前記のとおりであって、さらに、「ラルフ・ローレン」の「POLO」、「Polo」の商標について、申立人が提出している甲第40号証に係り、本件判断とほぼ同様の判断がされている東京高等裁判所の判決の内容をもあわせみれば、請求人の答弁書における主張は採用できない。
5 なお、上記判断に関し、当審が職権をもって調査した結果について、審判長は審尋書を発し、請求人に意見を求めたが、請求人からは意見書の提出がなかった。
6 結語
以上、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきであって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-11-19 
結審通知日 1999-12-03 
審決日 1999-11-21 
出願番号 商願平3-54423 
審決分類 T 1 8・ 271- WZ (121 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小宮山 貞夫 
特許庁審判長 秋元 正義
特許庁審判官 宮川 久成
芦葉 松美
商標の称呼 1=ノ-ビリテ+イポロ 
代理人 中村 政美 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ