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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1376076 |
異議申立番号 | 異議2020-900252 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-10-02 |
確定日 | 2021-07-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6282254号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6282254号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6282254号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年8月27日に登録出願、第9類「車両用バッテリー,バッテリーボックス,蓄電池,光電池,太陽電池,バッテリー充電装置,再充電可能な電池,再充電可能な装置用の充電器,リチウムイオン電池,太陽光発電パネル」を指定商品として、同2年8月11日に登録査定され、同月20日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5752987号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第7類、第9類、第11類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成23年12月14日 設定登録日 平成27年3月27日 (2)登録第6168207号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第7類、第9類及び第10類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成30年6月14日 優先権主張 台湾 2017年(平成29年)12月14日 設定登録日 令和元年8月2日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。 (1)引用商標の商標権者及び引用商標について 引用商標は、いずれも、やや図案化されているものの、英文字「DELTA」と認識し得る部分を有している。 ここで、引用商標の権利者(申立人)の名称は、英語表記で「Delta Electronics,Inc」であり、日本においても現地法人「デルタ電子株式会社」を有しており(甲4)、世界各国において多数の拠点を有する世界的一大グループを形成している(甲5、甲6)。 そして申立人は、今日では電源装置等をはじめとする分野において世界でも有数の一大企業として知られ、日本の新聞等の記事においても申立人を「デルタ」、「台湾デルタ」と呼び、その動向を報じている(甲7?甲11)。 このように、引用商標は、今日では申立人の略称等としても認知されている「デルタ」の商標として、広く知られるに至っているものである。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、図案化されてはいるものの、明らかに「DELTA」と認識できるひとまとまりの部分を有している。本件商標の当該「DELTA」部分と、左側のその余の部分とをみると、その余の部分は、「DELTA」部分と比べ、その線幅が太く、また、上にやや高くなっており高さも異なる。このように、本件商標は、「DELTA」部分とその余の部分とは、態様に差異を持たせており、全体として一連一体に認識されるべきものではない。 一方で、「DELTA」部分は、線幅・線種及び高さを共通してなるものであり、その余の部分とは別にひとまとまりとして認識されるものである。ここで、その余の部分は、英文字なのか図形なのか判然としないが、図形であるにしろ、英文字(二文字)にしろ、「DELTA」の文字部分が独立して類否判断の対象にすべきであることには変わりがない。その余の部分が、図形の場合は、「DELTA」の文字部分を独立して類否判断の対象とすべきであるのは勿論であるし、また、英文字(二文字)の場合も、英文字二文字は原則識別力がないとみるべきである。 いずれにしても、本件商標にあっては、「DELTA」の文字部分は直ちに認識し得るものである一方、その余の部分は判然とせず、さらに、線幅及び高さにおいて「DELTA」の文字部分とは相違するという外観上の相違を有するものである。 したがって、本件商標は、独立して認識される「DELTA」部分から「デルタ」の称呼が生ずるものであり、「DELTA」の語に即した観念が生ずるものである。 イ 引用商標 引用商標は、いずれも文字として容易に認識される「DELTA」部分を有しているものであるため、「デルタ」の称呼が生ずるものであり、「DELTA」の語に即した観念が生ずるものである。 ウ 商標及び指定商品の類否 以上のとおり、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にするものである。 また、本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を指定するものである。 エ 小括 したがって、本件商標は、先願・先登録に係る他人の登録商標(引用商標)と類似する商標であって、かつ、同一又は類似の商品を指定するものであり、その査定時において、引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当していたものである。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 以上のとおり、申立人は、電源関係の装置及び機器等において世界的に知られる存在である。本件商標の指定商品もこうした電源関係に関するものであり、さらに、商標の類似性、及び電源装置等の分野で世界的に知られる申立人の「名称(略称)」における「デルタ」等といった扱われ方(甲7?甲11)等も勘案すれば、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれが極めて強い商標である。 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそがある商標であるため、商標法第4条第1項第15号に該当していたものである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人は我が国の「デルタ電子株式会社」(以下「デルタ電子」という。)などアジア諸国を中心に関連会社などを有していること(甲4?甲6)、申立人は電源装置などにおいて世界の大手企業であること(甲7、甲8)、デルタ電子の年商は2019年に192億円であること(甲4)、及び申立人のグループの2019年度の連結売上高は90.1億米ドルであること(甲5)などがうかがえ、申立人を「デルタ・エレクトロニクス」、「デルタ」、「台湾デルタ」と表記している我が国の新聞等があること(甲7?甲11)、デルタ電子は同人のウェブページに引用商標を表示していること(甲4?甲6)などが認められる。 イ しかしながら、引用商標を使用した商品(電源装置など)の我が国における売上高、市場シェアなど販売実績に係る主張はなく、それを裏付ける証左は見いだせない。 そうすると、引用商標を使用した商品及び引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品として、及び申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 (ア)本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、近時のレタリングの手法からすれば、「EFDELTA」の欧文字をデザイン化したものと把握、認識されるものであって、該文字に相応し「イーエフデルタ」の称呼を生じ、また、該文字は辞書等に採録のないものであり、一種の造語とみるのが相当であるから、特定の観念は生じないものというのが相当である。 (イ)なお、申立人は、本件商標はその構成中「DELTA」の文字部分とその余の部分とは線幅及び高さが異なり態様に差異を持たせており、全体として一連一体に認識されるべきものではないなどとして、本件商標は「DELTA」の文字部分を独立して類否判断の対象とすべきものであり、該文字から「デルタ」の称呼及び「DELTA」の語に即した観念を生じる旨主張している。 しかしながら、本件商標を子細に見れば「DELTA」の文字部分とその余の部分(「EF」の文字部分)とは、線(文字)の太さ及び高さにわずかな差異があることが認められるものの、その差異の程度は極めて小さく、容易に把握、認識されるほどのものとはいえず、むしろ、本件商標の構成文字は同書、同大、等間隔で一体に表されていると把握、認識されるものとみるのが自然であり、また他に、「DELTA」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせないから、申立人のかかる主張はその前提において採用できない。 したがって、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「イーエフデルタ」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 イ 引用商標 引用商標は、いずれも別掲2のとおり、黒塗りの正三角形内に曲線と円を白抜きした図形と、その右側にややデザイン化された「DELTA」の欧文字からなり、その構成態様から「DELTA」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものであって、該文字に相応し「デルタ」の称呼を生じ、また、該文字は「三角州」の意味を有する語として一般に知られている英語といえるものであるから、「三角洲」の観念を生じるものというのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず本件商標と引用商標の構成中「DELTA」の文字部分とを比較すれば、両者は、構成文字のデザイン、構成文字数など構成態様が明らかに異なるから、容易に区別し得るものである。また、両者のつづりの比較においても、文字商標における外観の識別上重要な要素である語頭において「EF」の文字の有無という差異を有し、その差異が7文字又は5文字構成からなる両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。 次に、本件商標から生じる「イーエフデルタ」と引用商標から生じる「デルタ」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において「イーエフ」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「三角洲」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するものとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)のとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標1、引用商標2) |
異議決定日 | 2021-06-30 |
出願番号 | 商願2019-114504(T2019-114504) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W09)
T 1 651・ 263- Y (W09) T 1 651・ 271- Y (W09) T 1 651・ 262- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 安達 輝幸 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 小松 里美 |
登録日 | 2020-08-20 |
登録番号 | 商標登録第6282254号(T6282254) |
権利者 | 深▲せん▼市正浩創新科技有限公司 |
商標の称呼 | エフデルタ、イイエフデルタ、デルタ |
代理人 | 吉澤 大輔 |
代理人 | 秋元 輝雄 |
代理人 | 崔 海龍 |