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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110 |
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管理番号 | 1007991 |
審判番号 | 審判1998-30977 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-07-28 |
種別 | 商標取消の決定 |
審判請求日 | 1998-09-28 |
確定日 | 1999-12-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1474903号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 商標法第50条の規定により、登録第1474903号商標の指定商品中「測定機械器具並びにその部品及び附属品」についてはその登録は、取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1474903号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和51年9月22日に登録出願され、「Pro」の欧文字を横書きしてなり、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品及び附属品、写真材料」を指定商品として、昭和56年8月31日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中「測定機械器具並びにその部品及び附属品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)本件商標は、その指定商品中「測定機械器具並びにその部品及び附属品」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品について取り消されるべきものである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 本件商標は商品「小型血糖測定機」について本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されている旨述べているが、商品に使用されている商標と本件商標とは異なるものであり、また、該商品は本件審判請求に係る指定商品「測定機械器具並びにその部品及び附属品」に属するものではない。 したがって、本件商標は、上記の指定商品について取消しを免れないものである。 ▲1▼ 被請求人が提出した乙第1号証によれば、被請求人が本件商標の通常使用権者である株式会社三和化学研究所によって商品「小型血糖測定機」について使用されていると主張する商標は、「グルテストPRO」(「PRO」の部分は「グルテスト」の部分よりやや大きい)の構成よりなる。一方、乙第2号証は、「グルテストエース」の商標を付した「小型血糖測定機」の商品カタログであり、その11頁に「きめ細かく血糖値のデータを管理するために」という注釈のもとに、「グルテストPRO」の商標を付した、乙第1号証に表示された商品と同一の商品が掲載されている。 したがって、乙第1号証と乙第2号証とを総合的に比較して判断すると、株式会社三和化学研究所が商品「小型血糖測定機」について使用している商標は、「グルテストエース」及び「グルテストPRO」であり、両商標は「グルテスト」の文字を共通にするシリーズ商標である。すなわち、「グルテストPRO」は「グルテスト」の文字部分と「PRO」の文字部分とが一体不可分の構成よりなるものであり、「Pro」の文字より構成される本件商標とは別異の商標である。 ▲2▼ 次に、乙第1号証及び乙第2号証に表示されている「小型血糖測定機」は、本件商標の指定商品のうち「医療機械器具」に属するものであり、本件審判請求に係る指定商品「測定機械器具並びにその部品及び附属品」に含まれるものではない。すなわち、特許庁商標課編の「商品区分解説(昭和55年改訂版)」によれば、測定機械器のうち医療用のものは「医療機械器具」に含まれるのである(甲第2号証の2)。しかして、「医療機械器具」には、医院又は病院で使用する機械器具と共に、医師の指示・指導により家庭で使用されるものも含まれている。乙第1号証の3及び乙第2号証11頁には、「グルテストPRO」の商標を付した「小型血糖測定機」が「医療用具許可番号25BZ5004号」を付与されていることが表示されている。これは、該商品が薬事法に規定する医療用具であり、同法に基づいてその製造・販売について厚生大臣の許可を受けたものであることを明示している。また、請求人の代理人の事務所員が、乙第2号証の裏に記載されている該商品の問い合わせ先に電話を入れた所、「該商品は、医師の指示・指導により病院を通じ購入するシステムになっており、市販されていない」との回答を得た。更に、株式会社三和化学研究所のインターネット・ホームページには、インスリン療法を受けている糖尿病患者が医師の指示により血糖自己測定を行っている場合には、「簡易測定機」も医療保険の給付の対象なることが表示されている(甲第3号証の5の4頁)。 これらの事実を斟酌して判断すると、乙第1号証及び乙第2号証に示されている「小型血糖測定機」は、本件商標の指定商品のうち「医療機械器具」に属するものであり、本件審判請求に係る指定商品「測定機械器具並びにその部品及び附属品」に含まれるものではないことは明白である。 以上のとおり、被請求人の主張は、何ら本件商標が審判請求に係る指定商品について本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていることを挙証するものではない。 よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、上記した指定商品についての商標登録は取り消されるべきである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。 (1)被請求人(商標権者)は愛知県名古屋市東区東外堀町35番地に所在の株式会社三和化学研究所に対して本件商標をその指定商品中の「小型血糖測定機」について通常使用権を許諾しており、その株式会社三和化学研究所(以下「使用権者」という。)は本件商標を「小型血糖測定機」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用しており、請求人の主張は事実に反する。 すなわち、本件商標の構成態様は欧文字「Pro」を横書きしてなるものであって、指定商品を「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品及び附属品、写真材料」とするものであり、使用権者はその測定機械器具に属する商品である「小型血糖測定機」について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している。 (2)乙第1号証は使用権者が販売している「小型血糖測定機」の写真である。この写真から明らかの如く、乙第1号証には「PRO」の文字が表示されている。 これらは本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標でことは明白である。 (3)乙第2号証は使用権者が頒布している商品カタログのコピーである。この乙第2号証には使用権者が販売している前記の「小型血糖測定機」と同じ商品が掲載されている。この乙第2号証にも同様の商標が表示されていることが明らかである。 (4)以上の各証拠資料から明らかの如く、使用権者が本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標をその指定商品中の測定機械器具に属する商品である「小型血糖測定機」について、本件審判の請求の登録前(平成10年10月21日以前)三年以内に日本国内において使用しており、商標法第50条の規定により取消されるべき理由はないことが明らかである。 よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。 4 当審の判断 商標法第50条による商標登録の取り消し審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明確にしない限り、その登録の取り消しを免れない。 そこで、本件審判において被請求人より提出された乙第1号証及び同第2号証についてみるに、乙第1号証は、通常使用権者(株式会社三和化学研究所)が本件商標を使用(販売)しているとする「小型血糖測定機」の写真と認められ、販売元として表示されている他、「医療用具許可番号」、品番、発売元、製造元等が記載されているものである。 また、乙第2号証は、上記通常使用権者(株式会社三和化学研究所)が発行した販売に係る「小型血糖測定機」の商品カタログ(写し)と認められ、該カタログには機器(本体)及び補助器具の写真、機器仕様、販売元の他、本件商標と認め得る商標及び「医療用具許可番号」等の記載がなされているものである。 ところで、請求人より提出された甲第2号証の1ないし3(特許庁商標課編、「商品区分解説」)によれば、「医療用のものは、『測定機械器具』に属するものであってもこの概念に含まれず、医療機械器具に含まれる。」旨記載されているところである。 そして、被請求人が本件商標を使用しているとする乙第1号証及び同第2号証の「小型血糖測定機」は、前記商品カタログの記載内容及び請求人より提出のあった、本件商標を使用する「小型血糖測定機」の販売元(株式会社三和研究所)のインターネット・ホームページの内容等に徴すれば、糖尿病患者が医師の指示・指導により自己血糖測定を行うために病院を通じて購入し、使用するための「医療用機械器具」と認められるものである。 そうとすると、被請求人が提出した乙各号証によっては、被請求人(又は通常使用権者)が本件商標を本件審判の請求に係る指定商品「測定機械器具」について使用していたものということはできない。 してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件審判の請求に係る商品「測定機械器具並びにその部品及び附属品」について、使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中の結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-09-21 |
結審通知日 | 1999-10-05 |
審決日 | 1999-10-13 |
出願番号 | 商願昭51-64269 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(110 )
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 幸一 |
特許庁審判長 |
寺島 義則 |
特許庁審判官 |
江崎 静雄 沖 亘 |
登録日 | 1981-08-31 |
登録番号 | 商標登録第1474903号(T1474903) |
商標の称呼 | 1=プロ 2=ピイアアルオオ |
代理人 | 早川 政名 |
代理人 | 長南 満輝男 |
代理人 | 細井 貞行 |
代理人 | 又市 義男 |