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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない(当審拒絶理由) 121
管理番号 1009536 
審判番号 審判1990-13680 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1990-07-30 
確定日 1999-10-27 
事件の表示 昭和63年商標登録願第73338号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「POLOBROTHERS」の欧文字を横書きしてなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和63年6月27日に登録出願されたものである。そして、当審において出願公告の決定をし平成8年10月21日に出願公告されたところ、登録異議の申立てがあったものである。
2 登録異議申立ての理由
本願商標は「POLO」を含むものであるところ、これは申立人がアパレル、眼鏡、その他のファッション商品について使用している著名商標であり、本願商標がその指定商品について使用されたときは、混同を生ずるおそれがあるから、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、また、「Polo」の文字は申立人会社の著名な略称であるから、本願商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 当審の判断
(1)「POLO」の周知、著名性について
(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、巾広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾界の名誉ある賞「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技中のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンデザインに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。他にこれを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンに係る「POLO」、「ポロ」、[Po1o」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)第183号、同3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、「POLO」商標は、我が国においては、遅くても本願の登録出願前である昭和59年頃にはラルフ・ローレンのデザインに係る商品「被服、眼鏡」を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されて、周知、著名な商標に至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当であり、他にこれを覆すに足りる証拠はない。
(2)出所の混同のおそれについて
本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、請求人が主張する「ポロ兄弟」の如き意味合いが生じ得るとしても、それが一般に知られたものとは認め難いばかりでなく、「POLO」と「BROTHERS」の各文字よりなるものであること容易に理解されるものである。そして、前記認定の他人の周知、著名な商標「POLO」を含むものであることもまた容易に理解されるものである。
そうすると、本願に係る指定商品「かばん類」等はファションに関連する商品であって、統一ブランドの下にトータル的にファションをまとめようとする昨今においては、本願商標は、これをその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者が構成中の「POLO」の文字に着目するときも少なくないと認められ、そのことにより周知、著名商標「POLO」を想起又は連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当すると言わなければならない。
4 結論
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
異議の決定 T192 .271-WZ (121 )
請求人 上野衣料 株式会社
代理人弁理士 山内 淳三
登録異議申立人 ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ
代理人弁理士 曾我 道照
代理人弁理士 黒岩 徹夫
代理人弁理士 岡田 稔
昭和63年商標登録願第73338号拒絶査定に対する審判事件(平成8年10月21日出願公告、商公平8-119524)に関して、平成8年12月13日になされた登録異議申立てについて、次のとおり決定する。
結論
本件登録異議の申立ては、理由があるものとする。
理由
1 本願商標
本願商標は、「POLOBROTHERS」の欧文字を横書きしてなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和63年6月27日に登録出願されたものである。そして、当審において出願公告の決定をし、平成8年10月21日に出願公告されたところ、登録異議の申立てがあったものである。
2 登録異議申立ての理由
本願商標は「POLO」を含むものであるところ、これは申立人がアパレル、眼鏡、その他のファッション商品について使用している著名商標であり、本願商標がその指定商品について使用されたときは、混同を生ずるおそれがあるから、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、また、「Polo」の1文字は申立人会社の著名な略称であるから、本願商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 請求人の答弁
「POLO」は本来はポロ競技を意味する普通名称であるから他の語と結合して一般的に使用されるものであり、「POLO」との合成語は「POLO」と異なる意味合いの語として機能することが予定され、この点おいて申立人の商標は造語商標等と本質的に異なる。また、本願商標「POLOBROTHERS」は不可分一体のものとして把握、認識されるものである。したがって、申立人の商標の周知、著名性を考慮しても、混同を生じるおそれはない。
申立人会社の一般的な略称が「POLO」であるという事実、それが申立人の名称の略称として著名であるという事実はない。
4 当審の判断
(1)「POLO」の周知、著名性について
(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、巾広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾界の名誉ある賞「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技中のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンデザインに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。他にこれを覆すに足りる証拠はない。
以上の事実が甲第40号証及び職権調査により認められるところ、これらを総合すると、「POLO」の商標は、我が国においては、遅くても本願の登録出願前である昭和59年頃にはラルフ・ローレンのデザインに係る商品「被服、眼鏡」を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されて、周知、著名な商標に至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当であり、他にこれを覆すに足りる証拠はない。
(2)出所の混同のおそれについて
本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、「ポロ兄弟」の如き意味合いが生じ得るとしても、それが一般に知られたものとは認め難いばかりでなく、「POLO」と「BROTHERS」の各文字よりなるものであること容易に理解されるものである。そして、前記認定の周知、著名な商標「POLO」を含むものであることもまた容易に理解されるものである。
そうすると、本願に係る指定商品「かばん類」等はファションに関連する商品であって、統一ブランドの下にトータル的にファションをまとめようとする昨今においては、本願商標は、これをその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者が構成中の「POLO」の文字に着目するときも少なくないと認められ、そのことにより周知、著名商標「POLO」を想起又は連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当すると言わなければならない。
5 結論
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本件登録異議の申立ては理由があるものとすべきである。
よって、結論のとおり決定する。
平成11年8月23日(1999.8.23)
審判長特許庁審判官 工藤 莞司
特許庁審判官 滝沢 智夫
特許庁審判官 宮下 行雄
審理終結日 1999-07-30 
結審通知日 1999-08-17 
審決日 1999-08-23 
出願番号 商願昭63-73338 
審決分類 T 1 8・ 271- WZ (121 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦浜島 一孔 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 宮下 行雄
滝沢 智夫
商標の称呼 1=ポロブラザ-ズ 
代理人 山内 淳三 

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