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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) 020
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) 020
管理番号 1011504 
異議申立番号 異議1998-91904 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-01 
確定日 1999-12-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第4154343号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4154343号商標の指定商品中「スリーピングバッグ」についての登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4154343号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成7年1月26日に登録出願され、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第20類「木製の包装用容器(「コルク製栓、木製栓、木製ふた」を除く。),プラスチック製きょう木,プラスチック製包装用葉,コルク製栓,プラスチック製栓,プラスチック製ふた,木製栓,木製ふた,愛玩動物用ベッド,犬小屋,買物かご,額縁,家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。),きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),工具箱(金属製のものを除く。),小鳥用巣箱,植物の茎支持具,ストロー,スリーピングバッグ,洗濯挟み,ハンガーボード,ベンチ,プラスチック製彫刻,木製彫刻」を指定商品として、平成10年6月12日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、平成3年4月4日に登録出願され、別紙に示したとおりの構成よりなり、第24類「運動用特殊衣服,その他の運動具」を指定商品として、平成10年3月20日に設定登録された登録第2724045号商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であって、本件商標の指定商品中の「スリーピングバッグ」は引用商標の指定商品中に包含されているものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、指定商品中「スリーピングバッグ」について取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標は取り消されるべきであるとして商標権者に通知した取消理由は、つぎのとおりである。
<取消理由>
引用商標は、その構成中の「WALLABIES」の文字部分も独立して自他商品の識別機能を果たし得るものと認められるから、これより「ワラビーズ」の称呼、「小型のカンガルー(ワラビー)」の観念を生ずるものである。
そうとすれば、本件商標はその構成文字に相応して「ワラビー」の称呼を生ずること明らかであるから、両商標は、語尾において必ずしも明瞭に聴取されるとはいい難い「ズ」の音の有無という微差を有するに過ぎず、それぞれを一連に称呼するときは、全体としての語感、語調が近似し、彼此聴き誤るおそれがあり、また、「小型のカンガルー(ワラビー)」の観念においても類似するものといわなければならない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において異なるところがあるとしても、称呼及び観念において互いに類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の「スリーピングバッグ」は引用商標の指定商品に包含されているものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「スリーピングバッグ」については商標法第4条第1項第第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べている。
(1)引用商標を全体的に観察した場合
引用商標は、その構成中の「WALLABIES」の文字部分よりむしろ、一見、カンガルーと思われる動物の絵図と、エンブレム風図形の半円周状に描かれた樹木の葉らしき絵図に、需要者の注意が注がれるものである。
また、「WALLABIES」の文字部分から、取消理由で生じるとされる「小型のカンガルー(ワラビー)」の観念は、二次的に生じる観念であって、我が国における需要者、特に一般消費者にとって、「カンガルー」は、ワラビーと比較して幼いときからなじみの深い動物であり、引用商標を見た場合、一次的には「樹木の葉に囲まれたカンガルー」を想起するとするのが自然である。
そして、本件登録異議申立人が申立書で主張するとおり、引用商標は、オーストラリア・ラグビーチームの「WALLABIES」を表彰するチームエンブレム(標章)であり、該チームが、「オールブラックス」(ラグビーチーム)に勝利し、一躍世界チャンピオンとして、ラクビー界の注目を集めたことのあるチームである事実からすれば、需要者にとって、引用商標からは、単に、「小型のカンガルーであるワラビー」の観念を生じるものではなく、申立人が主張しているとおり、オーストラリア・ラクビーチームの「WALLABIES」を表彰するチームエンブレム(標章)として、商標全体を一体として、認識するのが至当といわざるを得ない。
これに比して、本件商標は、単にカタカナの「ワラビー」のみをもって構成されており、カンガルーと思われる動物の絵図は存在しないことから、直ちに、「小型のカンガルーであるワラビー」の観念が生じるものではない。
つまり、需要者にとって、単にカタカナの「ワラビー」からは、これに良く似た称呼であるシダ科の植物の「わらび(蕨)」、あるいは埼玉県に所在する「蕨市」を想起するとみるのが自然である。蕨市においては発音が似ていることから、「小型のカンガルーのワラビー」を同市のマスコットキャラクターに制定したほどであり、「ワラビー」から「わらび(蕨)」或いは「蕨市」を想起することは論を待たないところである。
▲2▼称呼について
引用商標は、構成中の「WALLABIES」がラクビーチームの名称であり、そのチームがラクビー界の注目を集めたことは、確たる事実であることからすれば、取引市場において、需要者は、チーム名の称である「WALLABIES」を「ワラビーズ」と、「ズ」に至るまで明確に発音、認識するものである。
このことは、具体的な例を持ち出すまでもなく、我が国における、プロ野球チーム名、プロサッカーチーム名等を、需要者が発音、認識する場合を想定すれば明らかである。
このように、両商標の称呼は、取引市場において紛れるおそれのないものである。
▲3▼ 需要者の通常有する注意力をもって考察した場合
商品「スリーピングバッグ」は、需要者にとって、決して安価なものではなく、その用途も、主として屋外で使用され、極寒の地、冬の雪山で使用されていることは、世上よく知られているところである。とすれば、需要者は、商品の選択をする場合、細心の注意を払うものであり、品質、機能については、もちろん、特に、商品の出所であるメーカー(製造者)については、商標はもちろん、メーカーの表示のあるラベルまでをも確認し、ときには、販売店の担当者に直接、問い合わせをしてまで商品の出所を確認するものである。したがって、指定商品「スリーピングバッグ」に本件商標、引用商標が使用されても、出所の混同を生じることはあり得ないものである。
上述のとおり、本件商標と引用商標とは、出所の混同を生ずるおそれのない非類似の商標である。
5 当審の判断
(1)本件商標は、「ワラビー」の文字よりなるものであり、「ワラビー」の称呼、「ワラビー(小型のカンガルー)」の観念を生ずるといえるものである。
他方、引用商標は、文字と図形の組み合わせよりなるが、中央の下部に他の文字より大きく顕著に書された「WALLABIES」の文字部分に相応して「ワラビーズ」の称呼を生ずるというのが相当であり、加えて、中央に描かれた図形と相まって「ワラビー(小形のカンガルー)」の観念を生ずるといえるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観における相違を勘案しても、先に通知した取消理由のとおり「ワラビー」と「ワラビーズ」の称呼において、また、「ワラビー(小型のカンガルー)」の観念において類似するものと認められる。
(2)、商標権者は、引用商標はオーストラリアのラグビーチームのエンブレム(標章)であり、一義的には「樹木の葉に囲まれたカンガルー」を想起するのが自然である旨述べる。
しかし、引用商標が商標権者の主張するラグビーチームのエンブレムであると認められるとしても、必ずしも、引用商標がエンブレムとのみ認識されるほど該チームのエンブレムが我が国において広く知られているとは認め難いところであるし、また、引用商標中の動物の図形がカンガルーとも看取されるであろうことを否定するものではないが、図形の下部に「WALLABIES」の文字が配されているのであるから、これに接する者は、全体として「ワラビー(小型のカンガルー)」を観念することも少なくないものというべきである。しかも、埼玉県の蕨市が「小型のカンガルーであるワラビー」を同市のマスコットキャラクターに制定したと商標権者が述べるように、「ワラビー(小型のカンガルー)」は、市のキャラクターに採用される程度に我が国においても知られている動物ともいえるのである。
(3)また、商標権者は、本件商標からシダ科の植物の「わらび(蕨)」或いは埼玉県の「蕨市」を想起する旨述べるが、本件商標は「ワラビー」の文字から構成されているものであって「ワラビ」ではない。「ワラビー」と「ワラビ」の称呼が似ていることをもって「ワラビー」から「わらび(蕨)」或いは埼玉県の「蕨市」を観念ないし想起することはないものというべきである。
(4)商標権者は、商品「スリーピングバッグ」は、安価なものではなく、その用途も主として屋外で使用され、極寒の地、冬の雪山で使用されるものであり、需要者が「スリーピングバッグ」の選択に際し、細心の注意を払うものであるから、「スリーピングバッグ」に本件商標、引用商標が使用されても出所の混同を生じることはあり得ない旨述べるが、「スリーピングバッグ」は、高価なものばかりではなく、一般需要者がキャンプ、ハイキング等で使用する安価なものも販売されている実情にあることは、広く知られているところである。そうすると、本件商標の付されたスリーピングバッグと引用商標の付されたスリーピングバッグとが時と処を異にして取引場裏におかれた場合には、必ずしも商標権者が述べる如き格別の特殊性を有する「スリーピングバッグ」のみが取り引きされているわけではないのであるから、前記の如き両商標の類似性からみれば、彼此相紛れ、出所の混同を生ずるおそれがあることは否定し得ないものといわなければならない。
(5)したがって、本件商標の指定商品中「スリーピングバッグ」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別記


異議決定日 1999-10-13 
出願番号 商願平7-6821 
審決分類 T 1 652・ 262- Z (020 )
T 1 652・ 263- Z (020 )
最終処分 取消  
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 秋元 正義
特許庁審判官 三浦 芳夫
原 隆
登録日 1998-06-12 
登録番号 商標登録第4154343号(T4154343) 
権利者 岩谷産業株式会社
商標の称呼 1=ワラビ- 
代理人 岩▲崎▼ 和夫 
代理人 安田 徹夫 
代理人 平木 祐輔 

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