• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 外観類似 無効としない W03
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W03
審判 一部無効 観念類似 無効としない W03
管理番号 1376038 
審判番号 無効2020-890053 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-07-02 
確定日 2021-07-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第6154066号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6154066号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成30年10月31日に登録出願,第3類「化粧品,香料,香水類,せっけん類,薫料,つけづめ,つけまつ毛用接着剤,ヘアーリンス,シャンプー,歯磨き,香水,つけまつ毛」を指定商品として,令和元年5月16日に登録査定され,同年6月21日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由において引用する登録第2046935号商標(以下「引用商標」という。)は,「CELLMEN」の欧文字を太字で横書きしてなり,昭和60年11月21日に登録出願,第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同63年5月26日に設定登録され,その後,指定商品については,平成20年8月20日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする書換登録がされたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の指定商品中,第3類「化粧品,香料,香水類,せっけん類,薫料,ヘアーリンス,シャンプー,歯磨き,香水」については,これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 請求の理由
(1)商標登録無効の根拠条文
本件商標は,商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものであるから,商標法第46条第1項の規定により,その登録は無効すべきである。
(2)審判請求の利益
請求人は,引用商標の商標権者である。請求人は,スイスに拠点を置く化粧品メーカーであって,我が国では2014年にオンラインショップを開設し,現在に至るまで現に引用商標を「化粧品」等に使用している(甲3,甲4)。
本件商標は,引用商標と類似し,かつその指定商品もほぼ重複するので,取引者,需要者において商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがある。
よって,請求人は本件審判を請求することにつき利害関係を有する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)指定商品の類否について
本件商標の指定商品中「化粧品,香料,香水類,せっけん類,薫料,ヘアーリンス,シャンプー,歯磨き,香水」は,引用商標の指定商品「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」と同一又は類似するものである。
(2)本件商標について
本件商標は,上段に欧文字「C」をモチーフにしたと目される図形を配し,下段に欧文字にて「cellme」と書してなる。上段の図形と,下段の文字は外観上も明瞭に分離されており,両者に観念的な結びつきもないので,これらを常に一体のものとして把握し,認識しなければならないとすべき特段の事情も存在しない。
よって,本件商標に接する取引者,需要者は,下段「cellme」の文字部分に注目し,該文字部分の外観,及び該文字から生じる称呼を頼りに商品の識別に当たる場合も決して少なくなく,その結果,「セルメ」と称呼されることになる。また,「cellme」の文字は辞書に記載のない語であるから特定の意味合いを有しない造語である。
(3)引用商標について
引用商標は,欧文字にて「CELLMEN」と書してなり,その自然的称呼は「セルメン」である。「CELLMEN」の文字も辞書に記載のない語であるから特定の意味合いを有しない造語である。
(4)商標の類否について
そこで,本件商標と引用商標を対比すると,外観においては本件商標の構成中「cellme」の文字部分と引用商標とでは大文字・小文字の違いやフォントに若干の相違はあるが,一方で取引者,需要者が明瞭に記憶するであろうそのつづりにおいては語頭から6文字目までが完全に一致している。
よって,本件商標と引用商標は外観において類似するものである。
また,観念においては両者とも造語であって特定の観念を生じないから,これによって区別することは不可能である。
称呼においては,本件商標の称呼「セルメ」と引用商標の称呼「セルメン」では,語尾音において,前舌面を軟口蓋前部にあてて有声気息を鼻から漏らして発音する弱音の「ン」音の有無にしか相違がない。すなわち,両商標の称呼は(ア)「比較的弱く聴覚されることが多い」語尾音において,(イ)「通常,前音に吸収されて聴覚されにくい」弱音の有無にしか相違がないのである(甲5,甲6)。こうした語尾音における弱音の有無の相違しかない両商標について,特許庁が過去に判断した事例(甲7?甲11)は,本件にもそのまま当てはまるものである。
すなわち,称呼「セルメ」と「セルメン」では,称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた「セルメ」の音を同じくし,異なるところは,わずかに語尾における「ン」の音の有無にすぎない。
そして,その差異音「ン」は,鼻音であって,それ自体の音の響きが弱いために前音の「メ」の音に吸収され易く,しかも,明瞭に聴取し難い語尾に位置することから,該差異音が両称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえない。
そうすると,両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,全体の語調・語感が近似し彼此聴き誤るおそれが少なからずあるものといわなければならない。
そうとすれば,本件商標と引用商標は,外観において類似し,称呼においてはそれぞれ一連に称呼するときは,全体の語調・語感が近似し彼此聴き誤るおそれがあるのであり,観念については比べることができないものであるから少なくともこれによって区別することはできないものであるから,これらを総合的に勘案すれば両商標は類似の商標であるというべきである。
(5)まとめ
以上述べたことから明らかなように,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 本件商標は文字部分と図形部分を一体として全体観察すべきであること
(1)結合商標の観察方法
本件商標は,「cellme」という小文字,同大のローマ字からなる単語と,四角と三角の複数の黒色の図形から構成される「C」をモチーフとした図形とが一体となった結合商標である。
この点,請求人は,本件商標について「上段の図形と,下段の文字は外観上も明瞭に分離されており,両者に観念的な結びつきもない」という理由から,図形と文字を一体のものとして把握されず,需要者は下段の「cellme」の部分に注目すると主張する。
しかしながら,請求人の主張するところは,本件商標を構成する図形部分と文字部分が分離可能であるということを指摘するにとどまり,文字部分のみを抽出して類否判断を行うことの理由づけとして不十分であると考える。
次に述べるとおり,むしろ,本件商標中の図形部分と文字部分は,不可分に結合しており,分離観察することは取引上不自然というべきである。
(2)本件商標の文字部分と図形部分の結びつきについて
まず,本件商標中の図形部分は,大きさは各文字と比較して大きく,また「C」のモチーフ部分は複数の図形が組み合わさって構成されており,それ自体,一般的に目にしない図形であることから,需要者が目をひく存在感のあるものである。
これに対して「cellme」の文字部分中,他の文字に比べて縦長であり,かつ中央に配列された「ll」の2文字が,最も需要者の目をひく部分である。本件商標中の図形部分は,この「ll」のほぼ真上付近に配置されていることから,そのデザインの独創性と相まって,本件商標を観察する需要者の目には自ずと文字部分と図形部分の両方が目に留まるというべきである。このように,本件商標は,図形部分と文字部分が一体として視認されるよう設計されており,両部分には外観上強い結びつきがある。
次に,本件商標の文字部分である「cellme」は,「cell」と「me」との単語に分解して把握され,かつ,「cell」という単語は「細胞」との意味を有する。そして,本件商標のうち,「C」をモチーフとした図形部分は,上記「cell」という単語から,頭文字の「c」を取ったものであると把握され,かつ,複数の小さい図形が組み合わさって構成されていることから,細胞の集合体とのイメージを需要者に想起させる。このため,本件商標に触れた需要者は,「C」をモチーフとした図形部分について,細胞を表現したものとして,文字部分の内「cell」と強い関連性があると理解するというべきである。
以上のとおり,本件商標の文字部分と図形部分は,その外観及び観念において強い結びつきを有することから,両者は不可分に結合しており,分離観察することは取引上不自然というべきである。
したがって,引用商標との類否判断にあたって,本件商標の文字部分のみを抽出することは許されず,本件商標を全体観察して類否判断すべきである。
2 本件商標と引用商標の対比
(1)本件商標を全体観察した場合について
本件商標について全体観察した場合,本件商標と引用商標の外観は全く異なる。本件商標には,「cellme」の頭文字である「C」をモチーフにした,複数の黒の図形で構成されたマークが存在しているのに対し,引用商標には何らの図形やマークは存在せず,文字のみで構成されているからである。
したがって,本件商標と引用商標を全体として観察すれば,その顕著な外観の違いからして,称呼や観念について対比するまでもなく,両商標が類似しないことは明らかである。
(2)本件商標の構成中文字部分のみを抽出した場合について
仮に請求人の主張するとおり,本件商標のうち文字部分のみを抽出したとしても,本件商標の文字部分と引用商標は,それぞれの外観,称呼,及び観念を比較すれば,類似するものではない。
ア 本件商標の文字部分の外観,称呼,及び観念について
(ア)本件商標の文字部分の外観
本件商標の文字部分は,「cellme」という小文字,同大のローマ字で構成され,また,比較的細文字かつ丸みを持った字体が用いられている。
(イ)本件商標の文字部分の称呼
請求人は,本件商標の称呼について,「セルメ」である旨主張するが,本件商標の称呼は,「セルミー」である。
この点,本件商標は,「cellme」という文字と,四角と三角の複数の黒色の図形からなる「C」をモチーフとした図形とが一体となった結合商標であるところ,図形部分からは特段称呼は発生しない。
そして,「cellme」という文字部分は,「cell」と「me」という2つの英単語を結び付けたものである。「cell」と「me」という単語は,いずれも中学校で習うレベルの平易な英単語であるから,「cellme」という文字部分に触れた一般需要者は容易に「cell」と「me」に分解して理解することが可能である。
すなわち,「cellme」との単語の発音がわからない場合であっても,一般的に,ローマ字であることからまずはこれを英語であると予想した上,当該単語の内,理解し得る単語部分で分解して理解しようとすることは,通常,単語を音読する際に頭の中で行われる手法である。
このため,「cellme」という単語については,「cell」と「me」の英単語の組み合わせであると理解して分解し,それぞれ「cell」を「セル」,「me」を「ミー」と音読して,「cellme」を発音するものといえる。
以上のとおり,英単語への分解が容易に可能である以上,一般需要者は英語の発音に従って称呼を認識するから,「me」という部分について「メ」という称呼が生じることは考えられない。
さらに,実際の取引においても,本件商標を構成する文字部分「cellme」は,「セルミー」という称呼で通用している。例えば,インターネット上において自由にフリーマーケットによる商品の販売を行うことが出来るアプリである「メルカリ」において,「赤ら顔対策化粧水セルミー化粧水」として紹介され,化粧水が販売されており(乙3),また「赤ら顔専用化粧水人気ランキング」と題するまとめサイトにおいて,第1位に本件商標に係る化粧水が選ばれており,「セルミー」や「Cellme(セルミー)」と記載されて紹介されている(乙4)。
以上より,本件商標は,実際の取引において,現に「セルミー」と一般需要者に称呼されており,「cellme」という外観からも「cell」(セル)と「me」(ミー)と分解して称呼することが自然であるといえるため,本件商標の称呼は「セルミー」であることが明らかである。
(ウ)本件商標の文字部分の観念
上記(イ)で記載したとおり,本件商標の内,「cellme」の文字部分は「cell」と「me」という英単語を組み合わせた単語である。
この点,本件商標に係る商品が「化粧水」(以下「本件商品」という。乙5)であることからすると,本件商品の需要者である一般の消費者は,「cell」という単語に触れた際,これを化粧品等と関係し連想される「細胞」という意味であると理解する。そして,「細胞」(cell)と「私」(me)の組み合わせから,「細胞と私」,「私の細胞」等様々な捉え方が可能であるものの,本件商品が化粧水であり,化粧水の基本的な役割が肌を保湿しキメを整え,肌の若さや新鮮さを維持するものであること,及び,本件商品のウェブサイト上での説明において「本来の活きる肌」というキャッチフレーズが大きく掲載されていることから(乙5),「ありのままの私の細胞」又は「私本来の細胞」という様な意味があるものと予想し,把握するといえる。
よって,本件商標の文字部分について観念は何ら生じないとする請求人の主張は誤りであり,「ありのままの私の細胞」又は「私本来の細胞」との観念が生じる。
イ 引用商標の外観,称呼,及び観念について
(ア)引用商標の外観
引用商標は,「CELLMEN」という大文字,同大のローマ字からなる商標である。当該文字の他に,特段,図形や記号等は付加されておらず,文字のみからなる。
(イ)引用商標の称呼
引用商標の称呼は,「セルメン」である。
(ウ)引用商標の観念
引用商標の観念は,何ら生じない。
ウ 本件商標の文字部分と引用商標の類否について
(ア)外観の類否
本件商標における「cellme」という文字部分と引用商標の「CELLMEN」は,「N」が付いているか否かという点,及び小文字と大文字という表記が異なっている点の他にも,その字体が全く異なる形状をしていることが一見して明らかである。本件商標の文字部分については,細線で描かれており,全体として滑らかな丸みを帯びた形状をしており,また字間に一定のスペースがあることからも,需要者に対し,柔らかで優しい印象を与える。
他方,引用商標については,全体として太線で描かれており,字間も狭く一つのまとまりのある形状をしており,かつ大文字で表記されていることも相まって,需要者にしっかりとした力強い,堅固な印象を与える。
したがって,本件商標の文字部分と引用商標は,個々の構成上の差異のみならず,商標としての全体的印象も著しく相違し,両者を時と処を異にして観察したとしても,その外観において相紛れるおそれはないことは明らかである。
また,過去の審決例においても,ローマ字の表記自体は近しいものであっても,その字体の相違から非類似としている例は多数存在している。
本件についても,「cellme」と「CELLMEN」を比較した際に,語尾の「N」の有無について,互いに十分区別し得るだけの外観上の差異があるといえる。
このことは,化粧品における取引の実情を考慮することで,より一層裏付けられる。化粧品は,直接肌に触れるものであることから,需要者としては信頼し得るブランド,商品であるか否かについて特に高い注意を払っているのが一般的であり,通常の需要者は,購入の際は,対象商品を間違わないようにブランド名や商品名の表示を目で見て確認する。商標の類否の判断では,可能な限り具体的な取引状況を考慮すべきと解されているところ(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第3小法廷判決・民集22巻2号399頁参照),かかる取引の実情を踏まえれば,本件商標と引用商標の外観上の差異をもって,需要者は両商標を十分に区別し得るといえる。
以上より,本件商標の文字部分と引用商標の間には,誤認混同のおそれがないというに十分な外観上の相違がある。
(イ)称呼の類否
本件商標の文字部分の称呼は,上記ア(イ)記載のとおり,「セルミー」である。
他方,引用商標の称呼は,上記イ(イ)記載のとおり,「セルメン」である。
このように,本件商標と引用商標の称呼の間で共通しているのは「セル」のみであり,4音中その半分の2音は異なっている。加えて,「ミー」と「メン」の音質の違いは顕著であり,両商標の称呼を聴覚したときに全体として紛らわしい印象を与えるとはおよそ考えられない。
以上より,両者は称呼が全く異なる。
(ウ)観念の類否
本件商標の文字部分の観念は,上記ア(ウ)記載のとおり,「ありのままの私の細胞」又は「私本来の細胞」である。
他方,引用商標の観念は,上記イ(ウ)記載のとおり,何ら生じない。
以上より,両者は観念が異なる。
(エ)小括
以上のとおり,本件商標の文字部分と引用商標は,外観,称呼及び観念においていずれも異なるものであり,両者は類似しないことが明らかである。
エ まとめ
本件商標を全体として観察しても,文字部分のみを分離抽出して観察しても,いずれにせよ本件商標は引用商標と類似していない。
よって,本件商標は,商標法第4条1項11号には該当しない。

第5 当審の判断
1 利害関係の有無について
本件審判の請求につき利害関係を有するか否かについては,当事者間に争いはないので,本案に入って判断する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲のとおり,四角と三角の複数の黒色の図形からなる「C」をモチーフにしたと思しき図形(以下「図形部分」という。)と,その下に「cellme」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きした構成からなるところ,図形部分と文字部分とは視覚上分離して看取されるものであって,また,図形部分と文字部分とが観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし,一連一体となった何らかしらの称呼が生じるともいえない。また,図形部分及び文字部分は,指定商品との関係において,当該商品の品質等を表すものともいえない上,このほかに各部分が単独では出所識別機能を有しないと認めるに足りる的確な証拠も見あたらない。
そうすると,本件商標は,その構成中の図形部分と文字部分とが,それぞれ独立して,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから,「cellme」の文字部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そして,本件商標の構成中「cellme」の文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。
ところで,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえる。
してみれば,英語において,「細胞」の意味を有する「cell」が「セル」,また「私」の意味を有する「me」が「ミー」と読まれることからすれば,「cellme」の文字からは,「セルミー」の称呼を生ずるものである。
そうすると,本件商標は,文字部分に相応して「セルミー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
なお,請求人は,本件商標から生ずる称呼について,「セルメ」と称呼されることになる旨主張しているが,その具体的な理由は明らかではなく,「cellme」の文字は,ローマ字つづりとはいえないことや,該文字が日常頻繁に「セルメ」と称呼されて親しまれているといった実情が存在するという証拠もないことから,請求人の主張は採用することができない。
(2)引用商標
引用商標は,「CELLMEN」の欧文字からなるところ,当該文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。
そして,上記(1)のとおり,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,英語において,「細胞」の意味を有する「cell」が「セル」,「男」の意味を有する「man」の複数形である「men」が「メン」と読まれることからすれば,引用商標は,その構成文字に相応して「セルメン」の称呼を生ずるものである。
そうすると,引用商標はその構成文字に相応して「セルメン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標は,別掲のとおり,上段に図形を配し,下段に欧文字を配した構成よりなるのに対して,引用商標は,前記第2のとおり,欧文字のみの構成よりなるところ,両者は,図形の有無において明らかな差異を有するものであるから,外観上,判然と区別し得るものである。
さらに,本件商標の文字部分と,引用商標とを比較すると,両者は,細字の小文字のみで構成されているか,太字の大文字のみで構成されているかという差異に加え,末尾における「N」の有無という明確な差異を有するものであるから,外観において相紛れるおそれはないものである。
イ 称呼について
本件商標から生ずる「セルミー」の称呼と引用商標から生ずる「セルメン」の称呼とを比較すると,両称呼は,前半の「セル」の音を共通にするものの,後半における「ミー」と「メン」の音に差異を有するものであり,これが4音という短い音構成にあっては,当該差異音が称呼全体に及ぼす影響は大きいといえるから,両者を称呼するときは語感,語調が相違し,明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上においては比較することができないものである。
3 小括
以上よりすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観においては,判然と区別し得るものであり,称呼においても,明瞭に聴別し得るものであるから,これらが需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
したがって,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,その指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 むすび
以上のとおりであるから,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る商品について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲 別掲 本件商標




審理終結日 2021-02-02 
結審通知日 2021-02-04 
審決日 2021-02-26 
出願番号 商願2018-135596(T2018-135596) 
審決分類 T 1 12・ 261- Y (W03)
T 1 12・ 263- Y (W03)
T 1 12・ 262- Y (W03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 平澤 芳行
須田 亮一
登録日 2019-06-21 
登録番号 商標登録第6154066号(T6154066) 
商標の称呼 セルミー、セルメ、セルム 
代理人 原野 二結花 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 
代理人 鈴木 康之 
代理人 齋藤 宗也 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ