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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 021
管理番号 1002834 
審判番号 審判1996-5721 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-04-17 
確定日 1999-09-03 
事件の表示 平成6年 商標登録願 第15151号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「直植ポット」の文字を横書きしてなり、第21類「樹木及び草花用ポット」を指定商品として、平成6年2月16日登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、その指定商品との関係において「じかに植えることのできる植木鉢」の意味合いを認識させる「直植ポット」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。』旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、その構成前記したとおり「直植ポット」の文字よりなるものである。
そして、「直植ポット」の文字を指定商品との関係から考察するに、前半の「直植」の文字は、「直接土壌に植える」の意味合いを容易に認識させるものであり、また、後半の「ポット」の文字は、「植木鉢」を意味する外来語として一般によく親しまれているといえるものである。
ところで、「ポット」(植木鉢)の文字についてみるに、例えば、1992年7月5日付毎日新聞の記事には、「生分解性プラスチックを使った環境商品が登場 土に埋めると炭酸ガスと水になる」の見出しのもと『土に埋めると分解して炭酸ガスと水になる「生分解性プラスチック」を使った環境商品が登場した。いまのところシャンプーの容器が中心だが、ボールペン、釣り糸、ゴルフティー、植木ポットなどの試作品が開発されており、近く市場にどっと出てきそうだ。〜日本合成化学工業の企画開発本部・機能フィルム開発部長の岩波照夫さんは「苗木ポットなら、土の中にそのまま埋めておけば、根がポットの壁を破って伸びるので、そのまま堆肥になる」と話す。』との記載、1995年3月1日付共同通信の記事には、「土中で分解する植木鉢」の見出しのもと『島根県と同県木材協同組合連合会は一日までに、おがくずを樹脂と混ぜ成型した造林用の植木鉢「ジャックポット」を開発した。でんぷんやゼラチンなどが含まれ、土中で自然分解する。杉などの苗木をポットごと土中に植え付けられ、根の乾燥も防げる。約二年で分解するため、根の発育を妨げない。ポットは縦横約十センチ、高さ十五センチ、重さ二百グラム。樹脂の種類と混合割合を変えれば、耐水強度や分解までの期間などを自在に調節できる、という。』との記載、1995年6月1日付日経流通新聞の記事には、「コケ類固めた植木鉢ポット、トレンドマスターズ(新製品)」の見出しのもと『コケ類でできた鉢型ポット「マジック・ピートポット」。天然のピートモス(泥炭の主成分となるコケ類)を植木鉢の形状に乾燥させた。この中に土を入れて種をまき、発芽して苗になったら、ポット植えのまま直接庭や畑に植えられる。その後、ポットは土に分解し、肥料になる。土に植え替える必要がないため、手間がかからず、茎や根を傷めることもない。直径六センチからサイズは豊富。六個セット三百五十円より。米国製。七月発売。』との記載、1996年2月24日付朝日新聞の記事には、「土に返るごみ袋、吉井の会社が試作 実用化なら減量に期待」の見出しのもと『土の中の微生物の働きによって分解し、土に返る「生分解性プラスチック」を使ったごみ袋や植木カップづくりが、吉井町の研究開発会社で試みられている。〜生分解性プラスチックは燃やしても高温や有毒ガスが出ず、埋めても時間がたてば土に返るという利点がある。物によって違うが、約十カ月から二年で分解されて土に返るという。〜スーパーマーケットの持ち返り袋や自治体指定のごみ袋、花壇にそのまま埋め込む植木ポット、スポーツ大会の食器など、生分解性プラスチックの利用範囲は広い。』との記載、及び1998年7月10日付読売新聞の記事には、「リサイクル植木鉢好評 販売数100万個超す」の見出しのもと『板橋区内の事業者団体で作る「板橋区オフィスリサイクルシステム実行委員会」(高橋光男・実行委員長)が同区内の企業や商店が出す古紙を再利用して作った植木鉢の販売総数が、百万個を超えた。ごみの減量化をはかろうと、九六年十一月に始めた。同会によると、植木鉢は直径五センチから三十センチのものまで七種類で、値段は一個につき四-三百八十円程度、<1>焼却しても有害物質が出ない<2>一定期間で土に戻るため苗ごと植えられる-などの特徴があり、全国の農家で使われているほか、小学生などの環境学習にも用いられている。』との記載が認められる。
さらに、いわゆるインターネットにより情報を公開しているサイトをみると、「古紙から作った植木鉢について」の題のもと「板橋区の古紙植木鉢は、パルプモールドという技術で製造されています。〜従来の植木鉢は、プラスチックやビニールを使用したものがほとんどですが、使用後の処分が難しく、特に塩化ビニール製のものは焼却するとダイオキシンが発生する場合があり社会問題となっています。このような状況の中で環境問題への関心が高まるにつれて、古紙植木鉢はその名のとおり原料に古紙を使用しているため、使用後もリサイクルが可能であることなどから期待が高まっています。また、古紙鉢のまま植え込めば土の中で自然に分解しゴミにならない一方、廃棄する場合でも焼却しやすく有害物質の発生も少ないという特徴を持っています。」との紹介、同じく「こんなところで使われています」の題のもと「古紙植木鉢の販売も軌道に乗り、平成10年6月には販売累計が100万個を超えました。野菜やハーブ、花鉢の生産農家で大量に使用されていますが、自治体(もちろん、板橋区も)や学校、県立病院などでも使われています。」との紹介がなされている。
以上のことよりすれば、「ポット(植木鉢)には、原材料に「生分解性プラスチック」や「古紙」を使用して作られたものが存在し、それをそのまま土壌に直接埋め込めば一定期間が経過すると、「ポット」(植木鉢)は自然に分解するという特徴を有する近年の環境問題にも適した商品が販売されている事実が認められるところである。
そうとすれば、本願商標を構成する「直植ポット」の文字からは、「直接土壌に植えることのできるポット(植木鉢)」の意味合いを容易に認識させるというのが相当であるから、かかる本願商標を指定商品「樹木及び草花用ポット」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記の事実よりして該商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-15 
結審通知日 1999-06-29 
審決日 1999-07-09 
出願番号 商願平6-15151 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (021 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神田 忠雄早川 真規子 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 高野 義三
寺光 幸子
商標の称呼 1=ジカウエポ+ツト 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 杉本 巌 

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