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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 032
管理番号 1001372 
審判番号 審判1998-10911 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-07-13 
確定日 1999-08-13 
事件の表示 平成7年 商標登録願 第4001号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、平成7年1月17日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原審で登録異議の申立てがあった結果、原査定において、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとして、その登録を拒絶した理由は、概略以下のとおりである。
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用する「GAP」の文字よりなる商標(以下、「GAP」商標という。)は、申立人である「ザギャップ インコーポレーテッド」が、その取り扱いに係る商品「ジーンズ、その他の衣料品」に使用した結果、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、少なくとも本願商標の登録出願前より、我が国の取引者、需要者間に広く知られ周知著名となり現在に至っているものといい得るものである。
そうとすると、本願商標は、「GAP」の文字を書してなるものであり、前記したように申立人がその取り扱いに係る商品に使用し、取引者、需要者間に広く認識されている「GAP」と同一綴り字の「GAP」の文字よりなるものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、前記事情よりして、該商品が申立人或いは申立人と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
3 当審の判断
本願商標は、その構成別紙(1)に示すとおり、「GAP」の欧文字を横書きし、指定商品を「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」とすること前記のとおりである。
原審における申立人の提出に係る甲第5号証乃至同第86号証(業界、専門及び一般の各新聞紙の写し、並びに専門雑誌の写し)によれば、申立人(ザギャップ インコーポレーテッド)が、自己の業務に係る衣料品の商標、並びに店舗名として使用する「GAP」の標章は、以前より米国において取引者、需要者間に広く知られた営業標識又は商標であって、それらの状況は我が国においても昭和55年10月頃よりすでに、「日本繊維新聞」、「繊研新聞」等の各業界紙のみならず、「日経流通新聞」、「日本経済新聞」、「讀売新聞」等の各専門紙及び一般紙の記事、並びに「販売革新」、「Channeller」等の各雑誌に特集記事として或いは広告記事として、しばしば掲載、紹介されていたことが認められる。
また、それら特集記事には一様に、「GAP」、「ギャップ(社)」とする表示及び「GAP」又は「Gap」標章に係る店舗を写真掲載するなどして紹介するとともに、当時よりすでに申立人が日本への事業進出を検討中である旨の報道記事が認められる。そして、甲第87号証乃至同第391号証(業界、専門及び一般の各新聞紙の写し、並びにファッション、専門及び一般の各雑誌の写し)によれば、申立人は、平成7年9月1日に銀座を手始めに直営店を開設し、その後、現在までに玉川、新宿、横浜、渋谷等にも出店しており、申立人の「GAP(ギャップ)」商標として、前記専門紙及び一般紙はもとより、ファッション雑誌、一般雑誌、専門誌等に、記事或いは特集の中でしばしば紹介されていることが認められる。この点は、たとえ現実の店舗開設が本願商標の登録出願後であっても、建物設営等、直営店の店舗開設等に準備期間を要する事情よりして、当然に、現実の出店より相当以前から計画されていたとみるのが相当であるから、前記申立人の日本進出に関する記事を具体的に示す状況として注目される。
一方、申立人は、我が国において、それぞれ別紙(2)乃至同(4)に示す商標を、第17類の衣料品関係の商品を指定商品として、昭和49年、同55年及び平成1年と相次いで登録出願し、商標登録を受け(登録第1384695号商標、同第1634640号商標及び同第2584331号商標)、さらに、ファッション関連用品を多く含む商品の区分である第21類においても、別紙(5)に示す商標を、昭和62年に登録出願し、商標登録を受けている(登録第2237980号商標)ことは、当時より申立人が我が国において、衣料品等を中心に製品販売を行う意図を充分に有していたことを窺わせる。
加えて、申立人は、原審における登録異議申立書中、「異議の理由」の一項として、「平成6年半ばからは化粧品分野への進出も果たしている。」旨を述べ、甲第407号証及び同第408号証(専門雑誌の写し)を提出しており、この点も当時の「GAP」商標の進出ぶりを示す一状況とみることができる。
以上、申立人の提出に係る甲号証を総合勘案し、かつ、我が国における商標登録の事情、その他の事情を考慮すれば、本願商標の登録出願時である平成7年1月時点において、「GAP」商標は、申立人の業務に係る衣料品を表示する商標又は申立人の営業標識として、我が国の取引者、需要者間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。
また、最近の各企業が多角経営化の傾向にあること、そして、著名商標を所有する企業が、その経営施策の一環として企業買収等により、著名商標を他分野の商品に使用することもしばしば見受けられるところであり、かつ、大衆向け又は若者向けの衣料品を取り扱う事業者が、全館規模の店舗内の一角に喫茶コーナー等を設け、顧客に対し各種飲料を用意するなどしてサービスに当っている状況もしばしば見掛けるところである。
してみると、たとえ本願商標の指定商品が申立人の業務に係る商品とその商品分野を異にするものであるとしても、企業の多角経営化の実情、その他上記の各事情等を考慮するに、請求人(出願人)が本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人又は申立人と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるをえない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙





審理終結日 1999-05-28 
結審通知日 1999-06-15 
審決日 1999-06-22 
出願番号 商願平7-4001 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (032 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 薫木村 幸一 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 澁谷 良雄
宮川 久成
商標の称呼 1=ギ+ヤ+ツプ 2=ジイエイピイ 
代理人 村田 紀子 
代理人 武石 靖彦 

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