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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1378985 
異議申立番号 異議2020-900326 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-11 
確定日 2021-10-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6294990号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6294990号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6294990号商標(以下「本件商標」という。)は、「MINS MINIS」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年12月9日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同2年8月3日に登録査定、同年9月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立てにおいて引用する商標は、以下のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5927497号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成27年10月19日
設定登録日:平成29年3月3日
指定商品・指定役務:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,エプロン,靴下,スカーフ,マフラー,手袋,バンダナ,耳覆い,帽子,ベルト,靴類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「運動用具」を含む第28類並びに第3類,第9類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(2)登録第5927498号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成27年10月19日
設定登録日:平成29年3月3日
指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,エプロン,靴下,スカーフ,マフラー,手袋,バンダナ,耳覆い,帽子,ベルト,靴類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「運動用具」を含む第28類並びに第3類,第16類,第18類,第20類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)登録第5927499号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年10月19日
設定登録日:平成29年3月3日
指定商品・指定役務:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,エプロン,靴下,スカーフ,マフラー,手袋,バンダナ,耳覆い,帽子,ベルト,靴類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「運動用具」を含む第28類並びに第3類,第9類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(4)登録第6159713号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲4のとおり
登録出願日:平成30年5月25日
設定登録日:令和元年7月5日
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,べルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」、「腕止め」を含む第26類及び「運動用具」を含む第28類並びに第3類,第8類,第9類,第10類,第11類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第29類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標「MINISO」の著名性について
ア 申立人は、2013年に日本人デザイナーと中国人の企業家によって東京で創設された会社である(甲6)。申立人が手掛ける「MINISO」の雑貨ブランドは、「シンプル,ナチュラル,良質」というコンセプトのもと、被服や鞄類を含む広範囲の生活雑貨を、高品質で手頃な価格で提供している(甲6)。
イ 申立人は、創設以来、アメリカ、カナダ、ドイツ、ロシア、シンガポール、アラブ首長国連邦、韓国、マレーシア、中国、香港等78か国以上の国や地域と戦略的パートナーシップを締結し、現場での支持を集め、世界中でファストファッションの消費市場を切り開いた(甲6)。
ウ 2020年6月30日までの時点で、世界80か国以上の国・地域に4,200店舗以上を出店し、創業から7年で雑貨店として世界有数の規模となり(甲10)、その急成長ぶりが世界中で話題を呼んでいる(甲8、甲10、甲11)。
エ 年間の売上高は2015年に7.5億ドルを超え、2016年に約15億ドル、2017年には18億ドル、2018年には約25億ドル(170億元)を記録した(甲6、甲7)。年間の来客数は10億人、購買客数は3億人ともされている(甲7、甲11)。
オ 2018年2月には、「MINISO」の4製品が「iFデザイン賞」(iF Design Award)を受賞して話題を呼んだ(甲14)。この審査には、世界の54か国から2,955の参加者が6,401製品を出品している(甲14)。「iFデザイン賞」を受賞した「MINISO」の商品は、「Water Cube」という名の商品で、2017年の発売開始以来、世界で900万個を超える売り上げがあった(甲14)。
カ 2019年頃から世界の有名ブランドと提携を広げ、「ディズニー」や「ハローキティ」「アドベンチャー・タイム」「ぼくらベアベアーズ」「マーベル・スタジオ」など17ブランドとのコラボ商品を展開している(甲10、甲17の2)。新製品やキャラクターグッズの多さが若者を惹き付け(甲10)、2020年10月には、米国での上場をも実現し、ビッグブランドヘの仲間入りを果たした(甲13、甲17の2)。
キ 日本国内では、2014年9月に株式会社名創優品産業を設立し、銀座にオフィスを構え、池袋及び高田馬場に店舗を出店して以降(甲9)、「MINISO イオンモール小名浜店」「MINISO イオンモール幕張新都心店」「MINISO イオンモール津田沼店」「MINISO イオンモール名取店」を出店し、店舗数を着々と増やしている(甲12)。
ク ヨルダンやセブ島等の生活物資が不十分な地域に住む日本人の間でも、現地の「MINISO」における品ぞろえが話題になっており、「MINISO」を日本語で取り上げるブログが散見され、販売されている商品が利用者から高い支持を得ているとの感想が述べられている(甲15、甲16、甲18)。
ケ 急成長を遂げる「MINISO」ブランドについて、その成長の鍵や理由について検討する多くの記事がインターネット上に投稿されている(甲17)。
以上のことから、本件商標の登録出願時である2019年には既に、引用商標に係る「MINISO」は、申立人の商標として、日本国内及び海外において広く知られ著名性を獲得するに至っていたというべきである。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標と引用商標の構成
(ア)本件商標は、「MINS MINIS」の欧文字を標準文字で書してなるところ、「MINS」及び「MINIS」の文字の間には、スペースが介在していることから、外観上の一体性が乏しく、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められない。
そうすると、本件商標の識別力を発揮する部分は「MINS」若しくは「MINIS」の文字部分である。このうち、「MINIS」の文字部分は、「ミニス」の称呼を生じるが、これに相当する外国語が存在しないことから、何らの観念も生じない一種の造語と認識されるべき語である。
(イ)引用商標は、「MINISO」の文字部分を要部とする商標であることは明白であり、その構成文字に相応して「ミニソ」の称呼が生じるが、これに相当する外国語は存在しないことから、何らの観念も生じない造語と認識されるべき語である。
イ 本件商標と引用商標の類否
本件商標の要部である「MINIS」の文字部分と引用商標とは、その語尾において「ス」と「ソ」の一音の差異を有するのみであるから、称呼上の類似性が高い。
また、「MINISO」と「MINIS」とでは、需要者の注意を惹きやすい前半5文字の配列構成文字を同じくする一方、語尾の「O」の有無のみの差異を有するものであるから、両商標を時と処を別にして見た場合には、全体構成が相紛らわしく、外観上の類似性も高い。
そして、「MINISO」が、申立人の商標として著名であることを考慮すると、本件商標の「MINIS」の文字部分は、申立人の商品を想起させ、需要者の印象に強く残る部分である。
したがって、本件商標と引用商標とは類似の商標である。
(3)出所混同の生ずるおそれについて
引用商標は、上記(1)のとおり、世界的な著名性を有しており、本件商標と引用商標は互いに類似する商標である。そして、引用商標は、特定の意味合いを看取させるものではなく、一種の造語と捉えられることから、その独創性は高いといえる。
さらに、「MINISO」の店舗では、被服を含む生活用品を幅広く展開していることから、商品の用途や目的、取引者及び需要者も共通する。
以上より、本件商標がその指定商品に使用されると、取引者及び需要者は、それらの商品があたかも申立人若しくは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(4)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標に類似する商標であって、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標との類似性、引用商標が周知著名性を獲得している実情等に照らし、当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断した場合、本件商標に接した取引者・需要者は、あたかも申立人又は申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標の著名性
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして世界的に高い著名性を有する商標である。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、互いに類似する。
不正の目的
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人による長年にわたる努力の積み重ねの結果、取引者・需要者間において広く知られ、高い名声・信用・評判を獲得するに至っている。そして、本件商標の登録出願時である2019年には、引用商標は既に申立人の業務に係る商品に使用される商標として広く知られていた著名商標である。
一方、本件商標の要部は、かかる著名な引用商標の要部である「MINISO」に類似し、指定商品も重複することを考えると、本件商標の商標権者が、著名な引用商標を知らず、偶然に著名な引用商標に類似する本件商標を出願したとは到底考え難く、引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願、使用されているものと推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)「MINISO」及び引用商標の著名性について
申立人主張の全趣旨から、申立人は、引用商標の要部である「MINISO」が、申立人の展開する雑貨ブランドの出所を表示するものとして、本件商標の登録出願時に取引者・需要者の間で周知著名となっていたことを前提に、本件商標が商標法第第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当する旨主張していると思われるので、「MINISO」及び引用商標の著名性について判断する。
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、2013年に日本人デザイナーと中国人の企業家によって東京で創設された生活雑貨の販売を行っている会社であり、申立人の業務に係る店舗(以下「申立人店舗」という。)で販売されているタオル、スマートフォン用ケース、化粧ブラシ、乾電池には引用商標4(色彩の異なるものを含む。以下同じ。)又は「MINISO」の文字からなる商標が付されている(甲6の2?10)。
また、申立人店舗においては、引用商標4並びに使用標章1(別掲5、以下同じ。)及び使用標章2(別掲6、以下同じ。)が表示されている(甲9の1、甲10,甲11、甲13)。
(イ)店舗数、売上げ及び来客数等
a 申立人は、2018年(創業後5年)には78か国以上の国や地域に3,200店舗以上をオープンした(甲6の1)。
b 申立人は、我が国において、2014年に池袋及び高田馬場に店舗を出店したこと(甲9の1)、現在は「高田馬場店」「イオンモール小名浜店」「イオンモール幕張新都心店」「イオンモール津田沼店」「イオンモール名取店」があることがうかがえる(甲13)。
c 申立人の2017年の売上高は120億元と発表され、2018年の売上高は170億元(1元は約15円)に達したことから、1年で40%以上伸びている。年間の来店客数は10億人、購買客数は3億人とされている(甲7,甲11)。
(ウ)申立人の4製品が、ドイツのデザイン賞である「2018年iFデザイン賞」(iF Design Award)を受賞したことがうかがえる(甲14)。
(エ)申立人は、2019年頃から「ハローキティ」「アドベンチャー・タイム」「ぼくらベアベアーズ」「マーベル・スタジオ」などと提携した商品を展開していることがうかがえる(甲17の2)。
(オ)ヨルダンやセブ島等の海外を含む申立人及び申立人店舗に係るブログ、インターネット記事及び新聞記事があることをうかがうことができるが、本件商標の登録査定前のものは6件である(甲7?甲12、甲15?甲18)。
イ 判断
上記アによれば、申立人は、2013年以降、申立人店舗を出店し、2018年(創業から5年後)には、世界78国に3,200店舗を有するとされ、現在では我が国においても5店舗を出店しているとことはうかがえるものの、我が国における店舗数は多いとはいえず、また、外国における店舗の出店状況を裏付ける資料は提出されていない。
また、申立人店舗の売上総額及び来客数、購買者数は少なくはないものの、世界全体のものであり、我が国及び各国での売上額や来客数等の内訳は定かではない。
そして、申立人は、「タオル」「スマートフォン用のケース」「化粧ブラシ」「アルカリ電池」に「MINISO」の文字又は引用商標4を付して販売しており、申立人店舗において引用商標4並びに使用標章1及び使用標章2を表示していることがうかがえるものの、使用標章2は「MINISO」の文字を使用していないものであり、また、引用商標1ないし引用商標3を商品及び役務に使用して販売又は提供している等の具体的な使用事実は示されていない。
さらに、申立人商品が「iFデザイン賞」を受賞したことや、世界の有名ブランドとの提携が、「MINISO」及び引用商標の著名性にどのように結びつくのかについては明らかでない。
そして、申立人及び申立人店舗についてのブログやインターネット上の記事及び新聞記事があることはうかがえるものの、本件商標の登録査定前のものは6件と少なく、ブログについては、個人による感想というべきものであることに加え、申立人によるメディア等を通じた広告・宣伝の程度は明らかではない。
その他、「MINISO」及び引用商標が、我が国及び外国における取引者、需要者において、どの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は提出されていない。
以上からすれば、申立人の提出に係る証拠によっては、「MINISO」及び引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、我が国及び外国における取引者、需要者において、広く認識されていたとまでは認めることはできない。
その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者間に広く認識されていると認めるに足る事情は見いだせない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「MINS MINIS」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「MINS」と「MINIS」の各文字の間に1文字程度の空白があるものの、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体的に表されており、その構成文字全体に相応して生じる「ミンスミニス」又は「ミンズミニス」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標は、その構成文字全体として特定の意味合いを想起させない一種の造語として認識、理解されるものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応し「ミンスミニス」又は「ミンズミニス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1
引用商標1は、別掲1のとおり、上部に持ち手を有する橙色の袋状図形の上方左側に黒色の「MINISO」の欧文字を小さく配し、また、当該図形の中央部を白抜きにして図形内に収まるように橙色で表された「MINISO」の欧文字を配した構成よりなるところ、黒色の「MINISO」の文字部分と袋状図形部分とは、視覚上分離して看取されるから、それぞれが独立して、取引者、需要者に対し商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、黒色の「MINISO」の文字及び袋状図形内の橙色の「MINISO」の文字は、辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであり、また、袋状図形は、我が国において特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、当該図形からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
したがって、引用商標1は、その構成中、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得る「MINISO」の構成文字に相応して、「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(イ)引用商標2
引用商標2は、別掲2のとおり、橙色で中央に大きく「MINISO」の欧文字、その下部にやや小さく「名創優品」の漢字を書し、左上部に黒色で小さく「MINISO/名創優品」の文字を配してなるものであるところ、橙色で表された文字部分と黒色で表された文字部分とは、視覚上分離して看取されるから、それぞれが独立して、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
また、中央に配された「MINISO」の文字と「名創優品」の文字とは、文字の種類と大きさが異なるから、視覚上分離して看取され、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難いものであるから、当該「MINISO」の文字が独立して、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、「MINISO」及び「名創優品」の文字は、いずれも辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものである。
さらに、左上部の「MINISO」の文字は、「名創優品」とは「/」によって分けられていること、文字の種類が異なり、観念上のつながりもないことに加え、当該構成文字全体から生じる「ミニソメイソウユウヒン」の称呼は11音とやや冗長であることからすると、語頭の「MINISO」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も少なくないものといえる。
したがって、引用商標2は、全体の構成文字及び「名創優品」の文字から生じる称呼の他に、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「MINISO」の構成文字に相応して、「ミニソ」の称呼をも生じ、特定の観念は生じないものである。
(ウ)引用商標3
引用商標3は、別掲3のとおり、上部に持ち手を有する橙色の袋状図形の上部に黒色の「MINISO/名創優品」の文字を小さく配し、また、当該図形の中央部を白抜きにして図形内に収まるように橙色で表された「MINISO」の欧文字を、そして、その下部に「名創優品」の文字を白抜きして表してなるものであるところ、黒色の「MINISO/名創優品」の文字部分と袋状図形部分とは、視覚上分離して看取されるから、それぞれが独立して、取引者、需要者に対し商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、「MINISO」及び「名創優品」の文字は、いずれも辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであると共に、袋状図形は、我が国において特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、当該図形からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、当該図形の構成中「MINISO」の文字は、他の図形要素とは視覚上分離して看取され、さらに、「名創優品」の文字とは、観念上のつながりもないこと、構成文字全体から生じる「ミニソメイソウユウヒン」の称呼は11音とやや冗長であることからすると、引用商標3に接する取引者、需要者は、その構成中、顕著に表された「MINISO」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も少なくないというべきである。
加えて、黒色の「MINISO」の文字は、上記(イ)と同様に、語頭の「MINISO」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も少なくないものといえる。
したがって、引用商標3は、全体の構成文字及び「名創優品」の文字から生じる称呼の他に、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得る「MINISO」の構成文字に相応して「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(エ)引用商標4
引用商標4は、別掲4のとおり、橙色の「MINISO」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであるから、その構成文字に相応して「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)外観
本件商標と引用商標の外観を比較すると、両者の全体の構成はそれぞれ上記ア及びイのとおりであり、図形の有無及び色彩の差異などにより、容易に区別し得るものであるから、両商標は、外観において、判然と区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標から生じる「ミンスミニス」又は「ミンズミニス」の称呼と引用商標から生じる「ミニソ」の称呼とは、1音目の「ミ」が共通であるとしても、それぞれの音数及び音構成が明らかに相違するものであるから、明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
(エ)そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標は「MINS」と「MINIS」の文字の間にスペースが介在することから外観性の一体性が乏しく、併せて、本件商標の構成中「MINIS」の文字部分は、申立人に係る著名な「MINISO」を想起させ、当該文字部分が需要者に強い印象を与えるから、当該文字部分を要部とし、引用商標と比較し、本件商標と引用商標とが類似する旨主張する。
しかしながら、上記(2)アのとおり、本件商標の構成及び称呼からすれば、取引者、需要者においては、本件商標の構成全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握するとみるのが相当である。
また、上記(1)のとおり、引用商標は、我が国の取引者、需要者において広く認識されていると認めることはできないから、「MINISO」が著名であることを前提に、本件商標の「MINIS」の文字部分が要部として分離抽出されるということはできない。
その他、申立人の提出の証拠を見ても、本件商標の構成中「MINIS」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、申立人の主張は採用できない。
オ 小括
上記ウのとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 「MINISO」及び引用商標の著名性について
上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「MINISO」及び引用商標は、申立人の取扱いに係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く知られていたと認めることはできないものである。
イ 本件商標と「MINISO」及び引用商標との類似性の程度について
上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
また、申立人が著名性を主張する「MINISO」は、上記(2)イ(エ)と同様に、辞書等に掲載がないものであり、特定の意味合いを想起させない一種の造語として理解されるものであって、その構成文字に相応して、「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものであるから、本件商標と「MINISO」は、上記(2)ウと同様に、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標と「MINISO」及び引用商標は、いずれも別異の商標である。
ウ 「MINISO」及び引用商標の独創性について
引用商標において自他商品・役務の識別標識として機能する「MINISO」の文字は、特定の意味合いを想起させることのない造語というべきものであるから、「MINISO」及び引用商標の独創性はあるものといえる。
エ 本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品は「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であるところ、申立人が自己の周知著名な商標であると主張する「MINISO」及び引用商標に係る商品は、「被服」のほか、いわゆる生活雑貨というべきものであるから、その一部において商品の関連性を有し、需要者の範囲も共通する場合があるといい得るものである。
オ 小括
上記アないしエのとおり、「MINISO」及び引用商標が独創性を有し、本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の一部において関連性を有し、需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、何より「MINISO」及び引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、本件商標と「MINISO」及び引用商標は非類似である。
してみれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る「MINISO」及び引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、申立人並びに申立人の展開する雑貨ブランドに使用する「MINISO」及び引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
「MINISO」及び引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で広く認識され著名になっていたということはできないものであり、かつ、本件商標と「MINISO」及び引用商標は、上記(2)ウのとおり、非類似の商標である。
さらに、本件商標の出願が引用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)する意図の下に採択された等の、不正の目的をもって使用をするものであるとの証左は何ら示されておらず、かつ、他にこれを認めるに足る具体的な事実も見いだせないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲1(引用商標1:色彩は原本参照)



別掲2(引用商標2:色彩は原本参照)



別掲3(引用商標3:色彩は原本参照)



別掲4(引用商標4:色彩は原本参照)



別掲5(使用標章1:色彩は原本参照)



別掲6(使用標章2:色彩は原本参照)



異議決定日 2021-09-27 
出願番号 商願2019-154208(T2019-154208) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 222- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 水落 洋
大森 友子
登録日 2020-09-23 
登録番号 商標登録第6294990号(T6294990) 
権利者 株式会社MIN
商標の称呼 ミンスミニス、ミンスミニズ、ミンズミニス、ミンズミニズ 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 田中 克郎 
代理人 山口 現 
代理人 飯田 遥 
代理人 稲葉 良幸 

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