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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 003
管理番号 1011070 
審判番号 審判1998-35496 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-10-15 
確定日 1999-11-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4029374号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4029374号商標の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4029374号商標(以下「本件商標」という。)は、「カラーミーアシーズン」の片仮名文字を横書きしてなり、平成7年8月3日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、平成9年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証乃至同第9号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、「アメリカ合衆国カリフォルニア州アンチオーク市西10番街2545番地」に所在するアメリカの有名な企業「Color Me A Season」(甲第1号証)の名称を日本語で表したものと同一であり、また、同社の日本法人「日本カラーミーアシーズン」の名称とも一致するから、商標法第4条第1項第8号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。
▲1▼本件商標の出願経緯
「Color Me A Season」社は、1991年8月30日に日本に法人「日本カラーミーアシーズン」を設立し(甲第8号証)、全米だけでなく、日本においても色彩のコンサルタント業務を開始した。
そして、1994年2月19日から同年8月29日まで、木目祥子氏が「日本カラーミーアシーズン」社で色彩のコンサルタントの講習を受け、平成7年12月に「プリオコスメ」化粧品の販売を始めた。この化粧品の開発を請け負ったのが本件商標の出願人である株式会社アジクリエーションであり、同社の代表者橋野勝巳氏は、アメリカの「Color Me A Season」社が近々日本で色彩に関するコンサルタント業務及びそれに付随する業務を開始するのを知って、先回りして本件商標を出願したのである。
▲2▼「Color Me A Season」社について
「Color Me A Season」社は、1978年にアメリカ合衆国カリフォルニア州に設立され(甲第1号証の1乃至同第1号証の2)、衣服、化粧品等個々の人間にもっとも似合った色彩を研究するのを主な業務(甲第5号証)としている。
同社は、その成果をコンサルタント業として全米に広げた著名な企業であり、今日までに多くの人間と色彩の関わりに関する著書を出版し(甲第6号証及び同第7号証)、その翻訳文が「日本カラーミーアシーズン」社からも出版されている。
なお、「Color Me A Season」という名称はアメリカ合衆国で1991年に商標登録されている(甲第2号証乃至同第3号証の2)。また、同名称は、アメリカ合衆国で著作権登録もされている(甲第4号証及び同第9号証)。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
▲1▼「Color Me A Season Incorporated」中の「Incorporated」の部分は、一般の取引者保護のために法人の種類を示すべく、法律上その記載が要求されているにすぎないのであって、日常生活において、一般の人が現実に特定の法人を示すものとして認識する部分は、法人の種類を示す部分「Incorporated」を省いた「Color Me A Season」(カラーミーアシーズン)であって、特に外国企業を認識する場合にあっては、法人の種類を示す記載は意識されることがない。
したがって、本件商標「カラーミーアシーズン」は、上記他人の名称「Color Me A Season」(カラーミーアシーズン)を有するものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
▲2▼「(1)請求の理由▲1▼本件商標の出願経緯」で述べたとおり、被請求人は、米国において広く知られている「Color Me A Season Incorporated」社が日本で色彩に関するコンサルタント業務並びにそれに付随する化粧品販売業務を開始するのを知って、同社の国内参入を阻止して不正な利益を得るべく、先取り的に本件商標を出願したものであるから、商標法第4条第1項第7号にも該当する。
3.被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を概略次のように述べた。
(1)他人の商号「Color Me A Season,Incorporated」と、本件商標が同一でない理由について
▲1▼請求人が主張する他人の商号「Color Me A Season,Incorporated」は、日本語読みすると、「カラーミーアシーズン株式会社」である。
一方、本件商標は、片仮名7文字を同書同大等間隔に書してなる「カラーミーアシーズン」である。
ところで、商号とは商人が営業上、自己の人格表示をする名称として選定するものである。この商号には、法人の組織を示す名称として、株式組織を有する法人にあっては、「株式会社」の文字はその商号中に必ず使用しなければならないものである。つまり、「株式会社」の文字は、株式組織を有する法人が、その法人格を表すため、その商号中に必ず使用しなければならない不動文字であって、商号の一部をなすものである。
したがって、他人の名称(商号)と本件商標が同一であるとするためには、他人の商号「Color Me A Season,Incorporated(カラーミーアシーズン株式会社)」と本件商標とが同一でなければならない。
ところが、本件商標は、片仮名文字7文字で構成された「カラーミーアシーズン」であり、当該他人の商号の登記上の記載全体を含むものでないから、本件商標と請求人の主張する他人の商号「Color Me A Season,Incorporated」は同一ではない。
▲2▼請求人が本件商標と同一であると主張する「Color Me A Season」は、商号の略称であり、それが商標法第4条第1項第8号に該当するためには当該商号の略称が著名である場合に限られるところ、請求人は当該商号の略称が、全米は勿論、日本全国において著名であることを立証していない。
したがって、本件商標が、他人の商号の著名な略称と同一であるとする主張も成り立たない。 上記▲1▼及び▲2▼の主張は、最高二小昭57.11.12判(民集36巻11号)、東京高昭52.6.1判(無体裁集9巻1号)及び東京高昭56.11.5判(無体裁集13巻2号)の判決に依拠するものである。
(3)他人の商号「有限会社日本カラーミーアシーズン」と、本件商標が同一でない理由について
本件商標「カラーミーアシーズン」は、他人の商号「有限会社日本カラーミーアシーズン」の登記上の記載全体と同一でない。
また、請求人は、「有限会社日本カラーミーアシーズン」の略称である「カラーミーアシーズン」の文字が、全国的に著名であることを立証していない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4.当審の判断
請求人の提出に係る甲第1号証1及び同第1号証2によれば、「Color Me A Season,Incorporated」は、カリフォルニア州の会社法に基づいて組織された会社であることが認められる。
そして、同じく請求人の提出に係る甲第3号証の1及び2によれば、「Color Me A Season」の文字がアメリカ合衆国において商標登録されていることが、また、甲第5号証乃至同第7号証の2、及び同第9号証によれば、「Color Me A Season,Incorporated」社の取り扱いに係る商品やそのカタログ、及び同社がその製作に関与する書籍等には、法人の種類を示す「Incorporated」の文字の部分を除いた「Color Me A Season」の文字が表示されていることが、それぞれ認められる。
そうとすれば、上記会社法に基づく正式名称は、「Color Me A Season,Incorporated」であるとしても、「Incorporated」の部分は、法人の種類を示すものとして法律上要求されているにすぎず、その団体若しくは社会的存在としての特定に必要不可欠な要部は、その部分を除いた「Color Me A Season」であり、したがって、商取引において他の団体と区別するために特定の必要上称呼する場合には、「Incorporated」という法人の種類を示す部分を省いて「Color Me A Season」と呼ぶ場合が多く、「Color Me A Season」は、社会通念上「Color Me A Season,Incorporated」を表すものと一般に理解されるものとみるのが相当である。
一方、本件商標は、「カラーミーアシーズン」の文字よりなるところ、当該文字は、前記社会通念上他人の名称として理解される「Color Me A Season」を日本語で表したものと同一であり、当該他人の承諾を得たものとは認められない。そして、本件商標の登録出願前に被請求人は「Color Me A Season,Incorporated」社の存在を知ることができた旨の請求人の主張に対し、被請求人は何ら抗弁していない。さらに、本件商標は、我が国の取引者、需要者に親しまれている外来語等を表したものとはいえないものである。
してみれば、商標法第4条第1項第8号の立法趣旨は、人格権の保護にあるところ、「カラーミーアシーズン」の文字よりなる本件商標は、同号に規定する他人の名称を含む商標に当たるといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-08-05 
結審通知日 1999-08-24 
審決日 1999-09-02 
出願番号 商願平7-79999 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (003 )
最終処分 成立  
前審関与審査官 矢代 達雄 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 野上 サトル
江崎 静雄
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第4029374号(T4029374) 
商標の称呼 1=カラ-ミ-アシ-ズン 2=カラ-ミ-ア 
代理人 川村 哲二 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 浅谷 健二 
代理人 杉本 巌 

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