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審決分類 審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない W25
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W25
審判 一部無効 外観類似 無効としない W25
審判 一部無効 観念類似 無効としない W25
管理番号 1376953 
審判番号 無効2020-890063 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-09-14 
確定日 2021-07-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第6045126号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6045126号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年6月30日に登録出願、第14類「キーホルダー,身飾品,ペンダント,指輪」及び第25類「ティーシャツ,キャミソール,被服,運動用特殊衣服」を指定商品として、同30年1月10日に登録査定、同年5月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録第2353908号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成元年1月24日
設定登録日:平成3年11月29日
指定商品:第25類「被服」
書換登録日:平成16年1月21日
更新登録日:平成23年7月19日
2 登録第4805259号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成12年9月29日
設定登録日:平成16年9月24日
指定商品:第25類「被服」
更新登録日:平成26年5月27日
3 登録第4871727号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:平成13年2月2日
設定登録日:平成17年6月17日
指定商品:第25類「被服,仮装用衣服」
更新登録日:平成27年6月9日
4 登録第6083934号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成29年11月10日
設定登録日:平成30年9月28日
指定商品:第24類「織物,布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン」及び第25類「履物,仮装用衣服」
5 登録第5547751号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:SMILE
登録出願日:平成21年9月18日
設定登録日:平成25年1月11日
指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」
6 別掲6に示す請求人に係る353件の登録商標(以下「引用商標6」という。)
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「全指定商品」の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標の特徴は、真ん中に大きく描かれた「スマイル・マーク」であり、その上部の「王冠」の図形と、下部の「Chura Smile」の文字で構成されている。
本件商標の主体は「スマイル・マーク」であり、それは、引用商標1ないし引用商標3と類似である。
(2)引用商標1ないし引用商標3の「スマイル商標」は、特許庁が多く「スマイル・マーク」の権利の象徴として説明しているものである。
引用商標1ないし引用商標3を理由に請求人の登録出願に係る「スマイル・マーク」は、これまで、数十件全てが退けられている。
請求人が登録を求めたのは「故ハーベイ・ボール」が最初に著作した世界的に有名な「スマイル・マーク」(別掲7)(第25類)である。
請求人が過去に上記「故ハーベイ・ボール」の「スマイル・マーク」を登録出願したとき、引用商標1ないし引用商標3の登録商標等と類似であるとして拒絶査定(一部は拒絶理由通知が送付された状態)されている(甲1)。
(3)請求人は、別掲6の「登録商標」(甲2)を所有している。
その大部分が、本件商標と類似であるため、本件商標は登録されるべきではなかった。
(4)「スマイル・マーク」は、元々1960年末、米国マサチューセッツ州ウスター市で「故ハーベイ・ボール」によって創作・著作されたものである(甲3)。
上記「スマイル・マーク」は、1963年に米国で創作・著作され、1970年(昭和45年)に日本の文具メーカーによって日本に導入された。その当時、日本では「ニコニコ・マーク」「ラブピース」として大流行し、子供からお年寄りまで知らない人がいない程有名になっている。
「ハーベイ・ボール」の死去後、息子を会長として「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」が米国で設立され、また、同時に「日本支部」が結成され、請求人は同「財団」の日本代表の立場である。
それを平成元年(1989年)頃に引用商標1ないし引用商標3の権利者が商標登録を行い、現在まで所有している。
しかし、「アメリカの誇り」であり「アメリカの文化」の「スマイル・マーク」の「知的財産権」を否定し続け、全アメリカ人の怒りを買っている現状もある。また、本件商標もそれに一致するものであり、「故ハーベイ・ボール」の創作・著作権をひょう窃し、その知的財産権を悪用したものとしか考えられない。
以上の理由で、本件商標は、他人の商標と類似であるため、登録されるべきではなかった。
(5)「故ハーベイ・ボール」によって描かれた「スマイル商標」(審決注:「スマイル・マーク」と思われる。以下、同じ。)は、世界で最も有名な上記「スマイル商標」さえ、引用商標1ないし引用商標3を理由に特許庁は拒絶し続けている。
(6)本件商標の上部の「王冠」について、請求人は引用商標4を所有しており、本件商標は、引用商標4と類似であり、登録されるべきではなかった。
(7)本件商標の下部の「Chura Smile」の文字について、請求人は「SMILE」の文字からなる引用商標5を所有している。
「Chura Smile」の文字を観察すると、消費者にとって「Smile」の文字が目立っており、強く印象付けられるはずである。
(8)「スマイル・マーク」は、あくまでアメリカの請求人関係の「故ハーベイ・ボール」が創作・著作したものであり、その世界的な著名性を利用して、商標登録されたものであって、本件商標も不正な目的で登録されたにすぎない。
この事は日米友好が現在の日本で最優先事項である状況を考えると、国際信義にもとるものとして許されるべきでなく、「日本人はアメリカの知的財産権を尊重しない」と強い反発と怒りが全米に広がることは必至である。
よって、本件商標の無効を要求するものである。
2 まとめ
上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第7号に該当するものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、前記第3の請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 請求の利益について
請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、被請求人から答弁がなく、また、当審は、請求人が本件審判の請求人適格を有するものと判断するので、以下、本案に入って審理する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、円輪郭内の上部に小さい黒丸を二つ並べ、その下部中央に両端上がりの弧線を描いた図形(以下「本件円図形」という。)と、本件円図形の上部に、3つの先端を有する図形(各先端部にハート型の図形を有する。以下、「上部図形」といい、本件円図形と合わせて、「本件図形部分」という。)を配し、本件円図形の下部に、その輪郭線に沿うように「Chura Smile」の欧文字を書してなるものであって、本件商標を構成する本件図形部分及び文字部分は、いずれも手書き風に書されてなるものである。
そして、上記構成からなる本件図形部分は、その外観的特徴から、何かを頭部に載せた人の顔様の図形であって、笑顔を表したと印象付けるものであるが、その構成全体としては、特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているものではないから、本件図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じない。
また、本件商標の構成中の「Chura Smile」の文字部分は、同じ書体でまとまりよく一体的に表されていることから、その構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるものとみるのが相当であり、これより「チュラスマイル」の称呼のみを生じ、当該文字は、辞書等に掲載されている成語ではないことから、特定の観念を生じるとはいえないものである。
そして、本件図形部分と文字部分は、それぞれに重なり合うことなく、各部分が独立した態様で配置されていることから、視覚上分離して認識されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の本件図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、それぞれが独立して、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
(2)引用商標について
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、円輪郭内の上部に目とおぼしき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その下に口とおぼしき両端上がりの弧線を描いてなるものであり、そのような外観的特徴から、簡潔、かつ、象徴的に人の笑顔を描いたものであることを印象付けるものであるから、人の笑顔に関連した観念が生じ得るといえるが、特定の称呼を生じるとまではいえない。
イ 引用商標2は、別掲3のとおり、円輪郭内の上部に目とおぼしき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その下に口とおぼしき両端上がりの弧線を描いてなる図形を表し、その上部に「LOVE EARTH」の欧文字を下向き弧状に表してなるものである。
そして、引用商標2の構成中の図形部分は、その外観的特徴から、簡潔、かつ、象徴的に人の笑顔を描いたものであることを印象付けるものであるから、人の笑顔に関連した観念が生じ得るといえるが、特定の称呼を生じるとまではいえない。また、引用商標2の構成中の文字部分は、全体として「地球を愛する」程度の意味合いを認識させるものの、それ自体が、人の笑顔を簡潔、かつ、象徴的に描いたものと認識される図形部分と、直接的な観念上のつながりがあるということはできない。
そうすると、引用商標2は、その構成における図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、それぞれが独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
ウ 引用商標3は、別掲4のとおり、円輪郭内の上部に目とおぼしき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その中には瞳を思わせる白抜きの点を配し、その下に口とおぼしき両端上がりの弧線を描いてなるものであり、そのような外観的特徴から、簡潔、かつ、象徴的に描いた人の笑顔であることを印象付けるものであるから、人の笑顔に関連した観念が生じ得るといえるが、特定の称呼を生じるとまではいえない。
エ 引用商標4は、別掲5のとおりの構成からなるものである。
オ 引用商標5は、「SMILE」の欧文字を書してなるところ、その構成文字から、「スマイル」の称呼を生じ、「微笑み」の観念を生じるものである。
カ 引用商標6は、図形のみからなるもの、「Chura Smile」の文字を含まない文字、又は図形と文字との組合せからなる別掲6のとおりの構成態様の353件の登録商標である。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標と引用商標1ないし引用商標3について
前記(1)のとおり、「Chura Smile」の文字と本件図形部分からなる本件商標と、前記(2)アないしウのとおり、図形又は図形と「LOVE EARTH」の文字からなる引用商標1ないし引用商標3とは、その構成全体の比較においては、明らかに異なるものであるから、外観上、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件図形部分と引用商標1及び引用商標3を構成する図形並びに引用商標2の図形部分とを比較するに、本件図形部分が上部図形を有し、手書き風に描かれているのに対し、上記各引用商標を構成する図形は、同じ太さの円輪郭内に、ほぼ左右対称に目とおぼしき黒塗りの縦長楕円形及び口とおぼしき弧線を描いてなるものであるから、両者の印象が大きく異なるものといえ、外観上、相紛れるおそれのないものである。また、本件図形部分と上記各引用商標を構成する図形は、いずれも特定の称呼を生じないから、称呼上、相紛れるおそれはなく、さらに、観念においては、本件図形部分からは特定の観念が生じないのに対し、上記各引用商標を構成する図形からは、人の笑顔に関連した観念が生じ得るといえるから、観念上、相紛れるおそれはない。
そして、本件商標の「Chura Smile」の文字部分と引用商標2の「LOVE EARTH」の文字部分との比較においても、構成する文字が明らかに異なるものであるから、両者は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものである。
したがって、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標4について
本件商標の登録出願の日は、前記第1のとおり、平成29年6月30日であるのに対し、引用商標4の登録出願の日は、前記第2の4のとおり、平成29年11月10日であるから、引用商標4は、本件商標より後に登録出願されたものである。
そうすると、引用商標4は、商標法第4条第1項第11号にいう「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」に当たらないことが明らかであるから、両者の類否について検討するまでもなく、本件商標は、引用商標4との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
ウ 本件商標と引用商標5について
前記(1)のとおり、「Chura Smile」の文字と本件図形部分からなる本件商標と「SMILE」の文字からなる引用商標5とは、図形の有無において、明らかに異なるものであり、本件商標の文字部分と引用商標5を比較してみても、「Chura」の文字の有無において明らかに異なるものであるから、両者は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものである。
したがって、本件商標と引用商標5とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ 本件商標と引用商標6について
引用商標6は、別掲6のとおり、図形のみからなるもの、「Chura Smile」の文字を含まない文字、又は図形と文字との組合せからなるからなるものであるところ、前記(1)のとおり、「Chura Smile」の文字と本件図形部分からなる本件商標と引用商標6とは、その構成において明らかに異なるものである。
したがって、本件商標と引用商標6とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)小括
前記(3)ア、ウ及びエのとおり、本件商標と引用商標1ないし引用商標3並びに引用商標5及び引用商標6とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
また、前記(3)イのとおり、引用商標4は、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」に当たるものではないから、本件商標は、引用商用4との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。また、その商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、その出願の経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。
請求人は、本件商標は、「スマイル・マーク」の世界的な著名性を利用して、不正な目的で登録されたものにすぎない旨主張するが、請求人の提出に係る証拠において、上記主張を裏づける証拠を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第7号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1)



別掲3(引用商標2)



別掲4(引用商標3)



別掲5(引用商標4)



別掲6(引用商標6)(原本は色彩を含め甲第2号証参照。)


別掲7(請求人が「スマイル・マーク」と称する商標。)



審理終結日 2021-05-06 
結審通知日 2021-05-11 
審決日 2021-06-14 
出願番号 商願2017-94595(T2017-94595) 
審決分類 T 1 12・ 22- Y (W25)
T 1 12・ 261- Y (W25)
T 1 12・ 263- Y (W25)
T 1 12・ 262- Y (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 黒磯 裕子
中束 としえ
登録日 2018-05-25 
登録番号 商標登録第6045126号(T6045126) 
商標の称呼 チュラスマイル、チュラ、スマイル 

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