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審決分類 審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 W07091011172542
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W07091011172542
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 W07091011172542
審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 取り消して登録 W07091011172542
管理番号 1376008 
審判番号 不服2020-12487 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-07 
確定日 2021-07-09 
事件の表示 商願2018-125763拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「TORAY GREEN INNOVATION」の欧文字を横書きしてなり、第1類、第3類、第7類、第9類、第10類、第11類、第12類、第16類、第17類、第18類、第19類、第22類、第23類、第24類、第25類、第27類、第36類、第40類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成30年10月5日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における令和2年4月6日付け及び当審における同年9月7日付けの手続補正書により、別掲1のとおり補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標法第4条第1項第6号について
本願商標は、その構成中に、「GREEN INNOVATION」の欧文字を有してなるところ、当該文字の片仮名表記と認められる「グリーンイノベーション」の語は、「低炭素社会の実現を目指す技術的試み。および、低酸素産業を中心とした社会の在り方を変革し、発展・成長を遂げる戦略。」と理解されており、我が国において、新成長戦略として、グリーン・イノベーションの促進等が、2010年6月に閣議決定されている。そうすると、本願商標は、我が国が目指す新成長戦略である「グリーンイノベーション」の語と類似する商標であるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、登録第5322714号商標以外の登録商標は現に有効に存続しているものである。
なお、原査定は、本願商標の構成中「GREEN INNOVATION」の文字部分を分離、抽出し、これと引用商標とは類似するから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。
ア 登録第5322714号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:株式会社 グリーンイノベーションズ(標準文字)
指定商品・役務:第11類及び第35類に属する閉鎖商標原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成21年8月27日
設定登録日:平成22年5月14日
イ 登録第5322715号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:Green Innovations(標準文字)
指定商品・役務:「家庭用電磁調理器,家庭用電気給湯器,家庭用電気温水器,家庭用電熱用品類,家庭用電気式衣類乾燥機,家庭用電気式食器乾燥機,家庭用電気式浴室暖房乾燥機,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,浄水装置,家庭用浄水器」を含む第11類及び「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成21年9月7日
設定登録日:平成22年5月14日
ウ 登録第5444570号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:Green Innovations(標準文字)
指定役務:「家庭用電気マッサージ器・家庭用電磁調理器・家庭用電気給湯器・家庭用電気温水器・家庭用電熱用品類・家庭用電気式衣類乾燥機・家庭用電気式食器乾燥機・家庭用電気式浴室暖房乾燥機・電球類及び照明用器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乾燥装置・換熱器・蒸煮装置・蒸発装置・蒸留装置・熱交換器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,浄水装置の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台・氷冷蔵庫・家庭用浄水器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動用サポーターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,保温用サポーターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,マッサージ機器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,マッサージ具・つぼ刺激具・肩たたき具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成22年5月27日
設定登録日:平成23年10月14日
エ 登録第6002707号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:GREEN INNOVATION(標準文字)
指定役務:「建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究」を含む第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成29年4月14日
設定登録日:平成29年12月8日

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「TORAY GREEN INNOVATION」の欧文字からなるものである。
ところで、当審における職権調査によれば、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略 ?『元気な日本』復活のシナリオ?」において、「第3章 7つの戦略分野の基本方針と目標とする成果」「強みを活かす成長分野」として「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」が挙げられているものの、「グリーンイノベーション」の文字自体は、「環境問題に関係する技術革新」ほどの意味合いをもって広く一般に使用されている実情がうかがえるものである(別掲2参照)。
そして、本願商標構成中の「GREEN INNOVATION」の文字及びその片仮名表記である「グリーンイノベーション(グリーン・イノベーション)」の文字が公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示するものとして、我が国において著名の程度に至っていると認められる事実を見いだすことはできなかった。
そうすると、本願商標は、その構成中に「GREEN INNOVATION」の文字を有するとしても、商標法第4条第1項第6号にいう「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」ということはできない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標と引用商標1との関係について
引用商標1の商標権は、閉鎖商標原簿の記載によれば、令和2年5月14日存続期間満了により消滅している。
したがって、本願商標が、引用商標1と類似するとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。
イ 本願商標と引用商標2ないし4との関係について
本願商標は、前記1のとおり「TORAY GREEN INNOVATION」の欧文字からなるところ、その構成文字は、同書、同大で外観上まとまりよく一体的に表されており、構成文字全体から生じる「トーレグリーンイノベーション」の称呼も、やや冗長であるとしても、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、上記のような構成に係る本願商標に接する取引者、需要者が、殊更に、請求人の略称といえる「TORAY」の文字部分を捨象し、「GREEN INNOVATION」の文字部分のみをもって取引に当たるものとはいい難く、また、「GREEN INNOVATION」の文字部分のみが商品又は役務の出所識別標識として独立して認識されるとの特別の事情も見いだせない。
そうすると、本願商標は、その構成文字全体をもって、取引に資されるというのが相当である。
したがって、本願商標の構成中「GREEN INNOVATION」の文字部分のみを分離、抽出し、これを前提として本願商標と引用商標とが類似する商標であるとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
ウ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標1との関係においては、拒絶の理由は解消し、引用商標2ないし4との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第6号及び同項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願指定商品及び指定役務
第7類「印刷版,リチウムイオン電池製造用セパレーター製造用口金,炭素繊維の加工用機械器具,燃料電池の製造装置,フレキシブルプリント基板用プラスチックフィルム製造装置,太陽電池バックシート用プラスチックフィルム製造装置,食品包装用プラスチックフィルム製造装置,モーター部品用絶縁フィルム製造装置,コンデンサー用プラスチックフィルム製造装置,バッテリーセパレータ用プラスチックフィルム製造装置,ディスプレイ用プラスチックフィルム製造装置,フラットパネルディスプレイ製造装置,電池製造装置,塗装機械器具,塗工装置,金属加工用研磨機用ブラシ,化学機械器具,膜分離装置,バイオマスを原料に用いて化学品を製造するための化学機械器具,バイオマスを原料に用いる燃料製造装置」
第9類「酸素濃度計,高分子電解質膜,太陽電池製造用導電性ペースト,電気磁気測定器,電池およびその部品,導電性ペースト,発光ダイオード,光ファイバ,液晶ディスプレー用カラーフィルター,蓄電池用セパレーター」
第10類「医療用機械器具,医療用スポンジ」
第11類「下水処理プラントおよび下水処理装置,家庭用浄水器,海水淡水化および水処理用の逆浸透膜,浄水装置」
第17類「プラスチック基礎製品,化学繊維(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),化学繊維粉末,ゴム,炭素繊維強化プラスチック基礎製品,フレキシブルプリント基板用プラスチックフィルム・樹脂フィルム,太陽電池バックシート用プラスチックフィルム・樹脂フィルム,プラスチック製パイプ,炭素繊維(織物用のものを除く。),炭素繊維糸(織物用のものを除く。),半加工合成樹脂・人工樹脂,電気絶縁材料」
第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,ナイトキャップ,帽子,水上スポーツ用特殊衣服」
第42類「科学・技術・生産に関する試験・検査・分析・調査及び研究,化粧品又は食品の試験・検査・分析・調査又は研究,建築又は都市計画に関する試験・検査・分析・調査又は研究,公害の防止に関する試験・検査・分析・調査又は研究,電気・電子に関する試験・検査・分析・調査又は研究,土木に関する試験・検査・分析・調査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査・分析・調査又は研究,工業用・科学用又は農業用の化学品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,塗料・着色料・顔料・印刷インキ・絵の具・塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉・塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉・防錆グリース・壁紙剥離剤・媒染剤・木材保存剤・カナダバルサム・コパール・サンダラック・シェラック・松根油・ダンマール・マスチック・松脂に関する試験・検査・分析・調査又は研究,洗浄剤に関する試験・検査・分析・調査又は研究,工業用油・工業用油脂・燃料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,薬剤に関する試験・検査・分析・調査又は研究,卑金属及びその製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,貴金属及び貴金属製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,紙・紙製品及び文房具に関する試験・検査・分析・調査又は研究,電気絶縁用・断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチックに関する試験・検査・分析・調査又は研究,金属製でない建築材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,プラスチック・ゴム・皮革・パルプに関する試験・検査・分析・調査又は研究,原料繊維・糸・布地及びその他の衣料用・工業用の繊維製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,加工機械・原動機その他の機械・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,科学用・航海用・測量用・写真用・音響用・映像用・計量用・信号用・検査用・救命用・教育用・計算用又は情報処理用の機械器具及び電気式又は光学式の機械器具・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,医療用機械器具及び医療補助品・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,照明用・加熱用・蒸気発生用・調理用・冷却用・乾燥用・換気用・給水用又は衛生用の装置・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,乗物その他の移動用の装置・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,電気・ガス・熱の供給技術に関する試験・検査・分析・調査又は研究,石油製品・石炭製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,印刷技術に関する試験・検査・分析・調査又は研究,防災技術・安全技術に関する試験・検査・分析・調査又は研究,化学及び応用化学・物理学及び応用物理学・生物科学・核科学・電気工学及び電子工学・金属工学・資源開発工学・農学・医学に関する試験・検査・分析・調査又は研究」


別掲2 グリーンイノベーションの使用事例(合議体注:下線は当審の合議体が付したものである。以下、引用箇所において同じ。)
(1)「『新成長戦略』について」「平成22年6月18日」「閣議決定」の「第3章 7つの戦略分野の基本方針と目標とする成果」において、「強みを活かす成長分野」として「(1)グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」「(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」、「フロンティアの開拓による成長」として「(3)アジア経済戦略」「(4)観光立国・地域活性化戦略」、「成長を支えるプラットフォーム」として「(5)科学・技術・情報通信立国戦略」「(6)雇用・人材戦略」「(7)金融戦略」との記載がある。
https://www.kantei.go.jp/jp/sinseichousenryaku/sinseichou01.pdf
(2)「iFinance」のウェブサイトにおいて、「グリーンイノベーションとは」の見出しの下、「グリーンイノベーションは、特に固定的な定義はありませんが、世界的な課題である環境問題に対して、社会の持続的な発展のために多様な科学技術や社会的な思考の変革を基に展開する多様な取り組みと言えます。これは、広範囲な分野を対象とするもので、具体的には、環境・資源・エネルギー分野の革新的な技術等の研究開発と成果の実用化のためのシステム転換の一体的推進、新たな発想(考え)を活用することによるライフスタイルやビジネススタイル等の転換、地域における農林業の再生や街づくり(緑のダム、コンパクトシティ等)などが挙げられます。」との記載がある。
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo090.html
(3)「芝浦工業大学」のウェブサイトにおいて、「グリーンイノベーション研究センター」の見出しの下、「研究センターでは、学内外の材料、デバイス、回路、システムの研究者の持つ基盤技術をグリーンイノベーションにつなげるため、国内外における学会や論文発表の助成、海外との交流(派遣、招聘)、研究会やシンポジウムの開催、博士の助成等の事業を行います。」との記載とともに、「グリーンイノベーション概念図」と以下の図が使用されている。
https://www.shibaura-it.ac.jp/research/srl/green_innovation.html

(4)「電気新聞」(2014年8月14日)において、「関西電力が大阪府立大の環境人材育成プログラムに協力 社員が講義」の見出しの下、「関西電力は、大阪府立大学大学院が取り組む環境人材育成教育プログラムに協力している。」「同大学院の工学研究科教授は『環境人材育成教育プログラムでは関電をはじめとする企業、国際協力機構(JICA)など多くの学外関係者の協力を得ているのが特色。今後も各方面の協力を得て、グリーンイノベーションを担う環境人材の輩出に取り組みたい』と強調する。」の記載がある。



審決日 2021-06-23 
出願番号 商願2018-125763(T2018-125763) 
審決分類 T 1 8・ 263- WY (W07091011172542)
T 1 8・ 261- WY (W07091011172542)
T 1 8・ 262- WY (W07091011172542)
T 1 8・ 21- WY (W07091011172542)
最終処分 成立  
前審関与審査官 和田 恵美真鍋 伸行 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 杉本 克治
黒磯 裕子
商標の称呼 トーレグリーンイノベーション、トーレイグリーンイノベーション、トーレ、トーレイ、グリーンイノベーション、イノベーション 
代理人 橘 哲男 

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