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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 024
管理番号 1002828 
審判番号 審判1996-831 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-01-18 
確定日 1999-09-17 
事件の表示 平成5年 商標登録願 第85413号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第24類「織物(畳ベり地を除く。)、メリヤス生地、フェルト及び不織布、オイルクロス、ゴム引防水布、ビニルクロス、ラバークロス、レザークロス、ろ過布、布製身の回り品、ふきん、かや、敷き布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布、織物製壁掛け、織物製ブラインド、カーテン、テーブル掛け、どん帳、布製ラベル」を指定商品として、平成5年8月20日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「アメリカ合衆国ニョーヨーク州ニョーヨーク市フィフスアベニュー1107所在のザ ポロ/ローレン コンパニーがラルフ ローレンのデザインによる紳士スーツ、ポロシャツ、ネクタイ等に使用して本願出願時既に需要者の間で広く認識されている「POLO」の文字を有してなるものであって、全体として一つのまとまった意味合い、事象等を想起、認識させるものとは認められない構成よりなるものであるから、これを出願人が指定商品に使用するときは需要者は上記法人若しくは上記法人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「POLO」商標の著名性について
(株)講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コテイ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国において、ラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字とともに「by RALPHLAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、一括して「ポロ商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」において、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」において「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定とほぼ同様に認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「ポロ商標」は、我が国においては、遅くても昭和55年までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、靴、かばん類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。
そして、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
(2)本願商標は、別紙に表示するとおり図形と文字との組み合わせよりなるものであるところ、構成中の「POLOSIENNE」の文字部分は、上部に表された図形部分と外観上分離して認識されるばかりでなく、該図形部分と「POLOSIENNE」の文字部分とを常に一体不可分のものとしてみなければならない格別の事情は認め得ないところである。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は読み易く理解し易い文字部分を捉え、この文字部分をもって商品を選別し、取引に当たる場合も少なくないというのが相当である。そして、「POLOSIENNE」の文字は、その構成文字に相応して「ポロジェンヌ」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを有する語とは理解されないものであるところ、冒頭に表された「POLO」の文字は「ポロ」(競技)の意味を有する既成語としてよく知られているものであるから、本願商標の構成中の「POLOSIENNE」の文字部分においては冒頭の「POLO」の文字が強く印象づけられるものといわなければならない。
してみると、本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を有するものと強く印象づけられるものであり、前記のように、我が国において、遅くても本願商標の登録出願前である昭和55年までに、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとしてポロ商標の著名性が被服類、靴、かばん類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められる以上、かかる取引者、需要者が本願商標に接した場合にはポロ商標との構成上の相違があったとしても「POLO」の文字部分に着目して商品の出所について識別するとみるのが相当である。
したがって、統一ブランドの下にトータル的に各種商品について商標を使用する傾向のある昨今の実情を考慮すれば、「POLO」の文字を含む本願商標をその指定商品に使用した場合には、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンに係る商品を表示するものとして広く知られるポロ商標を連想、想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあるといわなければならない。
してみれば、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙

審理終結日 1999-06-24 
結審通知日 1999-07-13 
審決日 1999-07-22 
出願番号 商願平5-85413 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (024 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 寺光 幸子
高野 義三
商標の称呼 1=ポロシエ-ヌ 2=ポロシエン 

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