• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W43
管理番号 1380008 
審判番号 取消2018-300314 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-05-17 
確定日 2021-10-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第5682558号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5682558号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年1月20日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年7月4日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年5月30日にされたものであり、この登録前3年以内の期間である同27年5月30日から同30年5月29日までを以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標を取り決す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求人の主張の要旨
請求人の調査によると、本件商標は、その指定役務(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について、要証期間に、日本国内において本件商標の商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれかによっても使用された事実は見当たらない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り
消されるべきものである。
2 被請求人の答弁及び回答書に対する反論について
請求人は、被請求人の答弁及び回答に対して、何ら応答していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の要旨
商標権者又は通常使用権者は、要証期間に我が国においてその請求に係る指定役務「飲食物の提供」について、本件商標を使用し、現在も継続して使用しているので、商標法第50条第1項の規定による取消の対象となるものではない。
2 本件商標の使用の事実
本件商標は、商標権者であるツムギホールディングス株式会社(以下「ツムギホールディングス社」という。)の代表取締役が代表を務めるACQUA GROUP(乙1)のホストクラブの1号店「ACQUA」(住所:東京都新宿区歌舞伎町1-9-6三経32ビル)の開店時(なお、営業許可の効力発生日は、平成26年12月26日(乙2))から、現在に至るまで、ACQUA GROUPのホストクラブ全7店舗にて継続的に使用されている。
乙第2号証に記載のとおり、1号店「ACQUA」開店時の営業者は「株式会社GIA FACTORY」(以下「GIA FACTORY社」という。)であり、GIA FACTORY社は、商標権者の代表取締役W氏(以下「W氏」という。)によって、ホストクラブ「ACQUA」の経営のために平成26年12月15日に設立された会社である(乙3)。
乙第4号証に示されているコースターは、ホストクラブにおける飲食物の提供に当たり、役務の提供を受ける者(客)の利用に供する物であって、これに標章を付し、役務を提供しているから、商標法第2条第3項第3号又は同項第4号の使用に該当する。
乙第5号証の1に示されているポスターは、平成27年11月23日に行われたホストクラブのイベントである合同昇格祭を宣伝するためのものである。
すなわち、ホストクラブに関する広告に標章を付して頒布したものであり、かつ、現在においても、インターネットのウェブサイトにおいて公衆送信しているものであるから(乙5の2)、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
同様に、乙第6号証の1は、平成29年3月度のAcqua Drive店(住所:東京都新宿区歌舞伎町2-11-4新宿Lee3ビル地下2階)の月間売上ランキングのポスターであり、乙第6号証の2は、同年5月度のAcqua Group全体における入店一年未満の新人の月間売上ランキングのポスターであり、乙第6号証の3は、同年11月度のAcqua Group全体における月間売上ランキングのポスターであり、乙第6号証の4は、同年8月ないし10月のAcqua Group全体における四半期売上ランキングのポスターであり、これらも、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
乙第7号証の1及び乙第7号証の2は、ACQUA GROUP新店舗オープンに伴い平成29年11月4日(土)、5日(日)、13日(月)及び14日(火)に開催された合同説明会のために配布した求人広告であり、ホストクラブの新店舗オープンの告知も兼ねた広告であるため、役務に関する広告に標章を付して頒布したものであるから、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
なお、当該広告には和暦及び西暦等の年を示す記載はないが、11月4日が土曜日(及び13日が月曜日)となる年は、直近では、平成29年と同18年であり、上記したとおり、「ACQUA」1号店の開店(営業許可の効力発生日)が同26年12月26日(乙2)であること、及び広告のLINEのアイコン等(LINEは同23年6月にリリース及びサービスが開始された。)から、本広告が同29年のものであることは明らかである。
乙第8号証の1は、平成27年3月1日ないし同28年7月25日の間にYouTubeにアップされた宣伝広告用動画の一覧であり、これらの動画の背景には乙第8号証の2に示されるように本件商標が使用されており、商標法第2条第3項第8号の使用に該当するものである。
3 本件商標の使用の主体について
(1)登録出願から現在に至るまでの本件商標の出願人及び商標権者の履歴について
ア 平成26年1月20日に、W氏が代表取締役を務める「株式会社TSUMUGI CREATIVE JAPAN」(以下「TUMUGI CREATIVE JAPAN社」という。)(乙9)を出願人として、自身が代表、及び営業者の代表取締役を務めるホストクラブ「ACQUA」において、本件商標を使用する目的で、本件商標の登録出願を行った。
イ 上記登録出願は、平成26年7月4日に商標登録された。当時の商標権者は、TSUMUGI CREATIVE JAPAN社である。
ウ 平成28年6月1日に、TSUMUGI CREATIVE JAPAN社の持ち株会社として設立され、W氏が代表取締役を務めるツムギホールディングス社(乙10)に本件商標権の移転登録がなされた。
なお、TSUMUGI CREATIVE JAPAN社は、平成23年6月15日にW氏によって設立された、カフェ、飲食店の経営をその目的の1つとする株式会社である。
一方で、ツムギホールディング社は、平成27年5月1日にW氏によって、TSUMUGI CREATIVE JAPAN社等を含む子会社の株式又は持分を所有することにより、当該会社の事業活動を支配及び管理することを目的に設立された株式会社である。
(2)要証期間とその期間内の商標権者について
ア 要証期間は平成27年5月28日ないし同30年5月27日(審決注:平成27年5月30日ないし同30年5月29日の誤りであり、この期間の商標権者は、TSUMUGI CREATIVE JAPAN社である。)
イ 平成28年6月1日ないし同30年5月27日までの期間の商標権者は、ツムギホールディングス社である。
(3)商標権使用許諾の事実について
上記(1)アのとおり、本件商標は、ホストクラブ「AQUA」において使用することを目的として取得されたものである。TSUMUGI CREATIVE JAPAN社とGIA FACTORY社の代表取締役は、ともに、W氏であるから、TSUMUGI CREATIVE JAPAN社がGIA FACTORY社に対して本件商標を「飲食物の提供」の目的で使用することを許諾していたのは当然である。
また、本件商標の権利が、W氏が代表取締役を務めるツムギホールディングス社に移転した後も、GIA FACTORY社に対して本件商標を「飲食物の提供」の目的で使用することを許諾していたことは当然である。
すなわち、上記(2)に示した要証期間において本件商標を使用していたGIA FACTORY社は、商標権者から本件商標の使用許諾を得ていたのであるから、本件商標の通常使用権者である。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定役務「飲食物の提供」について、本件商標の通常使用権者により、要証期間前から現在に至るまで継続して使用されている。

第4 当審における審尋に対する被請求人の回答
当審における審尋による合議体の暫定的見解に対し、被請求人は、令和元年7月16日付け回答書(以下「回答書1」という。)及び同3年4月8日付け回答書(以下「回答書2」という。)で、要旨以下のとおり述べ、証拠方法として乙第11号証ないし乙第32号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 回答書1による被請求人の回答
(1)乙第4号証について
ホストクラブの紹介及びホストの求人に関するウェブサイトであるホスホス(以下「ホスホス」という。)は、株式会社K.E.Gが運営する、日本全国の800店舗、15,000人を超える人気ホストクラブと人気ホストをオリジナル写真及び動画等で紹介するサイトである(乙11)。
ホスホスでは、GIA FACTORY社が営業していたClub ACQUAの紹介もされている(乙12)。
なお、Club ACQUAは、平成29年12月に、前住所である東京都新宿区歌舞伎町1-9-6三経32ビル3階での営業を終え、同30年1月より、東京都新宿区歌舞伎町2-11-4新宿Lee3ビル地下2階において、株式会社GIRAFFE(以下「GIRAFFE社」という。)が営業を行っている(乙13)。
GIRAFEE社は、W氏が代表取締役として設立した法人である(乙14)。このため、ホスホスでは、Club ACQUAの住所が、現在の東京都新宿区歌舞伎町2-11-4新宿Leeビル地下2階とされている。
ホスホスでは、それぞれのホストクラブの紹介ページに「トピックス」ページが設けられ、各ホストクラブの主にイベント時に、営業中の様子について撮影取材を行い、これを記事にして紹介している。Club ACQUAも取材を受けており、そのトピックページ(乙15)では、平成27年4月4日から令和元年6月18日までの記事が公開されている。
その中の平成27年7月12日の記事(乙16の1によれば、同年6月22日に、所属ホストの生誕祭が行われたことが紹介されており、その中の1枚の写真には、乙第4号証のコースターが写り込んでいる(乙16の2)。
具体的には、乙第16号証の2の写真の右下のグラスの上に乙第4号証のコースターが載せられている。通常、コースターは、その上にグラスを置くために使用されるものであるが、ホストクラブ等においては、接客を担当するホスト等が一時的に離席をする際、使用していたグラスが下げられてしまうことを防止するために、グラスの上にコースターを載せることが行われており、乙第16号証の2の写真は、その時の光景が写されているものである。
上記のとおり、ホスホスは、ホストクラブのイベント時の営業中の様子について取材し、紹介しているから、乙第4号証のコースターが、少なくとも、平成27年6月22日に、Club ACQUAの営業中の店内において、接客時に使用されていたことは明らかである。
なお、本件商標の使用者は、平成27年6月22時点でのClub ACQUAの営業者であるGIA FACTORY社である。
よって、乙第4号証のコースターの使用時期、使用者、使用場所及び使用事実は、第三者によって作成された客観的な証拠によって明らかにされた。
(2)乙第5号証の1及び乙第5号証の2について
乙第5号証の1は、Club AQUAのホームページであり、このことは、左上にClub ACQUAと記載されていること、及び同ホームページ内のシステムページ(乙17)に、現在のClub ACQUAの所在地が記載されていることからも明らかである。
ここで、過去に公開されていたウェブサイトを閲覧することができるウェブサイト(Wayback Machine)では、平成28年4月20日当時の、上記システムページ及びポスターページを検索及び表示することができる(乙18)。
これによれば、平成28年4月20日時点において、東京都新宿区歌舞伎町1-9-6三経32ビル3階に所在したClub ACQUAが、そのホームページ上で、乙第5号証の2のポスターを公開したことは明らかである(乙18)。
なお、本件商標の使用者は、平成28年4月20日時点でのClub ACQUAの営業者であるGIA FACTORY社である。
また、ホスホスのClub ACQUAのトピックスページ(乙15)の中の、平成27年11月29日の記事には、同月23日に行われた、所属ホストのB氏、C氏及びD氏の合同昇格祭のことが掲載されおり(乙19の1、乙第5号証の2のポスターの写真が載せられている(乙19の2)。
よって、乙第5号証の2のポスターが平成27年11月23日にClub ACQUAの店舗入り口に掲示されていたことは明らかである。
なお、本件商標の使用者は、平成27年11月23日に時点でのClubACQUAの営業者であるGIA FACTORY社である。
以上より、役務に関する広告である乙第5号証の2のポスターが、平成28年4月20日時点において、GIA FACTORY社により、電磁的方法で提供されていたこと、及び当該ポスターが同27年11月23日にClub ACQUAの店舗入口に掲示されていたことが、第三者によって作成された客観的な証拠によって明らかにされた。
(3)新証拠について
本件商標が印字された紙製コースター(乙20)もClub ACQUAにおいて使用されていたものである。
このことは、ホスホスのClub ACQUAのトピックスページ(乙15)の中の、平成28年2月3日の記事(乙21の1)、同年7月2日の記事(乙22の1)及び同月14日の記事(乙23の1)から明らかである。
平成28年2月3日の記事(乙21の1)は、同年1月18日に行われた、所属ホストのバースデーイベントの様子を取材したものであり、その写真の1つには、乙第20号証の紙製コースターが写真右下に写り込んでいる(乙21の2)。
平成28年7月2日の記事(乙22の1)は、同年6月19日及び同月20日に行われた、所属ホストのバースデーイベントの様子を取材したものであり、その写真の1つには、乙第20号証の紙製コースターが写真左下に写り込んでいる(乙22の2)。
平成28年7月14日の記事(乙23の1)は、同年6月25日に行われた所属ホストのバースデーイベントの様子を取材したものであり、その写真の1つには、乙第20号証の紙製コースターが写真左下に写りこんでいる(乙23の2)。
以上より、乙第20号証のコースターが、少なくとも、平成28年1月18日、同年6月19日及び同月25日に、Club ACQUAの営業中の店内において、接客時に使用されていたことは明らかである。
なお、本件商標の使用者は、これらの時点でのClub ACQUAの営業者であるGIA FACTORY社である。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標が、GIA FACTORY社により、その指定役務について、要証期間に使用されていたことは明らかである。
2 回答書2による請求人の回答
(1)乙第20号証について
乙第24号証の紙製コースターは、乙第20号証の紙製コースターと同型の紙製コースターである。乙第24号証の紙製コースターと乙第20号証の紙製コースターは、サイズ及び材質は同じであるが、印字の大きさは異なる。
乙第24号証が示すように、紙製コースターのサイズは、90mm四方である。
乙第25号証に示すとおり、要証期間である平成27年7月22日に、90mm、角丸型、1mm及び表面の印字が黒1色のコースターを5,000枚作成することについて、費用見積書が神戸マッチ株式会社(以下「神戸マッチ社」という。)により発行されており、入金確認後14日間(土日祝日を除く。)で受渡しされることも記載されている。
また、乙第25号証には、平成27年6月に納品されたもののリピート発注であることも記載されている。
さらに、乙第26号証には、乙第25号証の費用見積書に基づく請求書が、費用見積書と同日に発行されたことが示されている。
加えて、乙第27号証には、乙第26号証の請求書に対して、費用が支払われた結果、請求書と同日に、コースター代27,000円の領収証が発行されたことが示されている。
(2)乙第5号証の2及び乙第19号証の2について
乙第28号証には、a)採用情報の発信、b)お店・SNSの情報の拡散、c)お店・ホストのアピール、d)集客・求人のための他店舗との差別化、e)割引情報やイベント情報の告知のために、ウェブサイト「ホスホス」に、固定月額制で情報を掲載できることが記載されている。
このことから、ウェブサイト「ホスホス」は、飲食物の提供(ホストクラブ)を紹介する機能とホストの求人を紹介する機能の両方を兼ね備えていることが明らかである。
現に、ウェブサイト「ホスホス」におけるClub ACQUAのページ(乙12と同一アドレスのページ)には、所属しているホストを紹介する「ナンバー&スタッフ」、営業時間、休日及び料金体系を紹介する「システム&お店紹介」(乙29の2)、イベント情報を紹介する「イベント」、出来事や話題を紹介する「トピックス」及び求人情報を紹介する「ホスト求人」等のタグが設けられている。
すなわち、ウェブサイト「ホスホス」におけるClub ACQUAのページには、飲食物の提供(ホストクラブ)の利用者と、ホストクラブの求人情報を求める求職者の両方が訪れることになる。
ところで、乙第19号証の2(乙15、乙16、乙19の1、乙21、乙22、乙23も同様。)で示すページには、「トピックス」のタブからアクセスすることができる。
よって、ウェブサイト「ホスホス」におけるClub ACQUAのページにアクセスした飲食物の提供(ホストクラブ)の利用者と求職者のいずれもが、「トピックス」のタブから、乙第19号証の2で示すページにアクセスする可能性がある。
このように、乙第19号証の2で示すページは、飲食物の提供(ホストクラブ)を紹介するページであるか、ホストの求人を紹介するサイトのいずれかでなく、両方の機能を兼ね備えたページである。
(3)乙第2号証及び乙第18号証の2について
乙第30号証及び乙第31号証の1に示されているとおり、新宿区歌舞伎町1-9-6に所在する三経ビル32ビルは、地上8階地下1階建てのビルである。
乙第31号証の2、乙第31号証の3及び乙第32号証の1には、同ビルの2階に続く階段が写され、同ビルの2階には、エレベーターからアクセスすることはできず、2階に続く階段のみアクセスすることができる構造となっている。
このため、乙第32号証の2に示すとおり、エレベーターの階数表示は、1ないし7階までで、実際の階数(1?8階)とは異なっている。
ここで、ホームページ等の宣伝広告媒体に実際の階数(3階)を表示するとエレベーターで3階(実際は4階)の店舗に間違えてアクセスされてしまうため、宣伝広告媒体には、エレベーター表示の「2階」を表示している。
これが営業許可証とウェブサイトの階数が異なる理由である。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び被請求人提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標の使用者
商標権者であるツムギホールディングス社の代表取締役と被請求人が通常使用権者と主張するGIA FACTORY社の代表取締役は、両者の履歴事項全部証明書(乙3、乙10)に記載している氏名(W氏)と住所が一致していることからすれば、同一人であると認められるから、使用許諾を示す契約書等の提出はないとしても、商標権者は、GIA FACTORY社に対して、本件商標の使用について、黙示の許諾を与えていたものと推認できる。
そうすると、GIA FACTORY社は、本件商標の通常使用権者であり、かつ、本件商標の使用者であると認めることができる。
(2)使用役務
通常使用権者であるGIA FACTORY社は、ホストクラブ(飲食店)を「東京都新宿区歌舞伎町1丁目」で営業しており(乙2)、同ホストクラブ内において、飲食物が提供されていることが確認でき(乙22)、これは、本件審判請求に係る指定役務である「飲食物の提供」に該当する。
(3)使用時期、使用場所及び使用商標
ホストクラブを紹介するウェブサイトである「ホスホス」の平成28年7月2日付けの記事に、バースデーイベントを開催した内容の記事及びその様子を写した写真が掲載されている(乙22)。
そして、該バースデーイベントの開催日を告知するポスターの写真には、該バースデーイベントの開催日が平成28年6月19日及び同月20日であることの記載がある(乙22の1)。
また、該バースデーイベントの様子を撮影した写真には、使用商標を付した紙製コースターが写っている写真が掲載されている(乙22)。
加えて、GIA FACTORY社は、平成27年7月22日に神戸マッチ社に使用商標を付した紙製コースターを5,000枚の作成を依頼し、同日に、神戸マッチ社に対し、その代金を支払ったことから、その当時に、使用商標を付した紙製コースターがGIA FACTORY社へ納品されたことが推認できる(乙25?乙27)。
そうすると、GIA FACTORY社は、要証期間である平成28年6月19日及び同月20日(乙22)に、自らが営業するホストクラブ「Club ACQUA」において、使用商標を付した紙製コースター(乙20)を客に提供する飲料が入っているコップのコースターとして使用したと推認できる。
(4)本件商標と使用商標との社会通念上同一性について
本件商標は、別掲1のとおりの構成態様よりなるものである。
一方、使用商標は、別掲2のとおりの構成態様よりなるものである。
そして、本件商標と使用商標の構成態様を比較すると、ともに、左右対称になるように植物のつるをモチーフにした図形の間に、「Club」及び「ACQUA」の欧文字を上下二段に書してなるところ、その文字部分は、「ACQUA」の文字の両端の「A」の文字を他の文字より高く表し、その高さに合わせて「Club」の文字をまとまりよく中央に配した構成態様からなるものであるから外観は同一視できるものであり、また、両商標は、その構成文字に相応して「クラブアクア」の称呼が生じるものであることからすれば、両商標は、社会通念上同一の商標と認められる。
(5)小括
以上(1)ないし(4)のとおり、被請求人の主張及び被請求人の提出した証拠を総合的に判断すると、通常使用権者は、要証期間に日本国内において、通常使用権者が経営するホストクラブ内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付した紙製コースターを飲食物を提供する際に使用したことは、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」(商標法第2条第3項第4号)に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、通常使用権者が、本件審判の登録前3年以内に日本国内において、その本件審判請求に係る指定役務である「飲食物の提供」に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 使用商標



審理終結日 2021-08-25 
結審通知日 2021-08-30 
審決日 2021-09-17 
出願番号 商願2014-6623(T2014-6623) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 2014-07-04 
登録番号 商標登録第5682558号(T5682558) 
商標の称呼 クラブアクア、クラブアククア、アクア、アククア 
代理人 幡 茂良 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 木下 洋平 
代理人 小出 俊實 
代理人 亀卦川 巧 
代理人 橋本 良樹 
代理人 石井 満和子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ