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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030 |
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管理番号 | 1002995 |
審判番号 | 審判1997-16925 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-03-31 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1997-10-09 |
確定日 | 1999-09-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3330762号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3330762号商標の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第3330762号商標(以下「本件商標」という。)は、「MILTRAY」の欧文字を横書きしてなり、平成5年11月26日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成9年7月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2.請求人の引用商標 請求人が本件商標を商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当するとして、登録無効の理由に引用する登録第1593187号商標(以下「引用商標1」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和52年3月2日登録出願、第30類「菓子」を指定商品として同58年6月30日に登録、その後平成5年10月28日に商標権存続期間の更新登録がなされたものであり、同じく登録第1641704号商標(以下「引用商標2」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和54年8月8日登録出願、第30類「チヨコレート」を指定商品として同58年12月26日に登録、その後平成5年12月22日に商標権存続期間の更新登録がなされたものであり、いずれも現に有効に存続しているものである。同じく、請求人が日本国において販売した商品「チヨコレート」に付した商標(以下「引用商標3」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなるものである。 3.請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由概略次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証乃至同第10号証を提出している。 請求の理由 (1)本件商標は、引用商標1及び引用商標2に類似する商標であり、引用商標1及び引用商標2に係る指定商品について使用するものであるので商標法第4条第1項第11号に該当する。 ▲1▼引用商標1について 要部認定 引用商標1の内「CADBURY」は、「Milk Tray」と離れた位置に配されており、また「CADBURY」の部分のみが黒い長方形枠内に白文字で表されている。このため、引用商標1の要部は「CADBURY」の部分と「Milk Tray」の部分の両方ではあるが、前半の「CADBURY」の部分は同社の法人名であり、ハウスマークでもあるので、需要者・取引者は「CADBURY」の部分ではなく、専ら「Milk Tray」の部分によって同商標から称呼・外観・観念を得る場合が多いと考えることができる。 称呼の比較 引用商標1からは、「kya-do-ba-li」の称呼が生じるとともに「mi-lu-ku-to-le-i」の称呼も生ずる。さらに、前述の通りであるので、需要者取引者が同商品を称呼するに際しては、前半部分を省略して、専ら「mi-lu-ku-to-le-i」の称呼のみが生じる場合の方が多いと考えるべきである。 これに対し、本件商標「MILTRAY」からは、「mi-lu-to-le-i」の称呼が生じる。 したがって、両商標は称呼上類似する。 外観の比較 引用商標1(特に後半の「Milk Tray」の部分)と本件商標は、外観上、「K」部分の有無、ローマ字の大文字と小文字の差異及び「T」の前部分に他の文字間よりも広い空間があるか否かの点が異なるのみであるから、引用商標1と本件商標は、外観上類似していると考えるのが相当である。 ▲2▼引用商標2について 要部認定 引用商標2の内「Cadbury’s」部分は、「Milk Tray」と字体及び字の大きさが異なる。このため、引用商標2の要部は「Cadbury’s」の部分と「Milk Tray」の部分の両方ではある力瓢前半の「Cadbury’s」の部分は同社の法人名であり、ハウスマークでもあるので、需要者・取引者は「Cadbury’s」の部分ではなく、専ら「Milk Tray」の部分によって同商標から称呼・外観・観念を得る場合が多いと考えることができる。 称呼の比較 引用商標2からは「kya-do-ba-li」の称呼が生じるとともに「mi-1u-ku-to-le-i」の称呼も生ずる。さらに、前述の通りであるので、需要者取引者が同商品を称呼するに際しては、前半部分を省略して、専ら「mi-lu-ku-to-le-i」の称呼のみが生じる場合の方が多いと考えるべきである。 これに対し、本件商標「MILTRAY」からは「mi-lu-to-le-i」の称呼が生じる。 したがって、両商標は称呼が類似する。 外観の比較 引用商標2(特に、後半の「Milk Tray」の部分)と本件商標は、外観上「K」部分の有無、ローマ字の大文字と小文字の差異及び「T」の前部分に他の文字間よりも広い空間があるか否かの点が異なるのみであるから、引用商標2と本件商標は、外観上類似していると考えるのが相当である。 (2)本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その商品について使用するものであり、請求人の業務に係る商品と混同するおそれがあるので、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当する。 本件請求人であるイギリス国法人、キャドパリー シュウェップス パブリック リミテッドは、引用商標3を付したチヨコレートを、日本国に輸出し続けており、これを請求人の日本支社を通じて日本国において販売してきたものである。 甲第6号証は、1989年から1990年の請求人の商品カタログ(抜粋写)であり、その第4頁及び裏表紙に、引用商標3を付したチヨコレートが掲載されている。甲第7号証は、1991年から1992年の請求人の商品カタログ(抜粋写)であり、カタログ内部(頁なし)及び裏表紙に、引用商標3を付したチヨコレートが掲載されている。甲第8号証は、1994年から1995年の請求人の商品カタログ(抜粋写)であり、その第16頁に、引用商標3を付したチヨコレートが掲載されている。甲第9号証は、1995年から1996年の請求人の商品カタログ(抜粋写)であり、その第15頁に、引用商標3を付したチヨコレートが掲載されている。甲第10号証は、1996年から1997年の請求人の商品カタログ(抜粋写)であり、その第5頁に、引用商標3を付したチヨコレートが掲載されている。これらにより、1989年から1992年及び1994年から1997年の期間、請求人が日本国において同商品を販売していたことは明らかである。 請求人の日本支社が、日本において輸入・販売した引用商標3を付したチョコレートの量は、1992年1.9トン、1993年10.9トン、1994年3.0トン、1995年1.5トン、1996年5.3トン、1997年1.2トンである。 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号若しくは同第15号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。 4.被請求人は、3.に対し何等答弁していない。 5.当審の判断 (1)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否についてみると、本件商標は、「MILTRAY」の欧文字よりなるものであるから、これよりは「ミルトレイ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。 他方、引用商標1及び引用商標2は、いずれもその構成中に「MilkTray」の欧文字を顕著に有してなるものであるから、これに接する取引者・需要者は、構成中の「MilkTray」の欧文字部分に着目し、これより生ずる「ミルクトレイ」の称呼をもって、取引に当たることも少なくないものというを相当とする。 そこで、本件商標より生ずる「ミルトレイ」の称呼と引用商標1及び引用商標2より生ずる「ミルクトレイ」の称呼とを比較すると、両称呼は第3音において「ク」の音の有無の差を有するが、該差異音は印象の薄らぐ中間に位置するうえ、前音の「ル」に吸収されて明瞭に聴取し難い音の微差といえるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、語調語感が似通い、称呼において互いに紛らわしい類似の商標といわなければならない。 また、本件商標は「菓子及びパン」を指定商品とするものであるから、引用商標1の指定商品「菓子」及び引用商標2の指定商品「チヨコレート」と、指定商品についても同一又は類似のものである。 してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、その外観、観念について考慮しても、称呼において類似し、その指定商品も同一又は類似の商標ということができる。 (2)本件審判請求人であるキャドバリー シュウェップス社は、英国に所在する世界でも有数の菓子メーカーであり、同社のチヨコレートの製造は1866年からと古い伝統をもち、中でも引用商標3を付したものは、金文字入りの深紫色の箱に入り、英王室御用達にも使われるチヨコレートとして知られている(「英和商品名辞典」株式会社研究者発行70、285頁、「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館389,1717頁、1989年8月29日日経流通新聞2頁、1995年8月2日日本経済新聞9頁)。 そして、請求人の提出に係る甲第6号証乃至同第10号証に示されたカタログによれば、我が国においても、1989年から1992年及び1994年から1997年のキャドバリー社製のチヨコレートが、グリコ商事株式会社を通じて輸人販売されていたこと、及びそれらのカタログにはいずれも引用商標3を付した紫色の箱入りの商品が、他の商品よりも大きく目立つ位置に掲載されていることより、引用商標3を付したチョコレートは請求人の主要な商品であったことが認められる。 (3)そうしてみると、本件商標と引用商標3とは、称呼において類似の商標であり、引用商標3が請求人の取扱いに係るチヨコレートを表すものとして我が国内でも知られているものであることを勘案すれば、本件商標の出願時及び登録(査定)時において、被請求人が、「Milk Tray」の文字を有してなる請求人の引用商標3と類似する「MILTRAY」の文字よりなる本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、それが請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有するものの業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。 なお、被請求人は本件審判の請求に対して、何ら答弁するところがない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別紙 |
審理終結日 | 1999-06-04 |
結審通知日 | 1999-06-22 |
審決日 | 1999-07-02 |
出願番号 | 商願平5-118171 |
審決分類 |
T
1
11・
26-
Z
(030 )
T 1 11・ 271- Z (030 ) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 須藤 昌彦、鈴木 茂久 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
野上 サトル 江崎 静雄 |
登録日 | 1997-07-11 |
登録番号 | 商標登録第3330762号(T3330762) |
商標の称呼 | 1=ミルトレ- |
代理人 | 河野 昭 |