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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1376981 
異議申立番号 異議2020-900260 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-08 
確定日 2021-07-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第6271503号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6271503号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6271503号商標(以下「本件商標」という。)は、「ragged mountain」の欧文字を横書きしてなり、令和元年7月5日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),仮装用衣服,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)」を指定商品として、同2年5月22日に登録査定され、同年7月20日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本件商標登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 理由の要点
本件商標は、「ragged mountain」の欧文字を普通に用いられる方法で表示したにすぎないから、その指定商品に使用しても商品の産地、販売地を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。
また、本件商標を「Ragged Mountain Resort内、若しくはその近隣において製造又は販売される商品」以外の商品に使用した場合は、商品の品質の誤認を生じさせる。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 具体的理由
(1)審査基準及び審査便覧
商標法第3条第1項第3号の審査基準によると、「商標が、国内外の地理的名称(国家、旧国家、首都、行政区画(都道府県、市町村、特別区等)、州、州都、郡、省、省都、旧国、旧地域、繁華街、親光地(その所在地又は周辺地域を含む。)、湖沼、山岳、河川、公園等を表す名称又はそれらを表す地図)からなる場合、取引者又は需要者が、その地理的名称の表示する土地において、指定商品が生産され若しくは販売され又は指定役務が提供されているであろうと一般に認識するときは、商品の『産地』若しくは『販売地』又は役務の『提供の場所』に該当すると判断する。」としている。
また、「商標が、国家名(国家名の略称、現存する国の旧国家名を含む。)、その他著名な国内外の地理的名称からなる場合は、商品の『産地』若しくは『販売地』又は役務の『提供の場所』に該当すると判断する。」としている。
さらに、審査便覧41.103.01の「外国の地名等に関する商標について」では、「首都名、州名、県名、州都名、省名、省都名、郡名、県庁所在地(県都)、旧国名、旧地域名、地方名、市、特別区、繁華街、観光地については、直接商品の産地、販売地(取引地)又は役務の提供場所(取引地)であることが辞書その他の資料に記載されていなくても、産地、販売地(取引地)又は提供地(取引地)に結びつき得る要因があれば、原則として産地、販売地(取引地)又は提供地(取引地)を表すものとして拒絶する。」としている。
(2)山岳名称及び観光地(スキーリゾート地)の名称
本件商標は、「ragged mountain」であるところ、当該名称は、アメリカ合衆国ニューハンプシャー州のダンベリーとアンドーバーに跨って存在する山岳の名称であり(甲1)、特に、スキーリゾートとして広く知られている観光地(スキーリゾート地)の名称でもある。
例えば、「Yahoo!検索」で「ragged mountain」を検索すると、そのほとんどが、「Ragged Mountain Resort」関連のもので、とりわけスキー関連ものである(甲3)。
(3)本件商標の指定商品
本件商標の指定商品は、第25類のいわゆるアパレル関連商品であり、山岳名称としての「Ragged Mountain」に深く結びつき、特にスキーリゾート地の名称(観光地の名称)としての「Ragged Mountain Resort」に深く結びつきやすい商品を多く含むものである(例えば、登山服やスキーウェア、冬服や礼服、スノーブーツや登山靴等)。
したがって、本件商標が付された商品に接した需要者は、その商品は、当該山岳「Ragged Mountain(ラギド山)又はその周辺のリゾート地であるRagged Mountain Resort」で生産され、あるいは、販売されている商品と認識するであろうことは明らかである。
申立人は、「Ragged Mountain Resort」近くに本社を有するものであり、そのWebページにおいて、「すべてのRagged Mountain製品は、ニューハンプシャー州インターベイルにおいて、誇りを持って製造されている」として、産地との関係を明示した上で、「ragged mountain」の語を含むロゴを用いて本件商標の指定商品に属する商品の販売をしている(甲4)。
そして、それらの商品は、日本国内からも購買可能であるから、一般需要者は、本件商標が付された商品は、「Ragged Mountain Resort内若しくはその近隣において製造又は販売された商品」であると認識するであろうことに疑いの余地はない。
すなわち、本件商標は、その指定商品との関連においては、単に商品の販売地や産地を表示するにすぎない商標であるので、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、「Ragged Mountain Resort内若しくはその近隣において製造又は販売される商品」以外の商品に使用した場合は、商品の品質の誤認を生じさせることもまた明らかである。
(4)むすび
以上の点から、本件商標に接した需要者は、本件商標が付された商品は、「ragged mountain」又はその周辺地域で販売されている若しくは生産されている商品と認識するにとどまるので、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、「Ragged Mountain Resort近くにおいて製造された商品」以外の商品に使用した場合は、商品の品質の誤認を生じさせるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「ragged mountain」の欧文字を横書きしてなるところ、申立人の提出に係る「Googleマップ」における「ragged mountain」の検索結果の地図データ(甲1)には、「Ragged Mountain Resort」及び「ラギド山」の記載がある。
また、上記地図データ(甲1)及び「Yahoo!検索」における「ragged mountain」の検索結果(甲2)並びに「Ragged Mountain Resort」のウェブサイト(甲3)によれば、「Ragged Mountain Resort」という名称のリゾート地が存在することがうかがえる。
さらに、申立人のウェブサイトによれば、申立人は、「ragged mountain」の語を含む標章を表示して、ジャケット、タイツ、マスク、水筒等の商品を販売していることがうかがえる(甲4)。
しかしながら、「ragged mountain」及び「ragged」の文字から始まる語は、「コンサイス外国語地名辞典<第3版>」(1998年(平成10年)4月20日発行 株式会社三省堂)や「外国地名レファレンス事典」(2006年(平成18年)7月25日発行 株式会社紀伊國屋書店)等の、我が国における地名辞典には載録されていないものである。
また、「研究社新英和大辞典第6版」(2002年(平成14年)3日発行 株式会社研究社)、「ベーシック ジーニアス英和辞典」(2002年(平成14年)11月25日発行 株式会社大修館書店)等の英語の辞典において、「ぼろぼろの」、「ぎざぎざの」等の意味を有する「ragged」 の語が載録されているものの、「ragged mountain」の語は載録されていない。
さらに、「ragged」の欧文字に照応する称呼といい得る「ラギド」「ラギッド」「ラゲッド」についても、「広辞苑第7版」(2018年(平成30年)1月12日発行 株式会社岩波書店)、「コンサイスカタカナ語事典<第4版>」(2014年(平成26年)5月10日発行 株式会社三省堂)等の一般的な事典には載録されていない。
加えて、我が国から、「Ragged Mountain」又は「Ragged Mountain Resort」に多くの旅行者が訪問しているというような事情も見いだせない。
そうすると、「Ragged Mountain」という名称の山岳及び「Ragged Mountain Resort」という名称のリゾート地が存在するとしても、我が国において、「Ragged Mountain」は、一般に広く認識されている地名とはいい難いものである。
また、当審において職権をもって調査するも、「Ragged Mountain」の語が本件商標の指定商品を取り扱う業界において、商品の産地又は販売地を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実を見いだすことはできなかった。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が商品の産地又は販売地を表したものと理解するとはいい難いものであるから、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
したがって、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、商品の産地、販売地を表したものと認識することはなく、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないというべきであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-06-07 
出願番号 商願2019-93402(T2019-93402) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W25)
T 1 651・ 13- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 永井 智貴白鳥 幹周 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 庄司 美和
馬場 秀敏
登録日 2020-07-20 
登録番号 商標登録第6271503号(T6271503) 
権利者 江蘇株式会社
商標の称呼 ラガッドゥマウンテン、ラギッドマウンテン、ラギドマウンテン、ラゲッドマウンテン、ラガッドゥ、ラギッド、ラギド、ラゲッド、マウンテン 
代理人 齋藤 晴男 
代理人 齋藤 貴広 

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