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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1378049 
異議申立番号 異議2020-900175 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-20 
確定日 2021-09-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6247833号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6247833号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6247833号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成31年3月22日に登録出願,第3類「シャンプー,制汗用化粧品,化粧用クレンジング乳液,乳児用おしり拭きに浸み込ませた洗浄剤,固形の化粧せっけん,化粧品、せっけん類及び歯磨き,子供用化粧品,歯磨き,ベビーパウダー(化粧品),洗濯用すすぎ剤」を指定商品として,令和2年3月23日に登録査定,同年4月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,引用する国際登録第833819号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,2006年(平成18年)3月27日に国際商標登録出願(事後指定),別掲3のとおりの商品を指定商品として,平成20年3月21日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)引用商標について
引用商標は,角丸の横長長方形の枠内に「baby」と「line」の文字を表し,「baby」の文字を含む上部を青色で,「line」の文字を含む下部を黒色で表し,黒色で表された「line」の文字下方を黄色で着色してなる商標である。
引用商標を構成する文字部分のうち「baby」は,「赤ちゃん,乳児,幼児」等を意味し,「line」は「線,直線」等を意味するものであるところ,いずれも平易な英単語であり,観念上いずれかが特段顕著であるというような事情はない。また,各文字部分は同程度の大きさで近接して表されており,外観上一体的なものとして看取される。そして,引用商標全体から生じる称呼「ベビーライン」は6音という短い音構成であり,まとまりよく一気に発音できるものである。
以上より,引用商標は,一連一体不可分の造語商標として理解されるべきものである。
(2)本件商標について
本件商標は,「babyfine」の文字からなるところ,引用商標と同じく「baby」の語から始まり,これに「素晴らしい,すてきな,良い,晴天の」等を意味する「fine」の語を結合させて構成されており,各語は同一の書体,大きさで,横書きにて表されているものである。本件商標も平易な英単語で構成されており,観念上いずれかが特段顕著であるというような事情はなく,外観上一体的なものとして看取される。また,本件商標全体から生じる称呼「ベビーファイン」は,引用商標と同じく6音という短い音構成であり,まとまりよく一気に発音できるものである。
そうすると,本件商標についても,一連一体不可分の造語商標として理解されるべきものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観
引用商標と本件商標は,「baby」の語が前半に位置する点において同一であり,後半に位置する「line」と「fine」の文字については「l」と「f」の違いを除き同一である。全体観察した場合においては構成される多くの文字が共通している。また,両商標の文字部分を構成する書体はいずれも一般的なものであり,通常用いられる域を超える特殊な書体ではない。
引用商標は,枠の図形及び青と黄の色彩を伴うものであるが,枠については極めて単純な長方形にすぎず,色彩についても一般的なものであり特段注目すべき要素とはいえない。そのため,引用商標の要部はあくまで文字部分であり,他の要素は外観の類否に大きな影響を有するものとはいえない。
さらに,引用商標後半部における「line」の文字部分は,筆記体風の文字で表されているところ,筆記体の「l」と「f」は縦長の輪が形成される点が近似している。この点に鑑みると,引用商標と本件商標を時と場所を異にして観察した場合,筆記体のアルファベットに接する機会の少ない我が国の平均的な需要者を想定すると,両商標の間で混同が生じるおそれがある。
以上から,引用商標と本件商標は,外観において類似するものである。
イ 称呼
引用商標は,一連一体不可分の造語商標として理解されるところ,引用商標から生じる称呼は「ベビーライン」のみである。
本件商標についても同じく一連一体不可分の造語商標として理解され,「ベビーファイン」の称呼のみが発生する。
両称呼を対比すると,「ラ」と「ファ」の部分を除き同一であり,称呼において重要な前半部において両者は同一である。また,「ラ」と「ファ」は母音において共通しており,音質が近似している上,称呼上目立ちにくい中間に位置している。さらに,「ベビーカー」,「ベビーベッド」,「ベビー服」等の語において「ビー」の部分に発音上のアクセントが付くのが一般的であるように,両称呼についても「ビー」の音にアクセントを伴って発音されるところ,「ラ」と「ファ」はその音の直後に位置することから,相対的に弱く発音される部分である。
このような事情から,両称呼における相違部分を聞き分けることは難しく,相紛らわしいことが明らかである。したがって,両商標は称呼において類似する。
ウ 観念
引用商標及び本件商標は,一連一体の造語商標として理解されるものであるから,両商標からは特段の観念は生じ得ず,両商標の観念を比較することはできない。
ただし,両商標は「baby」を前半部に有する点が共通していることから,「赤ちゃん,乳児,幼児」等に関する商品を連想させる点において観念上の共通性を有している。
エ 以上のとおり,引用商標と本件商標は,外観及び称呼において近似している上,観念においても共通性を有しており,総合的に観察すると,互いに類似する。
(4)指定商品の類否について
引用商標の第3類の指定商品(別掲3)と,本件商標の指定商品中,第3類「シャンプー,制汗用化粧品,化粧用クレンジング乳液,乳児用おしり拭きに浸み込ませた洗浄剤,固形の化粧せっけん,化粧品、せっけん類及び歯磨き,子供用化粧品,歯磨き,ベビーパウダー(化粧品)」は,同一又は類似の商品である。また,第3類「洗濯用すすぎ剤」は,せっけん等を製造販売する事業者により取り扱われることが一般的であり,小売店においてはせっけん等と同一の商品棚において販売されるのが通常であって,洗濯においてせっけん類と一緒に用いられるものであり,せっけん類と用途が共通し,需要者も共通している。したがって,第3類「洗濯用すすぎ剤」も,引用商標の指定商品「soaps」等と類似する。
このように,引用商標の第3類に係る全指定商品は,本件商標の指定商品と類似し,両商標は指定商品においても類似する。
なお,化粧品やせっけん類等は,その大部分がスーパーマーケットやドラッグストア,コンビニエンスストア等で販売され,日常的に消費される一般的に安価な商品であるから,需要者における商標に対する注意度は高いとはいい難い。
(5)まとめ
以上のとおり,引用商標と本件商標は,外観及び称呼において近似し,指定商品の分野の需要者における平均的な注意力を想定すると,指定商品について本件商標が使用された場合,引用商標との間で混同が生じ得ることが容易に想像でき,このような取引実情に鑑みても,両商標は類似するものと解すべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,ややデザイン化された「babyfine」の欧文字を横書きしてなるところ,その構成文字は,同書,同大,等間隔に表されているものであり,外観上,全体がまとまりよく一体的に看取されるものであって,その構成全体から生じる「ベビーファイン」の称呼も,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標の構成中,「baby」の文字は「赤ん坊,赤ちゃん」等の意味を有する英語であり,「fine」の文字は「品質のすぐれた,素晴らしい」等の意味を有する英語(いずれも「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館)であるものの,本件商標全体としては,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そうすると,本件商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,本件商標の構成全体をもって,一体不可分のものとして認識し,把握するとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応して「ベビーファイン」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,上部が水色,下部が黒色である角丸長方形の枠内(以下「枠部分」という。)の上部に,「baby」の文字を青色で表し,その下部に筆記体風の書体で「line」の黒色の文字を,枠部分の黒色部分とつながるように表しており,「line」の文字と枠部分の黒色部分に囲まれた部分は黄色に塗られてなるものである。
また,引用商標は,枠部分の内部に,「baby」及び「line」の文字がバランスよく配されていることに加え,「line」の文字部分中「l」と「i」の文字が,「baby」の文字部分中「b」と「a」の文字と一部重なるように表されていること,さらに「baby」の文字部分は枠部分の上部と同色で表され,「line」の文字部分は枠部分の下部と同色でつながるように表されていることから,構成全体としてまとまりよく一体的に看取されるものであり,その構成全体から生じる「ベビーライン」の称呼も,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,引用商標の構成中,「baby」の文字は,上記(1)のとおり「赤ん坊,赤ちゃん」等の意味を有する英語であり,「line」の文字は,「線」等の意味を有する英語(前掲書)であるものであるものの,文字部分全体としては,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応して,「ベビーライン」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,外観においては,「baby」の文字を有する点で共通するものの,枠部分の有無,色彩の相違に加え,「fine」と「line」の差異などにより,商標全体としてみたときには,明らかな差異を有するものであるから,本件商標と引用商標とは,外観上,判然と区別し得るものである。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「ベビーライン」の称呼と,引用商標から生じる「ベビーファイン」の称呼とを比較すると,第4音における「ラ」と「ファ」の音における差異を有するところ,「ラ」と「ファ」の音は共に長音の後に位置し明瞭に聴別し易いものといえ,しかも,両称呼が共に6音という比較的短い音構成であることからすれば,該差異音が,両称呼に及ぼす影響が決して小さいものとはいえず,両称呼をそれぞれ一連に称呼しても,互いに聴き誤るおそれはなく,十分に聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念は生じないものであるから観念を比較することはできない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観においては,判然と区別し得るものであり,称呼においても,互いに聴き誤るおそれはなく,十分に聴別し得るものであるから,これらが需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
したがって,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえず,その登録は,同条第1項の規定に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

別掲1 本件商標

別掲2 引用商標(色彩は原本参照。)



別掲3 引用商標の指定商品
第3類「Cosmetics, in particular, skin creams and skin cleansing products, oils, lotions and body powders; personal hygiene products, in particular, oil impregnated wipes, lotion impregnated wipes, moist flannels for cosmetic use, moist skin care wipes and cleansing wipes impregnated with cosmetic lotions; bath additives, not for medical purposes; soaps; sun care products for cosmetic use; hair care products, shampoos; cotton wool sticks for cosmetic purposes; all the above goods for babies.」
第5類「Pharmaceutical preparations and also health care preparations; pharmaceutical skin care preparations; protective skin ointments and creams for medical purposes; pharmaceutical and hygiene products, in particular, oil impregnated wipes, lotion impregnated wipes and moist flannels for pharmaceutical use; pharmaceutical and hygiene products, namely moist skin care and cleansing wipes impregnated with pharmaceutical lotions; sun care products for pharmaceutical purposes; disinfectants, wipes impregnated with disinfectant lotions; breast feeding protective pads; all the above goods for babies.」
第16類「Baby diapers predominantly made of paper or cellulose, moist toilet paper.」


異議決定日 2021-03-30 
出願番号 商願2019-41392(T2019-41392) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 鈴木 雅也
須田 亮一
登録日 2020-04-23 
登録番号 商標登録第6247833号(T6247833) 
権利者 寧波寶致品牌管理有限公司
商標の称呼 ベビーファイン 
代理人 特許業務法人栄光特許事務所 

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