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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 129 |
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管理番号 | 1006351 |
審判番号 | 審判1993-23532 |
総通号数 | 6 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1993-12-15 |
確定日 | 1999-11-01 |
事件の表示 | 平成3年商標登録願第66852号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「Polo Club」の文字を横書きしてなり、第29類(平成3年政令第299号による改正前の商品の区分。以下同じ)「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、平成3年6月25日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶理由 原査定は、登録異議の決定において、「『POLO』の文字がアメリカのデザイナー、ラルフ・ローレンのデザインによるものとして、本願の登録出願前より一般に広く知られていると認められるところ、本願商標は、これを指定商品について使用した場合、取引者、需要者は紳士服等について著名な『POLO』の文字部分に強く印象付けられ、前記ラルフ・ローレンのデザインに係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1) 引用商標「POLO」の周知、著名性について(株)講談社昭和53年発行7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。 アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。 そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。他に、これを覆すに足りる証拠はない。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2(行ケ)183、平成3.7.11)がある。 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標「POLO」は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品等に使用するものとして遅くとも本願の登録出願前までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識され、周知、著名な商標に至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。他に、これを覆すに足りる証拠はない。 (2)出所の混同の虞について 本願商標は、前記構成からなるものであるところ、「Polo」、「Club」がそれぞれ既成の意味を有する語であるから、これらの語を結合してなるものであることは明らかであって、「Polo」の文字部分が1つの語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に認識されているものともいい難いものである。 この点について、請求人は、本願商標は「ポロ競技者愛好者の集まり」という一連の観念を有する商標である旨主張するが、本願商標がかかる意味合いを有するものとして、本願に係る指定商品の需要者、その他一般に知られているものとは認められないから、請求人のこの主張は採用することができない。 また、近時、周知、著名商標については異業種へわたって広範囲にライセンスが行われている例がみられる。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品である「清涼飲料、果実飲料等」に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者が、その構成中の「Polo」の文字に注目し、前記周知、著名になっている引用商標「POLO」を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずる虞があるものと判断するのが相当である。 (3)請求人の主張について 請求人は、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではなく登録されるべきである旨主張し、その理由を以下のように述べ(前示したものを除く。)、甲第1号乃至同49号証を提出しいる。 ▲1▼紳士服などの第17類の商品分野についてみても、本願商標「Polo Club」とラルフ・ローレンの商標「POLO BY RALPH RAUREN」は明瞭に区別されて、請求人等は「Polo Club」等について登録商標を取得している(甲第1号証乃至同第3号証)。また、「Polo Club」は第17類以外でも登録されている(甲第10号証乃至同第16号証)。 しかしながら、本願商標は第29類に属する商品を指定するものであって、しかも、本件審判に係る案件は、商標法第4条第1項第15号適用に係るものであるから、第17類における登録商標の取得、存在は事案を異にするものである。また、商標法第4条第1項第15号の適用に当たっては、取引の実情を踏まえて個別、具体的に「出所の混同のおそれ」について認定、判断すべきものであり、他の登録例は本件審判における認定、判断を左右するものではない。 ▲2▼「Polo Club」は請求人・上野衣料(株)のオリジナルブランドとして、主に被服などアパレル商品として、また、ライセンスブランドとして高い評価を得ている(甲第4号証乃至同第8号証及び同29号証乃至同34号証。なお、甲第25号証乃至同第27号証は同第6号証乃至同第8号証に同じ。)。また、商標「Polo Club」については、新聞では、「日経流通新聞」、「繊研新聞」、「メンズデイリー」、「日本経済新聞」において年間通じて又は単発で広告をし、雑誌では、「メンズクラブ」、「ファインボーイ」、「ナンバー」、「レイ」、「CQ」において年間を通じて広告をして、宣伝広告活動の結果、請求人の業務に係る商品「被服等」を表示する商標として周知、著名となっている(甲第6号証乃至同第9号証及び申第28号証乃至同第38号証。なお、甲第31号証は同第9号証に同じ。)。 しかしながら、本願商標は第29類に属する商品を指定するものであって、主として被服に使用する請求人の商標の事情が本願に係る指定商品についての出所の混同の虞に直ちに影響を及ぼすものとは認め難いと言うべきである。 ▲3▼「POLO」を含む商標が、ラルフ・ローレンの商品と出所の混同を生じないとして、同人以外の者に、第17類はじめ他の分類で多数登録されており、その例は枚挙に暇がないほどである(甲第17号証乃至同第22号証)。また、「POLO」を含む商標が実際にも使用されており、商標「US POLO ASSOCIATION」が付された商品「札入れ」等が販売され(甲第23号証)、「POLO」が食品に使用されて(甲第24号証)、テレビコマーシャルも放映されているが、これらの商品がラルフ・ローレンの商品と混同する者はいない。 しかしながら、請求人が挙げた出願公告例は、第17類、第21類及び第22類に係るものであって、本願に係る指定商品とは関わりがなく、本願の認定、判断には適切な例ではない。また、札入れに係る使用例も同様である。他の使用例は本願に係る指定商品とは異なる商品に関するものであり、また、一使用例の存在をもって、出所の混同なしの証拠になるとは認め難く、しかも、商標法第4条第1項第15号は「混同のおそれ」で足りるのであるから、請求人の主張は理由がない。 ▲4▼本願商標「Polo Club」の周知、著名性又は引用商標との区別性が、他の異議事件及び審判事件で是認された(甲第39号証乃至同第49号証)。 しかしながら、異議事件及び審判事件(甲第44号証)はいずれも本願に係る指定商品とは商品が異なるもの又は役務に係るものであり、また、他の審判事件は商標法第53条第1項の取消審判であり、本件審判とは、適用条文が相違するものであって、本件審判に適切な例とはならない。 したがって、請求人の主張はいずれも採用することができないものである。 4 結論 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-08-16 |
結審通知日 | 1999-08-31 |
審決日 | 1999-09-02 |
出願番号 | 商願平3-66852 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(129 )
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 茂木 静代、上村 勉 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
野上 サトル 江崎 静雄 |
商標の称呼 | 1=ポロクラブ 2=ポロ |
代理人 | 山内 淳三 |